2002年4月4日
泡瀬干潟について
大木環境大臣殿
沖縄県にある泡瀬干潟の生態系が開発事業により危機にさらされていることが、ラムサール事務局の注意をひいています。この事業は干潟全体を埋め立ててしまうものです。当方が受領した情報によれば、この開発は沿岸湿地系の水質や生態に悪影響を及ぼす、とあります。
我々は、条約3条第1項の「締約国は、登録簿に掲げられている湿地の保全を促進し及びその領域内の湿地を出来る限り適正に利用することを促進するため、計画を作成し、実施する」というラムサール条約の要請に、貴職の注意を喚起したいと思います。締約国会議の多くの決議や勧告が、すべての湿地の賢明な利用の原則の実施のために作成されています。さらに最近、1999年5月に開催された前回の締約国会議(COP7)で、決議[,21「潮間帯湿地の保全と賢明な利用の促進」が採択されました。特に、以下の部分をご参照ください。
「13. 締約国が、潮間帯湿地に悪影響を与える現在ある政策を見直し変更し、
これらの地域を対象とした長期的保全策を導入するよう検討し、これらの
取り組みの成功や、あるいは失敗であっても、第8回締約国会議向けの国
別報告書の中で、それに関し助言するよう、要請する。
14. さらに締約国が、より多くの数と面積の潮間帯湿地と、中でも先住民や
地域住民にとって重要な場所や、決議[,11で推奨されている地球規模で絶
滅のおそれのある湿地の種の分布する場所を優先し、特に干潟を、国際的
に重要な湿地として特定し登録することを求める。
15. さらに締約国が、海岸湿地に有害な非持続可能な活動の拡大や新規施設
の設置や促進を、適切な研究と合わせてこれらの活動の環境的社会的影響評
価を通じて、環境と地域住民と調和した持続可能な水産養殖のシステムを確
立することを目的とした方策が見つかるまで、停止するよう求める。」
(決議の全文の写しを添付します。)
貴職も当然ご承知のとおり、泡瀬干潟は微小生息域(マイクロハビタット)の多様性を支えています。この場所は4月から7月まで、絶滅危惧種であるトカゲハゼ(Scartelaou histophorus)の繁殖地になっています。この地域は生物多様性上の価値や水文学的価値に加えて、地域社会にとって大変重要な場所であると、我々は理解しています。
建設計画はまた、底生魚類やその他の生物に悪影響を与え、そして干潟の底に沈殿した堆積土砂は、自然の浄化機能の喪失をひきおこすことでしょう。
ですから、もし我々が受領した情報が正しければ、開発事業計画が沿岸水域の生態系の水環境および生態、また地域社会に及ぼしうる影響が懸念されます。もしこの工事計画が完全に実施されてしまえば、干潟とその周辺生態系にとって深刻な悪影響が生じ、それを回避することは困難でしょう。
本件についての日本政府の慎重な検討をお願いします。できるだけ早い機会にお返事をいただけることを期待しております。
もしラムサール事務局に支援できることがあれば、何なりとお申し出ください。
敬具
デルマー・ブラスコ
ラムサール条約事務局長
c.c.:川口順子外務大臣
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更新:2002/10/24 |