「別に、いいよ?わたしも、ほしい、んだから」
「そっか」
「うん」
「わたしは……いつでも、お前が欲しいよ。マース」
「っつ!」
「どこでも、誰と居ても、お前だけが……あああっつ」
キスをしながら、両方の乳首をぎゅうっと抓ってやる。
口腔がびくびく震えたが、まだ射精には至っていない。
中イキもしてねぇ。
「俺、さ。アンタの声聞くの大好きだけど……今日は止めとくよ」
「エド?」
「これ以上、ヒューズさんの名前なんて、聞かされたくねーから」
「え?何を言って!どこ!エドワードっつ。どこに行くつもりなんだ」
ベッドから滑り落ちる俺を、ロイの必死の声が止める。
ここで止まられたら、そりゃぁ、きっつよなぁ?
「どこにも行かねーよ。アンタが俺を追い出そうとしても、どこかになんて、行ってやるも
んか!」
タンスの中からてぬぐいを取り出して、両端を強く引いた。
ぱんっつ!と、布の立てる独特の音が耳を犯す。
「エド?」
俺の気迫に恐れをなしたのか、上目遣いに機嫌を伺ってくる。
怯えた目だ。
こんな、瞳を。
本当に、心の底から。
させたくはないのだけれど。
「終わるまで、これ銜えてな」
顎を引っ掴んで、口を開けさせる。
捻り上げて置いたてぬぐいを口の中に押し込んで、きつく縛り上げる。
ファルマンさんに貰った、極東島国土産がこんなふうに使われてるなんて。
彼は思いもしないだろうな。
彼もまた、優しい、人だから。
俺はロイの体を自分の膝の上に乗せた。
「ちょっと、腰浮かせろよ」
見えないままで、ロイは忠実に俺の指示を聞く。
膝立ちで身体を支えるロイの下、仰向けに寝そべった。
気配を察したのだろう。
機嫌の悪くなってしまった俺を宥める為に、ロイは俺の好きな騎乗位を整える。
もそもそと俺の胸に掌を這わせながら、 太股で俺の胴を挟み込んで一旦腰を落ち着けた。
ほぅっと息を吐いて、後ろ手に俺の暴走大好きな息子をしっかりと握り締める。
蕾に先端があたった。
爪先からぞくぞくぞくっと、過ぎた快楽を期待する痺れが走る。
大きく息を吸い込み、それと同じ程度の量を吐き出した後すぐに、ロイの蕾が、ゆっくりと
俺を飲み込んでゆく。
先端が含まれるまでの、ロイの背中に走る緊張感がたまらない。
俺は聞こえないように生唾を飲み込む。
ぷちゅちゅ、とイヤラシイ音を立てて先端が含まれた。
何時もだったら俺は、この辺りで我慢できなくなって、がつがつ突き上げを始めるのだが、
今日は冷静に。
ロイの出方を待つ。
案の定何時もと違う展開に戸惑うロイの指先が、俺の顔に触れようとする。
体が覆い被さってくるように倒れこむのを、掌で阻止すれば、ひゅうっとロイの喉が鳴った。
続きを促されていると、思ってくれたようだ。
器用にも先端を銜えこんだ所で止まっていた腰が、静かに下ろされる。
一気に落ちてくるのも歓迎だが、こうしてじわじわと喰われていくのも楽しい。
俺は、くくっと喉を鳴らして低く笑った。
瞬間、ロイの身体が止まった気がしたが、それも僅かな間。
しゃしゃ、と俺の陰毛がロイの尻にあたる音がして、根元まで銜え込まれたのを知る。
これ以上、深く繋がりたいと思ったら、てめぇで腰を突き上げるしかないんだが……
俺はまだ動かなかった。
『……エド?』
不安でたまらなくなったのか、俺を呼ぶ声はタオル越し、くぐもって沈んでいる。
俺は返事をせずに、ぴしゃん!と奴の尻を掌で音も高く打ち据えてやった。
『ひぅ!』
痛いというよりは、驚いたのだろう中が、ぎゅぎゅっと締まる。
ああ……気持ち良いなぁ……。
鼻で至福の息を吐けば、おずおずという表現もふさわしくロイの腰が揺れ出した。
俺の様子をアレで窺っているのだろう。
前後左右にゆらゆらと腰を揺らしながら、断続的に俺のナニを締め付ける。
永遠に続くような、緩やかな交接もロイとなら悪くないが、今はもっと激しいのが欲しい。
不意にロイの腰をきつく掴んで、僅かに腰を上げさせて、引き寄せた。
ずん、と腹に響く感覚。
ロイは俺の何倍もの衝撃を味わっているはずだ。
口から零れ落ちた吐息は、十分に甘かったけれど。
も一度、ぺちんと、今度は先刻よりも随分と優しく尻を叩く。
まさしく、促す所作だ。
ロイは、俺の腹に手をつくと、くいっと腰を持ち上げた。
するするっと抜けていく感覚も大好きだが。
腹に付加がかかり、すとんと腰が落とされる。
ぐちゅんと根元まで銜えられ、更には締められるのはもっと好きだ。
「手、寄越しな」
目を閉じたままで、てめぇの胸の上、手首をひらひらさせる。
躊躇う気配の後。
ロイは俺の掌に自分の手を乗せて、丁寧に全ての指を絡めた。
くっと指先に力が入る。
俺の存在を確かめるような仕草に、ゆっくりと瞳を開く。
唇を拘束されて、声は満足に出せない。
その、代わりに。
真っ黒い瞳が雄弁に感情を語っている。
どうして、こんな。
私を試すような事をしたがるんだ?
……ヒューズ。
と。
その、声にはならない感情が。
優しくしようと思う、俺の態度を真逆へと変える。
俺は一度だけの腰の突き上げで、ロイの積極的な行動を促した。
目の端に涙を溜めながらもロイは、ゆったりと腰を振り始める。
健気にも俺の快楽を優先させる動きだった。
締め上げながら、前後上下に腰を揺らしては、時折ぐるんと一回転。