使い終わったタオルが手から取り上げられて、もう一度コップが渡される。
水はまだ、冷たいままだ。
「壬生サン眺めてると、一晩中でもいけます!」
「……ちゃんと、寝なさい」
「一緒に寝てくれますよね?だったら、壬生サンが寝付いたら、眠りますよ」
グラスを空けると、雨紋が両腕を広げてくるので、大人しく腕の中に収まった。
年下なのに、彼は人を甘やかすのに慣れている。
僕が甘えてみせるのがとても不得手なせいかもしれないが、先回りしてくれるのは、何かとあ
りがたい。
「何時間ぐらい寝ますか?」
「二時間で大丈夫だ。起きたら夕飯を作ってあげるよ」
目覚し時計をセットする雨紋に返事をする。
「やりぃ!」
「買い物には出た方がいいかな」
「食材、適当に買ってあるとかいったら、怒ります?」
「後で冷蔵庫を覗いて考えるよ。君に任せると、肉ばっかりになるからなあ」
好き嫌いもほとんどなく、何でも美味しく食べてくれるのだが、どうにも肉が好きなので、買い
物をまかせるとそればかりになってしまうのだ。
「ホイコーローが食べたいかも、と思って。キャベツはたくさん買ったっすけども」
「じゃ、具沢山の野菜スープも作って。後何品か……少し下準備した方がいいかな?」
「……寝て下さい。手伝うし、待てますから」
ぎゅっと抱きすくめられて、肩がすっぽりと隠れるまで、毛布が引き上げられた。
途端、眠気が襲ってくるから、我ながら現金なものだ。
「わかった。じゃあ、ちゃんと起こしてくれ」
「……紅葉が、目覚ましじゃあ起きないほど、寝汚いなんて、知ってるの、俺だけっすよね?」
無言で、うにーっと頬の肉を引っ張ってやる。
「照れなくてもいいんですって。そんな所にも激ラブなんす」
額に口付け。
全く、この僕が、こんなに甘い恋愛をするなんてね?
思わず苦笑をした僕の唇に、軽く触れてきた雨紋が掠れた声でおやすみなさい、と言うので。
おやすみ、と頷いて、目を閉じる。
眠りの波は簡単に僕の飲み込んでいったけれど、その寝付くか否かのぎりぎりの所で、雨
紋はまた。
僕の寝顔を飽きもせずに見るのだろうな、とぼんやり、思った。
END
*雨紋×壬生
すんません。これじゃあ、ハボロイだあ(苦笑)でも実際雨紋ってこんな人でしたよね?
ひそひそ。
雨紋視点で壬生にめろめろなエロも書いてみたくなってきました。
でも、もすこし完結印が出るまでは、新作には手をつけない……つけないんだああ。