さすがの俺でも服をひん剥いておっぱじめるわけにもいかないので、ここは自
分の快楽を追う事のみをぐっと我慢をして、紅葉の快楽を引きずり出すことに
のみ専念する。
 ズボンのジッパーを下ろし、そっと指を滑り込ませた。
 「……!ん……つ」
 俺の肩口に埋められた唇からは、微か甘い悲鳴が零れる。
 何かを堪えかねた小さな声は、俺以外の耳にはまだ、届かない。
 そそりたつ肉塊に根本から指を絡めて、中指の腹で先端を撫ぜ上げた。
 ぬるっとした液体が指の腹にまとわりついて、愛撫をよりスムーズにさせる。
 「し、こ……、う」
 「ん?」
 額がぐりぐりと肩に押し当てられる。
 それはいやいやと首を振るしぐさを、目立たなくするための苦肉の策。
 「声、げ…んかい」
 「いいじゃねーか。いつもの最中の可愛くて仕方ねー声を聞かせてくれてや?」
 「貴方以外に聞かせても、いい、と?」
 「まだ、そんな口がきけるたー。上等だ」
 挑む色を差した声に、更なる嗜虐心を煽られて紅葉の肉塊をズボンの外側へ
と引きずり出す。
 「や…め…」
 上がりそうになった顔を、首根っこ掴んで押さえつけ声を殺させる。
 コート越しで歯の感触がわかるほどだ。
 その興奮の度合いもたやすく測れる。
 俺以外の者が見れば『変質者さん』な格好になってしまった紅葉の耳朶を軽く
噛みながら、はだけられていたコートを合わせ、更にコートの上から肉塊を握り
込んだ。
 肌に優しいカシミア百%のコートでも、敏感な部分を摩られれば腰もひける。
 びくっと抑えきれなかった反応の後、紅葉の腰が焦れたように蠢いて、そこは
今だ隠されたズボンの下。
 ちょうどいつも苦しそうに俺を飲み込む部分を、ぎりぎりの位置で押し付けて
くる。
 「……し……こ…?……ね、が……っ」 
 きつく押さえつけたので正確に聞き取れないが、掠れた言葉は術中八苦。
 『祇孔?お願いだから』
 「も……れ、て……」
 『入れて』
 電車の中でまぁ、よこもここまで追い込んだと自分を褒めてやりたい。
 潤んだ瞳を僅かに上げ、ゆるくゆるく首を振って見せるのは、天然の媚態。
 ああ、ここでぶち込んだらそれはもう、どうにかなりそうな程気持ちが良いだ
ろう。
 紅葉をさんざんぱら煽ってる俺の方も、まさに臨戦態勢。
 喜んで入れてやるぜ、と言いたいところだ。
 鼻先を紅葉の額に擦りつければ、熱に浮かされたような赤さの唇が俺の鼻
先を捕らえる。
 ぺろりと、嘗め上げられた。
 頭の中で何かがはじける音と共に俺は、電車の振動で大きくよろけた振りを
して、紅葉の首筋を抱えて口付けた。
 誰かに見られるかもしれない衆人環視の中でする口付けは、スリルに満ちて
とんでもないほどに熱く、甘い。
 尻をぐっと持ち上げるようにして、身体を引き寄せれば紅葉の瞳が瞬間蕩け
たように呆ける。
 いった後そっくりの風情に、俺の肉塊は悲鳴を上げた。
 だーっつ!もう限界だ。
 今度は本当に大きく跳ねた電車の振動に合わせて、唇を離しながら紅葉の
肉塊を隠すように、ワイシャツの裾をズボンの外に出した。
 この上でコートのボタンをしてしまえば、剥き出しの紅葉の肉塊に誰も気が
つかないだろう。
 抗議の悲鳴を上げようとした唇に、人差し指をあてる。
 「さすがに、ここじゃあ。やべーだろ?」
 折りしも次の停車駅は、目的地の渋谷。
 道玄坂といえば、なかなかに有名なホテル街。
 出口さえ間違えなければさして歩かず……紅葉の体の熱が引く前に……転
がり込めるはず。
 男同士は禁止だとするホテルは少なくないが、大丈夫な所もないわけじゃあ
ない。
 頭の中でつらつらと良さそうなホテルを並べ、ここぞ!と思う所のアクセスを
考えた。
 「祇孔……」
 全く熱の引いていない声音で名前を呼ばれ、俺は満足げに笑って返す。
 「後、10分だけ我慢しとけ。おかしくなるほど、して、やるから」
 下卑た物言いに、反論もできないほどぼんやりとしている紅葉の腰を抱えて
俺はようやっと渋谷についた電車の扉が開いた途端。
 走るように歩き出した。

                                             END


 

*村雨×壬生
 これを書こうと決めた時、絶対紅葉をいかせないと誓ってました。ししし。
 まだひっぱれたかなーという気がしますが、この辺りで。
 今度はエレベーターの中なんかどうでしょう?でも村雨さん、そんな早くないだ
ろうしなー(笑)
 次の村雨×壬生はエロじゃないんですけど。
 顛倒夢想の村雨視点18禁仕様も書きたいんですよねー。




                           


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