英国伝統のビール・エール&スタウト
今回は、冬にじっくりと味わって飲みたい、英国伝統のビールである
エールとスタウトを取り上げてみたいと思います。
エール、スタウトはビールの分類上の名称で、ともに上面発酵という醸造法
で作られたものです。(常温で発酵させ、発酵終了後に酵母が浮き上がること
から上面発酵と呼ばれます。日本で作られるビールは下面発酵という醸造法で、
これは低温で発酵させ、発酵終了後に酵母が下に沈殿するものです。)
発酵温度が高い為、上面発酵のビールの方が香味が強いという特徴があります。
英国ビール(1本250円〜400円程度です)
また、スタウト(黒ビール)は、麦芽を乾燥(焙燥)させてカラメルのような濃色の
麦芽を作り、これを仕込んでビールにするため、色が黒くなります。
英国産のビールの特徴は上記のようになります。
最近では日本の大手メーカーも黒ビールの販売に力を入れるようになって
きているため、以前に比べればだいぶポピュラーになってきたと思います。
ただ、国産の黒ビールは軽くて飲みやすいように作る傾向があるようです。
(あくまで私が味わった主観ではあるのですが(^^ゞ)
したがって、国産の黒ビールに慣れた方にはこの英国産ビールは
新たな味との出会いになるかもしれません。
写真 : 左、ギネス 右、バス・ペール・エール
英国のスタウト(黒ビール)のなかでも一番有名なのは「ギネス」でしょう。
黒ビールの代名詞ともなっているこのギネスはクリーミーな泡と
ねっとりした喉ごし、重厚な味わいが特徴です。一般の缶入りの「ギネス」も
もちろんおいしいのですが、業務用の瓶入りの「ギネス」が特におすすめです。
Barなどでギネスの置いてある店に出かけた時は一度お試し
いただけたらと思います。オススメですよ。
追記:樽詰の“生”のギネスがいただけるお店はこちらで紹介されています。
まだまだ生が頂けるお店は少ないですが、本当に美味しいので
是非機会がありましたらお試し下さい。2001.7.3
※2004.5.7 再追記
かなり前にご紹介させて頂いた缶ギネスですが、現在はより本格的な
味わいを持っている製品が一般販売されています。
上の写真にもある「缶ドラフトギネス」がそれで、
実は2000年に発売されています(紹介が遅くなり申し訳ありません)。
この缶ドラフトギネスの大きな特徴は”フローティングウエジット
(Floating Widget)”です。これは缶の中に直径約3cmのプラスチックの
球型カプセルが入っており、缶を開ける時に窒素ガスと炭酸ガスが
混合して噴き出し、独特のクリーミーな泡を作り出します。
価格は330ml缶で350円前後と同サイズの缶ビールと比べると
かなりお高くなりますが、これはパブで飲む生のギネスと
遜色ない素晴らしいもので家庭でも本格的なギネスを
味わう事が出来ます。是非一度試してみてください。
※2004.12.24 再々追記
その後お値段が下がり、2004年12月現在で270〜280円と
以前に比べるとだいぶ入手しやすいお値段になりました。
また、日本で販売されているエールの代表格は、バス・ペールエールです。
18世紀からの操業を続けるバス社の製品で、日本では明治初期から
輸入されているという歴史あるビールです。ラベルの赤い三角形は
大きな特徴で、英語の読めない人でもすぐにわかるということで
文明開化当時に一番人気のあったビールです。
心地よい軽い苦味を持ちながら後味はすっきりとしていて、
合わせるつまみを選ばずに楽しめます。
これらのビールはやはり英国伝統の料理(軽食?)である
フィッシュ&チップスにとても良く合います。まさに「やめられない
とまらない」状態になってしまうことうけあいです。
※余談ですがあの「ギネスブック」はこの「ギネス」の子会社から出版されています。
上で紹介しました「ギネス」と「バス・ペール・エール」で英国ビールは
充分に堪能できるとは思いますが、「もうそれでは物足りない!」という
お客様のために、もういくつか英国ビールを紹介してみたいと思います。
写真左は操業160年・ロンドンに醸造所のあるヤング社の製品「ヤングス・オートミール・スタウト」
です。味わいはギネスに近いですが、ややシャープな味わいになっています。
写真中央は同じくヤング社の「ヤングス・オールド・ニック」です。濃色麦芽
の甘味が強く出ていて、より個性の強いビールになっています。ギネス好きの人でも
この味にはちょっと驚くかもしれません(^_^;)
写真右はシークストン社の「オールド・ペキュリア」です。イギリス・ヨークシャー地方に
ある家族経営の小規模ブルワリーで生産される伝統的なダークエールです。
イギリスでは人気のある銘柄とのことで、飲んだ感想としては、フルーティーで
とても飲みやすいという印象を受けました。
今まで紹介してきた英国ビールはやや個性が強いため、もしか
したら口に合わない、というお客様がおられるかもしれません。
そんなときは飲みやすい国産の黒ビールで味に慣れてから
挑戦されてみてはいかがでしょうか。