世界最強の酒 スピリタス
今回は世界最高のアルコール度数・96度を持つ酒として
良く知られたポーランドのウォッカ、スピリタスを紹介したいと思います。
現在スピリタスを生産・輸出しているポルモス・ワルシャワ社の
前身であるポルモス社は1919年に設立されました。
その後第2次大戦を経てスピリタスやズブロッカなどのウォッカを
世界に向けて輸出してきましたが1989年、ポーランドの社会主義経済から
資本主義経済への体制転換をきっかけに会社にも変革が起きました。
1991年に国営企業の清算という形でポルモスの各工場が独立し、
ポルモス・ワルシャワとして設立されました。
その後1998年に私企業化され、さらにウォッカの商標も
各工場に移行される事となります。
スピリタスの商標権はオークションに出され、1999年8月に
ポルモス・ワルシャワが落札して現在に至ります。
(ただ、ここでいうスピリタスの商標はラベルにある正式名称の"Spirytus Rektyfikowany"
を指しているようで、他のポルモス系企業で”Spirytus”の商品名で
95度のウォッカをラインナップに入れている所もあります。
これらの製品はポーランド国内限定で販売されていると思われます。)
※ちなみにポーランドのウォッカとして知られたズブロッカの
商標はポルモス・ビアウィストック(bialystok)が持っています。
独立したポルモス系の会社はまだまだあり、
ポルモス・クラクフ(krakow)/ポルモス・ウッジ(lodz)/ポルモス・ルブリン(lublin)/
ポルモス・シュチェチン(szczecin)他計10箇所以上あります。
ポーランドのWebサイトを見るとポルモス系だけでたくさんあるため、
他国の人間から見るとかなりわかりづらい状態です。
スピリタスはポーランド国産のデンプン質の良好な
秋撒きの高品質ライ麦を原料に作られます。
このライ麦をもとに70数回もの蒸留を繰り返し、純度を高めて
ほぼ限界の96度まで度数を上げていき、ビン詰めされます。
本国での用途は主に薬用酒や果実酒の原料、
料理用、また医療用としても使われます。
グラスについで少し経過すると独特の強い香りがたちこめます。
人によってはセメダインの匂いと表現する香りはアルコール
そのものの香りといった所でしょうか。
口につけると唇からふわっとアルコールが気化していく独特の
感覚があり、液体が口の中、舌に届くと恐ろしいほどの刺激が出ます。
この刺激は”辛い”ではなく”痛い”と表現した方がいいでしょう。
味はやはり”純度の高いアルコールの味”という表現になるのですが
やや甘みがあり、雑味の一切ないクリアな味わいになっています。
スピリタスは定価は1,200円、ディスカウントショップ等では
1000円前後で購入できます。知名度のあるウォッカのため
わりとどんなお店でも扱っている事が多いので入手は比較的簡単でしょう。
※ポーランド国内で販売されているスピリタスは3種類が存在しています。
・日本でもおなじみの緑のラベルの製品(ただし度数は95度) |
・赤いラベルの製品(96度) |
・青いラベルの製品(70度-この製品のみ原料にライ麦のほかにじゃがいもを使用) |
96度製品と95度製品、アルコール度数1度にどういった違いがあるのかが
興味深い所ですが、残念ながらその違いは調べても分かりませんでした。
ただポーランド国内ではスピリタスというと95度というものを指すのが一般的なようです。
用途的には果実酒の原酒が向いており、スピリタスを使うと
アルコール度数が高い分短期間で漬け込みが終了するようです。
飲む時はジュースや炭酸飲料等で相当量薄めてから飲む事をお勧めします。
むやみにストレートで飲むと本当に命に関わるので注意して下さい。
イッキ飲みなどはもってのほかです。
(自宅で普通のウォッカと同じような感覚でブラッディマリーを作って
飲み続け、気絶してしまった事を私は一生忘れません(笑))
またあまりにもアルコール度数が高く、すぐ気化するため、そばで
火を使うと引火して危険なので火気にも要注意です。
一時期ウォッカに引火してやけどを負う事故が多発した事は
記憶に新しいですね。くれぐれも取り扱いにはご注意ください。