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 心の中


 
「あ!あ!あ!あ!」
 私の目の前。
 部下に犯されるロイさんは、揺さ振られるままに声を放つ。
 そうしないと、ロイさんが、ではなく。
 部下が、酷い目にあうと言い含めてあるから。

 男性同士の交接で、一番楽な体勢だという後背位。
 ただ我武者羅に突き上げられるだけでも、三人目ともなれば多少の快楽は覚えるのかも
しれない。
 ロイさんのアレからは、とろとろと蜜が滴っていた。
 「んっつ!ふ、ぐっつ」
 四人目に控えていた部下は、我慢が出来なかったらしい。
 ロイさんの口に、己の今にも達してしまいそうに反り返ったナニを、容赦なく根元まで押し
込んだ。
 まぁ、自分より下位の部下達の手により、散々ロイさんの痴態を見せ付けられたのだから、
我慢もきかなくなるだろう。
 先に奪われる、腹立たしさもあったかもしれない。
 四人目は、ロイさんの頭を引っ掴んで、がんがんとナニを出し入れをさせた。
 さすがに苦しいのだろう、瞳の端から滑り落ちた涙を舐め取りたい衝動を、ぐっと堪える。

 私の出番は、何時だって最後なのだから。

 輪姦は、最初がいいなんて、経験が少ない人間の戯言だ。
 私に言わせれば、散々蹂躙された挙句の蕩け切ったところがいい。
 乳首や、アレへの直接的な愛撫は禁止。
 キスも禁止。
 最後の最後。
 五人の男を銜え込んで、前後不覚になったロイさんの身体を、他の男に絶対させない愛撫
で、堕落させるのが楽しい。
 他の輩には決して伸ばさない、先を促す手が首に回る至福は、言葉では表現しきれないも
のだ。
 「くっつ!」
 部下達には、余計な言葉は愚か喘ぎも殺せと言ってある。
 射精の瞬間の、間抜けた声ぐらいはまぁ、許してやらないでもないですが。
 ぶるっと腰を震わせた三人目は、射精の余韻に浸る間もなく最後の男に引き剥がされた。
 ちなみに、私が定めた奴等への禁止事項に、射精は一度までというのがある。
 口内射精も一度にカウントされるので、ロイさんの口を使っている四人目は、あの女の膣とは
比べようもない卑猥な穴への挿入は許されないのだ。
 無論。
 特に突き上げを喰らいながらの、ロイさんのフェラは絶品で一度は試してみたい代物なの
だけれども。
 個人的には、蕾への挿入。
 そして、中出しがなければSEXではないと思っている。
 「ふんつ!」
 何で、こう。
 ロイさんの嬌声と違って、部下の声は気持ち悪いのだろう。
 耳が腐りそうだ。
 口腔への射精を終えた男は、今だ、恍惚とした表情のままで、ロイさんの口を犯したまま
余韻に浸っている。
 不意にロイさんの濡れた瞳が、私へ向けられた。
 飲んだ方がいいのか、吐き出した方が良いのか。
 問うてくる眼差しに、私は大きく首を振る。
 ロイさんは、銜えたままの状態で口の端から、出された精液を少しづつ吐き溢し出した。
 男の下生えに吐き出される精液は醜悪であったが、ロイさんの顎から滴り落ちる精液は
実に淫らだった。
 精飲をして貰えなかった男は、図々しくも腹を立てたようだ。
 ロイさんの喉奥を抉るように、突き上げてから、ナニを抜き取る。
 衝撃に全身に緊張を走らせたロイさんの身体を、幸運にも堪能できたのは五番目の男。
 三擦り半ではないが、早漏と言われても否定できない早さで、イってしまった。
 満足そうに見えるのは、突然自分のアレが絶妙な蠢きで締め付けられた証。
 不満そうに見えるのは、もっと中を貪っていたかった未練というところか。

 射精を終えたら、とっと出て行くこと。
 これも、重要なルールの一つ。
 全員が、したりない顔をロイさんに向けてから、それでも私に丁寧に頭を下げて、テントを
出て行った。

 「ロイさん?大丈夫です」
 私はいそいそと近付いて行って、温かなお湯で濡らしたタオルで汚れた口元を拭う。
 「……見ての通りだが」
 不機嫌な声。
 返事があっただけマシでしょう。
 「口濯ぎます?」
 「ああ」
 「どうぞ」
 「ん」
 差し出したプラスチックのコップは薄汚れている。
 そろそろ綺麗な物と取り替えたいのだが、なかなか思うようにならない。
 最前線では物資が不足しているのだから、仕方ないと言うけれど、口ばかりで仕事をしない
上官とやらの物資を横流しすれば、私やロイさんが愚か、ロイさんが大事に思う部下ですら、
潤うと思うんですけどね。
 「はい。こちらは水分補給用です」
 「……柑橘系の香りがするな」
 「いい鼻ですね。部下が貴方にと差し入れてくれたものですよ」
 「そうなのか?」
 「事実です。爆発の巻き添えを食った民間人を助けたら、お礼に頂いたと言っていました」
 煤で汚れた顔で、近付いてきて。
 『マスタング少佐に差し上げて下さい。以前、果実が好きだとおっしゃっていましたから』
 と、言ったそいつは、汗臭さを撒き散らしながらも、それだけが真っ白くて綺麗なタオルに、
たった一個きりのライムを包んできた。
 輪姦に決して加わろうとしない部下だが、ロイさんへの忠誠は絶対のようだ。
 あの、鷹の目に。
 眼差しがよく似ていた。
 「そうか……名前はわかるか?」
 「私が、下の顔を覚えていると思いますか?」
 「……それも、そうだな」
 諦めた風に溜息をついたロイさんは、それでもライムの香りがついた水を美味しそうに
飲み干した。
 今度、そいつの姿を見たら、ロイさんが喜んでいたぐらい教えてやっても良い、飲みっ
ぷりだった。
 「さぁ、ロイさん。後ろを向いて。綺麗にしますから」
 「この方が、いいんじゃないのか。ぐしょ濡れで。挿入し易いだろう?」




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