ベネズエラ水害の調査で私の感じたこと
約1年前に軍人大統領による政権が誕生して以来、国民は戸惑っているようです。軍が力を持ち、町のあちこちでその力を行使して人々を仕切る、といった状況を、ベネズエラ国民はこれまで経験したことがありません。だから、大統領のやり方に不満を覚えてもどのようにそれを訴えていっていいのかさえわからないような印象です。
CARACAS市内のPOLIEDROという避難所に行きたくてYMCAを通じてずっとお願いをしていたのですが、結局軍の許可が出ず行くことができなかった。なぜその避難所に行きたかったのか。それは別のよく整備された避難所を訪れたとき、10歳ぐらいの子供二人が「POLIEDRO避難所では皆が床の上に薄い布を敷いただけの状態で寝かされている」と私に言ったからです。新聞にも少しですがPOLIEDROのひどい状態について書かれていました。しかし軍は私だけでなく、NGOを含めてあらゆる民間人を入れることを許していません。YMCAの方は、そういうひどい状態で被災者が生活していることを誰にも知られたくないのだろう、と言っていました。
また大きな援助はすべて政府、軍を通じ、軍によって配給されます。もし、ホンジュラスと同じように横流しや横領が行われていたなら、それを告発したり止めさせたりするのは非常に困難なことでしょう。
いかに軍の目を抜けて活動をして行くか、これがベネズエラでの援助活動でのポイントになるのではないか、と思います。
金井優子
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