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 『紅葉ノ、滴ッテルノ。ヨク見エルダロウ?』
 答えの代わりとばかりに、震える唇が一度俺の瞼に触れた。
 「結構」
 紅葉らしいありように、満足して頷いて、より深い快楽を引きずり出してゆく。俺の指が紅葉の
肉塊を扱き立てるのとほぼ同じきつさで、紅葉の指が俺を擦りたてた。
 時折度の過ぎた快楽が紅葉を襲うのは、意地で動かされている指が、ぴたりと止まってしま
うのでよくわかる。
 「このままいっとくか?」
 「…龍麻…は」
 「紅葉の指も気持ち良いけど。もっと堪能したいからまだイけないと思うが?」
 俺の快楽を引き出すことに喜びを見出し始めている、紅葉の愛撫の手を堪えるのは並大抵
ではなかったけれど、まだ紅葉の乱れる様を見ていたい。
 限界はいつでも目の前にあったが、遠ざける努力はおしまないつもりだ。
 「じゃ…僕も、まだ……いか、な……い」
 「それでもいいけど。紅葉は一度いっといた方がいいんじゃないかな」
 指と掌と……手の甲を使ってぬるつく紅葉の肉塊を、焦らすよりもいかせる意図を持って蠢か
した。
 最近の紅葉は指の節々で血管をなぞってやるの、がお気に入りで、根元に手の甲をあててか
ら一番節くれだっている中指で肉塊の裏のラインを滑らせれば甘い悲鳴が絶え間なく零れ落ち
た。
 「…ん…あ、そ……こは、とめ……て…く…」
 「感じすぎるからってか。確かに凄いよな。どんどん溢れてくるんだからよ」
 メインに使っている右手はすっかり紅葉が少しづつ吐き出す粘液にまみれてべたつく。
 濡れた手で休まずに扱くものだから、俺の右手は乾く間もなく紅葉のものでてらてらと光る。
 「うーん。このままいかせるのも悪くないけどー。やっぱ、俺。中に入りてーわ」
 「中にって、このままじゃ…着物がひどく皺になってしまう」
 「紅葉さん……今更何を言い出すんでしょうかね?…ま、そんなに着物が気になるんでしたら、
着物を汚さないように頑張って頂きましょうか?」
 不意に真剣な顔をして悩む紅葉が可愛くて、比較的普通のままの状態だった左手で紅葉の
後頭部を掴んで引き寄せてから、唇を啄ばむ。
 薄いくせに弾力があってちょっとだけ甘味のある紅葉の唇は、キスだけでギネスに挑戦でき
そうなくらいに、長くしていたいという気にさせてくれる。
 つい夢中になりかけて、慌てて…無論その慌てっぷりは紅葉に悟られないように細心の注意
を払って…唇から意図を引かせながら離れた。
 「乗って、入れて?それが二番目にいい方法だろう」
 「……聞くまでもないけど、一番良い方法は?」
 「勿論全部、脱いでいただく事でしょ。でも、俺。着物着たままってシチエーションで頑張っても
  らいたいんだよなあ」
 俺の愛撫の手から逃れようと悶える紅葉の太ももと陰部が、着物の裾から見え隠れするのが
なんともいやらしい。
 SEXは視覚効果を侮っちゃあいけないだろう。
 それは受け手である紅葉よりは俺に言える話だけれども。
 「紅葉はずっと目を閉じてるから、わかんないだろうけど。見てそそられるって、すんげえある
  んだぜ」
 「……知っている、よ」
 「ふん?」
 俺の体を跨ぐような格好で座っている紅葉が、ずいっと腰を動かして俺の顔を覗き込んでくる。
 「目を開かなくても、知ってる…これが」
 ぎゅっと爪こそ立てないけれど、堅く俺の肉塊を握り込んで秘所に押し当てる。
 「僕が……乱れる、と…龍麻の、これ……が」
 すうっと深く息を吸い込んで、自分の指で軽く広げた秘所に俺の肉塊の先端を銜え込んだ。
 「…硬く…なるから……」


 薄く開かれた瞳には既にうっすらと水の膜がかかっている。
 俺を感じるにつけやらわかく淫らに濡れていく体と同様に、紅葉の瞳が歓喜の涙を湛え始める
この時間も、俺の好きな瞬間の一つ。
 「硬いだけじゃないぜ…」
 手首の部分でクロスさせた両腕で俺の胸を抑えて、ゆっくりと俺を飲み込もうと体のバランスを
取っている体勢はひどく危うげだ。
 瞳を閉じて自分のペースで腰を落とそうとする紅葉の、利き腕である右手をぐいっとばかりに
ひっぱる。
 不意に崩れたバランスを立て直す気力なんて今の紅葉にはなく、右に傾いだ身体は不用意
に俺の肉を半ばまで銜え込んだ。
 凄まじいばかりの締め付けに腰が砕けそうになったが、こんな時騎乗位という体位は強い。
 渾身の腰のリバウンド一つで紅葉の腰が軽く浮いたかと思うと、一気に根元まで銜えさせてし
まった。
 「深い……だろ」
 「……龍麻あ…少し、は……人の、身体……考えて」
 「腰を使えってか?だって紅葉が『足りない』って感じで締め付けてくるからさ。仕方なく…だ
  ぜ」
 あれだけ勢いよく俺を飲み込んでおきながら出血の一つもないのは、心身共に準備OKって
奴。
 男同士で抱き合うってのは想像しているよりも甘やかなものではない。
 ましてや俺のこれが、商売してる女でもてこずるサイズとあっちゃあ笑ってもいられないわけ
で。
 俺は鬼畜非道だと自分でも重々承知しているけれど、紅葉を抱く時は細心の注意を払って
いる。
 ま。
 お仕置きの時は、そんな悠長なこといえないけどさ。
 「龍麻が仕方なく……なら。僕は…しぶしぶって、ところかな?」
 「しぶしぶでこれじゃあ、ノリノリの時はどんな風になっちまうんだろうな」
 ゆるゆるとした円運動だけで紅葉の中が俺に慣れてくるのを待ちながらの、他愛も無いしゃ
べりの中。
 紅葉の内部がきゅうきゅと俺を締め付けだした。
 後五分も続けていれば紅葉自ら腰を振り出す所だろうが、俺のほうも刺激が足りなくなって
きた。
 これだけ締め付けられた日には、突き上げて差し抜きたいという獣じみた欲求がこみ上げ
て、止まらない。
 優しくしたいとは常々思いながらも、その身体を貪り尽くしたいという原始の衝動に勝てた
例はなかった。
 紅葉の腰を掴むと、ぐっと奥を抉った。
 「……は…あ…」
 背中を丸めた紅葉が胸の奥が罪悪感で軋むほど、指に力を入れて衝撃に耐えていた時間
は短い。
 突き上げたくらいの愛技ならば、紅葉の秘所はたやすく受け入れて、すぐさま更なる上の刺
激を欲しがり出すのだ。
 「爪…」
 「んあ?何、紅葉」
 「腰の所…爪…は」
 俺の胸についていた掌が、腰にある俺の掌を包み込んでいる。




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