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  2002年11月14日 夕刊 3面 写真あり 

日本自然保護協会、泡瀬埋め立て即時中止求める

 【東京】日本自然保護協会(田畑貞寿理事長)は13日、泡瀬干潟の海草藻場移植について「移植藻場は明らかに自然藻場に比べて劣化している」とする独自の調査報告書をまとめ、事業者の内閣府に対し、10月上旬に着工した泡瀬埋め立て事業の即時中止を求める意見書を提出した。県知事へは郵送した。

 調査は10月6、7の両日、海草専門家の相生啓子・青山学院女子短大講師の指導の下、自然藻場や移植藻場の海草や底生生物の生育状況、底質などを調査、比較した。

 調査結果によると、移植地に隣接する自然藻場のリュウキュウスガモの株数密度は一平方メートル当たり1100株だったが、機械化による移植ブロックAでは900株、同Bは800株、同Cは200株と生育状況が悪かった。底生生物も自然藻場では巻き貝類や二枚貝類、甲殻類、ヒトデ類など8類41種が確認されたが、移植地では4類4種が確認されただけで明らかな影響が見られた。

 当局が実験に成功したとする4年前に行われた手植え移植地については「移植株なのか、周囲の自然藻場から伸長してきたものか判断できない」とした。

 報告書は「特に機械化移植による大規模な底質のかく乱が、移植地、採取地でも海草や底生生物の生育・生息環境に大きな影響を与え、海草藻場生態系の現状基盤を大きく破壊している」と指摘。「現段階で機械化、手植え化の実験が成功したと評価できる科学的根拠は皆無」と結論付けた。

 同日午後、環境省で会見した同協会保護研究部の開発法子専門部長は「現在、工事を進めている手植え工法の科学的な技術は確立されておらず、機械植え工法は明らかに失敗。実験で移植地と採取地で二重に自然を破壊している」と、工事と実験の即時中止を強く求めた。


写真説明:泡瀬干潟埋め立て事業の即時中止を訴える日本自然保護協会の開発専門部長(右)=東京・霞が関の環境省

関連情報

日本自然保護協会意見書・報告書

http://www.nacsj.or.jp/database/awase/awase-021116.html

沖縄タイムス 記事

2002年11月14日朝刊26面