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 オリジナル 高城学園 

 高城学園=霊能者専門養成学園。
 サイキックファンタジー要素てんこもり学園モノ。
 綾瀬の欲望のままに書き綴られるシリーズ。


 登場人物

 草薙 聖(くさなぎ せい)
 ……長髪眼鏡で垂れ目。
    いつでも白衣を着て白手袋を嵌めている、学園唯一の毒操師(けみし)
    色々な意味で綺麗な存在に大変弱いお人。妹を思わせる晶を溺愛。
    生徒会副会長。16歳。

 直江 炯(なおえ けい)
 ……短髪で切れ長の眼差し。
    ボーイッシュな人見知り。
    と、いうよりは晶さえ居れば、他には何もいらないお人。
    学園唯一の神操師(かみくくり)ビバ、ふたなり(苦笑)16歳。


二部構成になっておりまして一部、二部と設定がだいぶ変わります。
 『呪詛』は、一部の設定で。
  
 中々会うことが出来ない、末の妹・泉(いずみ)を思い出せる、よく似たタイプの晶が可愛くて
仕方ない草薙。
 ところが晶にめろめろな直江は、晶を人前に出すことを好まない。
 挙句の果てに監禁沙汰になってしまい…。


 

 
呪詛
  

 「直江っつ!居るんだろっつ!出て来いっつ」
 どんどんどんと、ドアを叩く。
 晶を部屋に閉じ込めて、己も一緒に部屋に篭ってから既に一週間が経つ。
 部屋の中に多少の食材はあっても、そっち方面に気が付く直江ではないし、晶にその手の
フォローを頼むのは更に無理な話。
 と、なるときっちり備蓄食料を蓄えてもいない二人が、満足に食事を取っていないと、阿呆
でも推察できる。
 体力がある直江を心配する気なんて、これっぽっちもないが、晶が心配だ。
 食事も満足に与えずに、SEX三昧ともなれば、晶の体力は限界を存分に超えてしまって
いる。
 「渚っつ。フォロー頼むぞ」
 「ええ。草薙さん」
 俺の隣に立つ、白髪赤目の少年は、落ち着いた風情で頷く。
 現在高城学園で攻撃系の術者として、直江を越える人間は稀有だ。
 今はその一人である、少年・渚カヲルを共に連れている。

 渚カヲル。
 攻撃系最高峰の風の称号・颶風を持つ。
 神道系霊能力者の父と想像上の生物『麒麟』の母親が両親とのコトだ。
 まさか!と、突拍子もない話が日常茶飯事の高城学園においても眉唾物の話ではあるが、
渚には、それが本当なのだと思わせる能力と浮世離れした部分があった。
 中等部の生徒会長の地位に十三の歳で着任したのは、彼以上の能力者が中等部にいな
かったからだ。
 生徒会が学園を運営しているといっても大袈裟ではない、高城で。
 渚の力は、そういった意味でも絶大だった。
 
 何の因果か高等部の生徒会副会長、しかも現時点で会長は居ないってー状態で着任し
てしまった俺とは、まー同士みたいな感じ。
 俺は俺で、化け物だしね。
 自分の体液で、人間殺せるから。
 こーみえても一応、数百年は歴史のある毒操師・草薙家の長子。
 実の兄妹で番った、両親の歪んだ血を一身に受け継いでいる。
 ま、そんなトコでも親近感があるんだと思う。
 何を考えてるかよくわからない、と生徒会内でも揶揄される渚とは、不思議と馬が合った。
 「南条さん!大丈夫ですかっつ、南条さんっつ」
 ドア越しに渚が、晶を呼べば。
 『な、ぎ…く?』
 微かに、微かに聞こえた返事。
 「大丈夫ですかっつ!」
 『わた、し…ああっつ……ん、ああ、も…やぁ……』
 が、すぐに甘ったるい喘ぎに変わる。
 「ったく、直江の色キチめっつ」
 俺は元来、霊だけを切ることが出来る破霊刀・千薙を振るった。
 封神具と呼ばれる力を持った霊具の中でも、トップクラスの力を持っている千薙は、俺の思
考に納得できれば、本来の霊刀としての力を超えて、障害を切り伏せてくれる。
 奴も、晶には懐いていた。
 悲鳴がきっと、物言わぬ刀にですら、届いたのだろう。
 直江の結界が張られたはずの、ドアが真っ二つに切れた。
 「晶っつ!無事かっつ」
 幾度も訪れたコトがあるから、部屋の間取りなんて目を瞑っていてもわかる。
 俺は大股に入り口から、居間にあたる部分を突っ切って、寝室のドアをこれまた千薙で切
り伏せた。
 「……あ、あ?な、ぎっつ?」
 大きく股を開かされてベッドに縫い付けられた晶は、虚ろな目を俺に向けてきた。

 目の裏が真っ赤に染まった。
 血管でもぶちきれたんじゃねーの?
 満足に息すらもつげぬ風に貪られて、止まる気配も見せずに揺すられ続ける晶の姿に、
俺の限界を超えた怒りが伝わって、千薙が恐ろしい鬼気を蓄える。
 右上から左下に斜め一線。
 切って捨てれば、生まれた刃風が直江の身体だけを吹き飛ばした。
 全く、我が封神具ながら器用な働きをする。
 ずるっと、イヤラシイ水音と共に引き抜かれた直江の、赤黒いアレ。
 晶の育ちきってはいない性器を穿つには、ご立派過ぎる代物。
 ちらりと掠め見た、晶の秘められた箇所は、真っ赤に熟れて腫れぼったくなってしまってい
た。
 あれはもう、痛みしか覚えない最悪の状態だ。
 俺とてこの高城で唯一の薬師の称号を持つ男。
 晶の体の状態が、再起不能寸前まで陥っているのに気がつけないはずもない。
 最も、そんな壊れてしまった身体を抱えても尚。
 直江は晶を離さないのだろうが。
 俺が、許さない。
 だいたい晶は、まだ。
 心から直江に全てを明け渡してはいないのだから。
 「渚っつ!」
 「はいっつ」
 目にも留まらぬ早業というのは、きっと。
 こんな時に使うのだろう。
 確認の為、すれ違った渚の真っ赤な瞳が瞬いたと思った時にはもう。
 ぐったりと力の抜けきった晶の身体は、渚の腕に抱えられていた。
 「葵っつ。共に走れ!」
 「わんっつ!」
 小さな豆柴。
 ふわふわと淡い茶色の毛が可愛らしい、俺の守護獣。
 外見の愛らしさに見合わず、結構なお手前で!と言わしめる実力の持ち主だ。
 俺が特に指示せずとも、これからな負えと対峙することになる最中。
 晶の容態を伝えて寄越すだろう。
 「では、草薙さん。僕は、綾波の元へ」
 「ああ。心配しているだろうから。上手に宥めてやってくれ」
 「はい」
 丁寧にも葵にまで会釈をして、人一人抱えているとは到底思えない速さで部屋を出て行っ
た。
 学園最高峰の癒し手でもある露時雨の称号を持ち、晶の一番の親友でもある綾波レイに
任せておけば、まず心配ないだろう。
 ……あの晶の状態を見て、普段冷静沈着で感情の起伏が少ない綾波がどんな表情を
するのか。
 その瞬間を見てみたいという、不謹慎な気がして。
 俺は大きく息を吸い込んだ。
 そんな間抜けた事を考えていて、これから直江を徹底的に痛めつけられないからだ。
 学園で、これも唯一。




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