じゃじゃ馬馴らし(シュツットガルト・バレエ)

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02年2月11日(祝)

東京文化会館

 

振付・演出: ション・クランコ

音楽: クルトーハインツ・シュトルツェ(ドメニコ・スカルラッティ作曲による)

装置・衣装: エリザベス・ダルトン

初演:1969年3月16日,シュツットガルト

指揮: ジェームズ・ダグル  演奏: 東京ニューシティ管弦楽団

バプティスタ(裕福な紳士):アレクサンドル・クメルニスキー

キャタリーナ(バプティスタの長女):イゾルト・ランドヴェ

ビアンカ(バプティスタの次女):エレーナ・テンチコヴァ

グレミオ(ビアンカの求婚者):トーマス・レンパーツ

ルーセンショー(ビアンカの求婚者):ローランド・フォーゲル

ホーテンショー(ビアンカの求婚者):ダグラス・リー

ペトルーチオ(紳士):マキシミリアーノ・グエラ

ふたりの娼婦:イリーナ・シュラート, エンマ・ピアソン

司祭:リオール・レフ

召使たち:エリック・ゴーティエ, エイドリアン・ロボス, アレクサンダー・マカシィン, ローランド・ダレシオ

パ・ド・シス:坂本香菜子,アリシア・アマトリアン,ダイアナ・マルティネス・モレールス, フリーデマン・フォーゲル, ミハイル・カニスキン, イブライム・ウェーナル

 

シェイクスピア原作による2幕のバレエ。

初めて見ました。

演出・振付はさすが現代の古典というべきだと思いますし,主役のランドヴェは上手,グエラもノーブルな役を踊っているときより魅力的。2人のたいへん難しそうなパ・ド・ドゥもお見事。3人の求婚者は芸達者。コール・ドもいきいき踊っているし,特に男性は,顔も脚もきれいなダンサーが多い。
でも・・・たいして楽しめませんでした。
3人の求婚者が登場して,バルコニーからキャタリーナが彼らに水をぶちまける辺りは楽しかったのですが,その後の家の前での大騒ぎくらいから,雲行きが怪しくなってきて,2幕は憮然としながら見ていました。

原因の一つ目は「お笑い」ですね。
けっこう笑わせてもらいましたが,ドタバタ喜劇みたいで,笑えば笑うほど,空しい。「それでどーしたのよ」と言いたくなる・・・。
私,トロカデロとかも苦手なの。世界バレエフェスティバルの余興とかは好きだけれど,あれは楽屋落ちだから楽しめるのよね,たぶん。(まあ,これは,お気に入りダンサーの休演続きによる精神的不調のせいもあったかも。12月の新国立「シンデレラ」のお義姉さんたちも,いつもほど楽しくなかったし。)

原因の二つ目は,話の筋。
これが決定的にまずかった。
今どき「言うことを聞かない女房を調教する」話というのは,ううむ・・・なんと申し上げたらいいのやら・・・。

キャタリーナのじゃじゃ馬ぶりがヒステリー女みたいな描かれ方なのも首を傾げるし,調教方法が「疲れさせて,怖がらせて,凍えさせて,餓えさせて」だというのは・・・はっきり言って,見ていて不愉快。しかも,これが効果があって素直な女性になるというのは,「ヘ? マジっすか?」とでも申しましょうか・・・私には到底理解しかねるところです。
最後,模範的な妻のふるまいのお手本を見せながら,妹たちに以前の暴力的なところをちらつかせて従わせるのを見たときには,少々ほっとして・・・それ以上に後味の悪さが残りました・・・。

ううむ・・・私は,社会的主張としてはかなりフェミニストなのですが,バレエを見るときは,そういうことは全然忘れて『眠り』や『シンデレラ』を楽しめます。でも,たまに地が出るときがあって・・・どうも,この作品は私のそういうところを刺激したようです。
まあ,逆に言えば,『眠り』や『シンデレラ』のような,いわばケーキやパフェみたいなバレエにうっとりできるくらい情緒的に未熟であって,男女間の機微に通じていないから,この作品を楽しめないのかもしれませんねえ。

「けしからん」とか「上演すべきでない」と主張するほど教条主義的ではありませんが,二度と見たいとは思えないなー。いや,精神状態が良好なときに,もう1回くらい試してみたほうがいいのかしらね???
いずれにせよ,私にとって『じゃじゃ馬馴らし』は,思想信条面で(?)チューダーの『火の柱』と並んで苦手な作品のようです。とほほ。

(02.2.14)

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