2002.10.7 掲載

  

 リート・オラトリオ 研 究 部     2002年9月18日号

   友の会 だより

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 合宿を終えて     川村 英司

 

「友の会」主催での合宿に切り替えて既に6年くらいになりますか?学生が殆どいなくなった分、(大学1年生も今年は居りましたが)、卒業生が90%以上なので、内容もより濃いものになってきました。学生さんには少々内容が難しいのかなとも思いましたが、この様な雰囲気で勉強する事は、とても刺激の強いもので、かつて全校生徒が江古田で一緒で、入学したばかりの1年生が4年生や大学院生の勉強態度を見て強烈な刺激を与えてもらった以上のことが有ったのではないかと思いました。

参加してくれた諸先輩もそれぞれに暑い東京から離れて音楽三昧の4泊5日に満足してもらえたのではないかと思いました。より勉強面での満足をしてもらえるように、今から1年先のことを考えたいと思います。

来年はリー研創立40周年の記念の年です。リー研の同窓会もかねて、来年は友の会会員以外のリー研出身者全員にも声をかけて見ては如何でしょう。板倉さんのご都合は、今年と同じような期間か、12日頃から4泊なら都合はつくのだそうですが、お盆になりますので今年並みが良いのではないかと思います。早目に決めて皆さんに予定を立ててもらっては如何でしょうか?

我々の勉強は何処まで行っても終点は見つからないでしょう。それだけに探求する心が尽きる事がないのです。先へ行けば行くほど深さだけが分るので泥沼に落ち込んでしまうのです。そして落ち込んでもがく事に喜びを感じてしまうのです。芸術の勉強は道楽なのです。道楽に徹する事の出来ない人は商売でもすれば、稼げるのです。音楽の勉強は死ぬまでの道楽です。正しい勉強をコツコツ続ける事が肉体に良い癖をつけることになります。良い癖が身体につけば、後はスッテンテンに上がろうとも下がろうとも、よい状態でしか歌えなくなるのです。上がる事が怖くならない勉強をコツコツ続けましょう。そうすれば後は気楽なものです。音楽の表現を楽しむだけなのです。聴く人に楽しんでもらうためには、歌う人、演奏する人が楽しまなければ、通じないと思います。心から音楽を楽しむ事をしましょう。

琵琶湖のほとりで

今年は人数こそ少なかったのですが、それなりの成果は有ったのではないでしょうか。勿論家族連れや子供連れも歓迎しますので、勉強だけでなく避暑のつもりで出掛けてくださっても結構です。何せ涼しいのです。受験生にも涼しい所での勉強は能率も上がります。堅く考えずに気楽に参加してくださる事を希望します。

僕の頭は結構堅いのですが、年と共に柔らかくなってきましたのでどうぞご心配なく、気楽に参加してください。

琵琶池のほとりで

 リー研 夏合宿に参加して!     島津 勲

リー研の合宿に“全日”参加したのは、学生以来のことである。卒業後は、4〜5回の不参加はあったものの、ほとんど毎年、何とか時間をつくり参加していました。

とは言え、せいぜい2泊、長くて3泊であり最終日まではとても滞在できず、楽しみの打ち上げコンパには参加できず、涙の“早帰り合宿”でした。

 とは言うもの、以前は“5泊6日”の合宿だったのですが、昨年から4泊5日となり、やや短期間に縮小されましたので、全日参加が実現できたのです。また、私事ですが、昨年で勤めていた学校を退職し、自由の身になれたこともあり、この夏、やっと全日参加が実現し、久々の“打ち上げ”まで楽しめたのです。

 さて、私が書きたいのは、これからです。

 合宿は、相変わらず、6時起床、6時半体操、そして後の散歩は、琵琶池一周、約1時間かかるのですが、誰もへこたれることなく頑張って楽しく歩いている。

 先生はもちろんのこと、更に幸子奥様は特に足が軽く元気そのもの、私は男なのに、、、、ペケをあるく始末。しかし、戻ると朝食が待っている。

 散歩の後の食事は何とおいしいことか! さて、食事が済むと、合宿係ベテランの小暮さん(旧姓、添田)よりその日一日のスケジュールが確認される。

 朝食後、約30分でもう午前の授業が始まる。私はこれまでの合宿では、おそい参加でしたので、時間がないことをいいことに、ほとんど授業には出席せず、傍観者としての一員でしたが、今年初めて全授業に参加することができました。

 リー研の皆さんなら、誰だって承知していると思いますが、本当に“中味の濃い授業”だということを思い知らされました。

 御年、計り知れない我らの川村先生ですが、相変わらず疲れを見せず、講義、レッスンなど指導に熱中する先生は昔そのままです。しかしながら、おそらく10〜20回以上?は“聞いたことのある また あのお話し”でも、不思議不思議、更に新鮮に聞こえてくるのです。本当に繰り返しで覚えるのですね。

 野口先生の、“ドイツ語の発音”“朗読”の授業も時間の経つのを忘れたほど、優雅な雰囲気で、自然なドイツ文学を味わえた“心地よい授業”でした。

 また、川村先生指導の女声合唱もあり、私は男ですので歌えませんでしたが、ラッキーなことに、合唱指導を仕事としている私にはとてもためになりました。

 それは、Mendelssohn,Schumann,Brahmsの曲でしたが、普通私が一般の合唱団でドイツ語の曲を指導すると、発音だけで時間をとってしまう事が多く、しかも細かいニュアンスは伝えきれずにおわってしまいます。ところが、この“リー研”では、発音についての注意でなく、言葉のもつ色、奥深い感情表現のニュアンスまで、先生の音楽が浸透しているのが感じられるのです。またその位、発音はよくそろっているのは言うまでもありません。当然のことですが、そこには“我々リー研の自然な発声”が根本にあるからです。

 もっとも、野口玲子先生もソプラノを歌っているのですから、“当たり前”といえばそれまでですが、少人数の女声コーラスでしたが、志賀の山にこだまし、とても爽やかな響きが楽しめました。

 合宿中は、ほとんど休憩がなくハードスケジュールでしたが、とはいえ、そんな中にも楽しい“コーヒータイム”や、演奏会終了後の“小お酒タイム”があるのです。

 私事とはいえ、35年ぶりに良い夏のひと時を過ごすことが出来ました。川村先生、奥様、野口先生はじめ、参加した皆さんにこの紙面をお借りし、感謝申し上げます。

 楽しめたもう一つの原因は、ホテルイタクラさんを貸切で自由にできたこともあります。

更に、食事でも常に満たされたからです。

 皆さん!! 来年はリー研“創立40周年”です。 来年は更に多くの人の参加を呼びかけ、大いに好きな音楽の夢を膨らまそうではありませんか!! 同級生に声をかけ、参加してみませんか!!

 

 リート・オラトリオ研究部友の会夏合宿に参加して     西村 真奈美

 学生時代からそして卒業してからも毎年この時期、当たり前のようにリー研の夏合宿に参加して来ましたが、一昨年と昨年の2回は参加できず、何か忘れ物をしたような気がしていたので今回はとても楽しみにしていました。前回はお世話になったホテルイタクラさんの若奥さんのおなかの中にいたお子さんが、もう保育園に通っていたので2回お休みすると3年という月日が流れるのだと驚きました。でも、東京の猛暑を忘れさせる涼しさと空気のおいしさは変わる事なく、6時に起床、ラジオ体操の後に散歩をして始まる規則正しい生活は人間の本来あるべき姿を思い出させてくれたようで、貴重な4日間を過ごすことができました。一昨年まで5泊6日だった日程は、少々きつかったのですが、一泊減った今回は丁度よかった気がします。私は仕事の都合で最終日の打ち上げコンパには参加できず、夕方一足早く帰京しましたが、長野から東京まで新幹線で96分なので、全日参加できなくても一人で気軽に出掛けたり帰ったりできるので、一人でも多くの方に参加していただけたらと思いました。

 22日の朝8時過に中村橋の貫井図書館前から車2台で出発し小布施で島津先生と栃木から参加の浅見さんと合流し2時半頃、3年振にホテルイタクラさんに到着しました。間もなく星野さんと京都から菊田君も到着し、16人が全て揃いました。4時から早速、川村先生の発声についての講座がありました。夕食後、恒例の自己紹介は学生さんが2人だけだったので、若い順でもすぐに順番が回って来ました。

 2日目は、野口先生のご指導でドイツ語の発音練習から勉強が始まりました。何も知らない人は「ドイツ語」と聞くと"ch"をすごく強調して刺々しい感じで口真似をしますが、本当はなめらかで非常に美しい響きを持った言語だということが再認識されます。4日目に聞いた詩の朗読のテープを、誤解している多くの人達にも聞かせたいです。

 今年はコーラスの時間が3回あったことがとても嬉しかったです。発声練習の後 Schumann の女声2部合唱曲を歌いました。なかなかドイツ語の歌詞の内容に合った声が出ず、先生に何度も注意されましたが、皆がちょっと注意しただけで変わって行くのが大きな喜びでした。2日目から毎晩催されたコンサートは出演者とお客さんが同じくらいの人数になったりして少人数で寂しかったですが毎晩演奏を聴けたことはありがたいことでした。

 来年はリー研創部40周年ということだそうですので、一人でも多くの方々が参加でき、同じ目標に向かって勉強する数日間を共に過ごせたらと思っています。

いつも変わらぬ情熱を持ってご指導下さった川村先生、野口先生に感謝致します。また、合宿係として働き、車の運転もして下さった小暮さんにも感謝しています。皆でそれぞれができることをして協力し合い、この合宿が発展して行くことを願いつつ、感想文とさせていただきます。

     

合唱の時間に

 合宿に参加して     東 由輝子

 今年もまた夏の合宿に参加させていただきました。日常を離れ、贅沢にも音楽浸けになれますこの環境を、毎年、志賀高原の自然と共に楽しみにしておりますが、今回も大変充実した日々となりました。

 「公開講座」として、川村先生のレッスンを通じた講座が、今年も3日間設けられました。現役の学生から OB、OGの先輩方まで、何組もが受講いたしました。この講座においては、先生が、毎年初日の「発声について考える」の時間に、またはコ−ラスの時間の中で、お話下さる様々な事が、実際の演奏の場面で如何にして関わってくるのか、その過程や実現を目の当りにすることとなり、毎年私の中で印象深いものとなります。(こちらも今年は3日間たっぷりと設けられましたコ−ラスにおいても、同様だと思います。)今年の講座の一場面では、武蔵野音大一年生の品川さんが Brahms の "Erlaube mir, feins Maedchen" を歌われた時のこと、先生は Waltzのステップを踏まれました。彼女が次にそれを真似て、大きくステップを踏み出しながら歌った歌声は、伸びやかさを増しており、また音楽は、推進力のある、しかし軽やかな、三拍子となりました。日本人にはワルツは弾けない、振れない、と未だに耳にする事のある私には、その場面は、大変に興味深く、また、感激を覚えました。

 夕食後には、例年のように、毎晩コンサ−トが開かれました。本番とは、聴く上でも、演奏する上でも貴重な場であると思います。先生方先輩方の演奏を聴かせていただき、また私自身演奏の機会を与えていただき、そこから自分なりに学ばせて頂けることは、大変に有り難く思っております。

 

午前中には、三日間それぞれ「楽譜の比較研究」、野口先生がご指導下さいました「歌唱のためのドイツ語発音」「詩の朗読について」、の三つの講座が開かれました。どれも、リ−トの演奏には欠かすことの出来ないものであり、それらを、如何に実際の演奏に反映させるかということ、また既に演奏とは密着した存在であることを実感すること、の重要さを感じました。また、繰り返し、も進歩には大切な要素である、とも、あらためて感じたことでした。ヨ−ロッパの音楽を学ぶ外国人としては、基礎的なことを謙虚にくりかえし、良い癖をつけ、正しい楽譜を読み、客観的な耳で正しい表現をする・・・とは、先生方が繰り返しお話くださったことでした。 

 筋肉痛を恐れながらの毎朝の散歩も、実際歩き始めると、木々の緑の中、おいしい空気を思う存分吸うことができ、毎日本当に気持ちのよいものでした。それから、新しくなったキレイなお風呂には、内風呂の他に、その湯質によりタオルや足の裏が黒くなることもあるという、本格的な露天風呂も新たに増設されて、こちらも楽しみの一つでした。

 こうした充実した合宿を過ごせましたのも、お世話に携わって下さいました皆様の事前の準備と、細やかな心配りのお陰であり、感謝申し上げると共に、その合宿によって学ばせていただいたことを、今後少しでも多く、活かしていきたいと思っています。有り難うございました。

「ドイツ語の発音」の授業風景

 リー研の合宿に参加して     菊田 義典

 まずは皆様にとっていろいろな思い出や思いがあって参加されていると思いますが、私の場合、迷走しつつ゛けた大学時代にここにきて何かが変わりはじめ、それを確認、認識したいという思いから参加しております。

 まあいつも言っている目標は、「なまった精神をここで気合を入れなおすため」(年々言葉は少し違いますが)と言っていますが。(確かに目標自体は毎年それなりに達成して帰っておりましたが。)

 ただ、ここ数年なぜ歌を唄っているのか自問自答しても答えが出ないでその原点を探してここに参加していたところもありました。で、昨年ぐらいから高校時代にはまったマーラーの曲(ほとんどは交響曲なのですが)を聞き返したり新たにぼちぼちCDを買ったりしていると、昔、歌を唄おうと思った原点の曲にあたりました。実は大地の歌なのですが(当時はサントリーのCMでかかっていたのですが)。実はその当時4楽章を聞いて(唄っていたのはディースカウ)この人を超えてやるなんて事を考えたのを思い出しました(若かったです)。

 昨年ぐらいからマーラーが好きとは言っていましたが今年来てみてやっぱりマーラーが好きだなんて再確認したと共に、逆にブラームスやヴォルフも凄く新鮮に良いと思えるようになりました。(もちろん他の作曲家のものも)

 この合宿に参加して、こういう外界から閉ざされた空間に数日間、音楽をやる仲間がいて、それぞれの演奏が聞けて、いろいろな話ができる中で、今年の僕には思ってもいない収穫があり(特に今年はマーラーって誰も歌ってなかったのに)しかもその収穫に思ってもいない副産物がついてきました。

 確かに、目標を持ってこういう集まりに参加するのは良いことですが、何か壁にぶち当たったり迷ったとき、漠然と変わりたいとき、こういう合宿に何かを得られるかも知れません。本当に参加できて良かったです。

 p.s.:ただ、僕もたびたびそういう収穫があった訳ではありません。過大な期待はしない方が…。

 

『 Hugo Wolf歌曲選集』発売のお知らせ

 川村英司先生編集・校訂による『 Hugo Wolf 歌曲選集 中声用第2巻』が、8月20日に全音楽譜出版社より発売されました。これで『 Hugo Wolf 歌曲選集』は全4巻が完成し発売されたことになります。全国の楽譜取扱店の他、「友の会」会員の方は、直接川村英司先生から割引価格にてお買い求めいただくこともできます。

 ちなみに川村先生編集・校訂による楽譜は下記のとおり出版されております。

 

出版元:全音楽譜出版社

「Beethoven 歌曲集」中声用 (3500円+消費税) 割引価格3300円

「Mozart 歌曲集」原調版 (2500円+消費税) 割引価格2400円

「Wolf 歌曲選集」原調版 第1巻 (3400円+消費税) 割引価格3200円

「Wolf 歌曲選集」原調版 第2巻 (3600円+消費税) 割引価格3400円

「Wolf 歌曲選集」中声用 第1巻 (3500円+消費税) 割引価格3300円

「Wolf 歌曲選集」中声用 第2巻 (3800円+消費税) 割引価格3600円

 

 手島孝教さんのCDができました!

月日がたつのは速いもので、手島孝教さんが亡くなられてはや二年たちました。お亡くなりになる直前まで手島さんは「歌う」ということに対して希望と強い意欲をもっておられました。そんな手島さんの思い出の歌をもう一度聴きたいという京都のお弟子さんたちのお気持ちが実って、このたび生前の手島さんのコンサートの録音から編集した二枚組みのCDができあがりました。ご購入をご希望の方は下記までお申し込みください。

   お申し込み先

       CD二枚組み 3800円  送料 200円 星野 幸子

 

 演奏会のシーズンです♪

 きたる9月30日に川村英司先生のレクチュアコンサート第1回が催されます。12月に第2回、そして来年の予定もすでに決定しておりますので、詳しくは同封のチラシをご覧ください。また10月3日には野口玲子先生、9日には島津 勲さんがリサイタルを、20日には星野幸子さんと清田真理子さんがジョイントリサイタルをなさいます。こちらもチラシを同封いたしますので、どうぞ皆様お誘い合わせのうえお出かけください!

 

 お知らせ

 これまで皆様にお助け頂いて『友の会だより』の編集を手掛けてまいりましたが、これからは小暮安芸子さんと三浦陽子さんにまとめ役をお願いすることにいたしました。

快くお引き受け下さり、お二人で交互に助け合いながら編集して下さる由。心強い限りです。

因に名簿管理、会計係は引き続き清田真理子さんにお願いいたします。

ご助力下さいました大勢の方々に、心から御礼申し上げます。

これからも皆様のご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。          

野口 玲子

 

 編集 後記

 

  暑い中にも、朝夕の空気に少しづつ秋の気配が感じられるようになってまいりました。

 今号は、8月22日から26日に志賀高原に於いて行われた合宿の参加者19名の中から、4人の方にお寄せ頂いたご感想を紹介いたしました。実り多かった4泊5日間の様子を文面から感じて頂ければなによりです。ご寄稿誠にありがとうございました。

 さて今回から、野口玲子先生より「友の会だより」の編集を引き継いで承ることになりました。i-Mac2台を駆使される野口先生には到底お足元にもおよびませんが、川村先生をはじめ「友の会」のみなさまの「声」をお届けできれば、と思います。どうぞよろしくご指導お願い申し上げます。またみなさまのご寄稿をお待ちしております!        担当♪あ

 

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