オリジナルバレエの夕べ(東京バレエ団)

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02年6月1日(土)

文京シビックホール

 

3つの作品とも,初めて見ました。
『時節の色』>『パーフェクト・コンセプション』>『タムタム』の順番で気に入ったので,気分的にはちょっと盛り下がってしまったかしらん。

 

時節(とき)の色

振付・舞台コンセプト:ジョン・ノイマイヤー

音楽:
C.ドビュッシー「雪の上の足あと」(前奏曲),C.ドビュッシー/富田勲「雪は踊っている」(子供の領分),F.シューベルト/H.ゼンダー「勇気」(冬の旅),A.ヴィヴァルディ「冬」第1楽章(四季),F.シューベルト/H.ゼンダー「春の夢」(冬の旅),F.メンデルスゾーン「春の歌」,三木稔「踊る春」(《四季》ダンス・コンセルタント),C.ドビュッシー「雪の上の足あと」(抜粋),G.ヴェルディ「夏」(バレエ音楽),A.ヴィヴァルディ「夏」第1楽章,第2楽章,第3楽章,湯浅譲二「あかあかと 日は難面も 秋の風」(芭蕉の情景 1980),三木稔「水巡る」(《四季》ダンス・コンセルタント),湯浅譲二「名月や 門に指し来る 潮頭」(芭蕉の情景 1980),F.シューベルト/H.ゼンダー「辻音楽師」(冬の旅)

美術・衣装・照明:ジョン・ノイマイヤー

世界初演:東京バレエ団,2000年2月4日,ゆうぽうと簡易保険ホール

プロローグ−ドビュッシー
男:高岸直樹
男のさまざまな時期:後藤晴雄, 大嶋正樹, 森田雅順,
時:木村和夫
想い出:斎藤友佳理


冬−ドビュッシー/富田勲,シューベルト/ゼンダー
高岸直樹
荒井祐子−高橋竜太,太田美和−倉谷武史,高村順子−窪田央,早川恵子−野辺誠治,長谷川智佳子−高野一起,武田明子−平野玲,小出領子−中島周

冬−ヴィヴァルディ
高岸直樹
井脇幸江−後藤晴雄,荒井祐子−後藤和夫

II
春−シューベルト/ゼンダー,メンデルスゾーン
斎藤友佳理−高岸直樹

春−三木稔
吉岡美佳
早川恵子,遠藤千春,荒井祐子,太田美和,高村順子,渡辺珠代,門西雅美,武田明子,小出領子,福井ゆい,加藤文,長谷川智佳子,西村真由美

間奏 I−ドビュッシー
大嶋正樹

III
夏−ヴェルディ
大嶋正樹
倉谷武史,後藤和雄,高橋竜太,窪田央,平野玲,齋藤吉樹,高野一起,中島周

夏−三木稔
吉岡美佳−大嶋正樹
井脇幸江−後藤和雄,早川恵子−窪田央,荒井祐子−平野玲,高村順子−倉谷武史,門西雅美,高野一起,太田美和−齋藤吉樹,小出領子−高橋竜太,長谷川智佳子−中島周
高岸直樹

夏−ヴィヴァルディ
高岸直樹
木村和夫

間奏 II−ドビュッシー
高岸直樹
木村和夫

IV
秋−湯浅譲二
高岸直樹
斎藤友佳理
後藤晴雄, 森田雅順, 大嶋正樹
井脇幸江,荒井祐子,早川恵子,太田美和,門西雅美,小出領子,長谷川智佳子
後藤和雄,中島周,高橋竜太,平野玲,高野一起

秋−シューベルト/ゼンダー
高岸直樹
木村和夫
斎藤友佳理

〈ワゴン〉
宮本祐宣,藤本豊,南村崇文,長崎祥敬,氷室友,竹田純,辰巳一政,横内国弘

すてきな作品でした。
実は,冒頭に高岸さんが1人登場し,ゆっくりとした踊りが始まったときは,「ありゃ,こりゃあきるかも・・・」と思ってしまったのでした。ノイマイヤーは大好きですが,どちらかというと骨太な物語作家の面が気に入っていて,振付の動きそのものに惹かれているわけではないので・・・。
でも,大丈夫でした。70分間もあったそうですが,(あっという間だったとは言いませんが)長さを感じませんでした。四季が冬から始まるのはいかがなものか? とか,この場面は何か? とか考えるのに忙しくもあったしね。

シンプルで品のいい色調とデザインの衣裳が,たいへん美しかったです〜。ノイマイヤーって,ほんとにセンスがいいわぁ。
女性のスカートが終始長めなのも雰囲気がありましたし,主役
(と呼んでいいのかな?)の「男」の高岸さんは,黒の上下にグレイのノーカラーの上着,黒の帽子がよくお似合い。後半は,上着を脱いで上半身は片肌脱ぎになっていましたが,これもなかなかかっこよかったです。(上着を脱いだときにきちんとたたんでいたのは,ノイマイヤーのイメージする日本なのかしらん? それとも高岸さんが几帳面な性格なのか?)

高岸さんが,すてきでした。
人生の四季を表しているようでもあり,そうではなく彼の心象風景を表しているようにも見える作品なのですが,楽しげだったり,なにかに悩んでいたり,自分から行動したり,ただ見ているだけだったり・・・。
踊りまくる役ではないですが,舞台の上にいなかったのは(たぶん)ほんの数分だけだったという意味でも,感心。

印象的だったシーン。
「春」の初めのほう,オレンジの衣裳の斎藤さんと高岸さんのシーン。斎藤さんの踊りは湿度が高く感じられて「ううむ?」と思うこともあるのですが,この場面は,その個性と存在感が生きて,優しく包んでくれるお母さんの雰囲気。日本的な「想い出」(←役名)で,とてもよかったです。
「夏」での元気な男性群舞。夏祭りの雰囲気なのかな,楽しかったです。日本人男性の上半身は裸で鑑賞するのにはあまり向かないとは思いますが,その代わり,夏なのに暑苦しくないのがいいですー。(下半身がブリーフ型ではなくトランクス型だったのもよかった。)
やはり「夏」。スリットの入った臙脂の衣裳の吉岡さん。凛としていながら,色香漂う感じで,実に美しかったです。
最後,辻音楽師(鼓手?)の衣裳を代わって身につけ,両手を差し伸べて,膝で前に進む高岸さん。終始舞台の上にいて消耗した表情と,額や頬に貼りつく髪に,男の色気がありました♪

 

パーフェクト・コンセプション

振付:イリ・キリアン

音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ, ジョン・ケージ, レスリー・スタック

装置・照明デザイン:ミヒャエル・シモン
衣裳:ヨーク・ヴィセル

世界初演:東京バレエ団,1994年6月21日,東京文化会館

吉岡美佳, 井脇幸江, 飯田宗孝, 首藤康之

ほほー,噂に聞く四角いチュチュとはこれかー。
大相撲の力士用のような大きな座布団の中央に着脱用の穴が開いているわけね,なるほど。(最初の場面の吉岡さんは,このスカートを縫っていたわけですかね?)

このスカートの使い方が面白かったです。足で引っかけて移動させたり,着たり脱いだり,4枚重ねて着て運搬したり,首に巻いたり(エリマキトカゲを連想),頭に着けたり(子供の洗髪用品を連想)・・・。
舞台上に逆さに吊るされた大木やクレーン(?)で移動する照明,要所でカラスの鳴き声の入る音楽,宙に字を書く動きなど,他にも面白いコトがありました。

ただ・・・すみません・・・「はあ,それで?」と思ってしまいました。楽しいとか,すてきと思うとか,あるいは切なくなるとか・・・何でもいいのですが,心に迫ってくるもの,引き込まれるものがなかったので・・・。
ダンサーは熱演だったと思うのですが,この作品の魅力は,うーむ,私にはどーもわからないなー。
まあ,面白かったからいいですけれど。

 

タムタム

振付:フェリックス・ブラスカ

音楽:ジャン=ピエール・ドゥルエ, ピエール・チェリザ

演奏(打楽器):シルヴィオ・ガルダ, (トムトム)ピエール・チェルザ

初演:1970年4月12日,エスパース・カルダン
東京バレエ団初演:1979年4月12日,モンテカルロ・カルニエ劇場

首藤康之

小出領子, 後藤晴雄

早川恵子, 高村順子, 門西雅美, 大島由賀子, 西村真由美, 沖京子, 五所未知子, 山崎朋子, 乾友子, 佐伯知香, 高木綾
芝岡紀斗, 斎藤吉樹, 野辺誠治, 長崎祥敬, 中島周, 鈴木淳也, 氷室友, 竹田純, 辰巳一政, 横内国弘

パーカッションのリズムに乗せて踊られる,最後に観客を高揚させて楽しませるための作品。ソロ→群舞→パ・ド・ドゥ→群舞→ソロ→全員の順だったかな。

群舞は迫力があり,なかなか楽しかったですが・・・ううむ・・・ソロの首藤さんには不満です。もっときれいに踊ってほしい。爽快感を味あわせてほしい。音楽の雰囲気にあわせて土俗的で祭祀的な感じだったと誉めるべきかもしれませんが,そういう意味では観客を巻き込む磁力が欠けていたと思うし・・・。結局は,好みの問題かもしれませんが・・・。

(02.6.15)

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