びんびんに立ち上がって、蜜を垂れ流してべたつく八戒の肉塊を根元か
ら先端へ向かって、掌で一度だけ擦り上げる。
「ひゃあっつ」
大きく肩を竦ませて、八戒が到達した。
もう既に、中を突くだけでいける八戒だったけど、こうやって最後の止
めをした時の、思わずと言った風に溢れ出る嬌声が大好きだったので、あ
えて、追い込んでいる。
いった瞬間のとんでもない締め付けに抗うまでもなく身を任せて、我
ながら、なんでこんなに出るんかなーと思う量の精液をたっぷりと注ぎ込
んだ。
「ん……あいかわらず、たくさん……でますね」
「ってーか、お前さんが搾り取ろうとすんだろうが」
今もまた、余韻でひくひくと震えるその震えに感じるらしく、絶妙な感
じに締め付けてくるのだから。
「切りがなさそーだから抜くぜ?」
明日は、三蔵と悟空が遊びに来る予定が入っている。
俺なんかはベッドの住人になってたっていいが、八戒は掃除と食事の支
度があった。
綺麗好きの三蔵とブラックホールの胃を持つ悟空を満足させるのは、な
かなかに大変なのだ。
最もその程度の大変で、八戒が音を上げるなんて全く以ってないんだけ
れども。
「ん!ふうっつ」
にゅぽんと濡れ切った水音と共に俺の赤黒い肉塊が、八戒の締め付けか
ら解放された。
まだ満足できないとばかりに、ぎんぎんに勃起しっぱなしで我ながら嫌
になっちまう。
「……もう一回、しますか?」
胡座をかいて肩で溜息をする俺の股間をじっと見詰めた八戒は、顔を上
げて俺の頬に口付けをくれる。
先刻まで堪らない喘ぎ声を散らしていたとは思えない、いっそ清楚な雰
囲気を漂わせて聞いてくるから、ホント参るよ。
「いんや?も、結構な時間だろうが。寝とかんと、明日色々準備もあんだろ」
「おや、他人事ですね。掃除は悟浄担当ですよ。隅々までお願いしますね」
「げ!俺、小姑満足させられるほど綺麗好きさんじゃねーよ?」
「小姑さんなんて、言ったら気を悪くしますよ。三蔵」
「小姑=三蔵の図式が出来上がってるお前さんに、言われたかねーって」
けふけふと笑いながら咳き込んだ八戒の背中をゆるく撫ぜてやる。
「あーちっと待ってろ、水。持って来るから」
ベッドからほんのニ、三歩の距離が、今の八戒には厳しい。
準備万端だったはずの水差しの氷は、大半が解けてしまっている。
それだけ長く、抱き合っていたという事だ。
八戒体力も成人男性として考えるならば、かなりのレベルだと思うけれ
ど。
激しいSEXの後は、動きがかなり制限されてしまう。
「ほいよ」
グラスに注いで、手渡すと一息に飲み干している。
SEXの後ってしみじみ喉が乾くもんなぁ。
自分も一杯飲み干すと、八戒が手招きをする。
タオルケットだけを肌に纏った身体を正面から抱き込むようにして、ベ
ッドに潜り込めば、八戒の舌が口の端を嘗め上げた。
水滴でもついていたのだろう。
「んな、事されらた。またしたくなっちまうだろうが。ん?」
首筋に鼻を埋めれば、微かな汗と森の香りを思わせる爽やかな匂いが届
く。
どんなに乱れても、どこかに清涼な雰囲気を残している様が、また俺の
欲情をそそってやまない。
「まだ、まだ、いけますよ?」
「だーめ。だっこしてやっから。大人しく寝ておけ。な?」
「……ここまで乗って来ないのは珍しいですね」
「人を色魔のように言うなってば」
かぷかぷと首筋を甘噛みすれば、擽ったそうに肩が竦められた。
「散々した後の八戒さんは、次の日もいよーに、セクシーなのよん。猿にはまだしも、三蔵に
は見せたくないのよねん」
食欲魔人の悟空が八戒に懐いているのは、ま、警戒する必要もないだろ
うさ。
本能みてーもんだから。
でも、三蔵はそうもいくまい。
あの男、八戒の瞳が好きで仕方ないのだ。
俺も大好きな深みのある、その癖鮮やかなグリーンアイズ。
しかもあいつ、自覚がないんだから性質が悪い。
まー八戒も天然たらしの気はあっけどな。
「全く、とんだ我儘さんで困りますね。私の亭主殿は?」
「いえいえ。フェロモン垂れ流しな奥様よりは、困りませんことですよ?」
抱き合ってお互い、くすくすと笑いながらキスを重ねる。
こんな時、不思議と性欲が失せるから面白い。
「では、大人しく眠るとしましょう」
八戒が俺の胸に頭を預けて目を伏せた。
何時までも見ていたい瞳が伏せられて悲しいけれども、こればっかりは仕方ない。
「はいはい。良い子さんで寝て下さいまし」
約束通り八戒の身体を抱えた俺の掌は、眠りの淵に沈むまで手馴れた揺り籠のリズムをゆっ
くりと刻んだ。
END
*悟浄×八戒
何だかんだいっても、最遊記ではこのカプが一番書きやすい。
外伝の新刊が出たので、何となく外伝も書きたくなっている今日この頃。