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「 瑛九 靉嘔 池田満寿夫 」
Ei-Kyu / Ai-O / Ikeda-Masuo
- 現代版画の一系譜 -
in 狭山市立博物館
O・TU・MA・MIのページで池田満寿夫氏をテーマにさせていただくにあたって
まだ氏の作品をきちんと拝見していなかったことに気づき、
早速探しました所、運良く「狭山市立博物館」で
「現代版画の一系譜」という版画展が行われておりましたので出かけてまいりました。
その時の模様を紹介させていただきます。
少し遠いので出かけるのを迷ったのですが、たまたま氏をテーマにさせていただこうと思っていた時に
偶然この企画展が開催されていたということで、何かとても惹かれるものがありまして
曇り空のある秋の平日、西武池袋線に乗りこみました。
稲荷山公園駅につくとまず自衛隊の飛行機がホームのすぐ外に見えてびっくりいたしました。
駅から徒歩3分ほどにある狭山市立博物館についたのは夕方で、平日だったせいか、
博物館での美術展というせいか、人が少なく、貸切状態でゆっくり拝見することが出来、うれしかったのですが
なんだかもったいないような気もいたしました。
今回の企画展は埼玉県立近代美術館の収蔵品の中から
瑛九(杉田秀夫氏)、靉嘔(飯島孝雄氏)、池田満寿夫氏の作品をとりあげて
現代版画の一系譜をたどるというものだそうです。
「昭和の初頭より美術界に新風を巻き起こし、指導的立場であった瑛九と
池田に彼を紹介した靉嘔の作品群を展示し池田と彼に影響を与えた二人をともに
紹介することで、現代版画の一潮流についての理解がいっそう深まることと思います」
・・・パンフレットより
三人は瑛九氏が中心となっていた「デモクラート美術家協会」(1951〜1957)という
グループで活動を共にしていた時期があり、特に池田氏は他のお二人に影響を受けたそうですが、
確かに瑛九氏の作品も、靉嘔氏の作品も4〜50年もたつとは思えない
はっとするほどモダンで。。。静かで激しく。。。
(現代音楽も現代美術も感想を言葉にするのは難しいですね?というか
私のボキャブラリが貧困なのですが(^^ゞ)
影響を受けたに違いないと思える、個性的で、刺激的で、魅力的な作品で興味深く拝見しました。
“フォトデッサン”で知られる瑛九氏の作品は、油彩4点、フォトデッサン2点、
エッチング(腐蝕凹版)2点、リトグラフ(平版)2点の計10点で、
フォトデッサンはもちろん素晴らしいのですが「雲」という油彩が私は一番惹かれました。
虹のグラデーションで描く独特の平面の作品で“虹の画家”と呼ばれる靉嘔氏の
作品は、リトグラフ(平版)5点、フォトグラム(フォトデッサン)1点、
セリグラフ(繊維孔版)4点、染織1点の計11点で、そのうち虹の作品は5点でした。
氏の作品はバラエティに富んでいて、色々な印象やメッセージを感じさせていただきましたが、
私は今回の中では、虹の作品の「透明な波−スリランカ」にとても惹かれました。
三人の中でお一人ご健在の氏は現在も多方面でご活躍なさっていらっしゃいます。
池田満寿夫氏の作品は、メゾチント(彫刻凹版)の「ヴィナス」シリーズ6点と
エッチング(腐蝕凹版)1点、ドライポイント(彫刻凹版)2点、、リトグラフ(平版)1点の計10点でした。
氏はご自分の著作作品以外の本のカバーも色々と描いていらしたそうで、
今回の10点の中の「Something Again A」というリトグラフの作品もどなたかの
(すみません拝見したのですが忘れてしまいました。)本のカバーということなのですが・・・
マイルス・ディビスのアルバムジャケット(確か・・・日本版)にもこの作品が
使用されていたような気がするのですが、どなたかご存知でしたらお教えくださいませ♪
BGMが気がつかないくらい自然に流れていて、好きな武満徹氏の曲のような雰囲気を感じ、
作品ともしっくりして心地良かったので曲名をお伺いしました所、
「実験工房」(1951〜1958)という「デモクラート美術家協会」と同時期に活動していた
グループのメンバー福島和夫氏の曲(「冥」、「エカーグラ」)を使用なさっているとのお話でした。
(他にCMなどでも曲を耳にすることが出来るピアニスト三宅榛名氏の曲も
使用されているそうです。BGMご担当の I 様ご親切な説明ありがとうございました。)
そして「実験工房」についてネット検索しましたら、武満氏が参加しているのがわかり
雰囲気を感じたのはそういったところからだったのかしら。。。とうれしくなりました。が、
「武満氏の曲が好き」などと言うくせに、「実験工房」の活動を存じなかったのは
私が偽ファンだったと反省しております。実験工房には他に黛敏郎、山口勝弘、北代省三、
福島秀子、秋山邦晴、大辻清司をはじめとして、美術、文学、音楽、写真など
様々なジャンルの芸術家が参加し、総合芸術の発展を目指すグループだったそうです。
この企画展は2000年11月26日まで開催されております。
休館日:月曜日と11月24日 開館時間:午前9時〜午後5時
入館料:なんと150円!(高校生、大学生100円、中学生、小学生50円)
(150円でこんなに楽しませて頂いてよろしいのでしょうか?!と恐縮してしまいました。)
最寄駅:西武池袋線 稲荷山公園駅より徒歩3分
又は西武新宿線 狭山市駅西口よりバス「稲荷山公園駅」行きで終点まで、バス停より徒歩3分
狭山市の歴史がわかる常設展もなかなかおもしろかったですし、
お茶室もあって、一般参加(お子様OK)が出来るお茶会も時々催されるようです。
是非、ご興味をお持ちになられた方はお出かけになってみてくださいませ。
博物館はお花見で有名という稲荷山公園内にありますので、お弁当を持って
ちょっと遠出のお散歩によろしいのではないでしょうか?
博物館ということで、次の企画展は来年の三月とのことですが
是非また伺ってみたいと思っております。