日々是好日・身辺雑記2001年3月
(下にいくほど日付は前になります)

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3月某日「10カ年計画・その後」
さて、「服は破れるまで着る」があたりまえだった10年を経て、私はようやっと
着道楽が出来る身分になった。 化粧はアレルギーがあるのでちょっと面倒だが、
服にはつぎ込める。 めでたしめでたし。
    
と、いいたいところだが、ここにひとつ大きな障害があった。
私は「ボタン恐怖症」なのである
物心つく頃から泣いて嫌がっていたというからハンパではない。
医師に言わせると「どこかで記憶のつなぎ換えが起こっている。」そうなのだが。
あんまり小さい頃なので本人も覚えていない。
とにかく2つ穴も4つ穴も恐い。 道に落ちていたりすると半径1メートル近づけ
ない。 もう心臓バクバクもんである。 いや、マジで。
意外なことにこれはさほど珍しい症状ではないらしく、イラストレーターの湯村輝
彦さんなぞもそうだと公言している。 もっとも氏の場合は恐怖のひっくり返しで
ダブルどころかトリプルの背広を描いちゃったりするのだが。(見ててコワイ)
    
で、だいたい常日頃Tシャツにジーンズといったラフな格好でふらふらしていたの
だが、先日ついに良い店を見つけた。
扱っている服のほとんどがチャイナ、それも絹地にどんじゃらり〜んの龍の刺繍と
かじゃなくて、フツーの、木綿中心のチャイナ服なんである。
チャイナにはボタンがない。 糸玉で止める。 やったあ!
   
というわけで、私はチャイナな服の人になった。(チャイナドレスじゃないよ)
問題はそこのデザイナーさんが元○ンクハウスの人だそうで、柄が「牛」とか「金
魚」とか「鯉のぼり」とかなことなのだが・・・・楽しいからまあいいか〜。
最近、近所では「髪をウズラ色に染めわけた変なチャイナの人」で通っている。    
       
      

3月某日「10カ年計画」
学校を出てから外で働いていたりしたせいで、デビューが遅い。
で、やっとなんとか今の仕事で食っていけるようになった時に、私はひとつの誓い
を立てた。
「これから10年は頭に投資しよう。その後10年はおしゃれに投資しよう。」
両立出来ないくらい貧乏だったのも情けないが、ともかく私はせっせと本を買った。
根がバカなのであまり頭の投資になったとも思えないが、とにかく本代だけはケチ
らなかった。 ただでさえ狭い部屋はますます狭くなり、8年目にはその狭い空間
に今の相棒が転がり込んできた。
       
そして10年後。
「おしゃれに投資する」どころか、気が付いたら髪振り乱してばーちゃんの介護に
駆け回る身になっていた。
人生「10ヶ年計画」なんぞあまりたてないほうがよろしい。
    
今私は、脳天気なクジラやパンダ柄のチャイナ服や真っ赤な唐子茶碗柄のスカート
なんぞを着てホケホケしている。
     
はっきりいってバカである。        
            

3月某日「梅の花」
ばーちゃんちの庭の白梅が満開です。
    
主のばーちゃんが特別養護老人ホームに移って4ヶ月になります。
「家に帰る」という言葉も聞かれなくなって久しいです。
家のことも、私のことも、自分のことも、もう失われて、戻ってこない記憶。
ホームのことを「生まれ故郷の海沿いの家」と思っているみたいです。
海鳴りは聞こえるのでしょうか。
    
東風吹かばおもいおこせよ梅の花 主なきとて春な忘れそ(道真)
      
     


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