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 「今すぐでもいいですけど」
 「私は、困る。でも、何時かは必ず。お前の子供を生むよ」
 外見は似てもいいから、残酷な所は似ないといい。
 人を人と思えない所は、なるべく。
 それでも、奴の子供ならば愛せる自信はあるのだけれど。
 「……危ないですねぇ。ちょっと本気で孕ませようかなとか、思いましたよ」
 「だからっつ!」
 「何時か、ね?何時でも言って下さい。年中無休で受付中です」
 「もぅ、いいから!」
 「はいはい。欲しいんですね。中に。私のミルクが」
 これ以上焦らされるとまた。
 突き上げて欲しくなるから、この辺りで。
 止めて置かないとと、自分を鼓舞させるが、中々奴の望む言葉は紡げない。
 「ねぇ。ロイさん。濃くて、あったかいミルク飲みたくないんですか?」
 何度言わされても、恥ずかしいのだ。
 「んっつ」
 ずるっと、奴のアレが半ばまで引き出される。
 私の体奥から溢れ出た鮮血で、真っ赤に染まっていた。
 ちゅ、ちゅと耳を塞ぎたくなるイヤラシイ音をさせて、浅い箇所をついてくる。
 イった後は、特に。
 その責め方に弱かった。
 「あっつ。Jっつ」
 「はい」
 「みるく、欲しい」
 「濃いの?」
 「うん。濃い、の。いっぱい……」
 唇を噛み締める。
 続きを急かす腰の動きが、更にリズミカルになった。
 「あんっつ。たくさんっつ、いっぱいっつ。のませてっつ」
 「……では、遠慮なく……どうぞ?」
 さすがにその瞬間は、男らしくくっと眉を寄せて、腰を打ちつけた。
 中に、あたたかい液体が、随分な量。
 注がれる感覚。
 「……あったかぁい」
 「……ロイさんの、中は。あっついです……さ。いい子ですから、ちょっとだけ下腹に力入れ
  ていて下さいね」
 「ん」
 言われた通りに下腹に力を込めて、荒い息を整える。
 「ああんっつ」
 ちゅぽん、と抜き出された瞬間に、どろっと体内から溢れ出る気配。
 私の血と、Jの精液が交じり合って、出てきたモノは血よりも少し、薄い赤をしていた。
 「すぐに、タオル持って来ますから。頑張って」

 「ああ」
 頷いて更に下肢に力を込める。
 漏れ溢れるのは止まったが、太股の内側がべしゃべしゃするのを我慢しなくてはいけない。
 直に奴が、温かなタオルを持って駆けつけてくれるだろう。
 そのまま後始末をしたがるのは本当に困るが、拒絶すれば、またしても濃厚な行為に逆戻り
する羽目になるのは、さすがに学習した。
 ので、恥ずかしい事この上もないのだが、後始末は全て。
 奴に任せる事にしている。
 身体を動かすのも億劫で。
 何より全身が気だるくて、寝返りすら打てないので、仕方なく。
 緊張だけは説かない状態で目を閉じて、何を考えるでもなしに、ぼんやりする。
 頭を真っ白にするまでもなく、奴が戻ってきた。
 「お待たせしました。はい、ロイさん。力抜いていいですよ。熱いですからね。緊張しないで?」
 と無茶な事を言いながら、私の股の間に身体を入れてくる。
 私は緊張の解けない身体のまま、ゆっくりと下肢の力を抜いた。
 「やうっつ」
 とろろろっと体内から、奴が散々飲ませた液体と、私が分泌する血液諸々が溢れ出た。
 「大丈夫です。すぐ綺麗綺麗ですよ?」
 幼児言葉に近いそれに、私は、赤ちゃんか!と胸の内で突っ込みを入れる。
 だが奴の手は、言葉通り。
 中から零れた物を随時丁寧に拭い取り、太股周辺の汚れも綺麗にしてくれた。
 「少し寝ますか」
 「そうだな。疲れたし」
 「月経中は、ロイさん。睡眠時間増えますしね。いい事です」
 「……何がだ?」
 「よく眠れるのが、ですよ。全く、変に勘繰らないで下さい」
 ちゅっと、軽いキスが頬に届いた。
 スキンシップ程度の、やわらかいキスが好きな私の為。
 特に行為の後は、とてもたくさん。
 優しいキスをくれる。
 「ショーツだけつけて下さいね。その間にシーツを替えます」
 「それ以外の服も……」
 「駄目です!ショーツだけで我慢。ガードルも良しとしましょう」
 言いながらも、奴の手はてきぱきと動いている。
 ばさっと汚れたシーツが剥がされて、新しいシーツをふわりと掛けたかと思うと、ベッドの
上に乗り上げて、せっせと余分に出たシーツを仕舞い込んでしまった。
 後は、新しいタオルケットと薄いけれど暖かい毛布がふわっとかけられる。
 ぼうっと見ている間の早業だった。
 「さ!ロイさん……もしかしてショーツも履かせて欲しいんですか?」
 「違う!」
 「じゃあ、汚れ物を置いてきますから、それまでに着ていて下さいね」
 すたすたすたっと大股で消える姿を、またしても目で追ってしまい、大慌てでナプキンを
つけてショーツ履き、ガードルに足を通す。
 おなかの上、ぱちんとゴムの音がして腹まで隠れるガードルを履き上げたのと同時に。
 「おや、残念」
 キンブリーが戻ってくる。
 「まだ、もたついていたら履かせる気満々だったんですけど」
 「変態め!」
 「こんなに、マメな恋人もいないと思いますけどねぇ。はい。スリップつけますよ。万歳」
 大人しく万歳をすれば、コットン100%のシンプルなデザインのスリップを被せられた。
 淡い青の小花柄が透かし模様で入っている。
 「はい。お次はパジャマ」
 「そんなに本格的にしなくても……」
 「却下です。月経中は身体を冷やしてはいけませんよ」
 同じ柄のパジャマの上着を掛けられて、あっという間にボタンを嵌め終えたと思ったら、
ズボンの用意をしながら腰を下げている。
 至れり尽くせりなのだと思うが、どうにも釈然としない心持のままで足を上げた。
 すすっと足に通ったズボンも、腹の上まで持ち上げられて、ふわっとリボンが結ばれる。
 「はい、できました。心置きなくおねむです。おねむ」
 「……J。いっくらなんでも、おねむはないだろう」
 はあっと肩を落とす側で、キンブリーも手早く着替えをする。
 と言っても、ビキニ型のパンツを履くだけなのけれども。
 「さ、私は洗濯物を……」
 くるっと向けられた無防備な背中に、反射的に抱きついてしまって、我ながら絶句する。
 「ロイさん?」
 「……後ですれば、いいだろう。洗濯」
 「でも血液って、すぐに始末しないと染みになるんですよ」
 「私が後でいいと、言っているんだ!」
 自分でもどうかと思う我侭に、声が荒くなってしまう。
 一緒に寝て欲しいと、素直に言えないもどかしさもあった。
 「わかりました。仕方ないですね。今、貴女。精神的にもかなり不安定ですから……
  そんなに、自分に対して怒る必要はありませんよ」
 額に、キス。
 両方の瞼にも、一つづつ。
 それだけで、ささくれ立った気分が落ち着く自分が、これまた情けなかった。
 「……眠れば幾らか、楽になりますから」
 先にベッドへと寝転んだキンブリーが、両腕を差し出してくる。
 私は、奴の顔を見ないようにしてそのまま、奴の腕の中に潜り込んだ。
 くるんと抱き込まれた上に、ふわ、ふわとタオルケットと毛布が重なった。
 「はい……おやすみなさい。ロイさん」
 「おやすみ……J」
 伸び上がって、目の端にキスをする。
 薄目を開けて様子を窺えば、蕩けるように微笑みかけてくる、奴の顔があった。
 それが、また。
 嬉しくもあり、恥ずかしくもあり。
 私は奴の首筋に齧り付くようにして、深い眠りにと入っていった。




                                       END




 *終始変態ちっくな上に、めろ甘で恐縮でした。
  ちょっと気を抜くと、キン様がハボに似てしまうのが困りましたとさ。
  この設定基本で長編を書いたらえらいことになりそうです。
  
                                 2008/03/07




 
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