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 「……本当に?」
 おずおずと伸ばしてくる手首を、掴んで引き寄せる。
 胸の中、とさっと乗っかってきた身体は体重を感じさせない軽さだ。
 元々、全体的に造りが華奢なせいもある。
 もそっと出るとこ出てくんないかなあ、なんて思ったりもするんだけど。
 それはまあ、これから俺が躾ていけばいいだけの話。
 胸も毎日揉めば、もっと膨らむさ。
 実際、処女だった頃よりも1カップぐらい上がっているだろう。
 何にせよ、自分色に染められるなんて、それこそ究極の色道って奴だしな。
 「ほら、首に腕回して、ぴったりくっつけよ?」
 「……うん」
 何か仕掛けられると思っているんだろう。
 それでも冷え切っている肌は、人のぬくもりに弱くやわらかな体が押し付けられた。
 ひんやりと冷えてしまった肌は、緊張を孕んで、行為に挑むには実際難しい状態だ。
 「……エリーのあたってんな、乳首」
 「馬鹿!寒いからでしょ!」

 「ふううん?それだけかよ、ホントに」
 素早い口での反論は、キスで封じる。
 驚いて見開かれた眼には怒りが差して、硬く握り締めた拳でぽかぽかと背中を叩いてきた。
 曲りなりにも騎士としてトップクラスの俺に、んなことやっても全然堪えないんだってわかっ
ていても、手が出る辺りがエリーらしい。
 お小言を吐き出せないようにと、深く重ねた口付けを、愛撫の動きに切り替える。
 舌先を潜り込ませて、やっこい小さな舌を軽く撫ぜただけで、俺の手の中に完全に収まった
華奢な身体が、びくびくっと震えた。
 ホント、男冥利に尽きるな!ってくらい感度がいいんだ。
 俺の躾もあるんだろうし。
 天性の部分もあるのだろう。
 どの道嬉し恥ずかし、とっても楽しい!って奴だ。
 怯えて逃げを打つ舌を絡め取って、歯を立てる。
 力加減を間違えないように、あくまでも軽く。
 舌をなぞる程度の強さで。
 「ん……あっつ……」
 あれ?調子に乗りすぎたかな。
 痛みを訴える声が混じったので、噛むのは止めて、絡めるのに没頭した。
 エリーの舌は、甘くて柔らかい。
 ずっと絡めていたくなるくらいには、美味。
 キスが楽しいなんてーのも、俺はエリーで覚えたな。
 ぶっちゃけ騎士を選んだ人間にとって、女は二の次の存在だったから。
 溜まった性的欲求が発散できればいいとしか、思っていなかった。
 城で門番を務めていた俺に、エリーが話し掛けてこなかったら、ずっと俺は女というものを、
そんな風にしか扱わなかっただろう。
 最も今だってエリー以外の女はどうでもいいというのが、実際なのだが。
 おっちょこちょいで、一生懸命で、料理は下手な癖に、何故かチーズケーキだけはプロ顔負
けの腕前。
 SEXも快楽に弱いのに、負けん気が強くて、何時も勝てない勝負を挑んでは、俺を銜えた
まま甘く蕩けてゆく。
 今も、また。
 「もう、自分でもわかんだろ。乳首が立ってるの。しかも、押し付けてるよな?んなに、気持
  ちいいかよ、キス」
 逃げ回っていた舌先が、俺の動きに答えるようになって、更には求めるようになるまで、さし
て時間はかからない。
 キスに溺れ出したお次は、体中で俺を欲しがりだす。
 「……だって、ダグっつ」
 普段は、ダグラス!って呼ぶんだが、最中にだけ舌足らずに、ダグって呼ぶトコも気にいって
る。
 「いいんだろ。素直に言えば、弄ってやるぜ」
 「……弄って……って……」
 「ん?」
 目の端を真っ赤に染めて、羞恥を多分に湛えた瞳を意地悪く覗き込む。
 きゅっと、目を伏せたエリーは、俺の唇を自分の唇で挟んでから、極々小さな声で、囁いた。
 「きす……スキ」
 まるで、言葉遊びのような拙さだ。
 「よしよし。素直な子には、ちゃんとにご褒美だ」
 刺激が欲しくて仕方なかったのだろう、先刻から俺の胸板に、すりすりと押し付けてくる乳首
を、乳房を押しのけるようにして指を伸ばし、爪の先でぴんと弾く。
 「や!駄目!それ痛いから!駄目っつ」
 俺の身体を挟み込んでいた太ももが、膝頭ごと跳ね上がる。
 「爪は……駄目ぇ」
 「んじゃ、俺はどうすればよろしいんで?」
 して欲しいコトなんてきっと、エリーよりもよく知ってい俺は、わざとらしく肩を竦めた。
 「ちゅって、キスして?ここ、に」

 「乳首に?」
 「……ん…」
 薄く目を開いて縋る色なんかを乗せられたら、今すぐぶちこみたいやねぇ?ってな臨戦体
勢になっちまうんだが。
 随分と可愛がっている身体だけれども、まだまだ男を受け入れるには幼い、男を受け入れる
場所。
 とろとろに蕩けてからでないと、俺を根元までは飲み込んでくれない。
 中に突き入れて揺すり上げながら、ゆっくりじっくりと奥に捩じ込んで行くのも楽しいのだが、
だいたいエリーが辛そうな表情をするので、なるべくしないようにしている。
 ましてや今は、あまり状況が良くない。
 エリーは雰囲気なんてものに、あまり拘らない性質だけれども、ベッドの中ではやはり安堵
した風情で甘えてくるので、こんな穴蔵の中。
 ムードもへったくれもない状況下なら、せめて気持ち良くさせてやろうって、思うだろうが?
 僅かに立ち上がっている左側の乳首を唇で挟みながら、先端を舌先で嘗め上げる。
 「あっつん。だぐぅ」
 「どした?」
 「ち、イイ」
 「気持ち、良い?」
 途切れがちの言葉よりも雄弁な身体から、気持ち良さの度合いは容易く測れた。
 触れてもいないのに、釣られて立ち上がってくる右側の乳首と。
 俺のちょうど腹の上でじれったそうに揺れる腰の下、淫らな場所からはとろとろとねばつく液
体が滴って、腹の上を滑る。
 「んじゃ、こっちもだ」
 乳房を持ち上げるようにして、小さな乳輪にむしゃぶりつきつつ、乳首を歯先でひっかける。
 「ん、つぅ……ん」

 はは、ちょっと泣いてるみたいだ。
 目の端に浮かんだ涙を、舌先で拾う。
 「ナニ?泣くほど良かったとか?」
 「もう!どうしてそんなコトばっかり……ゆう、のっつ」




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