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泡瀬の干潟
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平成12年 第 3回 沖縄県議会(定例会) 第 3号  9月27日
小渡亨(県議)
・・・・・・・・省略(泡瀬干潟埋立問題と関係ない発言は、カット!必要な方は、議事録参照)
 それでは会議規則にのっとりまして一般質問を行います。
 1番目、中城湾港泡瀬地区臨海部土地造成事業について。
 故桑江朝幸元沖縄市長が、安保条約の重要性を認識し市面積の37.01%をも米軍基地として提供している沖縄市にとって、市の振興開発計画のためまとまった土地の確保は東部海域を埋め立てる以外にないということで、昭和62年に構想を策定した沖縄市東部海浜開発計画がいよいよ具体的に甲第4号議案、乙第1号議案として動き始めてきました。この計画に議員になる以前からかかわってきた私にとりましては、大変感慨深いものがあります。
 当初の構想段階では、泡瀬半島の南側と陸続きでありました。これでは自然の砂浜、あるいは砂州、干潟がなくなってしまう。干潟を残せ、自然の海岸線を残せという地元泡瀬地区住民の強い反対に遭い、計画は平成3年までとんざをしてしまいました。
 このままでは、その計画そのものがなくなってしまうということで、小渡良一美原小学校長を中心とした地域の若者たちが泡瀬ビジュル会という勉強会を組織しました。教員、建築士、酒屋、サラリーマン、公務員、土建屋、自営業者など異業種20数名の集まりです。年会費1万2000円を支払い、毎月1回、自治会事務所に集まり真剣に討議をしております。そしてみずから図面を引き、数十ページにも及ぶ人工島構想を沖縄市や推進協議会に提言をしております。人工島にすることにより事業費用は当初の約2倍近くにまで膨れ上がりますが、海岸線は残り、県内では有名な野鳥観察場所となっている比屋根湿地より10数倍も広大な水路が形成され、野生生物の新たなすみかになり得るという会独自の調査結果からであります。沖縄市もこの提言を受け入れ、関係漁業組合などの同意も得られ法線の変更をし、現在の出島方式となっております。
 私もこの泡瀬ビジュル会の当初からの会員の一人でした。泡瀬ビジュル会は、その後発展解消をし、現在沖縄市東部地域開発研究会として活動を続けております。
 なお、参考までに埋立予定地から私の自宅までは直線距離で約500メートルしか離れておりません。
 沖縄市においても、計画段階から部長クラスを長とする東部海浜開発局を十四、五名体制で設置をし、今日まで10数億円もの巨費を単独の一般会計予算としてつぎ込んでおります。もちろんその都度予算委員会など市議会においては激しい質疑が交わされたことは言うまでもありません。しかし桑江市政、新川市政、そして仲宗根市政において保守・革新と市政はかわってもどの政党、どの会派もこの東部海浜開発計画の予算に反対をしたことは一度もありませんでした。
 しかし、今にわかに基地問題、環境問題がクローズアップされ、━━━━━━━━━━━━━━誤解や偏見に満ちた投稿が出始めてきて、市議会承認も含め沖縄市民の総意でもって進められてきたこの事業に水を差す事態が起こってきております。仮にも━━━━━━━━━投稿でありますので、たとえ事実誤認であっても県民に与える影響は無視できません。
 糸数慶子議員の8月11日琉球新報「論壇」への投稿内容と県当局のこの事業に対する考え方を比較するために数点ほど質問をします。
 1点目、━━━━は投稿の中で、「特に、この埋立事業で問題になる点は、計画段階で市民や専門家がほとんど参加することなく計画が進められたこと。」と断言しております。しかし実際には構想段階から沖縄市の商工会議所、観光協会、老人クラブ連合会、婦人クラブ連合会、PTA連合会、自治会長会、沖縄青年会議所、コザライオンズクラブ、沖縄東ライオンズクラブ、コザロータリークラブ、建設業者会など市内34もの市民団体が推進協議会を結成し、過去2回も1000名以上の早期実現総決起大会を開いております。
 さらに、地元泡瀬では先ほども述べましたように有志による泡瀬ビジュル会という組織もでき、計画当初から意見を述べております。また県においては地方港湾審議会、国においては高度な知識を持った事務次官クラスなどで構成される中央港湾審議会の承認も得られた事業であります。
 何を見て━━━━━━が「市民や専門家がほとんど参加することなく計画が進められた」と断定したのか、私には理解できません。
 そこで知事にお尋ねします。
 計画段階においてこの事業に市民や専門家が参加しなかったという意見は事実と照らして正しいか、あるいは誤った判断か、計画を直接進めてきた知事としての見解を明確に答えてください。
 2点目、━━━━━━は、「水質汚濁防止対策への記述がほとんど無いこと。」と述べております。
 埋立予定地の隣には中城湾港新港地区がほぼ完成をしております。工法もこの泡瀬地区と全く同じ海底を掘り下げるためにしゅんせつをし、その土砂でもって埋め立てをするという工法であります。泡瀬地区を上回る埋立事業でありました。すぐ近くで毎日生活をしている私には、工事による水質汚濁で被害を受けたという話は聞いたことがありません。このことから、泡瀬地区の工事についても水質汚濁防止対策は十分であると私は考えますが、知事の見解を聞かせてください。
 3点目、今回提出されている甲第4号議案で関係漁業者に対する漁業補償費が計上されております。━━━━━━━北中城村等の漁業者などをあえて問題にしておりますが、漁業権の問題として北中城村等の漁業者などに補償することは法律上できない話であると私は考えますが、当局の見解を求めます。
 4点目、最も偏見に満ちた意見は次のことであります。すなわち「沖縄中の干潟はどんどん埋め立てられ、今後、さらに加速しかねません。その延長線上に辺野古のヘリポート建設があり、県民の知らない間に計画が進行し、いつの間にか認可され、ヘリポートが建設されていたという国の筋書きが見え隠れします。」という意見です。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 なぜならば、この計画はSACO合意による普天間飛行場の移設の話が出るはるか以前に計画されたものであるからであります。辺野古のヘリポート建設との関係については沖縄市議会においても、今までの県議会においても聞いたことは一度もありません。また沖縄じゅうの干潟がどんどん埋め立てられるはずもありませんし、今後加速するなんてことは絶対にあり得ません。
 さらに、「県民の知らない間に計画が進行し、いつの間にか認可され、ヘリポートが建設されていたという国の筋書き」云々と述べております。県や国が埋立事業をする際、県議会に隠れて県民に隠れて埋め立てできる土地は沖縄県内どこを探しても一坪たりともあり得ません。すべて県議会の承認同意が必要であります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━それをヘリ基地建設反対というみずからの主張を正当化するため環境問題をちらつかせてこの泡瀬地区の埋立事業を道具にすることはやめてもらいたい。
 ここにいる48名の県議の中で、この埋立予定地の最も近くに住んでいるのは私です。そしてこの事業の完成を政策、公約として沖縄市民に支持を訴え、平成2年以来市議2期、県議2期と当選させていただきました。もしこの事業が地域のためにならない、あるいは沖縄市中部地区のためにならない事業であるならば私は真っ先に反対を表明しております。
 この事業は、先ほども述べましたように13万沖縄市民の10数年来に及ぶ悲願であります。さらに、稲嶺県政が誕生したことにより新たに策定された新港地区のFTZ事業を推進、実施するためにどうしても必要な埋立事業であります。現地で生活をしたこともない━━者が十分に調査もしないで━━━━━━━騒ぐことほど迷惑な話はありません。
 そこで知事にお尋ねします。
 中城湾港泡瀬地区の事業は、━━━━━━━━━━━━普天間飛行場と関連をしておりますか、明確に答えてください。
 5点目、泡瀬地区の埋立事業について問題提起をしている組織として、━━━━━沖縄環境ネットワーク、泡瀬の干潟で遊ぶ会等県内9つの市民グループがあるそうですが、それぞれの会についての責任者、会員数、規約等当局が把握している事項を説明してください。
 6点目、代表質問でもありましたが、あとは知事の認可で事業は動きます。公有水面の埋め立てに関して関係行政機関の意見等も勘案しながら審査基準に基づき適正に判断したいと答弁をしておりますが、関係行政機関の意見及び審査基準について詳しく説明してください。
 2番目、在沖米国人との友好関係について。
 サミット終了後の7月29日から8月25日まで約1カ月間、米国国務省の招待でアメリカ各地を訪問してきました。安次富修議員や糸洲朝則議員も一緒でありました。軍事基地と地域住民の関係をメーンテーマとして10カ所ほどの米軍基地を見せてもらいましたが、米国本土と沖縄の基地とでは根本的な前提条件が異なるため比較はできません。しかしアメリカ国民は自国軍に対し絶対的な信頼を寄せており、基地閉鎖の話が出ると地域を挙げて閉鎖反対運動をしております。だからといって、アメリカの軍人が特権意識を持っているわけでもなく、ボランティア精神に富み一人一人が隣人を気遣うよき市民でありました。そしてホスピタリティーは日本人以上であると私は感じております。これは恐らく在沖米軍人等も同じであろうと推察されます。
 沖縄県民が「万国津梁」の精神に基づき国際性を求め、国際都市形成を21世紀の沖縄の姿としてとらえていくのであるならば、その隣人として50年近くもいるアメリカ人に対しイデオロギー抜きで友好関係を築き、接していけるだけの寛容さを私は県民は持たなければならないと思うわけであります。
 現在沖縄県は、我が国の東南アジア諸国に対する南の玄関としての位置づけを模索しておりますが、私はそれ以上にむしろ21世紀も世界の超大国であるアメリカと我が国の窓口に沖縄県がなり得る立場にこの50年間あったということを自覚すべきであります。
 よき隣人たらんことを欲しているアメリカ人と国際語である英語で意思疎通ができ、行政上も信頼性に基づく友好関係を築くことができるならば、沖縄は東南アジアのみならず万国津梁のかけ橋になれると私は今回の研修で確信してきたところであります。
 このことは、今後4年間私の政治活動のテーマの一つにしていきますが、今回は3点ほど質問をします。
 1点目、かつて沖縄市には琉米親善センターというのがありました。そのセンターの役割、設立経緯、そして現在廃止されておりますが、その廃止された理由を説明してください。
 2点目、米国人との間でボランティアやホームステイ等交流事業を行う場合の情報を提供してくれる県の窓口はどこにありますか。また民間では基地内のホームステイ等活発に民間交流を行っておりますが、県はその交流の実態を把握しておりますか。
 3点目、観光立県を我が県は目指しておりますが、国内でも特異な存在である米軍施設は沖縄県の観光にとって観光資源になり得ますか。
 以上、1回目終わります。
知事(稲嶺恵一)
 小渡亨議員の御質問にお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区臨海部土地造成事業についてのうち、泡瀬地区埋立事業と辺野古ヘリポート建設の関連についてお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区公有水面埋立事業は、昭和62年3月に地元沖縄市民の強い要請にこたえ、本島中部圏東海岸地域の活性化を図るため沖縄市が策定した東部海浜地区埋立構想から始まっております。また、去る6月の沖縄市議会において「埋立同意」の議決がなされております。
 当該事業は、15年にわたる沖縄市民の長年の悲願であることから、県としては地元の熱い要望にこたえるよう早期実現に向けて取り組んできたところであります。
土木建築部次長(金城英男)
 中城湾港泡瀬地区臨海部土地造成事業について、この事業の計画段階において市民や専門家が参加しなかったというのは正しい意見かについてお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区公有水面埋立事業は、昭和62年3月に地元沖縄市民の強い要請にこたえ、本島中部圏東海岸地域の活性化を図るため沖縄市が策定した東部海浜地区埋立構想から始まっております。その後、泡瀬復興期成会等の地元市民団体からの要請や提案を受け、さらに市民アンケ−トを行うなど多くの市民の意見も計画に取り入れております。
 また、平成7年には海洋生物等自然環境に造詣の深い学識経験者を中心に全国で初めての港湾環境計画検討委員会が設置され、泡瀬地区の人工干潟や野鳥園、自然海岸に近い護岸構造とするなどの整備方針が提案されております。
 これらの多くの市民や学識経験者の意見等を踏まえて、構想段階では当初約340ヘクタ−ルで陸続きの埋立計画が、既存陸域側の干潟を保全する等のため最終的には186ヘクタ−ルに面積が縮小され出島方式に計画を変更したものであります。その後、平成7年11月の港湾審議会において泡瀬地区の港湾計画が承認され、現在の埋立計画となっております。
 このように、当該事業については構想や計画段階から多くの市民や環境の専門家など多くの方々の参加を受けて現計画が策定されたものであります。
 次に、水質汚濁防止の記述がほとんどないと意見を述べているが、対策は十分かについてお答えいたします。
 中部圏地域の活性化は重要な課題であり、同時に自然環境の保全も極めて重要なものであると認識しており、可能な限り環境への配慮を行い事業を推進していく必要があると考えております。
 このため、泡瀬地区埋立事業の環境影響評価に当たっては、中城湾一帯の潮流や環境の現況等から、事業の実施により環境に影響を受けるおそれがあると認められる地域を調査範囲とし諸調査を行い、影響評価を実施しております。
 御質問の環境影響評価書においては、事業実施に伴う水質汚濁防止については、工事施工区域外に汚濁が流出しないよう外周護岸を締め切った後に土砂を投入する工法を採用すること等を記載しております。
 なお、工事実施に伴う水質汚濁防止の対策については、環境影響評価書に記載されている工法を採用するとともに、並行して潮流や水質等についての調査を実施するなど対策を実施することにしております。
 また、埋立地の利用時における水質への影響については、埋立地に立地する施設からの排水はすべて下水道に接続することとしていることから、影響は軽微であると考えております。
 次に、漁業権者以外の人々を問題にしているが、それに対する県の見解はについてお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区埋立予定水域には、漁業法に基づく共同漁業権第9号と特定区画漁業権第141号が設定されており、関係漁業協同組合とは漁業補償を行うことで合意し埋め立てに対する同意書も得ております。
 また、隣接して共同漁業権第10号と特定区画漁業権第144号など2つの特定漁業権が設定されております。
 この隣接する共同漁業権第10号の一部及び北中城村地先のモズクやヒトエグサ等の特定区画漁業区域への影響については、シミュレーションの結果、埋め立てによる流況の変化の程度はごくわずかで、また汚濁(SS)水質の影響もないと予測されていることから、モズクやヒトエグサには影響はないと考えております。
 なお、工事の実施に伴って影響が生じた場合は直ちに関係漁業者と調査、確認を行うなど事業者が誠意を持ってその対策について協議することとしております。
 それから次に、この土地造成事業を問題にしていると言われている9つの市民グループについてにお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区埋立事業について、連名で環境影響調査再実施の必要性についてとの意見を提出している9つの市民グル−プについて概要を説明します。
 泡瀬の干潟で遊ぶ会、設置年は2000年5月であります。沖縄環境ネットワ−ク、設置年は1996年11月であります。沖縄野鳥の会、設置年は未確認であります。琉球湿地研究グル−プ、設置年は1998年であります。ジュゴンネットワ−ク沖縄、設置年は1997年であります。美砂の会、設置年は未確認であります。宜野湾の美ら海を考える会、設置年は1997年11月であります。ジュゴン保護基金、設置年は1999年10月であります。リュウキュウアユを蘇生させる会、設置年は1991年であります。
 次に、関係行政機関の審査についてお答えいたします。
 中城湾港泡瀬地区の公有水面埋立承認願書及び免許願書は、事業者である沖縄総合事務局並びに沖縄県からそれぞれ平成12年5月10日に沖縄県知事へ出願されております。
 現在、告示・縦覧を終え、関係行政機関等に意見を照会しているところであります。このうち地元沖縄市長、沖縄地区税関長及び中城海上保安署長からは特に異議ない旨の回答を得ており、その他の関係行政機関については回答を待っているところであります。
 埋め立ての願書の審査につきましては、公有水面埋立法に基づきまして埋め立ての必要性、それから埋め立ての動機、時期、場所でございます。規模、用途、施行主体、埋め立ての効果などであります。それから免許基準との適合性、国土利用上適正かつ合理化かとか、あるいは環境保全及び災害防止の配慮などであります。
 それから3番目に、既存権益との調整、水面権利者の同意を得ているか、あるいは埋め立てによる隆起の程度はどうかという出願内容を審査することとなります。
 今後は、関係行政機関からの意見をいただいた後、これらの意見も勘案しながら審査基準に基づいて適正に審査し、国、県それぞれの出願に対し本年中をめどに承認及び免許について判断したいと考えており、現在は免許事務の手続中ということでございます。
 以上でございます。
議長(伊良皆吉)

 小渡 亨君。(「議長、休憩」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く議場騒然)
   〔小渡 亨君登壇〕
議長(伊良皆吉)
 終わったら休憩します。本人の時間も残っています。本人の権利が先です。発言者の権限が先ですから。これが終わってから休憩しますから。(議場騒然)
 御静粛に願います。
 小渡 亨君。
小渡亨(県議)
 先ほどの質問の中で若干言い過ぎた面はあるかもしれませんが、ただいまの答弁でわかるように━━━━━━━投稿された内容は大変問題があります。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 そして2点目の……
議長(伊良皆吉)
 時間です。
小渡亨(県議)
 次にやります。
議長(伊良皆吉)
 休憩いたします。
   午後4時26分休憩
   午後11時49分再開
議長(伊良皆吉)
 再開いたします。
 本日の会議における小渡亨君の質問中、お手元に配付の速記反訳の見え消し部分の発言は取り消しを命じます。