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 「うー」
 「始めないんです? 俺としては、ロイさんのココ、ずっと見てるだけでもいいですけど」
 「……あの、な?」
 「はい」
 「私の、ここ。変じゃないか」
 「具体的に言っても大丈夫ですか」
 「……ああ」
 こく、と喉を鳴らしてどんな言葉にも耐え切れるように唇を噛む。
 「それじゃあ、もっと。よく見えるようにして貰ってもいいですかね」
 「はぁ?」
 「指で、広げて見せて?」
 「なっつ!」
 「中まで見ての、感想が欲しいんじゃないです? 俺が触って、またトラウマ発動されたら
  寂しいし、ね」
 ハボックの言う事はいちいち正しい。
 だが、一人でする時も、股を開いてする癖はない。
 何時だって腕を太股で挟みこむようにして、自分では弄る箇所が決して見えないようにして
やってきたのだ。
 「ん。わかった」
 指の腹で入り口を広げた。
 「もちょっと、頑張って下さい」
 ふ、と息を吐いてから指に力を入れて、引く。
 肉の引き攣れる感触がした。
 「……えーと。怒らないで下さいね」
 「……取り合えず言ってみろ」
 「……処女膜、再生しちゃってます」
 「はぁ? 何だ、そりゃ」
 想像していたのと全く違う返答に、思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
 「稀な例ですけどあるみたいですよ。物凄く治癒能力が高い女性が、長い間性行為をしないと、
  起こり得るらしいです。昔、部下に医学に長けた奴が居て、そいつに聞いた話ですけど」
 「私は聞いた事がない」
 「うーん。でもこれって間違いなく処女膜だと思いますよ? そうでなければ、類似したもの。
  どっちにしろ、その、ね。挿入する時は破れて痛いです、って言う点では、判断正しいと
  思います」
 「そうか」
 あの痛みをもう一度経験するのかと思えば、顔色も悪くなるが、初めてに近い身体をハボック
に貰って貰うのは、ちょっと嬉しい。
 「なんか、こう。繋がらないで、いちゃこら止まりでも良い気がしてきました」
 「何だ。せっかく私がやる気になっているのに」
 「いやーね。俺のでっかいでしょう? だから、こう。や、どっちにしろ久しぶりのロイさんには、
  きっついナニだとは思ってましたけど。初めてとかわらんとか、言われると……」
 ふに、と腹部に顔が押し付けられる。
 やわな髪の毛がくすぐったい。
 ふ、と吐かれた息には、何故か尾てい骨の辺りに痺れが走った。
 「壊しちまいそうで、怖いっス」
 「私は、お前には壊されないぞ?」
 「本当に?」
 「ああ。別に肉体の壊れなぞ幾らでも修復できるしな。心はお前が補完してくれるだろう?」
 「信用してもらえて嬉しいですけど。アンタにだけは、獣の自分なんて、見せたくもないです
  けど」
 まだ、何やら迷っている奴の髪の毛を梳いてやる。
 こうすると大人しくなるのが常なのだ。
 「まぁ、最初からはヘビーだと思うけどな。慣れたら、獣のお前も見てみたいな」
 「ロイさん」
 「だって、それぐらい私に飢えて、欲しがってくれているってコトだろう」
 「そう、です、けど……」
 「なら良い。お前ならいいんだ。だから、ほら……続きだ」
 私はハボックの頭をぽんぽんと叩く。
 ゆっくり持ち上がった鼻先に、軽いキスをして、先刻と同じくらいに襞を広げる。
 「……すっごく綺麗で可愛いです。このままむしゃぶりつきたいです。中も鮮やかなピンク色。
  男なら誰でも憧れる美マンって奴ですね」
 「そ、そうか。どこも変じゃないか」
 「見た目は全く。言葉は悪いですが、上物それも特級品って風合いです」
 「なら良かった。えーと。中とか、弄った方がいいのか」
 「ロイさんが、何時もするようにして下さい」
 わかった、の言葉の代わりに、大きく息を吸い込んで吐き出してから、指先をぬるつきだした
中に入れる。
 極々入り口を優しく掻き混ぜて、指先を濡らしてから、クリトリスの上に乗せた。
 「ああ。ロイさんはクリ派?」
 「……そうだ。私は、ここでの。絶頂しか知らない」
 「今日中に! 中での絶頂まで教え込んじゃったらスンマセン」
 「可能なのか、そんな事!」
 「……やったこたぁ、ありませんけど。ロイさんになら出来る自信ありますデス」
 そんな場所で敬礼は勘弁して欲しい。
 奴の額を濡れた爪の先で、ぴんと小突いてやった。

 「うわー」
 何がそんなに嬉しいのか、ハボックがうっとりした顔で閉じる。
 金髪のほわほわな睫は意外に長い。
 「……やに下がった顔だな」
 「だって、ねぇ」
 ゆっくりと瞼を持ち上げたハボックの瞳の色を見て、背筋に怖気が走った。
 美しいスカイブルーの瞳が、深淵の見えないディープブルーへと鮮やかな変化をとげていた
のだ。
 「気付いてないんですか、アンタ」
 「な、何をだ」
 ずいと顔を近付けられてどうにか少しだけずり下がれば、ハボックの手は私の膝頭に手を
あててしっかりと大股開きをさせながら、私がずり下がる距離よりも多くをすかさず縮めてくる。
 「でこぴん、した時にね」
 「あ、ああ」
 「すげえ、雌の匂いがしたんスよ」
 「っつ!」
 ハボックはでこぴんをした指を取った。
 愛液で濡れた指に、ねろ、と舌を這わされる。
 数時間前だったら、泣きながら術を使ってハボックを焦がしていたレベルだったが、今は下半
身が甘く痺れるだけだ。
 「すっげぇ、美味そうで。そそられる匂いで……思わず、うっとりしちまったんス」
 「雌の、匂いって!」
 「アンタだって、鼻いいんだし? ちょっとすんすんしてみてくださいよ、ほら」
 ハボックは己の涎に塗れた私の指を鼻の下に押し付けてくる。
 奴の口の中、存分に舐められたはずの指はそれでも、情けないくらい女の匂いが残っていた。
 「ね?」
 眦が染まる羞恥に気付かぬハボックでもない。
 奴はにっこりと笑う。
 私が駄々を捏ねて無茶を強いた時に見せる、困った笑顔にとてもよく似ていた。
 「いい、匂い」
 ハボックは私の指をしゃぶりながら、顔をどんどん舌に下げてゆく。
 奴が何をしたいのか悟った私は腕に力を込めたが、ハボック淫らな欲望を止めるのには至ら
ない。
 「さぁ、ロイさん。続きを見せて下さいよ。アンタはクリを弄るのに専念すればいい。俺は……
  この特等席でじっと観賞させて頂きますから」
 満足そうに私の股間に顔を埋めたハボックは、秘所に息がかかる至近距離に顔を落ち着けて
しまう。
 「どうぞ? 何時もしてるみたく。遠慮しないで」
 「でもっつ!」
 「しないんなら、俺がしますよ……あんまり弄ってないみたいですし」
 「そんな! 事はないぞ。私だってそれなりには、する」
 どころかたぶん他の人より、して、いる。
 眠れない時に自慰をするとよく眠れるので、寝不足が続くと必ずしてしまうのだ。
 下半身だけ丸裸で股間に手を挟めたまま目を覚ました事も一度や二度ではない。
 快楽の先にあるすうっと落ちてゆく感覚が、そのまま眠りに繋がっているらしく、心は釈然とし
ないが身体の目覚めは非常にすっきりするのだから、仕方ないと思い込んで久しかった。
 「へぇ? じゃあ何の問題もないですね。して、下さい……俺も結構我慢してるもんで、あんま
  り焦らされるとアンタの可愛いココ、舐めたくなっちゃうから早く始めた方がいいと思いますよ?」
 「くっつ!」
 悔しいがハボックが有限実行な性質のことを良く知っている。
 私は大きく息を吐き出して、中指を根元まで押し込んだ。




                             1年ぶり以上更新してないとか、どんだけ!




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