沖縄県 県議会議事録 県議会議事録トップ
泡瀬の干潟
沖縄県議会の議事録(出所) 議事録の著作権等は、沖縄県庁にあります。
 沖縄県議会議事録URL
http://www2.pref.okinawa.jp/oki/Gikairep1.nsf/FlmHall/FlmOpen?OpenDocument
平成13年 第 3回 沖縄県議会(定例会) 第 4号  6月22日
糸数慶子(県議)
・・・・・・・・省略(泡瀬干潟埋立問題と関係ない発言は、カット!必要な方は、議事録参照)
 次に、環境問題について。
 泡瀬干潟埋立問題について伺います。
 (1)点目、市民投票条例請求運動の盛り上がりをどのように受けとめていらっしゃるのか。
 (2)点目、事業計画における採算の見通しについての新部長の見解をお伺いいたします。
 事情変更(公共事業の見直し、環境意識の変化等)で着工時期の再考はないですか、お伺いいたします。
 次に、自然海岸埋立問題の激化について。
 (1)点目、全国的な自然海岸保全・再生運動の波に逆行する県内埋立事業の現状についてお伺いいたします。
 公共・住宅用地、あるいは公共施設の用地、さまざまに用地が不足しているということで基地返還や町村合併に求めるいわゆる発想の転換が今沖縄に求められているのではないでしょうか。
 次に、自然海岸の保全や再生による再活性化事業の県内における最近の実例についてお伺いいたします。
土木建築部長(屋比久孟尚)
  次に、環境問題についての市民投票条例請求運動の盛り上がりをどのように受けとめているかについてお答え申し上げます。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業は、本島中部圏東海岸地域の活性化を図るため沖縄市が策定した「東部海浜地区埋立構想」をもとに国、県及び市が共同で事業に取り組んでいるものであります。当該事業については、現在、事業の凍結、推進の意思を問う市民投票に関する条例制定の請求が沖縄市長あて提出されていることは承知しております。
 当該事業は、地域の活性化と自立経済の発展に寄与するものとして、地元の34市民団体や経済団体から成る「沖縄市東部海浜リゾ−ト開発推進協議会」から早期実現の強い要望があるのと、沖縄市議会においてはこれまで3度にわたり全会一致で整備促進の決議がなされております。これらの経緯を踏まえて、沖縄市長はこれまで市民の総意として取り組んできた事業であることから、条例制定の必要はないとの意見を付して議会へ条例案を提出しております。
 県としましても、現下の状況を総合的に勘案した場合、当該事業推進に対する地元の期待は大きく、また中部圏域の振興のため必要な事業であることから、国並びに沖縄市と連携を図り事業を推進していきたいと考えております。
 同じく事業計画における採算見通しについての新部長の見解を賜りたいにお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業で国及び県により造成される埋立用地約186へクタールのうち、港湾施設等を除く約129ヘクタールについては沖縄市が約90ヘクタール、県が約39ヘクタールを土地利用計画に基づいてホテルや住宅用地等として民間等に処分することとしております。
 同事業については、国が行う新港地区の航路しゅんせつ工事において発生する土砂を有効活用して土地を造成することや、上・下水道等のインフラ整備についても国庫補助事業を可能な限り導入することにより極力県及び市の財政負担の軽減を図るよう計画しております。このことから、県及び市は近傍の地価に比べて安価で土地を取得することが可能となり、当該事業の特別会計についても十分採算がとれるものと考えております。
 同じく事情変更で着工時期の再考はないかについてお答え申し上げます。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業については、計画段階から地元市民や専門家等の意見等を取り入れ、陸続きの埋め立てから出島方式への変更や規模の縮小、土地利用の見直しを行い、平成7年に港湾審議会の承認を経て港湾計画に位置づけられております。その後、関係機関と調整を行い、平成12年12月に埋立免許を取得したところであります。
 当該事業の早期実現は、沖縄市民の15年にわたる長年の悲願であり、早期整備の要望が強いことから現計画に沿って進めていく考えであります。
 また、近年、全国的に環境保全に関する意識が高まっており、泡瀬地先の海域においても干潟など豊かな自然環境があることから、環境の保全と開発との調和を図る必要があると考えております。そのため、事業の実施に当たっては学識経験者や沖縄市民等で構成する「環境監視・検討委員会」において環境保全対策や人工干潟等の新たな環境創造手法等の検討などを行い、その結果を踏まえて慎重に事業を進めてまいりたいと考えております。
 同じく全国的な自然海岸保全・再生運動の波に逆行する県内埋立事業の現状はどうなっているかについてお答え申し上げます。
 復帰後における本県の埋立事業は、平成13年3月末現在で約2747ヘクタールで、その内訳は港湾区域で約1454ヘクタール、漁港区域で約434ヘクタール、その他一般海域で859ヘクタールとなっております。
 また、復帰後における50ヘクタール以上の埋立造成地約1115ヘクタールの主な利用状況は、都市開発関連で約352ヘクタール、製造業で約324ヘクタール、道路で約142ヘクタール、緑地で約109ヘクタール、埠頭用地で約60ヘクタール、商業用地で約50ヘクタール、護岸で約27ヘクタール、下水処理施設で25ヘクタール、その他で約25ヘクタールとなっており、地域振興や県民生活の向上に幅広く有効活用されております。
なお、最近の埋立事業においては、緩傾斜護岸、養浜、植栽等により環境の保全・復元や環境との調和に配慮しつつ整備を進めているところであります。
 同じく公共・住宅用地不足は基地返還や町村合併に求める発想転換が必要ではないかにお答えいたします。
 本土復帰以来、一貫して人口増加傾向の続いている本県においては、公共・住宅用地の確保は重要な課題となっております。特に人口集中の著しい本島中南部地域の既存市街地においては、住宅地の過密化と商業用地や工業用地との混在による住環境の悪化に対応するため新たな市街地の整備が必要となっております。
しかし、既存陸域の住宅地以外の区域においては、農業振興地域に指定されている区域が多いことや丘陵地や傾斜地となっているため、開発に適した一定の規模のまとまった土地を確保することは困難であります。また、近年、国内有数のリゾート地として観光産業の発展しつつある本県においては、海洋性レクリエーション施設を備えた魅力あるウオーターフロントの整備等新たなニーズも高まりつつあります。
これらの当面する諸課題に対応し地域の活性化を図るため、中城湾港西原・与那原地区、泡瀬地区等において埋立事業を進めているところでございます。
 次に、自然環境の保全や再生による再活性化事業の最近の実例について伺いたいにお答えいたします。
 沖縄県における海岸事業は、国の第6次海岸事業七箇年計画に基づき高潮対策事業、侵食対策事業、海岸環境整備事業等を実施しているところであります。特に生態系や自然景観に配慮する必要性の高い地域においてはエコ・コースト事業として位置づけ、砂浜、緑地帯の創出や景観の維持を図るための事業を実施しております。現在、中城村安里や多良間村水納及び城辺町保良においてオカヤドカリ、ウミガメの生態系等に配慮したエコ・コースト事業を推進しているところであります。
 また、国頭村辺土名、今帰仁村運天等においては、自然景観にも配慮しながら利用しやすく親しみやすい海岸を創出するため緩傾斜護岸、人工リーフ、養浜、植栽等の整備を推進しているところであります。なお、知念村安座真については平成11年度に本方式により整備を完了し、「あざまサンサンビーチ」として県民に広く利用されているところであります。県といたしましては、今後とも高潮等による災害の防除を図るとともに、良好な自然環境を保全し多様化する海浜利用にこたえる海岸の整備を推進していく考えであります。
糸数慶子(県議)
そして泡瀬干潟の埋め立ての問題なんですが、この問題は沖縄総合事務局の埋立必要理由書が公表されてその内容はまさに世のひんしゅくを買っております。なぜかといいますと、おわかりのとおり宿泊施設に何と観光客の問題でもそうですが、現在の県の調査によると、99年の観光客の平均滞在日数が3.74日というふうになっておりますけれども、宿泊日数にするとそれがかなりふえていくような、調査では5.27泊というふうになっておりますが、その数字の根拠はどういうところから来ているものなのか、それも明らかにしていただきたいと思います。
 そしてこの問題は、現在、国会議員あるいは日弁連、そして海外からの調査団も派遣されてきておりますし、また地元においても市民投票を求める市民団体とか、市職労の動きなどがあって問題は混沌としてきております。
 この事業の採算性については、推進する市議会議員の中からも、沖縄市は売れる部分の土地だけを引き取ればよいので、売れなければ沖縄市の負担は生じないという議論も飛び出している状況でございますが、この現状についても再度部長にお尋ねいたします。本当に採算性のとれる事業であるのか、そして8月着工は強行されるのでしょうか。
 答弁によっては知事の御見解もお伺いいたしますが、まず部長にお伺いをしたいと思います。
土木建築部長(屋比久孟尚)
糸数議員の再質問3点ばかりあったと思いますが、事業の採算性についてということで、先ほども私から答弁をしたんですが、この事業につきましては国が177ヘクタール埋め立てる予定になっておりまして、そのうち、将来これが完成したときに民間に処分する土地以外の公共施設として残る例えば護岸とかあるいは道路とか、そういったあれにつきましては無償で県が委託管理することになっております。
 そういった形で泡瀬新港地区の土砂を利用して有効活用して埋め立てするのと、あるいは将来完成した後に国でつくった施設等、そういったのを無償で県が引き取るのと、あるいは先ほども言ったんですが、市がこれからいろいろと整備していくインフラの整備等につきましても、国庫補助事業をできるだけ割り振りしたいということで、できた後の県や市が取得する用地単価が非常に安く安価にできるんじゃないかと、そういう形で考えております。そういった形からして、将来そういう採算性は十分とれるんではないかと考えております。
 それから、国が8月着工ということは予定どおり行うかということだったんですが、今国から聞いた限りでは藻場とかあるいはクビレミドロ、これはまだ完全に移植ができたというお話がないんですが、今実験途中で、それを続けながらまずは第1工区、特にそういった藻場とかクビレミドロに影響がないところから予定どおり8月、9月からは着工していきたいということで聞いております。
 それから、先ほどの5.27泊の推定ということなんですが、これは泡瀬地区のこのホテル用地のそういった推定等につきましては、これは平成18年度の616万人ということの推定から出てきている数字ではあるんですが、最近、沖縄県の振興開発審議会の専門委員会がまとめた資料によりますと、10年後、これは平成23年になるんですが、入域観光客数は最大700万人規模に達するという形の見方もあります。
 それから、最近、沖縄県コンベンションビューローが平成11年度に実施したアンケート調査によれば、今後の沖縄観光における希望滞在日数については4泊以上が約50%、5泊以上が約25%ということで、想定している5.27泊はさほどそういう数字とは離れてはいないんではないかと、そういう形で思っております。
糸数慶子(県議)
 それから最後なんですが、先ほど土木建築部長が答弁をしていらっしゃいましたけれども、本当に沖縄の観光入域客数、今想定されている数がやってくるかどうかということと、宿泊日数の件に関して今土木建築部長はそういうお答えをなされて、この5泊というのも根拠があるようなことをおっしゃっていらっしゃいましたけれども、観光リゾート局長に再度お尋ねしたいと思います。本当に5.27泊というのは沖縄の観光客の実数として裏づけができるものであるかどうか、お答えをお願いしたいと思います。
観光リゾート局長(糸数昌宏)
 ただいまの再質問でございますが、現状では今の観光客の平均の滞在日数は3.74日になっております。
 先ほど土木建築部長から答弁がございましたが、観光コンベンションビューローが平成11年度にアンケート調査をしたわけでございますが、これはあくまでも今後の希望滞在泊数ということになっておりまして、ただ私どもの方でも現在、平成14年度以降の観光振興基本計画の策定業務を今準備を進めておるわけでございますが、今後は入域観光客についても伸ばしていこうということがありますが、できれば今後滞在日数を伸ばしていくというような方向に持っていくべきじゃないかということで今検討しているところでございまして、具体的に数字がどうというのは今コメントできません。今いろいろ調整中でございます。
 以上です。
商工労働部長(當銘直通)
 沖縄市泡瀬臨海部土地造成事業問題の中で、稲嶺知事が就任して2年の間に福建友好会館についてどのような対策を講じたか、また今後どのように対応していくかについてお答えいたします。
 福建・沖縄友好会館は、平成10年7月に本県と福建省との交流を推進するため福建省と共同で建設され、相互の交流拠点として利用されています。その結果、同会館の事務所スペースを利用する企業は当初の1社から現時点で6社となっているほか、福建省内で工場等を営む県系企業は10社を超え、さらに技術研修等の人的交流がふえるなど交流が確実に進展しています。
 なお、福建・沖縄友好会館管理のために支出されている委託料は平成10年度552万5000円、平成11年度524万8000円、平成12年度358万9000円となっております。
 また、中国との経済・文化交流を目的に設置された沖縄県産業振興公社福州事務所に補助金を支出しておりますが、年次別の内訳は平成10年度4429万8000円、平成11年度3384万9000円、平成12年度2968万8000円となっております。
 福建・沖縄友好会館の今後の活用については、引き続き沖縄県と福建省との経済的・文化的交流に貢献できるよう有効活用を図ってまいりたいと考えています。
 以上でございます。
総務部長(與那嶺恒雄)
総務部長(與那嶺恒雄)
 失礼いたしました。追加して答弁をさせていただきます。
 沖縄市泡瀬地区臨海部土地造成事業問題の中の、県関係大規模事業計画の見直しについてお答えいたします。
 県は、本県の財政が依然として厳しい状況にあることから、行政システム改革大綱に基づき大型の県単箱物施設整備の凍結や県債発行額の抑制等による後年度負担の軽減に努めているところでございます。
 また、国庫補助による公共事業の実施に当たっても事業の効果、緊急性、建設時及び後年度の財政負担等について慎重に検討し着手することとしております。
 さらに、既に建設等に着手している大型の公共施設整備事業につきましても、事業費のさらなる縮減や収支改善の方策について検討するなど、将来の財政運営にも十分配慮しながら財政の健全化に努めているところでございます。
 なお、大型プロジェクト事業の見直し等については、都市モノレールの需要喚起策の検討や農業研究センター整備に係る事業費の見直しを行ったほか、沖縄県公共事業評価監視委員会の審議を経て白水ダム建設事業などの中止を決定しております。
糸数慶子(県議)
 それから泡瀬地区の問題なんですが、知事は視察に行かれたということなんですが、先ほどの與那嶺部長からのお話もありましたように、相次ぐ三セク破綻の二の舞がこの工事も懸念されるんですけれども、この大規模事業計画の見直しに着手する時期ではないかと思いますが、知事の基本的な見解を再度お伺いいたします。
土木建築部長(銘苅清一)
 再質問にお答えいたします。
 三セクの経営破綻の二の舞が懸念されるが、泡瀬地区埋立事業を見直す考えはないかとの再質問にお答えいたします。
 泡瀬地区埋立事業は、昭和62年に沖縄市が策定した東部海浜地区埋立構想から始まっておりまして、その後市民、専門家等の要請、あるいは提案等を受け入れまして環境に配慮し既存陸域から200メートル離した出島方式としたり、また土地利用計画、規模等の見直しを行うなどの変遷を経て平成7年11月に港湾計画に位置づけられたところであります。
 当該事業については、平成12年12月19日に免許を得たところであり、今年度内に埋立工事に着手することとしております。
 インフラ整備に当たっては、段階的また効率的に行うことにより県及び市の財政負担の軽減を図るよう計画しております。
 県の当該事業の特別会計の収支計画においては、造成された土地の処分等が完了した時点で歳入が約537億円、歳出で約511億円が見込まれており、収支については十分採算がとれるものとなっております。したがいまして泡瀬地区埋立事業の見直しについては考えておりません。
 以上でございます。
糸数慶子(県議)
 再度、知事公室長の答弁を求めます。
 それから今、銘苅部長は、泡瀬の埋め立てに関しては収支について採算は十分にとれるというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、現在、第三セクターを初めとして、それから先ほどいろいろ他の都道府県の事例もありましたけれども、今環境問題を含めていろんな工事などが見直されている状況の中にあって本当にこういう保証が、採算がとれる収益性のある事業であるということを保証が持てますかどうか、もう一度伺います。
 それと知事に対して、けさの琉球新報の朝刊に出ておりましたが、自然保護への思いが深く、こちらの沖縄県の中学生がWWFJの方から作文コンクールで最優秀賞を受賞しています。4000倍の競争の激しい倍率を突破してしっかり沖縄の環境問題、特に干潟の問題についてスウェーデンやそれからスイスまで見に行くというそういう最優秀賞を受賞したことがけさの新聞に大きく載っておりますけれども、ぜひこれを読んでいただきまして、特に泡瀬の干潟に関しましては環境問題の観点から見直しをぜひ要望したいと思います。(資料を提示)
土木建築部長(銘苅清一)
 先ほど知事が答弁申し上げたとおり、自然環境の保全と開発の調和を図るために学識経験者、あるいは沖縄市民等で構成する環境監視検討委員会を設置して環境監視や環境保全対策、あるいは人工干潟の新たな環境創造手法等万全の対策を講じていくことにし、慎重に事業を進めていくということと、収支につきましても先ほど御答弁申し上げましたように、造成された土地の処分等が完了した時点で歳入が約537億円、歳出で約511億円が見込まれており、収支については十分採算がとれるものとなっておりまして、したがいまして見直しについては考えておりません。
 以上でございます。