キューバの正統派ラム ハバナクラブ

 

今回はラムの本場であるキューバで生産される代表的銘柄、

ハバナクラブのシルバードライを取り上げたいと思います。

最近は生産量も増えているのでお目にかかる

機会も多くなっていると思います。

 

 

ハバナクラブは、ハバナのArechabalaファミリーが1878年に

厳選されたサトウキビを用いて作り始めたラムがその始まりになります。

その後20世紀に入り、バカルディと並ぶ2大ブランドとして輸出される

ようにもなりました。しかし1960年のカストロ・社会主義革命により

ハバナクラブのブランドにも転機が訪れます。

全ての施設は国有化され、バカルディが国外に去ったのと同じく、

ハバナクラブ経営者のArechabalaファミリーもアメリカに移住していき、

一度このブランド名は対外的には消滅する形になります。



その後1966年、キューバからの輸出ラムの統一ブランドとして

再びハバナクラブが使われるようになります。

1994年にはフランスの巨大酒類企業、ペルノ・リカール社とキューバ政府

との合弁で「ハバナ・クラブ・インターナショナル社」が設立され、

この会社経由での流通・販売・輸出が行われるようになっています。

(ラムそのものの製造はキューバの国営ラム酒メーカー、

サンタ・クルス社が行っています)

※この合弁会社が出来る前まではキューバラムの輸出銘柄は

「ハバナクラブ」に限られていましたが、会社設立時の契約により、現在

では「バラデロ」、「カリビアン・クラブ」という銘柄も輸出されています。

 

ハバナクラブ・シルバードライは需要の高まっている

カクテルベース用のライトラムとして近年から販売されている銘柄です。

それまでカクテルベース用としての役割を担ってきたハバナクラブ3年と

比べるとより透明度が高く作られています。国産サトウキビのみから

作られる糖蜜とイーストを原料に発酵・蒸留を行い、180L入りの樽で

18か月熟成されます。

 

またそのラベルには1996、1997年のコンクールで受賞したメダルと

特徴のある女性像が記されています。この女性像は「ヒラルディア」と

いうハバナ港の入り口にたっているブロンズ像で、フロリダに

不死の泉を求めて旅立った総督をその夫人が辛抱強く

待ち続けたという物語がモチーフになっています。

(実際にはこの女性像とその伝説とは直接の関係はないようです)

 

※1994年の合弁会社の設立により、ハバナクラブの生産量は5倍(94年の

25万ダースから、99年には125万ダースへ)にも伸びています。順調とも言える

伸びですが、現在ハバナクラブは1つの大きな問題を抱えています。

 

1995年、バカルディ社がハバナクラブの商標名をかつての経営者から買取り、

アメリカで「ハバナクラブ」ラムの販売を始めました。ペルノ・リカール社は商標権の

侵害で訴訟を起こしていますが、アメリカとキューバの政治問題もはらむ

その対立は根深く、決着はまだついていないようです。

 

(そもそも1994年に合弁会社が作られたのも1974年にアメリカで取得された

ハバナクラブの商標をバカルディ社が無効と主張した事に対抗するためのようです。

アメリカとキューバは1961年より国交を閉ざしており、キューバ産のハバナ

クラブもアメリカ国内では販売されていません。)

 

 

ハバナクラブはシルバードライ/3年/5年/7年のラインアップが

あり、今回取り上げたシルバードライは定価1430円と

なっています。ディスカウントショップなどでは

1000円〜1300円などで購入できると思います。

バカルディ以外のホワイトラムでカクテルを作って

みたい時にこちらを使ってみるとよいのではないでしょうか。

 

 

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