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泡瀬の干潟
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平成12年 第 4回 沖縄県議会(定例会) 第 4号 12月11日
外間 久子(県議)
・・・・・・・・省略(泡瀬干潟埋立問題と関係ない発言は、カット!必要な方は、議事録参照)
 一般質問を行います。
 中城湾港埋立地(泡瀬地区)における埋立事業及び環境問題について質問を行います。
 我が党は、さきの国会で事業目的が定かでない、採算が度外視、環境破壊の危険性など重大な欠陥が指摘されながら、巨額の税金がつぎ込まれている公共工事について、欧米では当たり前になっている住民参加の事業評価制度を確立し一定規模以上の公共事業を総点検することを提起しました。
 中城湾港(泡瀬地区)公有水面埋立事業東部海浜開発計画についてもこの角度からの十分な吟味が必要だと考えます。このことは中城湾港(新港地区)の用地利用状況、沖縄市へのホテルの進出の失敗で地元住民や自然環境の保全、保護団体や漁民などが多くの問題点を指摘していることからも明らかであります。
 この計画は、10数年眠っていた状況でしたが、98年の4月、隣地の中城湾港(新港地区)の特別自由貿易地域への指定へ向け港湾整備に伴うしゅんせつ土砂の捨て場が必要となり、国が事業への参画を申し出たことで急遽土砂の処分場としての埋立計画に早変わりしたにすぎません。しかも十分な環境調査もなされないまま認可申請がなされていますが、埋立事業がまだ着手されてない今こそ埋立面積の規模と埋立後の土地の利用計画の見直しを改めて求めるものであります。
 その上、評価書では干潟の生態系についてはトカゲハゼと鳥類、藻場や生態系についてはリュウキュウアマモ、ボウバアマモ等の海藻類を代表的な注目種として種の保全対策として生物の多様性や自然環境の多様性が確保されるとみなしていますが、改めて検討すべき問題が挙げられています。しかも県文化環境部は、絶滅危惧種のクビレミドロや藻場の保全に留意し、追加調査を条件とするなど慎重に進めるよう注文をつけています。
 そこで質問いたします。
 (1)、藻場の移植の実験は成功し保全にめどがついたという根拠を示してください。
 クビレミドロは移植実験中だが、移植技術の確立に努めるということですが、国内で成功した例がありますか。並行保全できるというなら、移植が失敗したらだれが責任をとるのか、お答えください。
 (3)つ、追加調査を条件にしていますが、その結果は評価書に載せ、工事の見直しをするのですか。
 (4)つ、埋立地計画はバブル期に策定されたもので、その跡地利用計画も10年前のもの、しかも車で25分の西原・与那原地区にも類似の計画で成功する根拠を示してください。
 (5)つ、市内の東海岸沿いには使用していないホテルもあり、その上、西海岸のリゾートホテルと競合しませんか。
 (6)つ、沖縄市の市民の中では、埋立完了後は市や県に無償で譲渡されると思っている人がいますが、184億円で買い取り、その上、インフラ整備に120億円も要するとなると、今の深刻な財政状況のもと埋立事業の借金はふえ、21世紀の少子・高齢化の時代、市民の暮らし、福祉に大きなしわ寄せは確実です。沖縄市民にとって重い負担になりませんか。借金はつくらない、沖縄市の財政には負担をかけないと明言できるのか、お答えください。
 (7)つ、計画では4つのホテル用地が確保されておりますが、どこのホテルが進出するのですか。
 (8)つ、進出予定企業が37社から現在どの程度ふえたのか、どこの企業が進出するのか、お答えください。
 (9)つ、東部海浜開発埋立事業に伴う漁業補償額の19億円余の積算根拠を示してもらいたい。
知事(稲嶺惠一)
 外間久子議員の御質問にお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業及び環境問題について、藻場の移植実験は成功し保全にめどがついたという科学的根拠を示してほしいという御質問にお答えします。
 中城湾港(泡瀬地区)の埋立事業は、沖縄市を中心とする中部圏東海岸地域の活性化を図るための拠点として「マリンシティ泡瀬」の整備を図るものであり、埋立面積約186ヘクタールのうち国が約177ヘクタールを埋め立て、県は約9ヘクタールの埋め立てを行う予定であります。
 当該事業に当たっては、計画段階から市民や専門家等の要請や提案等を取り入れてできる限り環境へ配慮する等出島方式としております。泡瀬海域には藻場が約353ヘクタ−ルあり、そのうち埋め立てによって約79ヘクタ−ルが消失することとなることから、生育被度50%以上の区域については埋立計画地近傍の藻場疎生域に移植し保全する計画であります。
 平成10年7月から沖縄総合事務局において、移植予定地でこれまでの県内事例を参考にしながら当該海域で生育しているリュウキュウアマモ、ボウバアマモ等について移植実験を実施しております。
 移植実験の結果、平成12年2月までの約1年7カ月後、移植時の株数が2.2倍と良好に生育していることから移植は可能と考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
土木建築部長(銘苅清一)
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業及び環境問題についてのうち、クビレミドロの移植について国内に成功した例はあるか、また移植が失敗したときの責任についての御質問にお答えいたします。
 クビレミドロは、1属1種から成る藻の一種で、文献等によると国内では沖縄本島のみで生育が確認されていることから、本県以外での移植事例はありません。現在、屋慶名海域で約106ヘクタ−ル、恩納村太田海岸で約2ヘクタ−ル、泡瀬海域で約1.7ヘクタ−ルの分布域が確認されております。
 泡瀬地区におけるクビレミドロの生育については、平成12年1月に確認した後、海生生物の専門家の指導・助言を得て屋慶名地区と勝連地区で沖縄総合事務局において移植実験を実施しております。
 その結果、クビレミドロが広く分布している屋慶名地区においても、またこれまでクビレミドロが生育していなかった勝連地区においても、移植した藻体の活着と成長が確認されていることから、クビレミドロの移植は技術的に可能であると考えております。事業の実施に当たっては引き続き調査を行うとともに、慎重を期するため学識経験者等で構成する「中城湾港泡瀬地区環境監視・検討委員会」において詳細な調査結果を検討し、より確実な移植技術の確立に努めていきたいと考えております。
 同じく、追加調査を条件にしているが、その結果は評価書に載せ工事の見直しをするかとの御質問にお答えいたします。
 追加調査は、環境影響評価準備書に対する事業実施前に専門家の指導・助言を得て干潟生物の詳細な調査を実施すること、またその結果は県に報告することとの知事意見に基づき、事業者である沖縄総合事務局が実施しているものであります。
 調査は、干潟の底生生物について詳細な出現目録を作成し、今後の学術研究に資することや今後の事後調査において工事着手前と着手後との比較用のデータとして活用することを目的に実施しております。
 追加調査のうち、クビレミドロについては確認調査を行い、専門家等の指導・助言を得て、その対応について環境影響評価書に記載されたいとの港湾管理者の長の意見に基づき、調査結果と保全対策を環境影響評価書に取りまとめ公告・縦覧を行っております。
 また、モニタリングのデ−タ等として使用するその他の底生生物の調査結果については、県の環境部局へ報告しております。
 同じく、土地利用計画は10年前のもので、西原・与那原地区と類似の計画で成功するかとの御質問にお答えいたします。
 泡瀬地区及び西原・与那原地区の計画は、それぞれの基本コンセプトをもとに計画されております。
 泡瀬地区につきましては、「国際交流リゾート拠点、海洋性レクリエーション活動拠点、情報・教育・文化拠点の形成」を基本コンセプトとしており、平成7年に港湾計画に位置づけられたところであります。当該地区の開発により国際交流リゾート関連施設、海洋性レクリエーション関連施設等が複合的に立地する中部圏東海岸の拠点地区が形成され、新たな雇用の場の確保及び誘客の場の確保とともに余暇、文化、交流などの拠点性の高い機能の集積が図られ、本県第2の都市である沖縄市を中心とする中部圏経済の活性化に資するものと考えております。
 一方、西原・与那原地区につきましては、「中城湾港南部の拠点都市として海辺のアメニティー豊かな活力と潤いのあるみなとまちの形成」を基本コンセプトとしており、主な土地利用計画は住宅用地、官公庁用地及び県道用地等であり、狭小過密化している西原・与那原地域において定住基盤を拡充し地域の活性化を図ることを目的としております。
 したがいまして、泡瀬地区及び西原・与那原地区の開発計画は、それぞれの地域のニーズに沿ったコンセプトに基づく計画であり、競合するものではないと考えております。
 同じく、市内の東海岸沿いには使用していないホテルもある、また西海岸のリゾートホテルと競合しないかとの御質問にお答えいたします。
 沖縄市を含む本島中部圏東海岸地域は活力の低下が見られることから、これら地域の活性化を図るため雇用の場や誘客の場としての拠点地区開発が必要となっております。そのため、大型クル−ズ客船の寄港促進を図るための客船埠頭や交流施設、展示施設、ホテル等の誘客施設を一体的に整備し、地域特性を生かした「国際交流リゾ−ト拠点、海洋性レクリエーション活動拠点、情報・教育・文化拠点の形成」を図ることとしており、観光・リゾ−ト産業を戦略的基幹産業とする本県の施策に沿ったものとなっております。
 当該拠点地区開発は、中部圏東海岸地域の活性化のみならず本県の観光・リゾ−ト産業の振興に寄与するものと考えております。
 同じく、沖縄市は埋立用地の購入費184億円とインフラ整備費120億円を要するが、市財政に重い負担はかけないと明言できるかとの御質問にお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業により造成される埋立用地約186ヘクタールのうち、沖縄市に処分される土地は約89.7ヘクタールが予定されております。
 泡瀬地区埋立事業は、工事着手後約7年かけて造成するものであり、その後国から土地の処分を受けることとしております。
 インフラ整備については、市の負担を軽減するため上・下水道事業、雨水排水施設整備事業、区画道路整備事業等に国庫補助事業をできるだけ導入して段階的に整備を行うものであります。
 なお、沖縄市からは、当該事業の収支についてはできるだけ市の財政負担にならないように計画されており、国から譲り受けた土地処分の収入により採算は十分にとれる計画となっていると聞いております。
 同じく、計画では4つのホテル用地が確保されているが、どこの企業が進出してくるのか、それから進出予定企業が37社から現在どの程度にふえたのかとの御質問は、関連しますので一括してお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業については、埋立免許取得及び承認後着工し7カ年後に埋立工事を完成する予定であります。その後、臨港道路、上・下水道、雨水排水施設、区画道路等のインフラ整備を行い企業誘致を行っていくこととしております。
 企業誘致については、沖縄市が中心となって平成5年度と平成8年度に進出意向調査が実施されており、ホテル用地、複合商業施設用地等への進出意向の回答を寄せた企業は約20社となっております。しかし埋立事業もまだ始まっていない現時点では進出を確定した企業はありません。今後の企業誘致については、平成20年度からの土地処分に向けて県、市、関係機関で連携し協力して行うこととしております。
 同じく、漁業補償額の積算根拠についての御質問にお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業に伴い、漁業補償を行うこととしております。今回の補償区域については、中城湾港(泡瀬地区)埋立事業に伴い、漁業権の一部が消滅する共同漁業権第9号の一部及び特定区画漁業権第141号の全部を対象としております。
 泡瀬地区の漁業補償については、その積算根拠は運輸省の「公共用地取得に伴う損失補償基準」及び「公共用地取得に伴う損失補償基準の運用方針」並びに「沖縄県の公共事業の施工に伴う損失補償基準」に基づいて漁業補償額を算定しております。
 なお、中城湾港(泡瀬地区)埋立事業における漁業補償費約20億円の根拠については、当該事業の施行により漁場が消滅する区域を消滅補償、漁業の操業に支障が生じ漁場としての価値が低下する区域を価値減少補償、また工事期間中に制約を受ける区域を漁労制限補償、工事による影響を受ける区域を影響補償等として漁業補償額を積算しております。
 以上でございます。
文化環境部長(宮城光男)
 県は、ジュゴン関連のどんな資料を持っているかという御質問にお答えします。
 まず、ジュゴンネットワーク沖縄及び名桜大学ジュゴン研究会の調査資料を持っております。
 それから平成2年県で実施した藻場の干潟調査、それから平成9年11月、防衛庁の実施したシュワブ沖調査結果報告書、その他マスコミ関係資料でございます。
 それと、ジュゴンに関する一般的な資料としては、環境庁が関係各国から収集し作成した文献調査等リストを持っております。
外間 久子(県議)
 中城湾の藻場についてですけれども、平成12年に確認されたという今の答弁ですけれども、平成12年に確認して、それを移植してまだ1年もたたないのにこれが成功したという根拠があるんでしょうか。藻場自身が屋慶名の藻場とそれから泡瀬の藻場というのが区別して育っていることが確認できますか。これについて答弁願います。
 あと1つは、石川副知事は、私たちが10月6日に今の土地の利用の見直しの件で申し入れをいたしましたら、そのときの我が党に対する回答は、土地の利用計画の見直しの可能性を示唆いたしました。そしてこれから長いことかけて埋め立てやるから、沖縄市とも土地の利用については考え直さなきゃならないんじゃないかということもほのめかしました。そういう発言というのは、改めて今の中城湾港の埋め立ての事業計画そのものが破綻しているのではないかと思います。そういう立場から改めてこの埋め立ての規模を見直すべきではないかと思いますので、石川副知事にお伺いします。
 あと1つは、総務部長にお伺いしたいんですが、そこには今箱物をつくるということで海洋開発センター、今説明がありました文化施設などがつくられるということですが、今箱物への批判が出ております。箱物をつくって後の管理や運営経費が必要だと思いますけれども、これに対して総務部として将来的に財政負担になるのではないかと思うんですが、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
土木建築部長(銘苅清一)
 ちょっと確認させていただきますけれども、さっき先生がおっしゃっていた藻場じゃなくてクビレミドロのことですね。じゃ、それについてお答えいたします。
 クビレミドロにつきましては、先ほども御説明したんですけれども、現在、屋慶名海域で106ヘクタール、それから恩納村太田海岸で2ヘクタール、それから泡瀬海域で約1.7ヘクタールの分布が確認されておりまして、それについては泡瀬埋立事業工事着手前から完了までおおむね7年ほどを要します。
 工事につきましては2つに分けておりまして、クビレミドロが生育していない地域を第1区域から施行していくことにしておりまして、その間に専門家等の指導・助言を得ながら移植実験、あるいは室内増殖技術開発試験等を実施してより確実な移植技術確立に努めているところでございます。
 それから、クビレミドロが生育している第2区域の施行に当たりましては、当該試験結果やあるいは中城湾埋立地区環境監視検討委員会での検討結果を踏まえるとともに、県の環境部局に環境保全上の意見を聞くこととしておりまして、適切に保全策を講じながら慎重に対応していくことにしております。
 以上でございます。
総務部長(與那嶺恒雄)
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業の箱物整備についてお答えいたします。
 去る3月に策定いたしました沖縄県行政システム改革大綱に基づきまして、「県単独事業により整備する、いわゆる大規模なハコ物(事業費が概ね10億円以上のもの)については、この大綱に基づく行政改革の実施期間中においては、原則として設計や建設に着手することを見合わせるものとする。」というふうになっております。したがいまして平成12年から平成14年までは県単の箱物は抑制することになっております。
 その後、この中城湾港(泡瀬地区)埋立事業に関連いたしまして、県立の施設を建設する場合にはその事業費とその財源、それから維持管理費等のランニングコスト、そういったことを総合的に検討することになると思います。
外間 久子(県議)
 土木建築部長、クビレミドロの件ですが、専門家ということをおっしゃったんですが、その専門家のお名前を言ってください。
 以上です。
土木建築部長(銘苅清一)
 専門家の名前をということでございますけれども、今、専門家に相談しているところでありますけれども、こういうところで具体的に名前を申し上げるのは差し控えさせていただきます。
糸数 慶子(県議)
 通告に従い一般質問を行います。
 今回の質問は、大半が前回の質問と同じ項目を通告いたしました。理由は、執行部の答弁が質問にかみ合ってないからです。議事録を見ればわかることですが、最近の議会答弁は、はぐらかしと繰り返しでいたずらに時間消化をするだけ、議会の場で本来の目的である事実の解明や問題解決のための議論からほど遠いというのが実態であります。地方自治法第179条によりますと、議会は住民の代表機関として地方公共団体の行政の執行に対して監督する立場にあり、行政に対し批判・監督、統制を行い、住民の権利利益を擁護する機能を有するとあります。
・・・・・・・・
 最後に、沖縄市泡瀬地区臨海部土地造成事業についてであります。
 私は、この問題を前議会でも取り上げました。特に前議会で強調したのは次の点です。
 ことしの4月の地方分権統一法の施行で海を埋め立てる場合、その許認可権は国が埋め立てる場合でも知事にあり、知事の責任は以前に比べはるかに重大になっていること、次に世界的な渡り性水鳥の保護、全国的な干潟保全や利用、財政赤字の拡大等それに伴う公共事業見直しなどの社会的な流れの中で用地余りや環境問題などを残したままで埋立事業計画だけがどんどん進められていくことは極めて重大な問題であります。
 このことを強く指摘いたしましたが、これが何ら問題が解明されないにもかかわらず県当局は先週初め、県の埋立分について運輸省に免許申請をいたしました。沖縄県は、免許交付を待って沖縄総合事務局が港湾管理者の県に提出している国の埋め立ての部分とあわせて承認する予定だと報道されています。まことに憂慮すべき事態であります。
 県は、平成12年、ことし沖縄県環境基本条例を選定し、また今議会に沖縄県環境影響評価条例を提案しているのです。
 一方では環境問題を重要視する行政姿勢を示しつつ、片方では環境破壊を平気で実践する県の行政行為はまさに時代に逆行する矛盾そのものであります。
 そこでお伺いいたします。
 中城湾港地域(泡瀬地区を除く)の土地造成の利用状況について、復帰後に当該地域で埋立造成された土地の利用状況、当造成地の活用と未活用の財政負担はどうなっているのか、お伺いいたします。
 泡瀬地区臨海部の土地造成事業について、当該事業の必然性及び緊急性、基地への提供や既存市街地への影響等についてどうなっているのか。
 公共工事見直しや環境保全論と当事業推進論を比較して、知事の御所見を賜りたいと思います。
 前回このように伺ったところ、答弁は(1)についても、造成地の利用状況ではなく、造成と分譲の状況でした。(2)の事業の必然性と緊急性についても、沖縄市の市街の約36%が米軍基地になっているからというとんでもない理由を挙げられました。それならば基地の返還運動をやるべきであり、在沖米軍基地が諸悪の根源であることを露呈した答弁でした。
 それで今回もあえて質問通告をしておりますが、今回申し上げておりますこの質問に対して真摯な知事の御見解をお尋ねいたします。
 答弁によって再質問いたします。
土木建築部長(銘苅清一)
 中城湾港(泡瀬地区)臨海部土地造成の利用状況についてのうち、当該事業の必然性及び緊急性、既存市街地への影響等についての御質問にお答えいたします。
 沖縄市を含む本島中部圏東海岸地域は活力の低下が見られることから、これら地域の活性化を図るため雇用の場や誘客の場としての拠点地区開発が必要となっております。しかし沖縄市は、既存陸域に開発可能なまとまった土地がないことから、当該埋立事業が拠点地区開発の事業として位置づけられたところであります。
 沖縄市新総合計画においては、「国際文化観光都市」を将来像に、田園福祉地区、文化地区、交流地区、臨海回遊地区の4つのゾ−ンでそれぞれ特徴を持った振興を図ることとしており、当埋立計画地区域は、新たな生活空間を創造する臨海回遊地区として位置づけられております。また既存市街地と新たな開発地区とはネットワ−ク化を図り、相互の活性化を推進し地域経済の発展を図ることとしております。
 当該事業は、沖縄市民の15年にわたる長年の悲願であり市民の期待は強く、平成7年10月、平成10年11月、去る平成12年10月にも約2000人規模の早期実現市民総決起大会が開催されました。
 また、沖縄市議会においては平成元年と平成7年に全会一致で早期整備促進の決議がされており、平成12年6月には埋立同意の議決がなされております。このことは、市民の早期実現に対する切実な願いのあらわれと受けとめ、県としては地元の強い要望にこたえるよう早期実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
 同じく公共工事見直しや環境保全論と当事業推進論を比較して再度所見を伺いたいとの御質問にお答えいたします。
 本県の快適で豊かな生活や産業活動を支える社会資本の整備については、3次にわたる沖縄振興開発計画に基づき道路、港湾、空港等の整備が進められ、着実な成果を上げてきました。
 しかしながら、これらの社会資本の整備についても本土と比べまだ十分でない面が存在していることから、来る21世紀に向けて県民の生活や産業活動を支援するために必要な事業については、自然環境との調和を図りながら今後とも引き続き整備推進する必要があると考えております。
 また、本県の豊かな亜熱帯の自然環境は重要な観光資源であるとともに、我が国にとっても貴重な資産であることから自然環境の保全・回復を図ることも重要な課題であります。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業については、その海域は干潟等豊かな自然環境が保全されていることから、計画段階から市民や専門家等の要請や提案等を受け入れ、多くの検討を重ね、現在の出島方式の計画となったものであります。
 当事業の早期実現は、沖縄市民の長年の悲願であり、中部圏東海岸地域の活性化に必要な事業であることから、可能な限り自然環境に配慮しつつ事業を推進し、沖縄市民の期待にこたえていきたいと考えております。
 以上でございます。
知事(稲嶺惠一)
 それからもう一つございました。泡瀬の埋め立ての問題について、その埋立予定地に行ったことがあるかと。
 まだ行っておりません。今後機会をとらえて行ける機会があれば参りたいと思っております。
土木建築部長(銘苅清一)
 糸数議員の再質問にお答えいたします。
 まず採算性でございますけれども、中城湾港(泡瀬地区)埋立事業につきましては、公営企業債による事業のため地方財政法第6条に基づきまして特別会計を設置し、常に経営の適正化と事業の円滑な推進を図ることといたしております。
 同特別会計の将来にわたる収支計算におきましては、平成12年度に事業が開始した場合は起債の返還を平成21年度に終了する予定でありまして、総事業費で約514億円の歳出が見込まれております。また、造成された土地の処分等が完了した時点でおおむね537億円の歳入が見込まれております。したがって収支のバランスはとれるものと考えております。
 それから、シミュレーションの結果を提供していただきたいという御質問だったと思うんですけれども、その趣旨の質問にお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)の埋立事業につきましては、沖縄市を中心とする中部圏東海岸域の活性化を図るための拠点としてマリンシティー泡瀬を整備するものでございまして、また一方、干潟は生物の多様性に富んだ場所でもあり、渡り鳥の採餌場としての役割あるいは水質浄化等の諸機能を有していることから、その保全は重要であると認識いたしております。
 したがいまして、当該埋め立てに当たりましては、埋め立てによる環境への影響をできるだけ低減させ、1つには貴重種であるトカゲハゼの生息地を外した埋立計画、2つ目には鳥類等の採餌場としての干拓を守るため既存陸域から約200メートル以上離した位置に計画しております。3点目に、埋立計画区域内のリュウキュウアマモ等の藻の一部については移植を行い、また人工干潟の造成により干潟生物の新たな生息環境を整備することにしておりまして、このことは海岸環境が保全され海水の流れも良好であることから、環境は相当程度保全できるものと考えております。
 また、潮流シミュレーションの結果につきましては環境影響評価書に載っておりますけれども、後ほど資料提供させていただきます。
糸数 慶子(県議)
 先ほどもお伺いしたわけですけれども、泡瀬地区の埋立問題についてはぜひ知事が現地を調査していただくことを強く希望いたしまして、ただ公共事業が今いろんなところで全く見直されていくというその状況の中にあって、なぜ沖縄県だけがあえてこのすばらしい自然景観を保全せずに、それを利活用せずに埋め立てていこうとしているのか、再度お伺いしたいと思います。
知事(稲嶺惠一)
 その認識が深まっているという感触だけで言うのかというお話でございますけれども、実は先ほども申しましたようにありとあらゆる機会にお話をしてございます。そのときに、先方の対応が明らかに当時よりか私どもが機会をとらえて要望しているたびにその受けとめ方といいますか、向こうの受けとめ方がずっと変わってきております。これは明らかに政府内においてもより認識が深まったものと考えております。
糸数 慶子(県議)
 今の答弁で明確な根拠が示されたとはとても思えませんけれども、まあきょうのところは一応これで終わりますが、
・・・・・・
 最後に、泡瀬地区の埋立問題についてはぜひ稲嶺知事に現地を視察していただきまして、再度この埋め立ての状況を見直していただくことを強く要望いたしまして終わります。