ラ・バヤデール(新国立劇場バレエ団)

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振付:マリウス・プティパ  演出・改訂振付:牧阿佐美  アドヴァイザー:ボリス・アキモフ  振付指導:ゲルマン・シートニコフ

作曲:レオン・ミンクス  編曲・指揮:ジョン・ランチベリー
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

舞台美術・衣裳・照明:アリステア・リヴィングストン

   11月19日  11月23日
ニキヤ 宮内真理子 アンナ・アントニーチェワ
ソロル 小嶋直也 カルロス・アコスタ
ガムザッティ 西山裕子 田中祐子
ハイ・ブラーミン
(大僧正)
佐藤崇有貴 ゲンナーディ・イリイン
マグダヴェヤ   奥田慎也 根岸正信
黄金の仏像 根岸正信 小嶋直也
トロラグヴァ 逸見智彦 市川透
ラジャー(王侯) 長瀬信夫 佐藤崇有貴
アイヤ 堀岡美香
ジャンペの踊り 大森結城,前田新奈 遠藤睦子,斉藤希
つぼの踊り  湯川麻美子 中村美佳
《パ・ダクション》
ブルー・チュチュ
大森結城,西川貴子,前田新奈,川村真樹 大森結城,西川貴子,前田新奈,湯川麻美子
《パ・ダクション》
ピンク・チュチュ
遠藤睦子,柴田有紀,高橋有里,中村美佳  遠藤睦子,柴田有紀,高山優,西山裕子
《パ・ダクション》
アダジオ 
山本隆之,オリバー・リドー 逸見智彦,奥田慎也
《影の王国》 
第1ヴァリエーション
中村美佳 前田新奈
《影の王国》  
第2ヴァリエーション
高橋有里 西川貴子
《影の王国》  
第3ヴァリエーション
柴田有紀 大森結城

 

00年11月19日(日)

新国立劇場(オペラ劇場)

 

実のところ,内心心配しながら見にいきました。何しろ前日がルジマトフ+キーロフの『バヤデルカ』ですからねえ。その翌日に小嶋+新国立で同じ演目を見て,失望落胆するようなことがあったら,私はどうしたらいいのやら・・・(笑)。
結果としては,これは全くの杞憂で,たいへん楽しめました。

小嶋さんは,ソロは「もうすばらしくて〜。うっとり〜」ですが,パ・ド・ドゥ・ダンサーとしては,率直に言って落第点(ごめんねー)。演技は,苦悩するところはなかなかいいのですが,愛情表現は少々幼い(ごめん。ほんとにごめん)。いやその・・・神殿に向かって投げキッスをしたりするのだけれど,たいして効果的でないのよ。
つまりは,よくも悪くも「小嶋直也らしさ」が顕著に出た舞台で,その結果・・・「問題点があろうとも,このダンサーの魅力に抗うことはできない」,ひらたく言えば「それでもやっぱり大好きなの〜♪♪♪」と自覚することができて,たいへん印象に残る舞台でした。

そして,なんと言っても「影の王国」で,キーロフより長い3段の坂を下りてくる32人のコール・ド・バレエの見事さ!
2月にこの場面だけが上演されたときは,「32人揃えたことが立派」という感じだったのですが,今回は踊りも立派で,バレエ団のファンとして,とても感激しました。舞台上にそろってから多少ぐらつく方もいましたが,感興を殺ぐほどではないし,全体として夢の中の聖なる存在の雰囲気があるのが立派です。
その他のシーンも「グランド・バレエ」という言葉がふさわしいできばえで,私の中では,この時点では,新国立がキーロフに勝ちましたね,うん。(笑)。

 

さて,芸術監督牧さんの新演出は・・・

影の王国のあとに短い結婚式の場がありますが,その前までのシーンで踊りを刈り込んでいるので,全体としては,かなりスピーディーに進む印象。(カーテンコールを含めて約3時間)
例えば,1幕2場の冒頭では,藩主がガムザッティにソロルの肖像画を見せる場面はなく,いきなりソロルが登場しますし,ニキヤと奴隷のパ・ド・ドゥもありません。(・・・もしや男手不足で奴隷役を踊れるダンサーがいなかったとか?)
婚約式でも,壷の踊りはあるが,インドの踊り(太鼓の踊り)はない。(・・・やはり男手が足りないからかしらん? まあ,なくても話の進行には差し支えないけれど,でも,この踊り大好きなんですけどー。)
2幕でも,ニキヤの花篭の踊りがなくなっていたような記憶が・・・。(←これは,ちょっと自信がないです。別の音楽で短い踊りがあったのだったかしらん・・・。今度情報センターで確認してこよう。)

この演出の最大の特徴は,神殿が崩れたあと,ニキヤは天上に去り,残されたソロルは死に至り,ついに現世でも来世でも結ばれない,というところにあるようです。(さすがは女性の演出ですねえ。)

私はこれも気に入りましたが,それ以上に独創的だと思ったのは,2幕の幕切れ。
婚約式の最後,ニキヤが息絶えたとき,ソロルがどうしたか?・・・ニキヤの亡骸にすがって嘆くわけでもなく,ガムザッティの手をとって立ち去るわけでもなく,なんと,その場から一人で走り去ってしまう!!!
そのまま,3幕の冒頭,自分の部屋に走りこんでアヘンを吸う,というところにつながるらしいのですが(だから,ソロルは2幕も3幕も同じ衣装),修羅場から遁走するこの幕切れこそ,ソロルの「人となり」に最もふさわしいかも〜(笑)。

いやあ,面白かったですねえ。装置や衣装までキーロフとすっかり同じ『眠り』や『くるみ』を見せられるより,ずっと興味深いです。とにもかくにもこの演出は,世界中でただ一つ,ここのバレエ団しか上演していないわけですから。

 

宮内さんは,神に仕える清らかな聖女の趣で登場しました。
1幕のソロは楚々としているし,言い寄る大僧正を拒むところは,潔癖な少女のよう。婚約式で踊るところはひたすら悲しげですし,3幕は安定したテクニックで踊りながらも消え入りそうな感じ。まさに「影」でした。

小嶋さんは,2人の女性を両天秤にかけるとかガムザッティの魅力に惑わされるというところは全くなく,周囲の状況に押し流されて何もできないでいる,これ以上(以下?)ないほどの情けないソロル。
心変わりはしていないようでしたが,愛を貫く気概もない。あなたほんとに戦士なの? 作品の冒頭で見事なグラン・ジュテの連続で舞台に登場したのはいったい何のためだったのよ! と叱りつけたいよう(笑)。
でも,2幕でも3幕でも誠実に苦しんでいるので,私は大いに同情しました。・・・とってもかわいそうだったの・・・。(うふふ)

この2人が一緒に踊るとどうなるかというと・・・ううむ・・・愛が足りませんですねえ。淡白というかなんというか・・・。1幕の逢引からは恋の喜びも不安もあまり感じられませんし,別れるときはあっさりしている。3幕には対話がない。もっとも「影の王国」に関しては,儚げなニキヤと悔恨に暮れるソロルで,ニキヤは完全にアヘンによる幻に見えましたから,それもいいと思いますが。
技術的なパートナーシップもよくなかったです。小嶋さんのサポート技術にも問題があるのでしょうが,それに加えて「舞台を使うときの広さの感覚」のようなものが互いに違っていたのではないかなあ。

パートナーシップという意味では,ガムザッティとソロルのグラン・パのほうは,もっと悲しいでき。(とほほ)
それぞれのヴァリアシオンは立派でしたし,権力者の家の婚約式にふさわしい格式が感じられる踊りだったのですが(小嶋さんは特に見事♪),アダージオが・・・。組んで踊るときもイキが合っていませんし,離れて同じ動きをするところは跳躍のタイミングや高さが全然違って・・・ああ,悲惨だったわ・・・。
組むのは初めてとはいえ,劇場のダンサー同士なのですから,あれはないと思う。リハーサルをちゃんとしなかったのではないかと疑いたいようで・・・素人目で判断するに,たぶん男性の責任でしょう。私でさえ呆れるのですから,西山さんのファンはどんなに怒っていることか・・・。小嶋くんたら,なんで私がこんなコト書かなくちゃならないような踊りをするのよー(泣)。

話の順番が逆になりましたが,西山さんのガムザッティは気位の高い姫君。
首がほっそりと長く,立ち姿が美しいので,引き合わされたソロルがこの手を取るのを拒むのは難しかったろうなあと思わされますし,ニキヤとの対決シーンは,おとなしいが芯は強い感じの宮内さんの演技ともかみあって緊迫感がありました。身分の高いお姫様ならではの威圧感が感じられ,ニキヤが短剣を手にするほど追い詰められた心境になったのが納得できる感じ。

佐藤さんの大僧正はきらびやかな悪役。衣装以上にキンキラした感じがするのがすばらしい♪
そうそう,その他の僧侶たちは,西洋人が演ずるこの作品の僧侶たちより宗教的な感じが出ていて,とてもよかったです。(ヒンズーというよりは,仏教僧の趣でしたが)

婚約式での湯川さんの「つぼの踊り」は,とても達者でチャーミング♪
ブロンズアイドルは,キーロフ同様この場面で登場。輝く全身に驚く・・・何しろ終わった後,舞台の床に金粉が残っていたらしく,ピカピカと光っていたくらい。

 

「影の王国」の最後で,ニキヤは踊りながら下手に去ります。ソロルはそれを追って上手から登場,そのまま下手へと走りこみます。(勢い見事♪)
舞台は暗転し,ソロルの部屋に戻ります。溶暗の中,半ば覚醒したソロルが現れ,彼の眼前にはニキヤとガムザッティの争いの全貌が・・・。その光景に(あるいはニキヤに?)駆け寄る彼の前にはガムザッティ親子と大僧正が現れ,そして後ろからはトロラグワも。
そこは神殿の前。今日は結婚式の日。
逃れようとするソロルをトロラグワが押しとどめ,彼は屠殺場の羊の如く結婚の誓いの場へ・・・。(ほんとに情けない・・・)
ガムザッティとソロルが結婚の誓いのポーズをとった瞬間,神殿は崩壊。(実際にセットが崩れました。)人々が逃げ散る中,崩壊する中にとどまるソロル・・・。
崩れ去った神殿の後ろからは,影の王国のあの岩山が現れ,悲しげなニキヤが白いベールを手に,3段の坂を登っていきます。重症を負ったソロルは必死に彼女の後を追い,やっとベールの端を掴み,這うようにして坂を登りますが,ついに力尽き,死を迎える・・・。ベールを靡かせて,振り向くことさえせず消えていくニキヤ・・・幕・・・。

私は,この結末がかなり気に入っています。

神殿が崩壊するときには,ニキヤは現れませんから(※),ソロルがその場にとどまったのは,自分の不甲斐なさに絶望し,自暴自棄になって,死にたかったからなのでしょう,たぶん。そして,最後に現れた影の王国と同じ風景とニキヤは,死にかけたソロルの見た幻だったのだろうと思います。

※ 後日情報センターの映像を見たら,登場していました。すみません。記憶違いでした。

幻の中でさえ結ばれなかったニキヤとソロルは哀れですが,宮内さんのニキヤはソロルへの愛よりは自分の悲しみの中にいるように見えましたし,小嶋さんのソロルは,この運命になるのは己の弱さの罪,もしハッピーエンドになったら(来世あるいは自分の夢の中であっても)甘すぎる,という感じでしたから,それでいいのだと思います。

惜しむらくは,この辺りの小嶋さんの演技が少々段取りの芝居であったこと。新作の第3キャストではやむを得ないかと思いますが,再演のときは,もっと切迫感のある演技をお願いしたいなー,と思いました。

 

細密画のような意匠の装置や装飾品の多い衣装が美しく,「う〜ん,堪能したわ〜」という満足感がある舞台。
「影の王国」の場面は,前日見たキーロフと違って紗幕なしでしたから,輪郭がくっきりとして,ひんやりとした印象の美しさ。そうか,これはヒマラヤの麓での物語でもあったのだなあ,と新たな発見もありました。

(02.4.3)

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ラ・バヤデール(新国立劇場バレエ団)

00年11月23日(祝)

新国立劇場(オペラ劇場)

公演最終日は,ゲスト中心の第1キャストによる上演。

ニキヤは当初グラチョーワの予定だったのですが,妊娠のためチケット発売開始前に降板し,同じボリショイからアントニーチェワが登場しました。ニキヤ役で定評のあるグラチョーワの出演がなくなったのは劇場としても痛かっただろうと思いますが,ボリショイが代わりに派遣するバレリーナとしては,妥当な人選だろうと思います。

彼女の踊りは,世界バレエフェスティバルやボリショイの『ロミオとジュリエット』全幕で見たことがありますが,正直に言って,私はあまり好きではありません。
手脚が長くて頭が小さく,見事なプロポーションですし,ボリショイのプリンシパルですから技術も表現も上手なのですが,動きに品が足りないような印象で・・・。
この日も,悲恋の主役の雰囲気はあるのですが,神殿に仕える巫女には見えませんでした。

アコスタは,全幕のソロルは今回が初めてということでした。
彼を見るのは2度目。以前見たのは,暗い中でダンサーが入り乱れて踊るコンテンポラリー作品で,おまけにその入り乱れている中に小嶋直也がいたので,アコスタについてはほとんど印象に残っていないのでした(笑)。
アフリカ系の容姿から男性的で豪快なダンサーかと想像していたのですが,柔らかい跳躍,演技も上半身の感情表現も上手でありながらやりすぎではなく,パートナーとしての力量も十分。立派なダンスール・ノーブルで,嬉しい驚きでした。

 

それ以上に驚嘆したのは,ガムザッティの田中祐子。
もともとドラマチックな役や大人の女性の役を得意とするバレリーナですから,ガムザッティにキャスティングされたときも,(登録ダンサーでもない方が出演するのは納得できない,劇場のダンサーを活用しろよー,と怒りはしたものの,)なるほど適役だろうなあ,とは思っていましたが,これほど見せてくれるとは・・・。

黄色い衣裳がたいそう似合って,圧倒的な美しさ。(私がアントニーチェワに興味がないせいもあったかもしれないけれど)ニキヤには目がいかないほどの貫禄で,ほんと,すばらしかったです〜〜♪♪♪

特にすごいと思ったのは,ニキヤとの対決シーンの始まり,部屋に入ってきたニキヤを足下にすわらせる場面。「ここにおすわり」というマイムの,手首を曲げるだけの動きが,いやー,怖いのなんのって・・・。ニキヤの顎に手をかけて上を向かせる動きも,実に高圧的。片手の動きだけで,寺院の舞姫など歯牙にかけていない,権力者の傲慢さを見事に表現していました。
ニキヤを殺すのも,ソロルへの愛の障害だからではなくて,下賎の女が自分に逆らったことが許せなかったから罰するという感じ。「殺すのはいつでもできる。でも,普通に処刑なんてつまらない。私とソロルの晴れの場でみじめに死んでいくのよ,おほほほ・・・」というコトだったに違いない。ああ,怖いわー。

 

2幕に入っても,田中祐子は絶好調♪ アコスタの堅実なサポートもあって,グラン・パは見事。
ヴァリアシオンも,(技術的に完璧というわけではないですが)「この舞台上で一番偉いのはもちろん私,一番美しいのは当然私」と言わんばかりの輝きと迫力で,見ていて惚れ惚れしました。

同時に,この場面でのソロルの幸せそのものといった感じの踊りには,唖然・・・。にこにこしまくっちゃって,いいのか,こういうことで???
ガムザッティの富と権力と美しさに夢中なのかしら,聖なる火の前でニキヤに愛を誓ったことなど,完全に忘れているとしか思えない。
そんなに何人もこの場面のソロルを見たことがあるわけではないし,陰翳入りまくりのルジマトフが刷り込みになっているせいもあるのかもしれないけれど・・・ううむ・・・???
いや,アコスタの場合,1幕のニキヤとの場面も,密会というよりは高校生のデートみたいに嬉しそうだったけれど,この場面の晴れ晴れとした,脳天気に幸福そうな表情を見ると・・・いくらなんでもいかがなものか??????

と首を捻る中,ガムザッティとソロルは幸せそうに上手の椅子に腰を下ろし,手を握り合う・・・そのとき,おどろおどろしい音楽(のように,この日は聞こえた)とともに,下手からニキヤが登場・・・。突如としてあわてふためくソロル・・・。

あははははは。いやー,笑っちゃいましたよ。だって,「エリート社員が社長の娘との縁談に乗って,高級ホテルで披露宴のそのさなかに,別れたはずの恋人が・・・」の図みたいなんだもの。あははははは。(笑い,止まらず)
そう思って見るせいかもしれないけれど,アントニーチェワの踊りは,心から悲しんでいるというよりはあてつけがましく見えるし,田中祐子のほうは眉一つ動かさないのよ。2人の女性にはさまれて,1人おろおろするアコスタ・・・(大笑いー)・・・。

うん,たいへん面白かったです。
でも,こういうふうに面白がっていられるのは,この日のお目当てがブロンズアイドルで,(たいへん失礼ながら)主役にはたいして関心がなかったからかもしれません。カタカナ名前の主役が一番感動的に違いないと思って,この日を選んだお客様は,お気の毒だったと思うなー。

 

さらに納得がいかないのは,3幕のアントニーチェワの踊り。
1週間に3回主演で体力が尽きたのか,2幕と3幕の間に新国立かアコスタが彼女のご機嫌を損ねるようなコトでもしたのか,はたまた帰りの飛行機の時間が気になったのか(←まさか),とにかく「流している」としか思えない踊りで,新国立の舞台で,あんなに力の入らない踊りを見たのは初めてです。
特に,コール・ドが,公演を重ねた成果か,最終日で特に気合が入ったからか,19日を上回るできだっただけに,肝心の主役のやる気のなさ(と見えた。失礼で彼女に申し訳ないとは思うけれど,そう見えました。)には,呆れ,かつ,憤慨しました。
ああいう踊りに盛大に拍手をしてはいかんですよー。

アコスタは,このパートナーを支え,最後まで立派なでき。「影の王国」での「追憶の愛」はもちろん,最後のシーン,引き止めるトロラグワを振り切って,崩れ落ちる神殿に飛び込むシーンの迫力もさすが。
ただ,物語全体としてどういうソロルを見せたかったのでしょーか? その場その場の気分で行動する,なーんにも考えていない,戦争にしか役に立たない男ですか? などと文句を言いたくはなりましたねえ。

 

イリインの大僧正は,苦悩する聖職者の趣。怒りや嫉妬の表現が弱いのが惜しまれます。
影の王国のソリストは,今日は長身のバレリーナを揃えていて視覚的にもきれい。特に,第1ヴァリアシオンの前田新奈の軽やかで美しい動きが印象的でした。

ブロンズアイドル(黄金の神像)は,それはもう見事でした〜♪♪♪
プロポーションがいいので,ほとんど裸に近いあの金ピカの衣裳(というのか,あれは?)も似合いますし,動きに品格があり,存在感もあるので,ありがたい仏像に見えます。技術的にも,もちろん見事。
ただ,致命的な欠点が一つだけあって・・・この役をキャラクテールだと考えれば,やはりノーブルすぎるのでしょうねえ。

 

この日は最終日だったからでしょうか,カーテンコールでコール・ドだけが舞台に並ぶ場面がありました。
この大作を上演する上で,この32人のコール・ド・バレエは,ニキヤやソロルやガムザッティと同じくらい重要なわけです。いえ,外から借りられないのだから,むしろ,より重要とも言えましょう。
彼女たちだけによるこの一場はステキな計らい。会場からは,大きな拍手がわきました。
私ももちろん,最大の功績者たちへの感謝を込めて,熱烈な拍手を送りました。

(02.4.5)

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04.01.01から