MORI Hiroshi's Floating Factory Model Railroad Workshop
A&B Report 2009年 10月号


No.24 loco Alice

/☆Go Back☆/
 清々しい季節になりました。庭園鉄道にうってつけのシーズン到来です。  弁天ヶ丘線の工事がいちおう終了し(つまりほぼ完成し)、A&Bレポートは3カ月に1度、つまり季刊になりました。今回がその2回め、2009年10月号です(「秋号」になるのかもしれませんね)。この3カ月の間に、東京でイベントがありましたし、新しい蒸気機関車がイギリスから届きました。それから、とても大きな決断もありました。

 A&Bレポートでは、記録的な意味で主なニュースのみを取り上げています。詳細な記事は、毎日アップされている欠伸軽便の掲示板(ほとんどブログです)をご覧下さい(過去2000件はサーバに保存されていますので、1年間ほどは残っています)。本レポートの写真は、クリックすることで大きなものを見ることができます(ポップアップしたウィンドウはご自分で閉じて下さい)。
 前回から、動画はYouTubeを利用しています(こちらが欠伸軽便のインデックスです)。

 機関車製作部トップページから、過去のすべてのレポートを見ることができます。


『庭煙鉄道趣味』発行

 前回予告を書きましたが、おかげさまで予定どおり『庭煙鉄道趣味』を7月末に発行することができました。ピンクのシェイ(20号機)が表紙です。欠伸軽便鉄道としては、これが5冊めの本(株券)になりますが、たぶんこれが最後になるでしょう。株主様のご支援に感謝いたします。


通常業務

 今年は比較的冷夏だったと思いますが、ずいぶん雨の日が長く続きましたね。写真は、ガレージ駅のヤードにあるターンテーブル。ご覧のとおり植物にすっかり覆われています。


 最近は夏でも休みなく運行できるようになりました。石畳併用軌道を走る2号機のAB10は単機で長大貨車とカブースを牽引。19号機のDB81は、17号機Jackと共有しているトレーラとタンク車を牽引して、西庭園のレンガアーチ橋を渡っています。3枚めの写真は、45mmゲージのワントラック・シェイで、とても小さなボックスカーとカブースの編成です。

 AB10を運転している動画を3つ撮りました。いずれも、駅長パスカルが登場します。

*MOVIE in YouTube*
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24号機Alice

 弁天ヶ丘線の24号機となったのは、Maxitrak社のアリス(Alice)です。ハンスレットのオープンキャブ。小型のイギリスナローの典型のひとつ。非常に小さいので、3.5インチゲージの機関車に見えます。しかし、たぶん実物の1/6スケールくらいではないでしょうか。実物がもの凄く小さいわけです。シンプルな装備ですが、ハンドポンプと軸動ポンプを装備しています。安全弁はテコ式のものが2機、キャブ内にあります。非常に滑らかな走行でした。


 頭でっかちの1/6の人形を立たせてみました。実機の小ささがよくわかると思います。2枚めの写真では、いつもLady Madcapに乗っている木製の船長がキャブに立っています。オープンの機関車は、運転士がどうしても必要です。横にあるのは、同じ1/6スケールの飛行機パーパ・カブ(4サイクル2気筒10ccエンジンを搭載)です。ラジコン飛行機も例外なくパイロット人形を乗せます。3枚めの写真は、ポーチサイドのカーブで、信号機と信号所の間を通り抜けていくところです。

 Aliceの走行シーンの動画を撮影しました。乗りながら撮影したのは最後の1つだけで、あとはフリー走行させて撮りました。5インチのライブでフリー走行で撮るのは珍しい、というコメントを海外からいただきました。

*MOVIE in YouTube*
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入線車両

 1枚めの写真は珍しい機関車で、John Burrell製作のOgwenです。45mmゲージのガス焚きです。写真にはありませんが、テンダが付属し、そこにガスタンクと水タンクがあります。非常に凝った塗装で、手作り感のある製品です。オークションで入手しましたが、どうも火を入れた形跡はなく、新品のようでした。たぶん、今でも新品の入手が可能だと思います。

 2枚めは、縦型ボイラ機で、ゲージは32mm、つまり16mmスケールです。製品なのか自作品なのかわかりません。かなり使い込んだ中古品です。これもガス焚き。白と赤の客車は木製で、これもオークションで入手したものです。自作品あるいはキット製作品で、タイプの違ったものが4両あります。


 1枚めは、今はなきMerlinの製品で、GWの1101とありますが、名前は不明。サイドタンクの0-4-0でガス焚き。キャブとサイドタンクとボイラ上部が被さっているだけで、持ち上げるだけで外れます。かなり小型で、ナローではなく1番ゲージかもしれません。

 2枚めは、ボールドウィン風0-4-2タンク。これは、たぶんArgyle Locomotive WorksというオーストラリアのメーカのPhiladelphiaだと思いますが、アメリカの雑誌で一時よく見かけました。リアにラジコンサーボや受信機、バッテリィを装備していましたが、このため後ろが重くなり、第一動輪が浮いてしまうというジャンク品でした。ラジコンは外してフリーで走らせる予定です(最近のメカに交換すれば軽くなるのでラジコンも可能ですが)。もちろんガス焚きです。基本的な部分は、同社のBantamというサドルタンク機に似ています。


 これは新品で購入しました。Accucraft社の新製品で、ドイツのSaxonian IIIK 0-6-2です。注文してから1年近く待ちましたが、期待どおりの素晴らしさでした。実機は、従輪が左右に首を振る動きを利用して、第3動輪もステアリングを切るように線路のカーブに追従させる機構を持っています。三ツ矢先生の本に詳しく載っていますので、ご存知の方が多いでしょう。動輪軸が前後にずれるわけですから、カップリングロッドはどうなるのか、というと、そのために複雑なロッド機構で伝導します。ただ、このモデルはこの機構自体はダミィで、ロッドは動きますが、実際には動輪軸は固定です。走っているときに忙しく動くロッドが大変魅力的です。動画を撮りましたのでご覧下さい。

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JAMコンベンションに出展

 第10回JAM国際鉄道模型コンベンションに欠伸軽便鉄道として出展をしました(8月21〜23日、東京ビッグサイト)。過去に3回出展していて、今回が4回め、2007年に続き2年ぶりになります。だいたいいつも壁際のブースになりますが、これはビデオ放映のスクリーンのスペースを要求しているからです。今回は、小さいライブスチームを30台くらい展示しました。また、エア・コンプレッサを使ってライブスチームを室内で無火運転しました。2枚めは、このイベントのために制作したパンフレットと記念切符です。1000部作りましたが、完配しました(一部を某ファンクラブに寄贈)。また、前回のレポートで予告したとおり、新刊を持ってこられた株主様には記念バッチもプレゼントしました。遠くからいらっしゃった方も多く、大変恐縮です。どうもありがとうございました。

 エアで運転中のワントラック・シェイとダブル・フェアリィの動画を撮りました。

*MOVIE in YouTube*
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 いつも、お隣は井上氏と星野氏のブースですが、今年も例外ではありません。井上氏は自作のライブスチームに新作の5インチのシェイ(写真にはありませんが、10月号のTMSに記事が掲載されています)。そして、星野氏は、アンティークの機関車たち。写真は、入れ替わりで交互に反対方向へ走るゼンマイのトラムと、2階建てで展示されていた、巨大な駅ドームです。


シェイ三昧

 オークションで入手したシェイを修理しましたが、キャブを作り直して、よりナローのフォルムにしてみました。走り関係で作り直したのは給油機だけです。電池を後部に載せてヘッドライトも付けました。元になった機関車は、製品としてアメリカでは出回っているもののようですが、エンジン部とボイラはマモッドの機関車のパーツが使われ、燃料は固形で、炙り式です。フレームはハンダづけで作られ、非常に貧弱なもの。マイナな手作り製品でしょうか。実は、もう1機同じ機関車をやはりオークションで落札しました。


 こちらもオークションで入手した中古品で、2シリンダのT型ボイラ。キャブは屋根だけの良い雰囲気です。メーカはわかりませんが、かなりハイレベルな工作で、ディテールも凄いです。ゲージは32mmです。なんといっても凄いのは、石炭焚きであること。点検をしたあと、火を入れてみようと思いますが、時間がなく、まだ走らせていません。


 Catatonk社の機関車は、今や伝説的な存在です。昔の雑誌にはときどき出てきますが、もう新品を購入することはできません。中古品をずっと探していましたが、この夏はラッキィなことに、シェイとハイスラがほぼ同時に手に入りました。まずは、シェイ。これは、Catatonkのシェイでは大型の方(本当は小型の方が一番欲しい!)。全体の塗装も見事ですが、ディテールも、もうこれでもかという凝った作りです。とてもライブスチームには見えないでしょう。走らせるのが惜しい機関車です(走らせますけど)。ガス焚きです。

 走行させたところ、エンジンが非常に静かに回り、低速で安定していました。

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念願のハイスラ

 Catatonk社のハイスラです。ハイスラとしては最も小型の部類の機関車ですね。この機関車もいかにもCatatonkという作りで、素晴らしい出来映えです。ギアードロコでは、ハイスラだけライブスチームを持っていなかったので、その意味でも記念すべき1台になりました。


 シェイに比べると、こちらはかなり走らせた形跡がありましたので、逆に汚すことに抵抗がなく、気楽に火を入れました。後部に水とガスのタンクがあります。火を点けると、バーナの音がとても静かで驚きました。走行音はいかにもギアードロコという感じで、とても軽快に走りました。キャブの後ろからゴムパイプが伸びていますが、これは汽笛を鳴らすためのハンドルです。

 ハイスラの動画を2つ撮りました。

*MOVIE in YouTube*
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木曽ボールドウィンB1タンク

 さて、ギアードロコ以外では、この機関車が大好きです。そう、木曽森林鉄道のボールドウィンB1リアタンクです。HOスケールやOスケールで10台近く持っているはず(乗工社、サンゴ模型、エンドウ、カワイのものです)。写真は、サンゴのキットを組んだもので、Oスケール(ゲージは16.5mmなのでOn30です)。煙突の形が前期、中期、後期で違うのですが、これは中期です。


 アスターから、このボールドウィンのB1タンクが発売されました。後期型です。かなりまえに、同じタイプの機関車が同社から出ていましたが、それは木曽森林タイプではなく、ボールドウィンの元タイプというのでしょうか、後部がオープンになったキャブのものでした。機関車のデザインとしては、バランス的にこちらの方が優れている(木曽型は明らかにテール・へビィ)と感じますが、なにしろ、ナローではバランスが悪い方が人気が高くなるのです。今回、木曽森林のタイプが新設計で発売になりましたので、発売まえから予約していました。アスターが日本のナローゲージのスケールモデルを出すのは、もしかして初めてなのでは? 日本型ナローのライブスチームが、このサイズでもっと沢山製品になってほしいものです。

 さて、驚いたのは、1枚めの写真にあるように軸動ポンプを装備していること。この大きさの機関車では大変珍しいと思います。2枚めが、昔の製品と並べたところ。ボイラ(というよりも火室)が新しく、パーツもシャープさを増していました。ディテールもとても凝っていて、この値段で買える機関車としては、世界でもまちがいなくトップクラスです(ただし、凝りすぎているので、初心者向きではないかも)。走らせてみましたが、大変好調でした。アルコール焚きです。

 ボールドウィンの走行シーンの動画を撮りました。

*MOVIE in YouTube*


 岡崎の横田氏が設計された5インチゲージの木曽ボールドウィンを製作することになりました。横田機については、過去のA&Bレポートでもご紹介していますし、スペシャル・オープンディで弁天ヶ丘線を走行したこともあります。既に何人かの方が同機の製作に挑戦され、完成した機関車も何台かあるようです。先日、機械工作済みのシリンダブロック、そして動輪の鋳物、(何故かここだけ完成している)煙突、そして、レーザカットされたフレーム他、多数のパーツが届きました。横田氏のメモのほか、同機を製作した杉浦氏が描かれた図面も何枚かいただいていますが、製品ではないので工作手順も決まっていないし、全体図面などもありません。これから集めなければならないパーツや材料も多数。製作にはたぶん2、3年はかかりそうです(まだ、手をつけていません)。しかし、大変楽しみです。


新プロジェクト始動!

 最後に重大なご報告を。欠伸軽便鉄道は、弁天ヶ丘線がほぼ完成したため、次なるプロジェクトを始動することになりました。具体的には、5インチゲージの新線建設がメインですが、もちろん45mmや32mmの新線も作りますし、さらには、5インチよりも大きなゲージもやってみようかな、と少し考えています。既に用地は決定しており、弁天ヶ丘線よりも大きな規模になります。実際の工事は来年から始める予定です。いずれ報告があるかと。


/☆Go Back☆/