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 「………御免被る。君は一体何を勘違いしているんだ。突然こんなこと…」
 「突然ジャなけレば、ボクを受け入れてクレル?」
 もしここで茶化されでもしたらボクは諦めたかもしれない。
 が、紅葉の答えはストレートを極めた。
 「それが…恋人同士のように抱き合うというならば永遠にNO!だ」
 「それナら、仕方、ナイネ」
 本当は、抱き返される腕なんて期待してもいない。
 どころか欲しいとすら思わない。
 手首に巻いていた赤いバンダナで紅葉の手首を拘束する。
 簡単には解けないように二重に結んでからコートをはだけて、薄いセーター
をたくしあげると唇で触れた。
 寒さで鳥肌のたっている肌が舌先に心地良い。
 すっかり抵抗の失せた瞳を見つめると、それはボクも後ろの景色も映さない
綺麗な空洞になり代わっていた。
 どんなに焦がれても決して手に入らない、汚れることを知らない無垢な心を
反映したかなような瞳。
 「マリアの体はヤワラカかっタ…」
 抱き締めてわかる抱かれることに慣れた女とは違う、かたくなな肉体。
 「でも、コンナに興奮ハしなかったカモな」
 鎖骨に歯をたてるとうっすらと血が滲む。
 押し倒してからもやむこと無い落葉の雨が、ボクが傷つけた赤い跡を覆い
隠すように降ってくる最中、ボクは久し振りに人の体に没頭した。
 快楽を紡ぎ出すというよりは、ただ自分の欲望を押しつけるだけの最低最
悪の行為。
 それでも興奮だけがボクの体を早々に、限界ぎりぎりの所まで走らせた。
 「入レルのは、無理カ?」
 ズボンも下着も引き下ろし、太ももを抱えあげて秘部に舌を這わせる。
 気持ち悪いのか触れている紅葉の太もものうぶげが逆立つ感触を楽しみ
ながら、生理的に勃ち上がってしまった紅葉の肉に指を絡める。
 自分の肉を高めるように施した愛撫はきついものだったようで、手首を拘
束されて自由にならないままでのけ反った体が、呆気なく精を吐き出した。
 イク時ですら声を立てなかった紅葉だったが、自分の吐き出したモノを顔
に浴びてしまっては切なかったのだろう。
 "…あ…"と掠れた悲鳴が僅かに唇から零れ落ちた。
 「一杯デたな。コレデ、どうにか入レラレる」
 腹から顔にかけてぱたぱたと吐き出された白い液体を手でかき集めて、
秘部に塗り込める。舌先すら嫌がったが液体の効果はなかなかで、きつそう
に眉は潜められていたけれどボクの指を二本一度に銜え込んでも切れるこ
とはなかった。
 「入ル、よ」
 すっかり窮屈になったズボンのジッパーをおろすと。
 下着を景気よく持ち上げている肉を片手で取り出して、けだるくうなだれな
がら腰を浮かせた状態で、ボクの体を跨いでいる紅葉の体を下へと引き寄
せる。
 バンダナのせいで輪になっている紅葉の腕の中に自分の首を入れると、紅
葉の腰をしっかりと支えて秘部の中へ潜り込んだ。
 「熱イ…」
 触れている肌が外気に触れて冷たい反動のように、そのやんわりと濡れた
中は熱かった。
 真夏のじりじり焼けるような熱さではなくて、高温で焼き尽くされてしまいそう
な灼熱の熱さ。
 体の奥底に点された青白い炎は、冷気の揺らめきにとてもよく似ていて背
筋が凍るほどに快感が走った。
 たぶん、紅葉が。
 ボクを永遠に望まない紅葉だけが与えてくれる悦楽だろう。
 血が滲み出しても噛み続ける唇からは、喘ぎ声一つ漏れることはなかった
し、一度もあわなかった目線はボクを受け入れてはいない証拠でしかなかっ
たけれど。
 この青い炎に呷られてしまっては、意思の疎通なんかなくてもいいと、そう思
う。
 掬い上げるように寄せた唇は堅く閉じられていたが、舌先で薄くついた傷を
嘗めあげれば拍子抜けするほど簡単に侵入を許した。
 ただ己の欲のために犯した体は、普通の人間なら絶対に望まない形でボ
クを満たしてくれる。
 「ボクがイッてしばらくしたら、マリィを呼ぼう。サスガに心配しているダロウ
  から」
 ボクの囁きに、今だ侵入を許したままの紅葉が、こっくりと頷く。
 静かに開かれた瞳が、こんなことは何でもないことだと嘲笑っているように
……穏やかだった。
 「おかしいヨね。ボクは紅葉に嫌ワレたくなかったダケなのに、紅葉に嫌わ
  れるコト、してるよ」
 腰を振る度にきしきしと紅葉の骨が音をたてる。
 ボクの言葉にも、行為にも紅葉は生理的な反応しか示さない。
 「きっと紅葉は何事もナカッタように、ボクを拒絶するんダロウネ」
 マリィの手を引きながら、ボクが腰に回す手を払いもせずに、ただ瞳があっ
てもボクを見ることだけはしない。
 マリィがせっせと集めた、紅葉の体をこんなにも飾ったものと同じプレゼント
を微笑んで受け取って見せながら。
 「でもボクはマタ、紅葉を抱き締メルよ。今度はモッと落ち着いてボクの家に
  でもシヨウか?」
 絶え間なく落ちてくる楓の葉と己の流した血とで真っ赤に濡れたような紅葉
を抱き抱えたボクは、ただひたすらに安いでいた。

                                             END





*アラン×壬生
 世にも珍しいカップリングではないかと(笑)自分が書いたの以外に見た
事がないカップリングです。この頃は壬生総受に命を賭けていたんで、かなり
色々チャレンジしました。アランの一人称がどうしようもないほど辛く、いっそ
壬生視点にすれば良かったと大後悔をした作品。続き…読みたい方います?
この二人でハッピーエンドを書くつもりはないですが(苦笑)


 



                            


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