日々是好日・身辺雑記 2006年9月
(下にいくほど日付は前になります)

 
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9月某日「本日の一句」

以前にもちょっと書いたが、私の一族は歌人である。
ので、母と娘の間でこんな会話が成立する。
「ねえ、『点滴や ぽたりぽたりの 涙かな』と
『点滴や ぽたりぽたりと 涙かな』どっちがいいと思う?」
「そうねえ、『と』だとちょっと客観的過ぎるわね、『の』の方が叙情性があって
いいと思うわ。 でもあなた、それ季語がないから川柳よ。」
「しょうがないわよ、病院は常春の空間だから。」

生きるのって、結構楽しい。




9月某日「本日の悟り」

「サクラ大戦」は「ゲーム界」のビートルズである!
だからビートルズファンがいつまでもリバプールに集うように
私たちはいつまでも「太正浪漫堂」に集うのだ!




九月某日「キンモクセイ3話」

私の住む南関東ではキンモクセイが咲いて散った。
キンモクセイは気短な花で、美しい橙色と良い香りで走りぬけて行ってしまう。

1・N口先輩とキンモクセイ。
あんまりにも香りが良くて美しいので、ペットの手乗りインコに食べさせようと
したら、ぷいっとそっぽを向かれた。
2・トイレの消臭剤が今ほどバリエーション豊かではなかったころ、
近所の子供が
「あ、ママ、トイレの匂いだ!」
と言った。
3・私は天然のくせ毛である。
年とともにだいぶんストレートになってきたのではあるが、20才くらいまでは
前髪のうぶ毛を指にくるくる巻くと、「ベティさんごっこ」ができたし、
学校では「ジミー・ヘンドレックスか、『エロイカより愛を込めてのジェイムズ君
のようだと』笑われていた。 いいの、アルルカンだから(笑)。
(英訳すると「ハーレクィン」ですぜ。)

その人はプロのミュージシャンだった。
「キンモクセイの花が好きだったの、彼女の髪にふりかけようと白いハンカチに
包んで、そーっと学校に持って行ったの(四谷○葉だ)。
そしたら、大好きな彼女が「もう別れましょう』と言ったの。
丸いメガネでくせっ毛で・・・・」
深いため息をついて、私の部屋のベッドの上で、白いうなじをふいっとあげて
「あなたは彼女に似ているわ。」
と言った。
彼女は大ヒットしたゲーム音楽の印税で、いまイギリスにいる。
(検索かけたら出てきてびっくらこいた・笑)
イギリスでもキンモクセイは咲くのだろうか、咲くだろうね。
巻き毛の女の子はいるのだろうか、いるね、外国だもん(笑)。
どこの空の下にいようとも、わたしは同じ空をいまでも見上げている。


余談:朝日に香るはキンモクセイ。
   夜空に香るは沈丁花。



九月某日「雨ニモ負ケ、風ニモ負ケ・・・」

雨ニモ負ケ、風ニモ負ケ、
夏ノ暑サニモ、冬ノ寒サニモ負ケ、
原子力ニテ発電シ、
西ニガキ大将ノ国ガアレバ、
イッテヘラヘラ子分ニシテクレロト言ヒ、
南ニ島ガアレバ、ゴジユウニオ使イクダサイト言ヒ、
北ニ島ガアレバ領土ダカラ返シテクレロト言ヒ、
東ニ赤イ国旗ノ国ガアレバ
パンダナゾモラヒエヘラエヘラシツツ
モミ手ノ下ノオ腹ノソコデハ
サンマノヨウニ腹黒ク
「イイカゲンニシテクレロ」トアカンベシ、
西ニ油ノ出ル国アラバ
行ッテ「援助シテヤルカラ油ヲ売ッテクレロト言ヒ、
砂漠ニ水ヲ捲キニイクツカイノモノニ
「用心ダカラ」ト鉄砲モタセ、
一日ニヤワラカイモノバカリ腹イッパイ食ヒキレヌホド食イ、
コドモガコドモヲ産ミ育テ、
責任トラヌト言ヒ、
イツモエヘラエヘラト笑ヒナガラ、
ドコノ国ニモ愛想フリマイテ
ハヤク国連理事国ニシテクレロト言ヒ、
愛サレモセズ、
アワレミスラ受ケズ、
ドコヘイクノカ遠ヒ東ニプカプカ浮カブ島国ノママ、
明日ノクルノヲ待ッテイル、

サウイフ人ニ、
ワタシハナリタクナイ。

(憑依したのが宮沢賢二先生だったようで・笑)

この詩に関しては著作権はありません。
どこでどのようにでも使ってくださって結構です


抜刀質店・拝


九月某日「二葉亭四迷とマリアの母・立花セツさん」

なんで描くたびにマリアのお母さんはインド洋沖で病死なのかと、自分でも
不思議に思っていました。 が、やっと答が見つかりました。
「朝日新聞社ロシア特派員として渡露し、病気で帰国の途中、インド洋で客死。」
二葉亭四迷の人生の終わりを、なぞっているのですね〜。
いやいや、イイ本は読んどくもんだわさの「坊ちゃんの時代」(双葉社)
関口夏央&え〜と、漫画谷口ジロー。
全5巻。 読んどくもんだは、いい漫画は。
ちなみに今は浦沢直樹&手塚治虫の「プルートゥ」
早く4巻目でないかなー。




九月某日「嗚呼、ダメ大人たちの9/23!」

ってなわけで行って参りました「江戸桜3」!
なんかもう「同窓会ノリ」です、だって左は藤姉さん、右は日下部さんと
御夫君のTough(タフ)さん、2スペースとったのでウチをベースキャンプに
彩月翠さん、正面がカヤキさん、と、なんて配列なんだ!!
これは私らダメ大人軍団に(あ、お若い彩月さんは別として、ね・笑)
「さあ、昼間っから呑め!」と言ってるも同然です。
そしてキッチリそのとおりになりました〜(笑)

さてさて今回は6年ぶりに新刊「赤い花白い花」を上梓するにあたり、
ちょっと「やんちゃ」をかましてしまいました。
以前にも申し上げましたが、私の場合「モノを描く」時はもんのすごい
「絶食症」(拒食症じゃないの)に突入してしまう、という、とんでもねー
悪い?クセがあり、今回の作業では「中野の都こんぶ」を、なんと41箱
食べながら描いていたのです。
(証拠写真・撮影藤姉さん。アリガトゴザイマス。)

で、前日の夕方フッと思いついて、いきなり
「空前絶後・サクラ大戦全部『大凶』おみくじ」なんてものをこさえて
しまいましてね、サクラ「3」も「5」もやってないのに人様のサイト見て、
こじつけ見え見えのバカッタレおまけ、4時間で作ってしまいました〜(笑)。

その間にも真宮寺まくらさんや米田刑事(デカ)長、Kriffさんなどなど、
みなさんすでに『お中元レベル』で来るは来るはの甘い生活、2〜3ヶ月は
米の飯食わないでも生きて行けるな、あたしゃ(笑)。
みなさん、ありがとうございました。
(Kriffさん、「中野の帝都こんぶ」もはや家宝ですぜ!)

さーて、イベント引けたぞ、また会おう「江戸桜4」で!
ってなノリで、いの一番に出た「ナビィとかまど」は予約満杯でダメ。
ってことは、藤姉さんの土地勘を頼りに、いきなりまた来やがったよ、
蒲田のお好み焼き&もんじゃ焼きの「○月」さん。
リピーター&ダメ大人の「真っ昼間っから呑める店」。

「なんで『たいれるさん』を誘わなかったんだ〜!」と非難囂々。
スミマセン。
「いつかやりたいね、たいれるさんを囲む呑み会」(あ、たいれるさん、
怖くないっス、大丈夫です、Tougfさんも殿方ですから〜♪)

藤姉さんとカヤキさんは早くも対戦モードで対面(トイメン)座り。
するすると水のように、ビールが、焼酎が、ゴーヤーサワーが、
もんじゃとお好み焼きとの合間に吸い込まれていくんですもん(笑)。

20年ぶりだわさ、嘉門達夫の「行け!行け!川口 浩!!」を、
Tougfさんと日下部さんとフルコーラスで歌ってしまい、ヤな客だ(笑)。
っていうか、他のお客さんビビるよ、これ(悪)。
「もう来んなっ!」って「風○」のおじちゃんに塩蒔かれるようにして
7時半お開き。 嗚呼、ダメ大人たち。

しかし一番若い彩月さんと、最年長の私やToughさんと、なんでか
話題がつながっちゃうという不思議さ。
なんか彩月さんという「超新星」の誕生に立ち会ってしまったという
この幸福感〜♪な抜刀おばちゃん。

「江戸桜」のスタッフさん、本当にありがとうございました。
「4」を期待してやまない私です。
ただ、マックだとHPの画像乱れて、中に入れないの。
今回は藤姉さんが紙媒体でゲットしてくれたからよいものを、パソコン
一本槍だときっと参加出来なかったと思います。
それだけが残念でなりません。




9月某日「お〜い、ドッコ〜イ!」

すべっても転んでもただでは起きない我が一族。
3連休の間にも、父・発熱40度
ちょっと熱が下がったなと思ったら、今度は
ドッコイが転んで脱臼骨折・即入院
まあ、夏休みも延び延びで9月、それも休暇の初日から休日出勤だった
もんな、ここらでゆっくりしてもらいましょう。
ただ・・・・
「江戸桜3」搬入の運転手が〜っ!
・・・・・こうなりゃ自力で担いでいきます、ハイ。




9月某日メール機能復活!!

パスワードを根気よく何度も入力すれば、なんとかつながると分かりました。
ただ「お返事遅〜いよ。」の場合は、もしかしたらブッ飛んでいる可能性大。
なんとも心弱いハナシですが、ご容赦ください。




9月某日「実況中継・江戸桜3入稿前夜」

「ハイ、〆切まで12時間切りました。
さっそく現地の田中さんとつないでみましょう、田中さ〜ん。」
「ハイ、こちら今回の修羅場、抜刀質店の原稿部屋に来ております。
いや、本来は寝室なのに、いつのまにかパソコン部屋兼用になってしまった、
いわゆる「片付けない症候群」の巣ですね、そこでですね、うわっ!」
「どうしました、田中さん!?」
「な、なんと! 抜刀質店は『画板を引っ張り出すのが面倒』とのことで、
なんとiBook G4本体を机代わりにしております、なんと無精な・・・。」
「墨やミスノンこぼしたらどーなるんでしょうね、3月末の水難、全然
こりていませんね。

「一応墨汁のびんや筆洗は畳の上に置いてありますが、あ、ちょっと、
ちょっとアンタ、このそば猪口は何です!? あ、日本酒だ!!
なんてこった、このオンナ恐ろしいことにこれからちびちびやる気のよう
です! 修羅場に酒持ち込むなんて、なんてヤツでしょう。
あ、ここで本人よりコメントが入りました。
『とてもシラフじゃやってられません〜。』
・・・・・メチャクチャ弱気ですね。」
「ええ、こちらに届いたデータにも『肝っ玉小さすぎ』と記載があります。」
「泣いてますよ、このバカッタレ。」
「きっと老眼のせいでしょう、ほっときゃ自分で目薬さしますよ。」
「なんかブツクサ『なんの因果で〜』ってグチってますよ。」
「んなもん『自業自得じゃ!』って言っておやんなさい。」
「ハイ、では現場より田中がお送りしました〜。」

てな具合で、昨夜は泣きが入っておりました〜(笑)。
今日の12時、無事入稿いたしました。 ふぅ。




9月11日「またぞろメール機能が」

・・・・ブッ壊れました。 この修羅場に〜っ!!
こちらから送信は出来ますが、届いたメールを読むことは出来ません。
23日「江戸桜3」までは過密スケジュールなので、すみませんがお急ぎの
ご用はアナログでお願いいたします。

んっにしてもな〜、なんでこんなに壊れるのかね、こりゃ。(タメ息)




9月某日「原稿用紙を切る」

いやはや、楽しい「桐島誕生祭2006」でありました。
というわけで7日は1日原稿をお休みにして、行って参りました池袋。
太正浪漫堂。 初めてお誕生ボードに、カンナの絵を描かせてもらいました。
「漫画・サクラ大戦」の5巻目も買えたし、「新・青い鳥」のCDも買えたし。
ほとんどサクラ・カンナ派の御用達となっている新宿の沖縄料理屋さんで、
F井姉さんとKヤキさんの「漢(おとこ)呑み対決!」も見られたし(笑)。 
もっとおしゃべりを楽しみたかったんだけど、体調あわせでひとり早退け。
御一緒したみなさん、すみませんでしたゴメンナサイ。
来年こそは必ず!(来年も「祭2007」はあるっ!多分、きっと!・笑)

で、買ってきた「サクラ大戦5巻」を読んだのですが。
政センセイ、マリアはきっとお茶を飲むとき「ズッ」と音はたてないと
思います。 んでもって、やっぱスゴイ画力だなぁ〜・・・・

一瞬自分が今描いているのを破りたくなっちゃいました。
「自分にとっての最全力」だとしてもね、なんせ恐怖の消しゴムかけ最中、
ああ、あそこのコマも、ここも、もうあちこち「没」のバッテンつけたい。

で、ついに切り貼り(前のコマを切って新しいコマと差し替える)登場。
もー、自分でもどうしても納得いかないので。
「んなことやってる場合じゃないでしょうッ!」
なんだけどね、ど〜してもね。

思い出すのは、友人の漫画家が北海道から上京して旅館詰めになった、
若い頃のこと。 弟さんが交通事故で、あわや原稿オチ寸前だった。
某誌で長いこと連載していた人気バスケット漫画の、あの作者のことさ。

東京勢で入れ替わり立ち替わりアシスタントが入って、修羅場だった。
最後の最後、私は(一応チーフの役割だったので)言わざるを得なかった。
「タチアナ(あだ名)、あと2時間だ。 こうなったら原稿用紙切ろう。」
1枚の原稿用紙を3枚に切って、それぞれアシスタントが座卓の上に
右から左から腕を伸ばして、トーン貼りやらベタ塗りやらゴムかけやら、
もんのすごい状況。 で、貼り合わせて、間に合った。
しかし、チーフとして作者に
「切ろう」
と言うのは辛かったし、言われる方はもっと辛かったろう。

「K」という、漫画家専門の「館詰め専門旅館」はまだ健在だろうか。
「お隣は?」
「あ、アタシさっきアシさんとお手洗いで一緒になったわ。
『○冊マーガレット』読み切り作品ですって。」
「下の洋間は?」
「K談社の、どうやら『月刊○ガジン連載』らしいよー。」
「うわぁ〜、いずこも大変だあ」

ウチも今大変である(笑)。




9月某日「消しゴム引き算」

「赤い花白い花」上下巻全48ページ、消しゴムかけの最中である。
というと、単純作業で楽っぽいのだが、しかしその実態はとんでもなく
ごちゃごちゃしたものなのだ。
なによりも鉛筆線が消えて「画面がスカスカ」になる。
ペン入れの最中に「完成画面のボリューム」は充分計算しているはずなのだが。
スカスカになっちゃうものはなっちゃうんである。 線の入れ忘れもあるし。
で、たとえば細すぎた1本の線をそのまま太くするだけならばいいのだが、
ここで次の「トーン貼り」という「足し算」を考えて、線に強弱を、全体の
ポイントを押さえて、陰影を付けてゆくのがこの「消しゴムかけ=引き算」が
ただの「引き算」じゃなく実は軌道修正のアクセル・ブレーキのかけ方を
自分に問いかけてくる「難問」なのだ。 あぅぅ。

あんまりにも線がおそまつで、ふとんの上でジタバタ転がり廻ってっている。
・・・・・・・
・・・・・
・・・
その姿は、「八景島シーパラダイスの白イルカのショウ」に似ている。

イルカさんの方が生産的でよろしい、あたしゃ何の得にもなりゃせん(いや、
出れば出ただけ赤字な『道楽』なのだ・当たり前)おまけに本当に何年も
ペンを握っていなかったツケはしっかりサビのように蓄積していて、
いまから3ヶ月時間がタイムスリップして後戻りするんだったら
「すいません、じゃ、1ページ目からってことで〜。」
と書き直したいくらいだわさ。

ジタバタしていてもらちが明かないので、こここ、ここ、こ、このまま先へ。
明日は桐島カンナちゃんの誕生日だしなっ!
気合いいれて、いこう。




9月某日「ゴミ箱の前で」

父の入院している病院は、市内とはいええらい山の中で、バスなんて
1時間に一本である。 隣接している別の市からのアクセスは良いらしい
のだが。 隣の建物は入所金1億円の高級有料老人ホームである。
(一生縁がないね、あたしらにゃ)

病院の玄関横にある売店は5時半ぐらいにシャッターを下ろしてしまうので、
ゴミ箱ばかりが並んでいる。 ペットボトル・ビン・カン・燃やせるゴミ。
・・・・の前でじっとそれを見ていたのは、4〜5才くらいの女の子。
親と、誰かのお見舞いに来て、これから帰るところの様子。
どうやら最近ひらがなとカタカナが読めるようになったらしく、漢字は
まだらしい。 ので、くるりと振り向いて
お母さーん、『やせるゴミ』だってさー!!

ドカドカドカっと「お母さん」走って登場、これがまたもう絵に描いた
ような重量級、巨匠・橋本治氏によるところの
「雪ダルマが酔っぱらって顔赤くして『相撲甚句』を歌っているような」
風情なんである。
娘を小脇に抱きかかえ、ドドドっと退場。
だってお母さん、やせるゴミだってさ〜♪」

こまかい視線で見渡せば、世界にはドラマが満ちあふれている。




9月某日「9/1夜・やっとメール機能復活しました!

しかしまー、ウチのメール箱はどういうわけか非常に気まぐれなのである。
「メールしたけどお返事まだですよー。」という方は、ご連絡下さい。

ホントね、こーゆーモンは便利すぎて、足元が弱い。
困ったもんである電脳化。

「赤い花白い花」カリカリとペン入れ、全48ページ、残り2ページ半。
今日中に一気に描きあげてしまいたいのだが、腕と目がダウンで明日に持ち越し。
ことわざの「急いては事をし損じる」じゃないけれども、この作品に関しては
私は今の状態の中で「一番いいコンディション」で描きたいのだ。

明日にはペン入れが終わるだろう、消しゴムかけてベタ塗って、トーン貼って。
このペースなら「江戸桜3」には間に合うと思う。
1999/5月以来本当に久々の、「抜刀質店・新作」。
お楽しみいただければ幸いである。


みなさまよい9月を!

            

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