日々是好日・身辺雑記 2007年4月
(下にいくほど日付は前になります)

 
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4月某日「黄色いランドセル」

桜が咲いて、散って、小学校1年の子供たちのランドセルに黄色い交通
安全のカバー、黄色い交通安全帽子で、てこてこ歩いてゆく。
ここで私はふっと思い出すのだ。
私は「女番長」だった、と。

K子ちゃんは、私たち家族の住むおんぼろ団地の、下の階の子供だった。
小学校までは低学年の子供の足で歩いて10分、高学年なら5分である。
まるで昔のハモニカ長屋のような、お金はないけれど仲良しな生活。
年のはなれた私の兄はもう中学生だった。 だから小学校入学したばかり
の子供たちを連れて登校するのは私の役目。

K子ちゃんは発育未発達な子供だった。
知能も、言語も(アーとかウーしか言えない)、歩行にも障害があり、
今だったら特殊学級か養護学校の学童だったろう。
私は5年生で、「学校週番」はあるは(朝の朝礼でマイク前にして全校
生徒にしゃべらにゃならぬ)、クラブ活動はあるはで結構忙しかったの
だが、K子ちゃんのご両親は普通学級への入学を選んだのだ、毎朝早く
に迎えに行き、ゆっくり、よちよちと歩く彼女と手をつないで。
「K子ちゃん、もうすぐ学校だよ、ハイ、1、2、1、2!」
と励ましながら、それでも間に合いそうにないときは自分のランドセル
をうしろ前に掛けて、K子ちゃんをおんぶして、走った。

なにしろK子ちゃんは自分が1年何組だかも分からない、下駄箱の自分
の上履きがどこにあるかも分からない子なのだ。 
上履きを履くのを手伝い、クラスまで手を引いてゆっくり歩き、
「みんなオハヨー! K子ちゃん、おはようは?」
「・・・オ、オアオォ〜。」
で、机の上を整えて(1時間目がどの教科書かも分からないのだ)
「みんな、今日もK子ちゃんと仲良くしてねー!」
「はーい!!」
ここまでが私の役目だった。

が、小学校も3〜4年の連中ともなれば「ちゃっこいヤツ」もいるんで
ある。(「ちゃっこい」というのは江戸弁で、先生の前ではうまくポイ
ントを稼ぎ、ウラでは何やっているんだか、「小ずる賢い卑怯なヤツ」
のことです。)
校庭をよちよち歩いているK子ちゃんの足先にヒョイッと足を出して
転ばせようとしたり、すれ違いざまに小突いたり、ひどい言葉でいじめ
るヤツらがいて、私は自分のランドセルの金具がしっかりはまっている
ことを確かめてから、それをぶんぶん振り回して、ちゃっこい連中をぶっ
とばしていた。

「文句があるなら5年1組の
スギウラん所に来〜いっっっ!!!!」

守るべき者がいると、人間、人格が変わるもんである。

私は、それまで人に手すらあげられない「優等生のいい子ちゃん」だっ
たけれども、K子ちゃんを守るために、番長になった。
まず吊し上げられたのは上の学年6年生で、ささいなことで教室に呼
び出された。 が、なんとか全員の前で話術でかわした。
次は5年、同級生の男の子の言葉の暴力&無視攻撃で、(メンツが立た
なかったんだろうな、6年生でも男子でもないヤツが番長だなんて。)
これは本当にボディ・ブローのようにこたえた。

一度だけ、陰で泣いた。 が、次の日になればやっぱりK子ちゃんの
手を引いて、笑って登校した。 朝はにっこり笑うためにあるのだから。 
それを信じなければ、ひたすら自分自身に言い聞かせなければ。
人より5〜6倍感受性の強い(医師・談)子供なのに、よく耐えたもんだ。

「K子ちゃん、学校行こう!」
は6ヶ月で終わった。 社宅に空きが出たそうで、K子ちゃん一家は
引越していったのだ。 同時に私の「番長生活」も終わった。
以前のように、のんびりほわほわの毎日がやってきて、夢みたい。
だが、「番長だったこと」は、私の心の中で静かに生き続けている。
大勢の前で恥をかかされ、無視され、どなられ、小突かれ続けた、
必死でランドセルを振り回していた、弱〜い、弱い、
女番長だったほんの6ヶ月。

私の心の中に、ちっちゃな、ちっちゃなK子ちゃんの、手をつないだ
ぬくもりと、「ああ、番長はつらいよ」の小さな吐息が、今も生きている。
おんぶのためにランドセルをうしろ前に背負っていた私、
一生懸命、背中にしがみついていたK子ちゃんの細い体、
その背中でカタカタ鳴っていた、黄色いカバーの、
1年生のランドセルの音。




「3、2、1バトン!」

とか言ってる間に、あらら4月ですな。 徒歩100メートルで県境とは
いえ、一応東京都民の我が家にとっては週末は「都知事選」でした。
ああ、どこへ行ったの「東郷健さん」〜ッ!
(検索かけてみなされ! この人の存在感は、かつて「政見放送には放送
禁止用語
が適応されない」というルールの元、「ワタクシはオカマです!」
から始まって名調子、今回立候補したビョンビョンシューズのドクター中
松なんか目じゃないほどTV瞬間最大視聴率高かったのですよ〜!
子供心に「おとなになったらこの『いっしょうけんめいな男のおばさん』
にとうひょうするんだい!」と誓っておりました。 ・・・オイッ

・・・・はともあれ「年度初め」新入学、進級、新社会人その他、新スタ
ートのみなさま、おめでとうございます。
とかいってもう10日ばかり過ぎておりますが〜・・・(遅っ!)
私はここ10日ばかり本格的に体調崩して昼夜逆転、病気だから不健康な
のか、不健康だから病気なのか分からん生活を送っておりました。
・・・が、な、なな、なななんとか復活?しました。

その間に、おお、「藤井プロジェクト」こと「藤屋」の、藤井雅之姉さん
からバトンが回って来たのですよ!
てな、長い前ふりで参ります、題して「3、2、1バトン!」
(○○のところに言葉を3つ入れるのだそうです、はいスタート!)

1・ときめく○○な人(3名)
ときめく「太陽」な人で、
・「真っ赤な太陽」美空ひばり
・「涙の太陽」安西マリア(エミー・ジャクソン)
・「太陽野郎」バニーズ(岩谷時子作詞のグループサウンズですぜ!)

2・嫌いな○○(3つ)
・「蜂の子の佃煮」はOKなのに、昆虫の「サナギ」は触るの苦手
・毛虫さん
・ボ○○恐怖症です(原因不明なので治しようがナイ〜・涙)

3・お金をかけられる○○(3つ)
・本(漫画、文字、絵本、パンフ、新刊・古書問わず)
・画材
・CD・DVD(「三波春夫大全集」とか「寺内貫太郎一家」とか・・・
 お年がバレるざんす。)

4・好きな○○(3つ)
えーと、「好きな文庫本」3冊、
・「西条秀樹のおかげです」(森奈津子・ハヤカワ)
・「父の詫び状」(向田邦子・文春)
・「アダムよおまえはどこにいた」(ハインリヒ ベル・講談・残念絶版

5・今欲しいもの(3つ)
・健康
・時間
・おいしい醤油ラーメン(いや、なんだか急に小腹が空いてきてねー)

6・バトンを回す(3人)
・一応ここで小休止ということで、拾いたい方はご自由にどうぞ!!

7・てなわけで「6の『(次の人)3人を色で例えると』」は藤姉さんね。
・沖縄・首里城の色「青空赤朱!」。 カンナの色ですね〜。

8・さあ、ここからが難しい!
 「この言葉を使って短文を作れ」なのでございます。

「近づきたいから」
・・・近づきたいから相手がこちらに背中を向けたスキを狙う。

「好きだから」
・・・好きだから背中に飛びついて匂いをかいでぐりぐり頭突きする。

「愛しいから」
・・・愛しいから背中に飛びついて・・・(以下同文)。

「かわいい」
・・・飛びつき甲斐があって、匂い(「香り」ではナイの、あくまでも
  「匂い」なの)のいいヤツってかわいい。

「恥ずかしくて」
・・・過去は恥ずかしさの堆積だからせめて前向きに生きようとガッツ
   ポーズで誓ってはみるのだけれど、ああ、やっぱり今日も恥ずか
   しくて、ふと気が付けば私の1年365日ってオール恥ずかしい
   ことばかりじゃん。
   (註・だから背中に飛びついて・・・以下同文)
   
「もどかしい」
・・・もどかしいから背中に飛びついて・・・以下同文。

・・・・・あーあ、自分の野獣っぷりが暴露されてしまいました〜(笑)。


新年度早々こんなんですが、みなさまよい4月を!




            

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