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 「イ……か、せ……て……ぇ……」
 とうとう、壬生さんの口から、ねだる言葉が溢れ出た。
 囁かれた声を聞いただけで、いけてしまいそうな、艶に満ちた喘ぎ。
 「わかりました。僕が、壬生さんをいかせてあげますね?」
 「早、く……」
 涙に濡れた目が僕を見上げてくる。
 どことなく遠い黒目には、はっきりと僕の姿が映りこんでいた。
 壬生さんは、今、僕だけを求めている。
 背筋を征服欲に似た、快楽が走り抜けた。
 擦り上げる手を更に早くしながら、口付ける。
 貪り尽くすような口付けにも、果敢に答えて寄越す壬生さんの身体はまるで、
いきっぱなしのように、小さく震え続けていた。
 「やあ、あ……も、駄目・……駄目…だあ、めっつ……」
 「もう、我慢しなくてもいいんです。たくさん。出してくださいね」
 「あ……し…ま?」
 この状態で、まさか名前を呼ばれるとは思わなかった。
 最後まで否定されるのも、それはそれで盛り上がるかもしれない。
 「はい?」
 と、いい子ちゃんの僕らしく、大きく首を傾げて見せれば。
 「す、まな……い」
 何と、謝られてしまった。
 「困りますよ。謝られても」
 本来なら僕の方こそが謝らねばならない。
 貴方を快楽の地獄に強引に引きずり込んだのは、僕だ。
 「…こんな、こと……す、まな……」
 一体壬生さんは何に対して謝っているのか。
 僕が、好きで。
 貴方の身体を犯しているというのに。
 「謝らないでください。僕が好きで貴方を犯しているんです」
 いざ口に出してみると、まるで告白めいたそれは、不思議と僕の胸に馴染む。
 そう、僕は貴方が好きで、貴方を犯すのだ。
 誰よりも?
 わからない。
 身体はもとより、心までもが引き摺られてゆく。
 「あ!あ!あ!もう、で……る!」
 弓なりに仰け反った体から精液が吐き出される。
 極々少量の割には、身体の震えは激しかった。
 あんまりにも淫らに蠢く締め付けの中、僕もどくどくと吐き出してしまったと
ころで。
 壬生さんの身体が崩れ落ちた。
 気を、失ってしまったようだ。
 力なく僕の腕の中でしなだれている様子を見ると、更なる嗜虐心が乱され
る。
  首筋に歯を立てながら、奥深くを抉ろうとした瞬間。
 伸びてきた触手が、壬生さんの身体をくるくると包み込み、僕の手の届かな
い所へ連れて行こうとする。
 「え?ちょっと!まだ、したりないんだけれど?」
 と、口を出てしまった言葉に、我ながら肩を竦める。
 これじゃあ、色餓鬼だよね、僕。
 苦笑しながら、それでも壬生さんの身体を手放したくなくて伸ばした指先は、
ぴしゃんと触手に撥ね付けられた。
 どうやら僕は、やりすぎてしまったらしい。
 余すところなく壬生さんの身体に巻きついた、触手はその眠りを乱すことなく、
揺り籠にも似たゆったりとしたリズムであやしている様が、遠目に見える。
 僕と違って、この触手どもは、壬生さんが大切でしょうがないようだ。
 度を越した快楽をさんざん与えた後で、きっと自発的に目覚めるまで、ああし
て寝かしつけるのだろう。
 日々暗殺に明け暮れて、身体も心も休まる隙がなかった壬生さんに与えられ
た、これは褒美なのだろうか?
 あれほど、かたくなに抵抗し続けていたとしても。
 「ま、ここは。触手に譲りましょう」
 だって、ここは触手と僕しか知らない。
 きっと日を改めて訪れれば、壬生さんに触手とは違った快楽を与えられる僕
は、再び受け入れて貰えるだろう。
 「……ごめんなさい、壬生さん」
 僕はこの秘密を誰にも話せない。
 貴方の望む、解放を与えるつもりはない。
 触手と共生したって、貴方を貪り続けます。
 「また、来ますね?」
 欲しがり続ければ、もしかしたら。

 壬生さんが、僕を心から欲しがってくれたり、するかもしれませんしね。

 僕は脱ぎ散らかした服を丁寧に着て、秘密の部屋に入る為の入り口を、僕
にしかわからないように、丁寧に埋め直した。
 
 

 *霧島×壬生
  よしよし。ダーク霧島に触手エロ♪
  消化できたぞ!っという感じですが、いかがでしょうたでしょうか?
  これの続編は京一視点で始まりますよん。
  三部作の予定なんです、一応。
 



                                    
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