MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2010年 7月号


16mm scale Edward Thomas

/☆Go Back☆/
 だんだん暖かくなり、雨が多くなって、知らないうちに梅雨、そしてそれも明けそうです。今年は春先から本当に雨が多かったように思います。植物が茂りますねぇ。

 さて、この3カ月は、欠伸軽便鉄道にとっては激動の期間でした。まさに「大移動」。2月頃からこつこつと荷造りを始めていましたが、4月になってからは工作を一切中止し、とにかくクッション材を大量に消費しつつ、機関車たちを1台ずつ丁寧に箱に詰めました。もちろん、機関車だけではありません、すべてを移動させるために、時間とエネルギィを費やしたのです。

 何度か大きな移動作業がありましたが、だいたい6月中旬から7月上旬にかけて「大移動」が行われました。準備をした甲斐あって、トラブルはまったくなく、予定どおりにすべてが終わり、ほっとしています。

 というわけで、弁天ヶ丘線のレポートは、本レポートの前半で最後となり、後半からは、新線でのレポートになります。どんな名前になったのか発表しましょう。

 欠伸軽便鉄道梵天坂線 Akubi Lightweight Railway Bontenzaka Short Line

はい、このようになりましたので、引き続き、A&Bレポートのまま、車両のレタリングもそのまま、なにも変化なく続けさせていただきます。世間に波風を立てることのないよう、これからも精進いたします。

 A&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。より詳細な情報は、毎日アップされている欠伸軽便のブログ(Construction in Waterloo)をご覧下さい。それ以前の掲示板は現在は書き込みはできません。しばらくは閲覧のみ可能です。

 本レポートの写真は、クリックすることで大きなものを見ることができます(ポップアップしたウィンドウはご自分で閉じて下さい)。
 動画はYouTubeを利用しています(こちらが欠伸軽便のチャンネル)。
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『庭園鉄道趣味』と『庭煙鉄道趣味』

 2008年と2009年に発行された『庭園鉄道趣味』『庭煙鉄道趣味』です。今後、庭園鉄道関係の出版は予定していません。この2冊が最後です。このようなご案内も、もう今回で終わりにしたいと思います。


弁天ヶ丘線最後の業務

 弁天ヶ丘線の最後の運行は5/8でした。この日に、雑誌「ソトコト」が取材に来たからです。ライブスチームは出さず、AB20とDB81の列車が運行。天気に恵まれ、綺麗な写真が撮れました(「ソトコト」では鉄道ではなく庭の特集です)。駅長も(写真の)モデルになりました。


 今年は雨が多く、庭園の植物はよく育っています。放っておいてもすくすく成長、花を沢山咲かせました。しかし、この風景も今回が見納め。写真の1枚めにあるレンガサークルの中央にあったビーナスの水飲み場、3枚めにあるポイント転轍機、そしてモルタル製の工場などは、すべて新線で再利用されます。

 10年かけて庭を造りましたが、鉄道もそろそろ飽和状態でしたので、また一からやり直すことができて、わくわくします。暑くなるまえに、涼しい新天地へ移動することになり、夏に弱い駅長も大喜びのはずです。


線路撤収作業

 取材の翌日から線路の撤去作業が始まりました。すべて一人でやるわけですから、毎日本当に少しずつです。ジョイントを分解し、外した線路を貨車に載せて運びます。重い荷物を運ぶのには、本当に鉄道は便利です。一家に一線あると大変重宝するでしょう。

 この任務に当たったのは、弁天ヶ丘線の古参、2号機のAB10です。線路は長いものは2m以上あります。直線は良いのですが、カーブは運ぶのが難しく、周囲にぶつからないよう、注意が必要です。写真の2枚めに写っているガレージ前が外した線路の集積所になりました。作業は10日間ほどで終了。ほとんどの線路は固定されていませんので、ジョイントを外せば、すぐに持ち上がりますが、石畳併用軌道や踏切など、線路がモルタルで固定されている箇所もありますので、すべてを撤去したわけではありません。屋外では、80mほどを取り外し、全体では110mほどを再利用することになりました。


 集められた線路は、写真のように数本ずつナイロンバンドで束ねて、運搬しやすいように準備しました(結束作業は友人に手伝ってもらいました)。これらの線路だけでも、1トンくらいの小型トラックならばいっぱいになる量です。

 写真の最後は、線路を撤去したあとの森の様子。この時期は落ち葉が多いのです。右手には45mmと32mmのエンドレス線が見えますが、ここも線路は取り外しました。弁天ヶ丘線とは、これでお別れです。


小さい機関車

 イギリスのCatatonkの製品です。2台のShayと小さなHeislerを既に入手しましたが、Catatonkでもう1台欲しい機関車がこれでした。ついに手に入れることができました。小型のClimaxです。杉山模型でHOeになっている機関車ですね。大変好みの一台。ウェザリングも利いているし、前オーナによって小物がいろいろ取り付けられています。

 Catatonkですから、きっと走りも素晴らしいと想像します。ただ、写真でもわかるとおり、エンドレス線は既に撤去されていて、走らせることができませんでした。早く、45mmや32mmの線路も敷かなくてはなりません(この機関車は45mmゲージです)。


 こちらも、長年欲しい欲しいと探していた一台。16mmスケール(約19分の1、32mmゲージ)のEdward Thomasです。中古品ですが、イギリスで星野氏が見つけて下さったもの。実車は、 Talyllyn Railwayの人気者ですが、これまで、赤か緑の塗装がよく写真で見られます。このモデルのような空色は、たぶんなかったはず。ただ、イギリスの模型雑誌で、まさにこの色のEdward Thomasを見たことがあり、そのときに「これは欲しいな」と思ったのです。もしかして、その写真のモデルそのものがこれだったかもしれませんね。

 くたびれた感じが程良く、大変好ましいモデルです。特に、ロッド周りが素晴らしいのと、ラジコン2ch装備なのに、この小型にもかかわらず、キャブに2人の人形が乗るスペースがあります(写真のフィギュアは、Busy Bodiesのもので、機関車の付属品ではありません)。ガス焚き、水面計こそありませんが、圧力計や圧力下の給水が可能なチェックバルブを備えています。受信機とサ−ボは左右のコールバンカに、またバッテリィはサドルタンクに収まっています。ブレーキハンドルがガスのレギュレータになっているのもお洒落です。これも、線路がないので、まだ走らせていません。走行が楽しみです。


 1枚めは、FallerのE-trainシリーズのレールバス。前が3軸、後ろが2軸のボギィという変わり種ですが、これは同シリーズのCタンク(SLとDLがあります)の動力ユニットを利用しているためです。16mmスケールで、32mmゲージを走りますが、線路やポイント、踏切、信号まで、すべてが揃ったシリーズです。Egger Bahnと、Biller Bahnと、Magic Trainと、このE-trainシリーズは、ナローで押さえておきたい四天王です(勝手に決めている)。

 2枚めは、ゼンマイのスイスの電気機関車で、Oゲージです。見たところ電動に見えるほど凝った作りですね。スタイルが好みだったので入手しました。珍しいと思います(買ったことがではなく、モデルが)。

 3枚めは、ドイツのRegner社の新製品。例のEasy Lineのシリーズで、縦型ボイラと1気筒首振りエンジンを組み合わせた機関車。屋根は紙かスチレンボードみたいなものでできています。ウサギが乗っていますが、これは付属品ではありません。ガス焚きの45mmゲージ。在りし日のポーチサイド線で撮影だけしました。未走行です。


ジャイロモノレール

 ジャイロモノレールに関しては、引越で工作がストップしていたので、なにも進んでいませんが、この3カ月の間に、数々の進展がありました。

 1枚めの写真は、「鉄道模型趣味」誌の8月号(7月20日頃発売)に掲載される「シンプルなジャイロモノレールの作り方」という記事のための図面で、平岡幸三氏に描いていただいたもの(のコピィ)です。もの凄いいい加減なスケッチをお送りし、また各部の寸法をすべてお知らせしたところ、このような図面が出来上がってきました。雑誌に掲載される図は、原図を50%に縮小したもので、気がつく人は少ないと思いますが、ギアの歯まで省略することなく描かれています。それもCADではなく、ドラフタとロットリングで手描きされた図なのですから、本当に感動するばかりです。2枚めの写真は、新書斎のテーブルにのった9号機。充電器が箱から出てこないので、まだ走らせていません。

 American Unirail Inc.の副代表のJames Roberts氏から、問い合わせがありました。アメリカで60年代にジャイロモノレールを普及させようとしたLouis Swinneyが設立した組織です。Swinneyのジャイロモノレールは、傾きをセンサで感知して、バランスウェイトを左右にシフトさせる装置が付加されており、Dynamic Gyro monorailと呼ばれていました。自動車にも応用されたようです。これは、突然の偏心荷重には有効だったと思います。


 この写真は、井上昭雄氏が購入された古いブリキのおもちゃです。イギリスのBrennanのジャイロモノレールの実物の特徴をよく捉えています。構造は簡単で、ゼンマイで弾み車を回し、一輪のみでバランスを取りながらレール上を走ります。写真の奥に写っているのは、地球ゴマの一種で名古屋のタイガー商会が販売している競馬ゴマを井上氏が改造されたもの。両者の仕組みはほぼ同じです。そもそも1910年頃にBrennanのジャイロモノレールが出展されたのは英日博覧会でした。ですから、日本でも大きく新聞報道され、Brennanのインタビューまで掲載されていたのです。したがって、おもちゃの分野でも、イギリスから日本へこの当時になにか情報伝達があったのかもしれません。タイガー商会は1921年の創業なので、可能性はあります。井上氏は、この辺りの歴史をさらに調査されるそうです。

 その井上氏が製作されたジャイロモノレールの写真が2枚め。当社の7号機の製作記事を参考にされているので、各部の寸法やモータなどはほぼ同じですが、シャーシも金属製でとても立派に見えます(というよりも、オリジナルが明らかにみすぼらしい)。調整をされて、自立するところまでいったようです。このあとボディを仕上げて、JAMコンベンションに出品されるそうです。もの凄く楽しみですね。

 このほかにも、ジャイロ、あるいはジャイロモノレールを製作された方がいらっしゃいます。

 イギリスのPeter Healey氏は、ツインジャイロを試作し、スタビライザとしての性能を確認しています。こちらのサイトに詳しい説明があり、動画も見ることができます。彼のジャイロでは、バランシングスイッチの代わりに、ポテンションメータが使われ、その出力をマイコンで処理し、サーボモータを制御しています。この方式は、ON/OFFだけでなく、微妙なコントロールが可能なので、将来性があると思います。いずれはみんなが採用する方式でしょう。

  Mukashitombo氏は、サーボモータを使用しない簡易な方式でシングルジャイロによるモノレールを完成させました。これは、ジンバルの角速度を、粘性体を介したパーツ(カセットデッキの蓋に使われているものでしょうか)でトルクとして伝え、ゴムのガードを動かし、回転するジャイロの軸にこすりつける方式です。これと同じ方法を、欠伸軽便でも試しましたが、そのときはサーボモータを使ってガードを動かしていました。機械的に直接動かすことでアソビがなくなり、非常に安定した制御が可能になった様子が、こちらのサイトで見られます。

 4月にスペシャルオープンディで、小池令之氏に、ジャイロモノレールの製作を託しましたが、やはり期待に応えていただけました。こちらのページこちらのページに、詳しい記事が公開されています。小池氏は、垂直回転のジャイロをタンデムに搭載する配置にチャレンジされ、そのツインジャイロは、クラウンギアを使ってリンケージされています。このリンケージ部分にサーボモータを組み込み、さらにそのサ−ボモータからはクラッチを介して力が伝動される仕組みで、モータの負担を軽減しています。ツインジャイロですので、エンドレストラックの走行にも既に成功されています。こちらも、JAMコンベンションで実物が展示されることでしょう。

 ジャイロモノレールは機械的に調整が微妙なうえ、電池の充電条件にも大きく影響を受けますので、コンディションを維持することが難しいと思います。コンベンションで実演するにしても、いつでもスイッチを入れれば走るというわけにはいきません(充電にも時間がかかります)。ですから、井上氏や小池氏のジャイロモノレール(おそらく、欠伸軽便の試作機よりもずっと高性能でしょう)が展示されることは、この技術が「嘘じゃなかった」証明にもなり、本当に嬉しいことですし、肩の荷が下りて、ほっとしています。


搬入作業

 上の写真が、新しいガレージに5インチの機関車を運び入れたところです。


新ホビィルーム&新工作室

 新しいホビィルームは、壁をすべて棚にして、Gゲージサイズのライブスチームを飾ることにしました。既に、200台近く所有しているので、全部を展示することはできませんが、それでも7割くらいは棚に入れられると思います。

 この棚は、奥行を20cmにしました。高さは25cmです(一部は27cm)。前面は5mm厚のアクリルで、上下のレールに挟まれています。このアクリルは横にスライドさせて外します。棚が横に4列連続しているところでは、その4列のアクリルを横にスライドさせます。白くしたのは、機関車が黒いからです。

 4枚めの写真は新しい工作室です。旋盤とボール盤が壁際に設置され、自作の工作台は、部屋の中央に置き、周囲を歩けるようにしました。今回は、工作室にも床暖房を入れたので、冬でも暖かい部屋で工作が楽しめると期待しています。工具や材料は、箱に詰めて運び入れましたが、これらが完全に荷解きされ、工作室としての機能を回復するにはしばらく時間がかかることでしょう。


新線の工事

 爽やかな晴天のときは、外に出て作業がしたくなります。とりあえず、線路を並べるだけですが置いてみました。どのように線路を敷くのか、その配置などはまったく白紙です。図面などは引かず、現場で考えながら工事を進めていく予定です。

 駅長はすっかりこの土地に慣れたようです。どこでも自由に歩き回っています。涼しいから、助かりましたね。


 土が見えているのは、家を建てるための基礎工事で出た土を、周囲にならしたからです。1年後にはきっと草で覆われているでしょう。ガレージのドアから出た線路をどんどん伸ばしていきます。弁天ヶ丘線から持ってきた線路では全然足りません。200mくらいは新調することになるでしょう。しかし、とりあえず、小さくても良いので、エンドレスが欲しいところです。


駅長

 駅長は涼しい気候にご機嫌です。特に湿度が低いためか、毛がさらさらで、膨らんでいます。赤い帽子を被っていますが、耳を出せるようになっている犬専用のもの。場所はデッキです。2枚めの写真は、庭園内の線路が通る候補地を視察中の駅長。この写真にあるような雑草が、すぐに全域を埋め尽くすことになるでしょう。パワーのある草刈り機が必要になるかもしれませんね。

 今回は動画がありませんでした(機関車を走らせていないからですが)。駅長の訓練中の動画を1つだけリンクしておきます。しかし、今回のレポートは鉄道の話題が少なかったですね。

*MOVIE in YouTube*

 次回も今までどおり「A&Bレポート」です。お楽しみに……。

/☆Go Back☆/