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 ゲーム 遙かなる時空の中で3 

 今更ですが、ゲーム系は攻略済なので、ネタバレ万歳です。ご注意を。

 好きなゲームは何ですか?と尋ねられた時にベスト5の中には入るだろうゲームです。
 1〜3まで基本コンプリート目指して戦ってきました(時々挫けて間があきます。現在3の外
伝的なソフトの攻略も途中で止まっています、が何時かやります!)
 だいたいゲームをプレイするとBLに走るのですが、遥か3に限り八葉望美のノーマルカプ。
 1,2は全て天地白虎萌に終始しました。
 全てのキャラと絡ませる事を誓い、100お題で攻略中。
 そういえば、本編で一枚だけ取っていないスチルが、景時さんの髪の毛下ろした絵なんです
よねー。
 絶対萌えると思うので、これも何時か取りたいものです。
 ってーかこれ取れば、遥か3は画像&ムービーフルコンプのはず……。



登場人物

 梶原景時(かじわらの かげとき)
 ……うお! 臍出し! キャラ絵を見た時の開口一番がそれでした。地の白虎。
 選択肢次第で、凄く悲しい展開になるので、切なさ炸裂のキャラだったなぁ。
 や。どのキャラも結構鬱展開が多く、寂しいのですが(汗)
 史実での彼を知らなかったので、弁慶や義経よりとっつき易かったです。

 春日望美(かすが のぞみ)
 ……この手のゲームは、主人公の名前替えをしないでやります。
 性格は真面目で情に厚い設定で、進めてます。コンプリでは基本ですよね。
 景時相手だと、彼の闇を知りつつ、責めの言葉を乗せず、ただ深い母性で包みこむような
 女性にしたくなります。


 今回のお相手は、ゲームを攻略した時に、一番書きたいと思ったエピソードがあるので、
それを書こうかと。
 景時ルートで、バッドエンド。逃亡生活エンドです。
 ああ、これを書ける日が来るとは! 
 頑張りますよぅ。

 

 
坂道

 「望美ちゃん! 大丈夫?」
 「はい! 大丈夫ですよ。景時さんこそ、大丈夫ですか」
 「勿論。君と一緒ならね。僕は何だってできるよ!」

 殺さずにどころか、なるべくなら怪我もさせぬよう加減して、人を捌くのにも随分と慣れた。
 追っ手に掴まれそうになった長い髪を、景時が拾い、そのまま背中合わせで、彼等に対峙
する。
 裏切り者を捕まえろと言われても、極力怪我をさせるなとも言い含められている彼等の
切っ先は鈍い。
 更には、景時は良き上官として。
 望美は、戦女神と崇められた神子として。
 彼等を導き、先陣を切って戦ってきたのだ。
 他の上官の命令と言えど、真摯に従うのは難しい。
 だからこそ。
 見つかっても尚、今回のように逃げ遂せているのだけれど。
 この程度の人数相手なら、息も切らさぬようになった。
 逃亡生活は早数ヶ月。
 追っ手を撃退するのは、さて。
 何回目だろう。

 「私達は、戻る気がありません。どうぞ、これ以上追っ手の方を差し向けぬよう。九郎殿に申し
  伝えて下さい」
 「何処にも組する事無く、誰にも秘密は漏洩しない。僕等は唯、二人で生きたいだけだ」
 地面に転がった兵士達から返事はない。
 ただ、怒りよりも悲しい瞳で見られるのが辛かった。
 言いたいことだけ言い放ち、彼等を置き去りにして直走る。
 町から山道へと入る、中途であったのが幸いした。
 これならば、容易く。
 再び姿を眩ます事ができるだろう。
 最近、少しづつ。
 追っ手から覇気が失せているのがわかる。
 きっと先生が、皆を諭してくれているのだろう。
 最もどれほど先生が言葉を尽くして下さっても、譲君と白龍は私を心配して、九郎さんは
景時さんを心配して、弁慶さんは立場上、私達を探すのを止めやしない気がするのだが。

 完全な山道に入って、数十分。
 先を走っていた景時のペースが落ちる。
 「……望美ちゃん? こっちかなぁ」
 「……そう、ですね。水の気配がします」
 景時は一皮剥けた陰陽術で、望美は今だ失せる事もない龍神の力により、ある程度
地形を読むことが出来る。
 二人が探すのは、人の目に尽き難い場所。
 できれば水辺が近くにあれば良い。
 「びんごっつ! あったよ、望美ちゃん! らっきーだったね!」
 気がつけば望美が使う、向こうならではの表現を景時は案外とよく活用している。
 新しい事に興味津々な彼らしい。
 時々発音が微妙な所も可愛らしかった。
 「望美ちゃん?」
 「ごめんなさい。どんなお魚がいるのかなーって、思っちゃって」
 「ははは。お腹空いたもんね。ちょっと禁じ手を使おうか」
 「はーい」
 「限定範囲最中。限有水量場止。水温沸騰至」
 紡がれたのは、漢字変換の難しい流れるような呪文。
 陰陽術で川の一部分を別空間に切り取って、その部分だけ水温を沸騰させてしまうのだ。
 そうすると、茹でられた水生物が浮かび上がってくるという寸法。
 食べられそうな生き物を回収した後は、温度を下げて、残った死体ごと元の川に繋げる。
 しばらくすると、死体を漁りに大きい魚が寄って来るので、またそれを掴まえるのだ。
 一粒で二度美味しい手法なのだが、景時に任せっぱなしなのもどうかと思うので、なるべく
使わせないようにもしている。
 「ええ? もしかしてこれって、シラウオですか?」
 隅の方に固まって浮き上がっていた、小さくて白い魚
 向こうでは踊り喰いで有名だが、鮨のネタにも多い。
 「なになに? へぇ。向こうではそう言うんだ。こっちではトノサマウオって言うんだよ。なー
  んにもしないお殿様の白い手みたいに白いから、っていうのが語源なんだって」
 「……なるほど。向こうで『白魚のような手』って、特に女性の綺麗な手を褒める時に使う
  表現なんですけど、その辺りも関係してくるのかもしれませんねぇ」
 「どの道、この魚は美味しいから、良かったよね」
 「そうですね」
 見れば他にも魚は上がっている。
 エビ、カニなども、小さいのでそのまま甲羅や皮ごとばりばりと食べられそうだ。
 良く屋台で串焼きにされていたのを見た、ニジマスか、それに似た魚は結構大きい。
 いますぐ食べられそうに茹で上がっているのだが、香ばしく焼き上げたい所。


 景時と二人、存分に獲物を回収した後。
 彼の目配せにより術を解く。
 第二波が来るまでの間、手近にある物で獲物を入れて置く器造りに終始した。

 火を起こし、必要以上に目立たぬよう小さな焚き火を作り上げ、葉っぱを払った木の枝で
作った串に魚を突き刺す。
 何本か作った魚つきの串を、炎の回りに突き刺して焼き始める頃には、景時が大量の大物
を抱えて、何時の間に作ったのか箱のような入れ物の中に、とさとさと入れてゆく。
 大きめの葉っぱをたくさん被せて、これまた陰陽術の応用で、そこだけ時間を止めると言う
荒業を利用して、腐敗を防ぐ倉庫のような物に仕立て上げて、完成。
 せっかく彼が修行を積んで物にした陰陽術を、何だか酷く生活に密着した使い方をして貰う
のには、未だに抵抗があるのだが。
 景時はむしろ、今までの中で一番役に立ってるよ! 陰陽術なんて人様の役立ってこその
術だからね、とても嬉しいんだ。
 と、にこにこ笑いを崩さなかった。
 戦場で鮮やかな術を駆使する彼を知っているだけに、釈然としない部分もあるのだが、元々
人と戦うのを良しとしない心根の優しい彼には、今のような術の使い方が、本来の姿なのか
もしれない。
 そんな風に思い直せば、彼の心からの笑顔に自分の頬も自然と緩む。
 「望美ちゃーん。そっちはどう?」
 「へわわ!」
 いきなり背後からきゅうと抱き締められて、間抜けた声を出してしまった。
 ヒノエ君や弁慶さんと違い、意識してないスキンシップがとても多い人なのだ。
 その辺りは、少し先生に似ている。
 最初は一線を引いていた先生だったが、幾度も跳躍を繰り返すうちに。
 私の、知らない私を亡くす度に、本人曰く臆病になっていったのだと言って、二人きりの時は、
私の存在を確かめるように飽きる事なく触れてきた。




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