下津井電鉄

 

 「どうしてもっと早くいけなかったんだろう。」そんな鉄道がある。

 これほど軽便を愛していたのに、下津井電鉄へは廃線間もない頃まで一度も行っていない。それも今の嫁さんを連れての旅であったから、本腰いれて撮るわけにも行かず、旅の通過点でしかなかった。瀬戸内海を入れての美しい写真を雑誌で見るにつけ、惜しいことをしたと思う。この時すでに私は雨男に変身しており、1週間の旅行で台風2発を食らって撃沈した。そんなわけで下津井ではやる気は著しく低下、ビデオを使用しての記録がメインとなった。以下はとある日の乗車スナップであります。

 

 

 ホテルから下津井駅に向かいそこから児島まで往復した。電車は新型メリーベルであった。中古の機器を使っているだけにおしゃれな外観とは裏腹に、モーター音は吊りかけそのもの、雑誌で見たときには遊園地みたいで否定的だったが、いざ乗ってみると座席配置、オープンな中間車と、なかなか面白い電車であった。

 

 

 途中の駅には待合室として旧型車が使われていた。同じ感じの1001が現役でいたが落書き電車となってしまって哀れな姿となっていた。2両編成の方はフジフイルムの広告電車となってしまって緑色になっている。もう生き残り作戦だから仕方がないことだけど、どうにもイメージが失われてしまって、やる気が起こらなかった。それに加えてこのお天気である。(天気のバカヤロ〜!!!)

 

 

 

 メリーベルは楽しい電車だった。廃線後、下津井を一度尋ねたが、まとめて入れられたドームの屋根はほとんど吹き飛ばされ、雨ざらしに近い状態で、特にこの短命に終わった電車が、不憫に思えた。

 電車は感じの良い小駅を一つ一つ停車しながら進んでいく、赤いランドセルの女の子が児島も近いところで降りていった。地元の生活とかかわりあって、間違いなく軽便は死んではいなく、ちゃんと息づいていた。

 

  

 やがて電車は児島駅に滑り込んだ。カモメの模型が飛ぶ遊園地のような駅は、このページのラストにふさわしくないくらい、ぶっとんだ駅に変わっていた。(だから写真はナシよ。)

 

 でもやっぱりいっといて良かった。理屈でアーだコーだ言う前に、まずは尋ねてみることなんだろうね。後で遅いだのなんだのって騒いだところで、出来なかったものいくら悔やんだってしょうがないんだから。だから自分はまたがんばることにしましたよ。ないないって言ったって、探せばそれなりになんか出てくるみたいだから。面白いですよねニッポンってぇ国は・・・。

 

 

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