AYUCA・金井優子の現地報告日記10

 現地で活動している当会・金井優子の報告です('99年10月29日〜11月16日)。


10月29日(金)

崩れかけた橋(シリン)  先週末からの降り続く雨によって、とうとうトルヒーヨのすぐ近くのシリンという所にある橋の一つが崩れかけた。それによって、ここは大型の車が通れなくなってしまった。また、そこから更に車で5分ほど行った地点の道路が約7〜8m崩れ落ちてしまった。ここはもう、全く車が通れなくなってしまった。つまり、ここトルヒーヨは、ハリケーンが来た時のように島状態になってしまったのだ。
 ハリケーンのときと同じように、この情報を知った人々が食料やガスボンベ、ガソリンを買いだめし始めた。この日の夜には、一切のガスボンベがこの町中の店から消えてしまった。またハリケーンがやってくる可能性がある、という情報も流れた。みんなが、ちょうど1年前にここを襲ったハリケーンの事を再び思い出し、不安に陥っている。


11月 1日(月)

 調子の悪いパソコンを直すために、ラセイバに向かった。道が完全に崩れてしまった所まで、家族のお父さんに車で送ってもらった。崩れた所は、歩いて渡るしかなかった。そして、ちょうど私がここを渡った時、脇に車が通れるよう、土を盛って臨時の道を作り始めた所だった。ここを渡った所に、バスが既に待機していた。しかし、バスは出発時間が決まっていなくて、人がある程度乗れば出発するといったものだった。
 やっとバスが動き出した。そして、私はバスの中から、ハリケーンが来た時と同じような光景を目にした。道の両側は、まるで湖のように水でいっぱいになった畑、川が見られた。みんなが驚き、恐怖に黙り込んでしまった。そして、再びバスを乗り換え、目的地のラセイバに到着した。
 本当だったら、ラセイバから同じ日にトルヒーヨに戻る事ができるのだが、バスがトルヒーヨまではなく、乗り換えをしたとしても、同じ日にトルヒーヨに着く事は無理だった。そのため、この日はラセイバで一泊した。


11月 5日(金)

 今日の午前10時ごろ雨が止んだ。そのためバスでブエルタ・グランデに行く事にした。昨日、尋ねたところブエルタ・グランデ行きのバスが走っているという事だったので、昨日聞いた時間に合わせて、バスの着く場所に向かった。確かにバスはあった。しかしバスはラプランチャという所までしか行かないといわれた。というのも、このラプランチャの橋が水に浸かって通れなくなっているからだった。そのラプランチャを渡った所からは、別のバスが走っているという事だったのだが、果たして私が戻る時にそのバスがあるかどうかも分からなければ、状況によってすぐにバスが通らなくなるという事だったので、今日は村に行く事を止めた。
 今日は夕方頃まで雨が降らなかったのだが、その後再び雨が降り出した。久々に洗濯をしたのに、また濡れてしまった。いつ、この雨は止むんだろう。
 また、ラセイバからすこしトルヒーヨ側のところにあるフティアパという付近の道が崩れ、通行不能になるという情報を聞く。これで、ラセイバへの道がなくなってしまった。


11月 6日(土)

 今日もずっと雨。とうとう、サンタ・ロサ・デ・アグアン行きのバス(ラプランチャまでの)がストップしてしまう。また、フティアパの道がすぐに直されたにもかかわらず、今度は同じくフティアパの橋が崩れると聞く。これで再びラセイバへの道がなくなってしまった。
 ずっと降り続く雨の為、このところ肌寒い日が続いている。右足のひざが痛み出した。


11月 7日(日)

 今日も1日中雨。昨日崩れたフティアパの橋が、standart fruit company(フルーツ会社のDole。ホンジュラスにはDoleの農園がたくさんある)によってすぐに直されたと聞く。
 ハリケーン前は、standart fruit companyはトルヒーヨの近くにあるプエルト・カスティーヤという港を使っていたのだが、ハリケーン後この地域一帯が被害に遭い、橋や道路が崩れたり、また、崩れる事は免れたものの、いつ崩れてもおかしくないといった弱い状態になってしまった。そのため今は、コンテナをこの港まで運ぶ事ができなくなり、ラセイバ、サン・ペドロ・スーラを通り、プエルト・コルテスという港まで今はコンテナを運んでいる。このルートの途中にあるフティアパの橋は、彼らにとって、大変重要なものだったので、すぐに直したというわけだった。
 もし、standart fruit companyがハリケーン後もプエルト・カスティーヤの港を使っていれば、崩れたシリンの橋や道があっという間に直ったのに、とみんなが口をそろえていっていた。この国の再建は、他の国からの援助がない限り無理な事だと実感させられた。


11月 8日(月)

 今日も朝からずっと雨。


11月11日(木)

 今日の朝、久しぶりに太陽を見た。たまっていた洗濯物を洗い、干してから、活動地域にバスで向かうことにした。車で行ってもよかったのだが、まだ運転を始めたばかりで、道がどういう状態なのか分からない中を運転するのは危険だと思い、バスを使うことにした。
 バスはトルヒーヨからトコア行きが走っていた。しかし、活動地域へのバスは、まだこのトルヒーヨからは全く出ていなかった。しかし、ラセイバからラプランチャまではバスが出ているということを聞き、ひとまずそのバスが来るというアグア・アマリーヤまで行くことにした。しかし、そこで、そのラセイバから来るというバスは、ラプランチャまで行くが、すぐにアグア・アマリーヤに戻り、次の日まで動かないという情報を聞く。ラプランチャまで行くバスというのは、この1本しかなく、これは帰りのバスがない、ということを意味していた。そのため、今日は活動地域に行くことをあきらめた。
 シリンの崩れかかった橋は、その上に一回り長めの鉄の橋を載せて、何とか車を通れるようにしていた。また、崩れた道は、その脇に大きくカーブを描くよう、土をいっぱい盛り、道を作っていた。しかし、この道は、本当に土を盛っただけなので、再び大雨が降れば、すぐに崩れてしまうと思われる。本当に、早くこの雨が止むことを誰もが祈っている。


11月12日(金)

 今日も朝から全く止むことなく、雨が降った。トルヒーヨの近くの道が以前崩れて通行不能になり、その後その崩れた道の脇に土を盛り何とか車が通れるよう道を作ったのだが、そこが再び崩れてしまった。この道を作る時、この道の下に水が流れるよう、土管を1本通していたのだが、それだけでは水が流れきらないほど大量の雨が降り、逃げ場を失った雨水が、この道を崩してしまったというわけだった。次は土管を2本通して、同じく土を盛るだけの道を作るらしい。一体いつここが回復するのか、分からない状態。回復するまでは、ここから一歩も外に行けない。
 また、ラセイバの手前にあるカングレハルという川に架かっている橋の一部が崩れてしまったという情報を聞く。もともとこの橋は、ハリケーンMITCHによって、橋の4分の1ほどが崩れてしまい、その崩れてしまった個所に、ただ大量の土を盛り、車が通れるようにしていた。そんな中途半端な状態で全く工事をしなかったので、いつかはこういう日が来るのではないかと予想できた。これで、ラセイバへ入ることができなくなってしまった。
 また、トコアから更にラセイバに向かってすぐのところにあるサン・ペドロという川が氾濫し、ここも通行不能になってしまったという。
 本当にあちこちで、被害が出ている。一体いつになったら、この雨は止むのだろうか?


11月13日(土)

 今日も1日雨。まだ、崩れてしまった道が回復していない。また、活動地域に行く分かれ道から少しトコア方面に行ったところの道が決壊してしまい、川状態になっているという。ここも通行不能になっているらしい。


11月14日(日)

 今日も雨。まだ、崩れた道はできていない。活動地域への分かれ道からコロシートまでが、湖状態になっているという情報を聞く。アグアン川が氾濫したためらしい。
 また、サバ(Saba)の橋も崩れてしまったという。
 本当に、全くここからどこにも行けない状態になってしまった。


11月15日(月)

 サンタ・ロサ・デ・アグアンへの分かれ道から少しトコア方面に行った道が決壊し、川状態になっているという場所に行った。ちょうど着いた時、一人の男性が、川を歩いて渡っている最中だった。川の一番深い所では、男性の胸まで隠れるくらいの水かさだった。全く車なんて渡ることなど不可能なくらい、水量があった。
 また、ラプランチャで、約2週間くらい前に、18歳くらいの青年が溺れて行方不明になったという情報を聞いた。まだ、見つかっていないらしい。一体この雨は、いつまで続くのだろうか。


11月16日(火)

 今日は、少し午前と午後に雨が降ったくらいで、後は曇り空ではあったが、何とか雨が降らずに、たまっていた洗濯物がすべて乾いた。決壊し、川状態になっていた道、またカングレハルの橋が何とか回復したという情報を聞く。しかし、サバの崩れた橋は、回復に相当時間がかかるらしく、ラセイバにいくにはハリケーンMITCHが来た時のように、ソナ・ゲラを通って行かなくてはならない状態となった。しかしそれでも、何とかラセイバ、サン・ペドロ・スーラといった主要都市への道が回復したので、良かった。
 しかし、サンタ・ロサ・デ・アグアンへの道は、まだ全く回復の兆しがない。ここもまた、MITCHが来た時のように、カヌーに乗り継いでこれからは行かなくてはならないと思われる。とにかくこのまま雨が止んでくれればいいのだが。


 ←前の日記を読む


メイン現地日記 現地からの報告 日本での活動 AYUCAについて 義援金受付 送ってください! 会員募集 ホンジュラスについて 活動地域地図 関連リンク 事業報告 AYUCA連絡先

AYUCA - ayuca@home.email.ne.jp