日々是好日・身辺雑記2000年12月
(下にいくほど日付は前になります)

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12月31日「大晦日の書き逃げ」
まだ真っ暗な朝の4時。
アガメムノン王の娘はイフゲニアだったけれど、じゃオイディプス王の娘は、確かふたり
いたよなー、えーと、アンティゴネーと、あとひとりえーと、えーと・・・誰だっけ?
ってなことが気になって眠れない。
で、明かりをつけて、ごそごそとギリシア悲劇の本を引っぱり出してきて、なーんだ、イ
スメーネーじゃん。 思い出した出した。
ここまではよかったんだけれども、今度はマイケル・カコヤニスの映画「トロイアの女達」
に出ていた4人の女優の名前が・・・(なぜ突然そんなことを思い出そうとするんだ?!)
キャサリン・ヘップバーンと、イレーネ・パパスと、バネッサ・レッドグレーヴと〜〜〜
あとひとりがどうしても思い出せなくて、眠れない。
(・・・ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドだったっけ・・・)
なんでそんなことを考え始めたかというと、去年観た宝塚の「螺旋のオルフェ」の構成が
良くなかったからで〜、えーと、ギリシア悲劇の「三部作形式」にみられる「悲劇の螺旋
構造」について考えていたからで、さて、私はいったい何時から目を覚ましていたんだ?
    
こんなことで大晦日の明け方に悶々としているのは、日本中で私くらいなんだろーなー。
                                    
(ため息)
        

12月某日「今は1秒」
新しい年が近づいてきております。
ってことは「今年」はもうすぐ古い年になっちゃうわけで、あたりまえっちゃあたりまえ
なんですが、振り返れば払いたいホコリが山ほど(笑)。
今日だけが明日に続いているわけで、「今日」という日々の連なりの中でやり残したこと
も山〜ほ〜ど〜。 トホホ、みんな自分が悪いんですが〜(笑)。
    
さて、私発見したんですけれどね。(まー、あいかわらずロクでもないことなんですけど)
「今」ってはっきり発声してみてください。 それを連続して5回。
「今、今、今、今、今。」
たぶんお手元の時計では5秒位経っていると思います。
英語で「NOW」。 これもはっきり発声するのに約1秒。
フランス語では「MAINTENANT」、文字数は多いんですが「マィ(ン)テノ(ン)」
と弾むように発声するので、これも1秒です。
スペイン語は「AHORA・アオラ」これも1秒。
他の国の言語は分からないけれど、ともかく「今」っていう概念を
「チャモダラカージャンワプサンフィニーモンコレオロスッキミティアンヘーゲネマー」
なんてふうに長ったらしく単語化している言語民族って、いないと思います。
これは早口で言っても5秒はかかりますぜ。 ためしにチャレンジどーぞ、ハイッ。   
「チャモダラカージャワンプサンフィニーモンコレオロスッキミティアンヘーゲネマー」       
・・・ね、かかったでしょ(笑)。
これじゃ「今すぐ部屋のおもちゃを片づけなさい!」って言ったって、
「今からメシにしよーぜ。」って言ったって、子供は逃げるわ、スープは冷めるわ(笑)。
言っているそばから今じゃなくなっていく「今」は、呼び方も短く今一瞬なんだなあ、と。
      
「今」は「今」。
ほんの瞬きするような時の積み重ね。
21世紀は31億5576万秒分の「今」です。(閏年も入れてね)
さあ、何をしましょう。
働いて、遊んで、楽しんで、愛して。 しんどいことだって、まぁなんとか。
私たちはみんな「今」という1秒を進んでゆきます。
     
21世紀が戦争や飢餓のない、平和な世紀でありますように。
    
というわけで、この雑記も20世紀はこれでおしまい。
読んでくださっているみなさま、21世紀もよろしくお願いします。
          

12月某日「輪転機さま」
やった〜、修羅場明けだーっ!! 
さぁ、眠るぞぉーっ!! 遊ぶぞぉーっ!! 部屋片づけるぞぉーっ(トホホ・・・)
     
というわけで、やっと年末進行クリアです。
で、終ってから2日間で合計32時間眠り倒しました。 脳ミソ溶けそう・・・
やぎ師匠にそのことを話したら、明る〜く
「大丈夫ですよ、2日で48時間を越えなければ。」
とのお言葉。 わしゃ「一週間に十日来い」か〜いっ!(って、古いなこの歌も)
    
毎年来る仕事の3大ヤマ場は「GW進行」「お盆進行」「年末進行」なんですが、これは
某同人イベントとは何の関係もなく、商売で輪転機さまが止まってしまうからであります。
デビュー当時から
「大日本印刷のおじさんたちにもお休みはあるからね」とか
「5台ある大輪転機のうち1台は集○社専用だからね」とか
「1時間輪転機止めたら1000万かかるからね」とか言われ続けた身にとっては、もう
「輪転機さまとお代官さまだけは止めちゃなんねえ」
という思想が骨の髄まで染みついているのでございます。(笑)
来年もこの教えを守りつつ、仕事に励まねば〜。
       


12月某日「相棒の置きみやげ」
先日「川の流れに身をまかせ」を書いたら、相棒がこんなものをくれました。
そしてまたアフリカの猿と亀だらけの島へと旅立っていきました。
さすが我が相棒・・・・(笑)
        

12月某日「花のお茶がひらく」
友人が中国の花のお茶を送ってくれた。
これがなんと楽しいことに「踊るお茶」なんである。
乾燥した形状は直径5ミリ程の丸い玉。 これに熱湯を注ぐとあ〜ら不思議、四方八方
に花びらがホヨホヨと揺れながら伸びて、よい香りと共にお湯の中に可愛い花が咲く。
あんまりおもしろいので急須の前でじーっと覗き込んで待つこと3分。
おいしいお茶の出来上がりである。
    
朝日新聞の12月8日付けの夕刊文化欄で今年の文学界を振り返っているのだが、川本
三郎氏がベスト5の中に「メルヘン誕生・向田邦子をさがして」(高島俊夫・いそっぷ
社)を取り上げているのが嬉しい。
この本はわたしにとって今年の(まだ終っていないけれどたぶん)ナンバーワン。
        
「向田邦子」は好きなエッセイストだが、好きな小説家ではない。
直木賞を受賞している売れっ子作家だったことは確かだが(死後19年、彼女の作品は
いまだに絶版になっていない)ある種奇妙な暗さがつきまとっているように感じていた。
あるいは描かれる「男」たちの存在感の希薄さを。
そして何とはなしにこの人のジェンダーについても、思うところがあった。
それらを全部すんなりと解きほぐしてくれたのが「メルヘン誕生」である。
緻密な分析と実証で、半ば伝説化した「向田邦子」という人とその文章の魅力の秘密を
解き明かしている。
       
頭の中に十数年来あったお茶玉に、注がれる熱いお湯が現れた。
快感。
        

12月某日「川の流れに身をまかせ」
家の目の前をけっこう幅のある川が流れている。
昔は(まだ日本人が公害におおおらか?だったころ)地場産業のスカーフ捺染工場からの
廃液で水がピンクだったり黄色だったりしたもんだが、最近では鮎まで釣れる清流に復活
した。 てなわけで、不良の皆さんが
「簀巻きに巻いて川に浮かべちゃろか〜。」
と言うところを、横浜の不良は
「簀巻きに巻いて川に浮かべて赤やピンクに染めたろーじゃん
とゆー風物詩も最近はとんと見られなくなって残念である。
      
とはいえこの川、鮎も住むけどいろんなもんも浮かぶんである。
サッカーボールに発泡スチロール、工事用赤パイロンに酔っぱらいが放り込んだ自転車、
こんな中でよく住むよなー、鮎。
   
今朝の浮遊物は・・・・
大きさ約1メートル、ほぼ実物大のドラ○もんのぬいぐるみ
      
ドラえ○んどざえもん
                
私にオヤジギャグのネタを提供して、どーしようというのだ、川。
      

12月某日「オフィスに薔薇の花咲く」
いよいよ21世紀まで1ヶ月を切って、心身共にキリリと引き締まる思いの今日この頃、
みなさまにおかれましてはどのとうな世紀末をお過ごしでしょうか?
と、いうような新世紀の未来へ向けての抱負ももーふもへったくれもなく、あいかわらず
ヨタ話しかないサイトであります。
    
友人のKは今は漫画家で元OL、そんな彼女のオフィス時代。
今よりちょっと前だから磁気フロッピー大全盛の頃である。 しかしナゼか壊れる。
どうしたわけか壊れまくる。 データがふっとぶ。 犯人は・・・同僚の小林君(仮名)
であった。 
なんと彼は、本来微弱な体内の磁力が異常に高い「磁石体質人間」だったのである!
「そんな人ってホントにいるの?」
「いたのよ。 もー大変だったわよー。 歩くピップエレキバンよー。」
フロッピーに触るな小林、ディスクに近づくな小林、オフィスに入るな小林〜〜〜〜っ!
       
しかしここで、仮に、である。 あくまでも仮に、よ。
同僚にもう一人「磁力に異常に敏感な体質の内野君」が居たとしようじゃないの。
(「磁石人間」がいるんだから「磁石敏感人間」がいたっておかしかぁないさね。)
でもって、ここは読者サービスとして(どんな読者じゃい?)、小林君も内野君も結構な
美青年だったとしようじゃぁないのっ。
さぁ〜大変だ。 朝会ってビビビ、昼休みにビビビ、会議で隣の席に座ってビビビ、内野
君は訳も分からず感じっぱなしである。
「なぜだろう、小林が側に来ただけでオレ・・・オレはっ・・・・」
謎のトキメキがいつしかヨロメキに変わったとて、なんの不思議があろうか、いや、ない
極めつけは内野君ひとりで残業の巻だぁ。 背広脱いで腕まくりして、露出度高い無防備
な姿。 そこへ忘れ物を取りに(あるいは下心あってかっ?)入ってくる小林君。
「よぉ内野、ひとりで残業か? ご苦労さん。」
と小林君、内野君の肩をポンッ! ビビビッ。
「ん、おまえ意外と肩こってるなー。 オレが揉んでやるよ。」
ビビビのビ〜ッ!!
ああ、悶える内野君、揉みしだく小林君、ふたりきりのオフィスに薔薇の花咲く〜。
    
てな調子で、この雑記は世紀末もスチャラカで参りますワ。
ちなみに「バリバリキャリアウーマンの西崎先輩と、ドジだけど憎めない新入社員の吉沢
さんとの『百合バージョン』がいい〜」という方はおっしゃってね、喜んで書くから(笑)。
    
 


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