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 「いただきます」
 思わず胸の前、手を合わせてしまった。
 茶化しているつもりなんて初めからない。
 それぐらい見事な乳房に愛らしい乳首なのだ。
 乳輪に噛み付くように吸い付いて、勃起した乳首を口の中でころころと転がした。
 唇を噛み締めて必死に声を堪えて喉を仰け反らせる様は、愛らしい。
 首筋に薄く浮かんだ血管を指でなぞりながら、右の乳房を揉む。
 どうやら左の方が感じやすいみたいなので、そちらから堪能することにした。
 小さな乳首は、それでも舌に良く引っかかって気持ち良い。
 歯の先で掠めるように愛撫を施せば、喉が、大きく波打つ。
 舐めている乳首より、イマヒトツ頼りない乳首は爪の先で捻り上げた。
 そのまま根元から丁寧に、紙縒りを作るようにして育て上げる。
 やっとしっかりとした芯を持ち始めた乳首の根元を爪の先でぴんぴんと弾けば、口の中の
乳首も呼応するように硬さを増した。
 もう少し大きければ、しゃぶりがいもあるのだが。
 ベッドの中以外でも育てるようにすれば、すぐに肥大してゆくだろう。
 乳房は十分過ぎる大きさなので、乳首を大きくしてみたい。
 乳腺ファックを試して見たいほどマニアではないが、乳首とクリトリスを同じ大きさに揃えて
存分に愛撫したいという、やっぱりマニアなのかもしれない欲望がある。
 「ひ、んっつ」
 どちらの乳首にも力を入れる。
 噛んで、捻った。
 「ロイさん。痛い?」
 「……くすぐったい!」
 「本当に?」
 「まだ。そこまで……身体が馴染んでこないんだろう」
 「ふーん。さすがに上の口は弁が立ちますよね。年の功でしょうか。一生勝てない気もします」
 「だとしたら、こんな状況にはなっていないだろうね」
 時々、おかしくなる滑舌もまだまだすべらかだ。
 いっそ、無理やり繋がってしまった方がいいのだろうか。
 ……や。
 それは、駄目だ。
 相手の意思を無視したレイプなんだから、最高の快楽ぐらい与えないでどうする。
 「何時か、乳首でいけるようにもしたいですね」
 「そんな、夢物語……んっつう!」
 唇を右の乳首にあてて、ロイさんの視界に映るように舌先で先端だけを舐めながら、下肢に
手を伸ばした。
 太股に触れただけで、声が上ずったのだ。
 花びらに指を差し入れたら、どれほどの反応をしめしてくれるのだろう。
 妄想だけで性器が痛いくらいに硬くなるのを、息を吐くことで宥めそっと、彼女の花びらを掻き
分けた。
 「やあああっつ!」
 触れられるのを、と言うよりは、濡れてしまった自分のそこを否定したいのだろう嬌声。
 くぷくぷと音をさせながら、指を飲む込むロイさんの中は凶悪だった。
 指一本を実に上手くしゃぶるのだ。
 性器を入れたら情けなく三擦り半を披露してしまうかもしれない。
 人の身体に戻ってから、誰かに話せば間違いなく眉根を顰められる凄まじさで、女を抱き
まくった。
 お陰で中に指一本差し入れれば、その女がどれほどのお宝を持っているのか概ね把握でき
る。
 我ながら変態ちっくな特技だが、相手を短時間で陥落させるには便利な技だった。
 「あ! あ! やあんっつ」
 確認する動きは、丁寧で執拗になる。
 ロイさんの瞳から、それはそれは綺麗な。
 真珠にも似た典雅な涙が幾粒も転がり落ちる。

 「ロイさん、可愛い……」
 ずいと乗りあがって涙を舐めた。
 塩辛いはずの涙が、酷く甘く感じて驚かされる。
 「もっと、もっと可愛くなって下さいね?」
 唇を乳首に戻し、吸いながら中を探るが、目的の場所がなかなか見つからない。
 「うーん。わかりにくいなぁ」
 「なに、がっつ」
 「ああ。ロイさんが中で一番感じるところですよ。やっぱり女の人に、クリの快楽しか上げれ
  ないんじゃ、男として廃りますから」
 「べつ、に。どう、でもっつ」
 「良くないです。ロイさんだって男の身体だった時は、ちゃんと相手の女性をイかせてた
 でしょう。中で」
 自分だけが楽しむSEXをしない気がするのだ、この人は。
 かといって、相手の反応を楽しむでもなく。
 そう。
 それは、錬金術師の等価交換に近いSEXではないかと。
 快楽を貰うならば、同等のものを与えようとする、そんな性交渉。
 長く続く関係ならば、そんな風にこだわらなくても良いといいそうだが、短い付き合いならば、
喜ばれるに違いない。
 「う! あ!」
 「痛い、です?」
 愛液で幾らか指での探索が楽になったので指を二本に増やせば、途端につらそうな声が
上がった。
 「ロイさん?」
 返事がないので、乳首を噛んで、更に強い刺激を送る。
 ロイさんは、はくはくと声にならない言葉を紡いで後、一度だけ大きく首を振った。
 「痛くはないんですね……でも、気持ち良いって感じでもなさそうだ……未知の感覚に
  戸惑ってる……そんな気分ですか」
 返事はないが、噛み締めた唇が答えのような気がした。
 もう一度乳首だけの愛撫に切り替えて、クリを可愛がるとかと思った矢先。
 ロイさんの身体が、びくんと大きく撓った。
 「え?」
 「やあっつ! そこっつ! やだっつ」
 真っ黒い瞳を涙でいっぱいにしたロイさんの、必至な指先が僕の腕を掴んだ。
 「もしかして、良い所、掠めました?」
 「ちがっつ! 違うっつ」
 「ちょっと、待ってくださいね……どこだろう」
 「やっつ。やああっつ!」
 腕に爪を立てるロイさんの、乳首を吸い上げて宥めながら、中を丹念に探る。
 「ひうっつ!」
 「ああ……これですか」
 実になだらかな傾斜だったので、気がつかなかった。
 ぐ、と指に力を入れれば、ロイさんは腰を打って逃げようとする。
 「駄目ですよ、逃げちゃあ」
 足首を掴んで強く引き戻すと、そのまま太股を抱え上げる。




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