GOOD-BY EF55 

 

 

 

 「引退するらしい。」何度か噂は聞いていたが、今回は本当らしい。大々的なさよならイベントが発表された。1936年製のこの機関車は往年の特急「つばめ」をひいた特急機。引退後保管されていたこの1号機が1986年に整備され動態復活。現役時代を知らない我々の前にその雄々しい姿を現した。初めの頃は足繁く通ったが、そのうちヘッドマーク取り付けの要望からステーが付けられ、それがきっかけで気分は冷め始め、大した記録もないままに撮影しなくなってしまった。以来EF55は遠い存在になっていた。

 今回上越線でのステージは、試運転で旧客、ばんえつ物語用14形客車使用と多彩で行きたかったが、仕事の繁忙期もあって参加できなかった。舞台は信越線に移り、やっと参戦となったが、客車は12系と一般的。悩んだ末、流線形をちゃんと表現してみようと言うことになり、全て流し撮りにしようと密かに決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2009年1月11日、まずは一番撮りたい鼻先のアップから狙う。手前に影が出るのでおかしいなと思っていた。しかしそれほど深くは考えなかった。往路撮影後、横川からの返しは片パンだし、ぶら下がって来るだけなので、同じ場所でアップの流しにすることにした。撮影後拡大しモニター確認して、この架線区間からワイヤーがあることに気づいた。大失敗である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2009年1月12日、昨日の失敗が悔しくて珍しくすぐ腰が上がる。今日は天気がいまいちだが、下回りがつぶれないので、流し撮りにはこれもいいかもしれない。ポイントを変え、何度となく素振りを繰り返し列車を待つ。今日は全体を入れて撮影してみるつもりでいた。待つことしばし、多くのファンの見守る中EF55は姿を現した。相変わらずの軽快な良い走り、引退させるのはもったいない気がした。列車が行くとすかさずモニターチェック。美しいサイドビューが浮かび上がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 返しは昨日のリベンジで鼻先のアップを流すことに、今回は注意してワイヤーのない区間に三脚を据える。しかし、無情にも車体にかかる架線の影がどうにも気に入らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日かけたものの、結局この場所での作品はものに出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後帰区の様子を捉えて本日の撮影終了。ヘッドマークは知人がデザインしたものだった。彼はどんな気持ちでEF55を見送っていることだろう。

 

 

 

 

 

MENUへ  次へ