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泡瀬の干潟
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平成13年 第 2回 沖縄県議会(定例会) 第 6号  2月28日
糸数慶子(県議)
・・・・・・・・省略(泡瀬干潟埋立問題と関係ない発言は、カット!必要な方は、議事録参照)
 次に、沖縄市泡瀬地区臨海部土地造成事業問題について伺います。
 私は、前議会で知事の現場視察について要望いたしました。現場視察の日時、滞在時間、随行者等もしいらしたならば明らかにしていただきたい。
 今度の視察に対する知事の御感想をお聞かせください。
 視察の結果を踏まえて、今でも現計画の続行で環境保護団体等が懸念する環境破壊は避けられると確信できますか。知事の率直な御見解をお尋ねいたします。
 次に、大規模土地造成事業の現状と課題について。
 沖縄の土地増加率は日本一との報道もありますが、県内の用途別土地増加率はどうなっているのか、その利用状況はどうか。同時に自然海岸及び干潟の減少率はどうなっていますか。
 企業用地やリゾート用地は中部圏域で不足しているのか。沖縄市ではどうですか。
 泡瀬地区土地造成事業の収益性については現段階でも県は保証できますか、お伺いいたします。
 次に、首長の政策推進事業の現状と課題について。
 宮崎市の大型リゾート施設シーガイアの経営破綻に見られるように、地方自治体が絡む三セクの事業の破綻が相次ぎ、首長が責任追及される事例が多いですが、県が関係している同様の事例あるいは市町村の例に具体的にどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
 稲嶺知事が就任して2年、この間に福建友好会館問題に対して講じられた対策にどのようなものがあったのか。また今後この問題にどのように対応していくのか、伺います。
 泡瀬地区土地造成事業もバブル期の発想、計画であり、現在の相次ぐ三セク破綻の二の舞が懸念されますが、当事業を含む県関係大規模事業計画の見直しに着手する時期ではないかと考えます。稲嶺知事の基本的見解をお尋ねいたします。
知事(稲嶺惠一)
 次に、沖縄市泡瀬地区臨海部土地造成事業問題で、現場視察の日時、滞在時間、同行者等を明らかにしてほしいということと、次の感想についてということ、その次の環境破壊は避けられると確信できるかと、この3つの御質問に一括してお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業につきましては、平成13年1月26日干潮時に合わせて午後1時30分から30分程度、政策調整監同行のもとに土木建築部次長及び港湾課長の案内で現地を視察したところであります。現地では担当から埋立区域の全容、トカゲハゼ及びクビレミドロの生息状況、干潟の保全を考慮して既存陸域から約200メートル離した出島方式としたこと、埋め立てによりやむを得ず喪失する藻場の移植を行うこと、また工事に当たっては2工区に分け、クビレミドロの生育していない海域側の工区から先行して行うこと、平成13年度から干潟の新たな創出を行うこと等の説明を受けました。
 泡瀬地区埋立事業は、沖縄市民の15年にわたる長年の悲願であり、これまで2度にわたる沖縄市議会での全会一致による整備促進の決議や、沖縄市民からも早期実現について強い要望のある必要な事業であります。
 一方、泡瀬地先の海域には干潟など豊かな自然環境が保全されており、事業の実施に当たっては自然環境の保全と当該地区の開発との調和を図ることが大事であると感じました。
 そのため、自然環境の保全と開発の調和を図るために学識経験者や沖縄市民等で構成する「環境監視・検討委員会」を設置し、環境監視、環境保全対策や人工干潟等の新たな環境創造手法等万全の対策を講じていくこととしており、慎重に事業を進めていく必要があると考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
土木建築部長(銘苅清一)
 沖縄市泡瀬地区臨海部土地造成事業問題のうち、沖縄の土地増加率は日本一との報道もあるが、県内の用途別土地増加率はどうなっているか、その利用状況はどうか、同時に自然海岸及び干潟の減少率はどうなっているかの4点の御質問にお答えいたします。
 復帰後における50ヘクタール以上の埋立事業は、平成12年12月末現在で約1115ヘクタールで、その内訳は港湾区域で約688ヘクタール、港湾区域及び漁港区域を除く海域で約427ヘクタールとなっております。昭和47年の県土面積が約22万4400ヘクタールであったことから、現在整備中の箇所も含めて約30年間の50ヘクタール以上の埋め立てによる県土の増加率は約0.49%となります。
 2点目の造成地の利用状況は都市開発関連で約352ヘクタール、製造業で約324ヘクタール、道路で約142ヘクタール、緑地で約109ヘクタール、埠頭用地で約60ヘクタール、商業用地で約50ヘクタール、護岸で約27ヘクタール、下水処理施設で約25ヘクタール、その他で約25ヘクタールとなっております。
 3点目の自然海岸については、昭和53年度に国が実施した自然環境保全基礎調査で確認された本県の自然海岸の延長は約1288キロメートルとなっております。また平成5年度の同調査で確認された自然海岸の延長は約1242キロメートルであることから、この15年間における自然海岸の減少は延長で約46キロメートル、率で約3.6%となっております。
 4点目の干潟については、昭和53年度に国が実施した自然環境保全基礎調査で確認された本県の干潟面積は約2559ヘクタールとなっております。また平成9年度の同調査で確認された干潟面積は約2141ヘクタールであることから、この19年間における干潟の減少は面積で約418ヘクタール、率で約16.3%となっております。
 同じく企業用地やリゾート用地は中部圏域で不足しているのか、沖縄市はどうかの御質問にお答えいたします。
 中部圏や沖縄市での企業用地やリゾート用地につきましては、現在、これら土地利用が那覇都市圏等に比べて低い水準にとどまっており、当地域の活力低下を招く一因となっております。
 この要因としては、中部圏陸域、特に沖縄市周辺が過密既成市街地、優良農地、米軍基地等で構成されているために拠点開発に適したまとまった用地がほとんどないことから、企業立地やリゾート用地整備が進まない重要な要因となっております。
 ちなみに、中部圏地域でのホテル・旅館の件数及び収容人員は沖縄全体のそれぞれ23%、18%となっており、中部圏地域の人口、純生産の沖縄全体に対する比率42%、36%に対して低い水準にとどまっていると考えております。
 同じく泡瀬地区土地造成事業の収益性と保証についての御質問にお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業で国及び県により造成される埋立用地約186ヘクタールのうち、港湾施設等を除く約129ヘクタールについては沖縄市が約90ヘクタール、県が約39ヘクタールを土地利用計画に基づいてホテルや住宅用地等として民間等に処分することとしております。
 同事業については、国と一体となって進めることから初期投資が軽減されるとともに、概略で試算すると総事業費で約80億円の経費が節減されていること、またインフラ整備についても上・下水道事業、雨水排水施設整備事業、区画道路整備事業に国の補助事業をできるだけ導入することにより当該事業の収支については県及び市の財政負担の軽減を図るよう計画しております。
 また、当該事業の特別会計の収支計画においては、造成された土地の処分等が完了した時点で歳入が約537億円、歳出では約514億円が見込まれており、収支については十分採算はとれるものとなっております。
 以上でございます。
商工労働部長(當銘直通)
 沖縄市泡瀬臨海部土地造成事業問題の中で、稲嶺知事が就任して2年の間に福建友好会館についてどのような対策を講じたか、また今後どのように対応していくかについてお答えいたします。
 福建・沖縄友好会館は、平成10年7月に本県と福建省との交流を推進するため福建省と共同で建設され、相互の交流拠点として利用されています。その結果、同会館の事務所スペースを利用する企業は当初の1社から現時点で6社となっているほか、福建省内で工場等を営む県系企業は10社を超え、さらに技術研修等の人的交流がふえるなど交流が確実に進展しています。
 なお、福建・沖縄友好会館管理のために支出されている委託料は平成10年度552万5000円、平成11年度524万8000円、平成12年度358万9000円となっております。
 また、中国との経済・文化交流を目的に設置された沖縄県産業振興公社福州事務所に補助金を支出しておりますが、年次別の内訳は平成10年度4429万8000円、平成11年度3384万9000円、平成12年度2968万8000円となっております。
 福建・沖縄友好会館の今後の活用については、引き続き沖縄県と福建省との経済的・文化的交流に貢献できるよう有効活用を図ってまいりたいと考えています。
 以上でございます。
総務部長(與那嶺恒雄)
総務部長(與那嶺恒雄)
 失礼いたしました。追加して答弁をさせていただきます。
 沖縄市泡瀬地区臨海部土地造成事業問題の中の、県関係大規模事業計画の見直しについてお答えいたします。
 県は、本県の財政が依然として厳しい状況にあることから、行政システム改革大綱に基づき大型の県単箱物施設整備の凍結や県債発行額の抑制等による後年度負担の軽減に努めているところでございます。
 また、国庫補助による公共事業の実施に当たっても事業の効果、緊急性、建設時及び後年度の財政負担等について慎重に検討し着手することとしております。
 さらに、既に建設等に着手している大型の公共施設整備事業につきましても、事業費のさらなる縮減や収支改善の方策について検討するなど、将来の財政運営にも十分配慮しながら財政の健全化に努めているところでございます。
 なお、大型プロジェクト事業の見直し等については、都市モノレールの需要喚起策の検討や農業研究センター整備に係る事業費の見直しを行ったほか、沖縄県公共事業評価監視委員会の審議を経て白水ダム建設事業などの中止を決定しております。
糸数慶子(県議)
 それから泡瀬地区の問題なんですが、知事は視察に行かれたということなんですが、先ほどの與那嶺部長からのお話もありましたように、相次ぐ三セク破綻の二の舞がこの工事も懸念されるんですけれども、この大規模事業計画の見直しに着手する時期ではないかと思いますが、知事の基本的な見解を再度お伺いいたします。
土木建築部長(銘苅清一)
 再質問にお答えいたします。
 三セクの経営破綻の二の舞が懸念されるが、泡瀬地区埋立事業を見直す考えはないかとの再質問にお答えいたします。
 泡瀬地区埋立事業は、昭和62年に沖縄市が策定した東部海浜地区埋立構想から始まっておりまして、その後市民、専門家等の要請、あるいは提案等を受け入れまして環境に配慮し既存陸域から200メートル離した出島方式としたり、また土地利用計画、規模等の見直しを行うなどの変遷を経て平成7年11月に港湾計画に位置づけられたところであります。
 当該事業については、平成12年12月19日に免許を得たところであり、今年度内に埋立工事に着手することとしております。
 インフラ整備に当たっては、段階的また効率的に行うことにより県及び市の財政負担の軽減を図るよう計画しております。
 県の当該事業の特別会計の収支計画においては、造成された土地の処分等が完了した時点で歳入が約537億円、歳出で約511億円が見込まれており、収支については十分採算がとれるものとなっております。したがいまして泡瀬地区埋立事業の見直しについては考えておりません。
 以上でございます。
糸数慶子(県議)
 再度、知事公室長の答弁を求めます。
 それから今、銘苅部長は、泡瀬の埋め立てに関しては収支について採算は十分にとれるというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、現在、第三セクターを初めとして、それから先ほどいろいろ他の都道府県の事例もありましたけれども、今環境問題を含めていろんな工事などが見直されている状況の中にあって本当にこういう保証が、採算がとれる収益性のある事業であるということを保証が持てますかどうか、もう一度伺います。
 それと知事に対して、けさの琉球新報の朝刊に出ておりましたが、自然保護への思いが深く、こちらの沖縄県の中学生がWWFJの方から作文コンクールで最優秀賞を受賞しています。4000倍の競争の激しい倍率を突破してしっかり沖縄の環境問題、特に干潟の問題についてスウェーデンやそれからスイスまで見に行くというそういう最優秀賞を受賞したことがけさの新聞に大きく載っておりますけれども、ぜひこれを読んでいただきまして、特に泡瀬の干潟に関しましては環境問題の観点から見直しをぜひ要望したいと思います。(資料を提示)
土木建築部長(銘苅清一)
 先ほど知事が答弁申し上げたとおり、自然環境の保全と開発の調和を図るために学識経験者、あるいは沖縄市民等で構成する環境監視検討委員会を設置して環境監視や環境保全対策、あるいは人工干潟の新たな環境創造手法等万全の対策を講じていくことにし、慎重に事業を進めていくということと、収支につきましても先ほど御答弁申し上げましたように、造成された土地の処分等が完了した時点で歳入が約537億円、歳出で約511億円が見込まれており、収支については十分採算がとれるものとなっておりまして、したがいまして見直しについては考えておりません。
 以上でございます。