「やあああっつ。アルくっつ。見ないでっつ！」
　「ああ……こんなにふっくらしてきた……」
　充血してきた襞にキスをして、やっと見つけた場所をリズミカルに叩く。
　「あ！　あ！　あ！　それ、やっつ！」
　「嘘。いいでしょう？　響く感じが、とんとん、とんとんって。快楽の波が中全体に広がる
　　感じがするって、聞いたことありますよ」
　「しらなっつ。知らないっつ」
　「上のお口は素直じゃないけど。下のお口は本当に良い子ですよ。ん？　ああ、なるほど。
　　ロイさんのＧスポットは、とんとんすると硬くなってくるんですね」
　「嘘っつ。あ！　はあうっつ」
　これならば随分とわかりやすい。
　ロイさんの良い所は、ゆるく叩くと自己主張が激しくなった。
　「これだけ、硬いと……どうでしょう？」
　遠慮していた入り口での出し入れをする。
　指は三本にして、Ｇスポットに集中させた。
　「やあっつ。やー。やぁああっつ」
　跳ね回る腰をしっかりと支えて、様子を伺う。
　熟れた肉襞も指に絡めるようにして、出し入れを続ければ、愛液も手伝って襞がめくれあがる。
　中が、絶頂に向かって駆け上がって行く様がよく見えた。
　小刻みの痙攣が断続的に始まっている。
　この最中が一番気持ち良いのだと解説する医療関係者もあるくらい。
　ロイさんの狂乱は、ただただ愛らしかった。
　「も、やあっつ。だめっつ。だめっつ」
　「イきそうです？　中でイけます？　Ｇスポット、そんなに気持ち良い？」
　本当は耳元で囁きたかったが、この体勢では無理だ。
　代わりに、中が淫らに蠢くのを存分に堪能した。
　「ロイさんの、ここ。すっごく可愛いです。ぴくぴくして。僕の指に吸い付いて離れない。ペニス
　　もきっと。美味しそうに食んでくれるんでしょうね？」
　「みるなっつ。あああっつ。だめだ、も、ぉっつ」
　「イきますか。中で、イっちゃうんですね！」
　「あ、あっつ……イ……く……」

　全身に力が入って数秒。
　ふるふると泣きながら震えるロイさんの可愛さは最強だと、うっとりと乱れてもどこか清雅な
表情を伺う。
　とぷとぷと蜜が溢れ出て、痙攣はすぐさまペニスを差し入れたい小刻み具合。
　「や！　やあああっつ」
　太股ががくがくと震えるのを抑えようとする、ほっそりとした指先を拾ってキスを贈る。
　「すっごく可愛かったですよ、ロイさん」
　尻の穴にまで滴った蜜をちゅうっと吸い上げた。
　美味しいとは思わないが甘露と思うそれは、吸う度にとろりとろりと新たな蜜を生む。
　「ある、くっつ。ある、ふぉんす、くっつ」
　「はぁい？　なんでしょう」
　「も、やだ。ＳＥＸ、したくない……」
　「と、言われましても。さすがにここまで来て入れずには終われませんよ！」
　指を三本中に入れて力を加減しつつ広げる。
　襞が絡みつきながら息づいているのを感じて、ペニスが痛いほど勃起した。
　「じゃあ！　もぅいれろ！　そこまで解れていれば、何とかなるだろう！」
　「男前ですねぇ」
　眦は泣きすぎて赤く染まっているけれど、言の葉が紡ぐ歯切れの良さは、さすがに、ロイ・
マスタングそのものといった感じを受ける。
　「……まだ、入れないと、いうなら……舌を、噛むぞ」
　「できるんですか？」
　「できないと、思うのか？」
　ロイさんが大切にしている人達とは、会わせないと告げてある。
　僕自身が、ロイさんの枷になれるとは到底思えない。
　兄さんでも、恐らく微妙だろう。
　ぎりぎりまで様子を見るだろうが、一度心を決めたら最後。
　簡単に死を選びそうで、僕は唇を噛み締めた。
　「どうする？」
　呼吸の乱れはだいぶ落ち着いてきたようだ。
　僕を見詰める目は透き通るように真っ黒で、底抜けに真っ暗だ。
　「わかり、ました。入れます」
　「ん」
　ふ、と息を吐いたロイさんは、太股を開いた。
　ひくついている花びらも、すっかり皮が捲れ上がったクリトリスも、凝視した途端、滴り落ちる
蜜も、さぁ、早く続きを！　もっと先を！　と僕を促しているように錯覚する。
　手早く服を脱ぎ出す僕の様子を、ロイさんは見るともなしに見ていたが、下着を脱ぎ捨てて、
完全勃起したペニスが姿を現わした時には、喉元がエロティックに蠢いていた。
　「痛いと、思いますけど。力、極力抜いて下さい」
　「……ああ」
　思ったより従順だった。
　往生際悪く抵抗されるかと覚悟していたのだ。
　きっと僕のペニスを見て、暴れればそれだけ傷が酷くなるのは自分が辛いだけだと、己を
説得したのだろう。
　ロイさんの身体から目に見えて力が抜け落ちる。
　僕は誘っているようにしか見えない、収縮を繰り返す花びらにペニスの先端をあてた。
　ちゅ、ちゅ、と入り口を押し広げるようにして、幾度か腰を動かす。
　蜜が括れの辺りまでを濡らしてくれるのを見て、ますますペニスを大きくしつつも、ロイさんの
額に丁寧なキスを落とす。
　「ロイさん。入れますね？」
　「ああ」
　「……愛してます」
　僕の告白への返事は静かに伏せられた瞼だった。
　繋がる最中の僕の顔なぞ見たくないということか。
　大半の女性は、恥ずかしいから繋がっている最中は特に目を閉じるという、経験に基づいた
知識を頭の片隅に置いて、自分を慰めながら腰を入れた。
　
　
　痛い、と素直な泣き言は勿論ロイさんの口からではしなかった。
　だが、想像を絶する激痛だったのだろう。
　ぎりりっと奥歯を噛み締めると同時に、本人も意識していない拒絶の意味も多分に含んで
中が壮絶に締まった。
　先端を含ませただけで、一番厳しい亀頭部分が入らない。
　幾度かの絶頂で潤んでいるにも関わらず鮮血が一筋、二筋と接合部分から伝った。
　「ロイさん……きつすぎます……もっと！　緩めてっつ」
　強引に捻じ込んで容赦なく突き上げたい欲望と戦っているせいか、ふーふーと獣の様な息が
口の端から漏れて出る。
　ロイさんは眉根を寄せたまま薄く目を開き、珍しい物でも見るようにぱちくりと数度の瞬きを
した後で、はあっと大きく息を吐き出した。
　自分の欲を抑えるのに精一杯の僕に対して、ロイさんは余裕だ。
　激痛を堪えるのにも慣れているのだろう。
　女体化する前のロイさんの身体は傷だらけだった。
　火傷の跡が多かったが、それ以外にも銃やナイフで付けられたの傷もあ数多見受けられた
くらいだ。
　処女喪失の痛みぐらい、何でもないのだと。
　虚勢を張っている。
　その悲しい決意が愛しくて、更に自分の性器が膨張するデススパイラル。
　「……構わない。そのまま進みたまえ」
　「ですが！」
　「私が！　構わないと言っているんだ」
　「わかりました」
　ふううう、と大きく息を吐き出したロイさんのタイミングに合わせて、性器を無理やり捻じ込ん
だ。
　肉が切れるぷちぷちと言う音が聞こえたような気もする。
　誰より何より愛している人を傷つけているという事実に背筋が怖気だつほどの嫌悪を覚えるの
と同時に、心の奥でほっこりと満たされる歪んだ独占欲が見え隠れしていた。
　「か！　はあっつ！」
　詰めていた息が吐き出される。
　ぶるぶると震えているのは必死の痛みに耐えかねているに違いない。
　「ロイさん……」
　「動きなさい。早く。動けば私の気も紛れるだろう」
　うっすらと開かれていた瞳が再び見えなくなる。
　震える睫にそっとキスをして、一度。
　大きく腰を出し入れした。
　血塗れの肉が絡みついてくる様は、猟奇的にすら見える。
　相手がロイさんでなければトラウマになりそうなレベルの出血だ。
　一度いったらすぐに抜いて、手当てをするより先に痛み止めを飲ませてあげた方がいいかも
しれない。
　もう今更。
　僕が何を与えてもロイさんは拒絶などしやしないだろうから。
　「……つ！　……つつつ！」
　噛み締めた唇から漏れる苦叫を宥めるようにキスをしながら、出し入れを始めた。
　痙攣しながら必死に僕のペニスに絡みつく肉襞の心地良さったら、類をみない。
　また処女という事を差し引いても締め付けが最高だ。
　根元をきつく、中をやわく締め付けてくる。
　間違いなく名器だろう。
　我ながら上手い事練成した物だと、歪んだ笑みを浮かべるのと同時にロイさんの瞼が痙攣
した。
　「つらい、ですよね」
　「……君は、気持ち良いかい？」
　「最高です。世辞抜きで今までしてきたＳＥＸとは比べようもないと思います……ロイさんの
ここは……」
　「つぅっつ！」
　「類を見ない名器です」




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まだまだ続く、エロロード。