MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2014年7月号


The trains work every day in the green garden.

/☆Go Back☆/
 欠伸軽便鉄道の4月下旬から7月下旬の3カ月間のレポートをお届けします。春から夏にかけては、おおむね天気の良い日が続き、それを補うように夜は雨が降って、草花の育成には最適な季節になりました。これまでで一番緑の多い庭園になっています。特に樹の枝葉の生長が著しく、昨年は見えた風景が見えなくなっていたり、木蔭の範囲も広がっていたりします。冬の寒さはさすがに忘れてしまいましたが、夏とはいえ、この地ではまだ朝夕は肌寒いくらいです。

 今年の春は、ガーデニング日和で、母屋の北側に新しい庭園を建設しました。また、鉄道の線路も一気に伸びて、メインラインは460mにもなりました。今回のレポートは主に、その線路工事の報告になります。一方、車両製作はなにも進んでいません。新しいパーツを揃えたりはしていますが、着手はまださきです(そろそろ車庫がいっぱいですし)。

 このA&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。より詳細な情報は、毎日アップされている欠伸軽便のブログ(Construction in Waterloo)をご覧下さい。

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緑と花々

 上の1枚めの写真が4月に撮影したものです。このとおり、樹の枝がないと空が広く見え、地面も明るいのです。5月になると、地面の草が伸び、花も咲き始めます。まだ太陽の光が届いているので、今のうちにとばかりに咲かせるようです。樹の葉が出始めるのは、5月の下旬からで、新緑のシーズンは6月になります。

 樹の葉が茂ると、庭園内はほとんど木蔭になります。それまでは毎日のように水やりが必要ですが、直射日光が当らなくなれば、それほど乾燥しません。また、気温が上がってくると、夜は雨が降るようになり、6月の中旬からは、水やりの仕事から解放されるのです。なんとも、便利な庭です。ちなみに、昨年に引き続き、芝の整備には時間をかけました。今年になって新たに種を蒔いた箇所もあり、綺麗なグリーンがさらに広がっています。


 気温が低いので、花が沢山咲き誇る、ということはありません。少しずつ、ぽつんぽつんと咲く程度ですし、また同時に何種類も咲くことが少ないため、一面の花畑という具合にはなりません。咲いている時間も短いように見受けられます。こうして写真に撮るチャンスを逃すと、次の日にはもう萎れていたりするのです。


 薔薇もいくつかあって、咲くと立派ですが、やはり数が少なく、また一度に多数が咲くこともありません。色の違う薔薇が同時に咲いているわけでもなく、少しずつ時期をずらして順番に咲くのです。

 樹の葉が茂ったあとは、日当りが悪くなるわけですから、草花の生長もあまり期待できません。一般に、同じ種類でも小さくて、ひっそりと咲く感じです。


通常運行

 ガーデニングと(後述の)線路工事などに忙しく、残念ながら、この3カ月間では、ライブスチームを運行できませんでした。整備はしているのですが、運転や掃除に時間がかかる蒸気機関車は、出番がどうしても少なくなります。実車と同じですね。上の1枚めは、ラジコンのレールバス。2枚めは、ホイットコム。3枚め、4枚めが、レールバスです。だんだん樹の茂ってくる様子がわかるかと思います。


 ここからは、緑が茂ったあとの写真になります。AB10&AB20の重連列車、そして、レールカーです。このレールカーの写真は、工事でできたばかりの新線を通っているときのものです。

 AB10&AB20を運転して撮影した動画 *MOVIE in YouTube*
 レールカーに乗って撮影した動画 *MOVIE in YouTube*


 上の3枚は、いずれもDL(の形をした電動機関車)です。それぞれ、プリムス、ワークディーゼル、そしてホイットコム。新しい線路が開通したので、いろいろな機関車を走らせて、不具合がないか、テストをしました。


 このレールバスは、現在一番新しい29号機。サウンドボードを搭載しているので、エンジン音を電子的に鳴らすことができます。ホイットコムとこのレールバスが、最近では出動の機会が最も多い2台です。この2台はいずれも、もともとは7.25インチゲージの機関車です。サイズが大きく迫力があります。


小さい機関車たち

 1枚目と2枚めは、レールカーのフライング・バナナです。1枚めは、最近ジャンクで入手したOゲージの自作品。木製で、マブチモータと電池で走ります。2枚めのフライング・バナナは、昨年作ったもの。乗客のフィギュアを乗せました。

 3枚めと4枚めは、いずれもレールバス。Gスケールの45mmゲージです。どちらも、IPエンジニアリングのキットを組み立てたもので、モータと電池で走ります。車内まで細かく作り込まれています。


 1枚めのトラムは、OcOreのキットを組んだもの。壊れたジャンクを模型店から無料でもらい受け、パンタグラフを直して、タミヤのギアボックスで動力化しました。2枚めは、Andel Modelsのレジンキットを組んだもので、Festiniog鉄道のBug Boxと呼ばれる客車です。16mmスケールの32mmゲージ。

 3枚めは、ゼンマイで走る1番ゲージの機関車。自作品だと思われます。かなり壊れていたので、エポキシを使って直しました。写真にはネジが差し込まれていますが、走るときは、これは外します。軸配置は4-4-0。4枚めは、同じ作者が作ったものと思われる機関車で、軸配置は、0-4-4。動力がありませんでしたので、ボディを修復したあと、タミヤのギアボックスで走るようにしました。これも1番ゲージです。


 1枚めは、Accucraftの新製品で、7/8インチスケールのFairlymeadです。木曽のボールドウィンB1タンクに似ています。もちろん、この機関車も実機はボールドウィン製です。45mmゲージ、ガス焚きです。2枚めの写真は、20年以上まえのドイツBeck社製ライブスチーム。イギリスのMerlinが売り出したAnnaに似ていますが、軸配置が0-6-0で、キャブの形やスチームドームなどが違います。Merlinが作らせた試作品かもしれません。これも、45mmゲージのガス焚き。

 3枚めと4枚めは、ライブスチームのハイスラ。Gスケールの45mmゲージ。エンジンにオシレーチングエンジンを使った自作品です。後ろの台車だけを駆動していて、ウォームギアを使っているため、かなり低速です。ガス焚きのボイラですが、煙室が煙突以外密閉されていたので、うまく燃えませんでした。そこで、煙室下部に穴を開けて、この問題を解決しました。それでも、やや火力不足か、あるいはエンジンの精度不足か、長く走らせることはできませんでした。

 Fairlymeadの走行 *MOVIE in YouTube*
 Merlin 0-6-0の走行 *MOVIE in YouTube*
 ハイスラの走行 *MOVIE in YouTube*


 ウェットティッシュのケースが5つあったので、連結して走るコミカルな電車を作りました。45mmゲージです。動力は2台めと4台めにあり、いずれもタミヤのギアボックスを利用。1枚めの写真が無動力車、2枚めが動力車の内部。16mmスケールのレールバスと一緒に走らせている写真が3枚めと4枚め。

 Eggstarとレールバスの走行 *MOVIE in YouTube*


拡張線路工事

 昨年、トンネルポータルのレンガ工事をしているときに、「逆からトンネルに入る路線がありかも」と考えた線路配置です。今年か来年にしようと考えていましたが、新しい線路を購入し、思い切って工事を始めました。5月から6月にかけて、メインラインを不通にして1カ月ほどかかりました。

 まず、トンネルに入る側にあった線路を延長し、大回りしてトンネル山の横へ伸ばします。ここは、土地が高く、線路を通すには、かなり地面を掘らないといけません。一番時間がかかった現場です。


 工事を始めたときには、まだ樹の葉も出ていませんが、しだいに緑になってきます。地面を掘るとき、そこに生えていた草は、そのまま別のところへ移植をしました。2枚めの写真にあるように、トンネル山の横を通って、今まで線路がなかった新天地へと伸びます。

 3枚めの写真の辺りでは、土地が低くなり、今度は線路を持ち上げるために土を盛らなくてはなりません。4枚めの写真は、地面を削った切通し区間に、欠伸軽便最大の車両レールカーを通す試験をしているところです。


 次は、その新天地のカーブ。地面から線路が20cmほど高くなるので、土を運んで土手を作りました。ここで、大きくカーブして、トンネルの逆側から入ることになります。実は、トンネルのこちら側が正面なのです(「A&B」の文字もこちら側のトンネルポータルにあります)。例によって、まず線路の下に大きな石を置き、線路の上から土を被せるという工法で、土手を作りました。


 石で持ち上げられた線路の様子が、1枚めの写真でわかります(水準器が写っています)。2枚めでは、その石が隠れるほど土が盛られました。3枚めは、完成したあと、走行試験をしているところです。


 トンネルを出たあとは、線路は長いのですが、掘ったり盛り上げたりという量が少ない平坦な土地なので、比較的楽な工事区間でした。大きなS字カーブで、これまでになかった景観になりました(特に、複数の列車が走る場合には、すれ違いを楽しむこともできます)。4枚めの写真にあるように、一部は、苔の生えた地面を少し掘る必要があり、貴重な苔はすべてガーデニングに活かされました。


 その大きなS字カーブが1枚めの写真です。2枚めは、新たに作られた標識(勾配を示すもの)。さらに、3枚めの写真は、別の箇所。昨年工事を行った新線へ分岐するポイント2機を撤去しました。新線を通るか、旧線を通るかを選択できたわけですが、旧線を廃線としました。

 今回の工事によって、メインラインのエンドレスは460mになりました。もうこれ以上は伸びないと思います。土地や資金の問題ではなく、線路を維持する労力の問題からです。ただ、あまりに長くなったので、どこかでトラブルがあって、立ち往生した車両を退避させるための引込み線は必要かもしれません。それは、また来年以降に考えましょう(自分一人で楽しむ分には無関係なので)。

 新線のS字カーブを走る3両(陸橋の上から撮影) *MOVIE in YouTube*
 新線を走行するプリムス(フリー走行させて撮影) *MOVIE in YouTube*


ストラクチャの建設

 ストラクチャ(構造物)の製作は、昨年からの課題でしたが、なくても支障のないものですから、つい先送りになっていました。まずは、大きなものを作って、気分的な改革をしよう、と考え、風車を作ることにしました。昨年の秋頃から、風力発電の実験をしています。それを応用したものでもありますが、実質的に発電できる電力はごく僅か。LEDを点灯させることしかできません。上の写真は、木工作をしているところ。2枚めに、ダイナモが写っています。自転車のホィールに使われている部品です。構造物は、上から見ると正八角形。高さはおよそ150cmです。実物と同じように、上部だけが向きを変えることができ、風の方角に合わせられます。


 完成して、設置されたところで、駅長たちと記念撮影。羽根は、アルミのアングルと塩ビ板でできています。ややひ弱かもしれません。ダイナモが適度な抵抗になって、さほど速くは回りません。その方が景観的にはグッドです。3枚めの写真には、後部につけた支柱が写っています。これは、実物において、地上部から上部の向きを変えるためのものですが、このミニチュアでは、単なる飾りです。


 次に、風車の横に低層の建物があったらバランスが良いだろう、と想像し、これを作ることにしました。何かはわかりませんが、こういう建物をよくオランダの写真で見かけます。風車は完全な木構造ですが、この建物は、従来の欠伸軽便仕様で、鉄筋モルタル構造です。まず、ベニヤで形を作り、その表面に針金を配してからモルタルを塗る工法です。1枚めが、ベニヤの工作が終わったところ。2枚めが、モルタルを塗ったところ。これに塗装をして完成です。3枚めの写真のように、設置されました。この建物は、全重量が50kgほどあります。風で屋根が飛ばされる心配もありません。


 勢いに乗って、もう1つストラクチャを製作しました。これは2階建ての住宅でしょう。重くならないように、少し小さめ。幅45cm、奥行き30cm、高さは煙突を入れると70cmほどです。

 風車とレールバスの動画 *MOVIE in YouTube*
 レールバスを運転して撮影した風車 *MOVIE in YouTube*


ガーデニング

 これまで、ほとんど手を着けていなかった母屋の北側にレンガを敷き、植栽を施しました。昨年の秋に、弁天ヶ丘線にあった薔薇のアーケードを移設したので、そこから伸びる小径になります。使用したレンガは、500個以上。ほとんど、社長夫人が一人で製作したものです。


 レンガ敷きの小径が完成したあと、その新庭園の奥、風車が設置された近くに、テラスサークルを作ることになりました。レンガタイルやレンガを並べ、固まる砂も使いました。この季節は、ここで食事をしたり、ゲストと話をしたりできます。近くに駅を作っても良いな、と思いました。


駅長と助役

 駅長はこの6月で9歳になりました。ちなみに、助役は2月で3歳になっています。以前よりも今が一番仲が良いというか、どんどん仲良しになっているように見えます。やはり、兄弟なのですね。喧嘩はもちろん、食べ物を取り合うようなこともしませんし、なにかをもらうときも順番を待ちます。


 普段から、庭園内では放し飼いです。散歩から帰ってきても、敷地内に入ったら、すぐにリードを外します。庭園には柵はありませんが、出ていくことはありません。駅長は、いつもデッキにいます。助役は、庭仕事をしている人間について歩きます。


 鉄道に乗せてもらうこともよくあります。助役の方が機会が多いのですが、駅長も乗ります。運転席におすわりして、尻尾が車輪に巻き込まれないように注意しつつ出発です。写真では、いつもエプロンをしていますが、これは食事のときに使うもので、外し忘れてそのままになっているのです。

 助役の鼻トス *MOVIE in YouTube*


最高のシーズン

 7月と8月は、非の打ち所のない最高のシーズンです。爽やかな空気を満喫し、毎日庭園鉄道で楽しみましょう。

 次回の「A&Bレポート」は10月です。落葉掃除をしている頃ですね。

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