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 軽く記憶障害に触れ。
 日本での私の事件の進展を日常会話の切れ端に、さらりと。
 そうとわからぬように、散りばめて。
 元気でやれやと。
 決まった文句で締められている。
 
 記憶を失ったままで良いのかと思う時もある。
 漠然とした不安に苛まれる夜も少なくは無いけれど。
 ドクターと主と、ナンシーがいれば。
 別に記憶が戻らなくてもいいのかもしれないと、肩で息をつく。
 新しく重ねられてゆく記憶があれば。
 これからが。
 未来があれば。
 それで。
 いいのかもしれないと。
 そんな風に、最近では思えるようになった。
 極々稀に腹の奥から沸き起こる破壊衝動も、時間が経てばやわらいでゆくのだろう。
 言葉の端々に決して幸せだったといえない闇を見せるナンシーを、幸せにしてやりたいとも考
えている。
 
 闇を生きてきたらしい私が、光の中で生きて逝けるかどうかはわからないが。
 
 それでも。

 「恭介」
 私の顔を見詰めて、心のそこから嬉しそうに微笑んでくれる存在があるのならば。
 
 生きてゆけるだろう。

 何かを、失ったままでも。





                                      END




 *恭介&ナンシー
  はあ。すっきりした。
  脳内補完完了しました。
  もそっと入れたいエピソードもあったんですが、さらっと書けてしまったので
  また機会があった時にでも。
  完結編を読み返して、ちょっとジャクロイの戦闘シーンに生かしたいシーンが
  あるんですよねー(苦笑)




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