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泡瀬の干潟
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平成12年 第 3回 沖縄県議会(定例会) 第 3号  9月27日
外間 久子(県議)
 こんにちは。
 ・・・・・・・・省略(泡瀬干潟埋立問題と関係ない発言は、カット!必要な方は、議事録参照)
 それでは一般質問に入ります。
 中城湾港について伺います。
 公共工事の中でも多額な予算を投ずるのが港湾施設であります。全国的には遊休化している港湾がありますだけに中城湾港の実態についてお伺いします。
 (1)、中城湾港を定期的に利用している海運業者は何社ありますか。
 (2)、中城湾港の開港のときには何社と契約を結んでいましたか。
 (3)、港湾経営というのは独立採算制が原則になっていますが、現在の貨物の取り扱いの推移から赤字経営だと思いますが、今後の経営方針を示してください。
 2つ目に、沖縄の海岸線についてお伺いします。 
 本県特有のすぐれた自然環境、特に県内の海岸線が人工の手が加わって自然なままの海岸線が少なくなりました。将来の沖縄観光を展望したときに、今ある自然海岸線は保全すべきだという所見を述べて質問をいたします。
 (1)、沖縄県内の離島を含めて海岸線の総延長はどれだけですか。10年前に比べてどれだけふえていますか。
 (2)、現在、埋め立てや護岸工事など人工の手が加わっていない自然海岸線は全体の何%で、半自然海岸線は何%ですか。
 (3)、人工海岸線のうち、埋め立てによってできたものはどれだけですか。
 (4)、自然海岸線が残っている市町村名を挙げてください。全体のどれだけになりますか。
 人間による自然破壊の一例ではないでしょうか。
 3つ目の質問として中城湾港(西原・与那原地区)についてお伺いします。
 西原・与那原地区の土地造成後の課題としてどう企業誘致をするか、そのためにはどう組織的に取り組むか等も含めて海浜緑地、マリーナの管理、施設整備の運営があります。特に西原町の埋め立ては、竣功に向けて基盤整備も行われようとしています。関連事業として国道バイパスや県道事業が見えないだけに埋立地内に十分なアクセスの確立がなければ埋立地の使用ができない大きな問題が残されていることを指摘し、以下の質問を行います。
 (1)、中城湾港(西原・与那原地区)の埋立事業は竣功前に、土地利用については平成13年に予定されている港湾計画改訂に適宜反映させるために実質的な見直し検討が行われております。改めて泡瀬地区の埋め立ての規模及び用途についての見直しを図るべきではないですか。
 (2)、沖縄県においては、中城湾港(西原・与那原地区)の土地利用等については、あらゆる情勢の変化が生じて土地利用の計画を見直すべき時期に来ているということで検討会が設けられたようですが、どういう情勢の変化ですか。
 このことは中城湾港(泡瀬地区)にも当てはまりますか。
 (4)、与那原町にとっては、ホテル用地の見直しはあっても、当初の計画どおりの高層県営住宅の建築は進めてもらわないと住宅用地の売却が困難になり、132億円の土地代やインフラ整備の100億円が借金になり町民に大きな負担を押しつけかねないという危惧を持っています。見解を伺います。
 (5)、地元与那原町では、県所有の土地の用途の見直しだけではなくて、地元についても目配りと援助を求めています。日本共産党県議団として、土木建築部の中に横断的に有機的な機能調整をする窓口を設置してもらえないか。
 4つ目の大きな柱として、中城湾港(泡瀬地区)についてお伺いします。
 今、中城湾港(泡瀬地区)埋立事業は、環境破壊と住民不在で進められておりますが、この開発事業は中城湾を囲む4町村にまたがるマリン・タウン・プロジェクト開発と類似した開発内容です。しかもこの計画地一帯というのは、沖縄でも有数の干潟と藻場を抱え、貴重な干潟保全の世論が広がっております。現在、調査に対し厳しい批判の声が上がり環境アセスのやり直しを求める運動も起こっています。開発すれば企業がやってきて町は発展するというのは全国で失敗し破綻をしている開発の手法を繰り返してはなりません。改めて大胆な見直しを求める立場から質問をいたします。
 (1)、政府や県が環境アセスに応じられない理由は何ですか。
 (2)、東部海浜開発では、米軍の泡瀬通信基地の制限水域も埋立予定地となっています。埋め立てた土地を新たに米軍に提供することは基地の強化につながりませんか。
 (3)、開発に当たって環境アセスを行っておりますが、極めてずさんなものだと言われています。沖縄市は莫大な資金を投じて追加調査をさせました。なぜ評価書の中に反映されないまま行政上の手続をなさる予定ですか。
 (4)、地方自治体の起債で進められている埋立開発は、用地の遊休化に伴う起債償還不能から一般会計からの繰り入れという悪循環を招き、自治体財政を圧迫しませんか。
 (5)、中城湾港埋立開発に当たっては、沖縄市を初め中部市町村がどのような都市づくりを目指すのか。それに港湾がどのようにかかわるのか、その積み上げが県総合計画に反映させた中城湾港になっていますか。
 中城湾港(泡瀬地区)と西原・与那原地区は車で25分ほどのところに同じ内容の事業計画は余りにも機械的で、一方が成功したら一方には例えば大店舗は来ないというこんな状況が出てきませんか。泡瀬地区においては、これから許可申請をするだけに規模を初めとする事業内容も見直すべきだと思いますが、見解を伺います。
 (6)、海浜緑地の造成においても県は起債事業を導入して対応するが、今後の負担が問題だと言われておりますだけに泡瀬地区も同じことが考えられるのではないですか。
 (7)、沖縄市議会で開発局長の答弁は、財政計画は二の次で、まずは免許を取得し、そのうち処分価格や処分時期とかそういうことも加味して財政計画を検討したいということですが、途方もない財政破綻の計画を土木建築部はよしとするのですか。
 (8)、中城湾港の埋立計画はバブル期の最盛期の計画ですが、どの程度の企業がそこに来るのか、雇用の創出ではどれくらいの雇用人数を見込んでいるのですか。
 (9)、土砂でもって埋め立てるその場所の土地というのはそのままでは使用できず、特別の工法ペーパードレーン、地盤改良をしなければ使用できないということであります。そのとおりですか。その工法を取り入れるのですか。その費用は県が負担するのですか。予算規模はどれだけになりますか。
 (10)、全国的にも埋立開発で用地の売れ残りが問題になっておりますが、沖縄県ではどうなっているのですか。
 (11)、西原・与那原地区の関係者からは、町づくりのテーマが見えない中でホテル計画は得策ではないという意見も出されておりますが、県の港湾計画そのものが問題ではありませんか。
 (12)、土地利用及び海洋文化施設に対する課題は需要面での不確実性があり、これが今後の事業推進の方向性に不安を与えていると検討会で言われておりますだけに泡瀬地区でも検討すべきではないですか。
 ・・・・・省略
知事(稲嶺惠一)
 外間久子議員の御質問にお答えいたします。
・・・・・・・省略
 次に、中城湾港(西原・与那原地区)の実施については、土木建築部の中に横断的に有機的な機能調整をする部署を設置してほしいという要望についてお答えいたします。
 マリン・タウン・プロジェクトの埋立事業は、埋立竣功後、道路、上・下水道等関連事業の基盤整備が必要であることから、各事業者による協議調整は重要であります。
 御提案の趣旨と同様な調整機関については、昨年11月に土木建築部港湾課が窓口となり、部内関係課及び地元町で構成する中城湾港(西原・与那原地区)整備事業関連事業者連絡調整会議を設置し、同年12月には第1回連絡調整会議を開催しております。また、ことし1月には国を含めた道路事業者による調整会議を開催し、道路整備に向けた協議調整を行ったところであります。
 今後とも当該連絡調整会議等を通して各種事業の計画及び実施について協議調整を行い、事業の円滑な推進を図っていきたいと考えております。
 その他の御質問につきましては、関係部局長等から答弁させます。
・・・・・・・省略
土木建築部次長(金城英男)
・・・・・・・省略
 次に、中城湾港(泡瀬地区)についてでございます。環境アセスのやり直しに応じられない理由は何かについてお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業については、環境影響評価法や沖縄県環境影響評価規程等に基づき、環境影響評価準備書の公告・縦覧や住民説明会を平成11年4月から5月に行い、住民からの意見聴取等を終えております。
 その後、住民意見等を踏まえて環境影響評価書を作成し、公告・縦覧を経て公有水面埋立願書を平成12年5月10日に出願したところであります。
 また、当該事業に係る環境影響評価調査については、埋立地及びその周辺地域の底生生物や鳥類等の調査を四季を通じて実施しており、当該区域に生息する生物の分布傾向や貴重種の出現状況等についてはおおむね把握できたものと考えております。
 なお、工事着手後は、事後調査等を実施しながら専門家等の指導助言を得て適切な保全措置を講じていくこととしております。
 同じく泡瀬地区についてであります。追加調査を評価書の中に反映させないまま行政上の手続をするのかについてお答えいたします。
 追加調査は、環境影響評価準備書に対する事業実施前に専門家の指導助言を得て干潟生物の詳細な調査を実施すること、またその結果は県に報告することとの知事意見に基づき事業者である沖縄総合事務局が実施したものであり、地元沖縄市が調査したものではありません。
 調査は、海生生物について詳細な出現目録を作成し、今後の学術研究に資することや工事着手前と着手後との比較用のデ−タとして活用することを目的に実施しております。
 追加調査は、平成11年12月から平成12年3月に冬季調査を終え、その結果を県の環境部局へ報告しており、引き続き夏季から秋季にかけて実施しているところであります。調査終了後は、当該結果を取りまとめて県の環境部局へ報告し公表することとしております。
また、追加調査や事後調査等において環境影響評価書に記載されていない貴重種等が確認された場合は、県知事意見に基づき関係機関に報告し、必要があれば専門家等の指導助言を得て今後適切な保全措置を講じていくこととしております。
 同じく泡瀬地区について、起債償還不能から一般会計繰り入れという悪循環を招き自治体財政を圧迫しないか、また沖縄市の財政破綻の計画を県はよしとするのかについて、一括してお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)埋立事業は、公営企業債による事業のため地方財政法第6条に基づき特別会計を設置し、常に経理の適正化と事業の円滑な推進を図ることとしております。
 同特別会計の将来にわたる収支計算においては、平成12年度に事業開始した場合は起債の償還を平成21年度に終了する予定であり、総事業費で約514億円の歳出が見込まれます。
 また、造成された土地の処分等が完了した時点でおおむね537億円の歳入が見込まれております。このことから収支のバランスはとれるものと考えております。
 なお、同埋立事業で造成された土地については、県と沖縄市において活用されることになりますが、その内訳は県が約3割、沖縄市が約7割となっております。
 沖縄市における事業計画については、収支のバランスに配慮した計画が策定されるものと考えております。
 同じく泡瀬地区についてでございます。中部市町村がどのような都市づくりを目指すのか、港湾がどのようにかかわるのか、その積み上げが県総合計画に反映されたかについてお答えいたします。
 平成8年3月に国から承認を受けた「沖縄県中部地方拠点都市地域基本計画」は、沖縄本島中部の12市町村で構成され、その整備理念は「若さと活力に満ち、国際色豊かな交流都市圏“CHUBU”」を形成することとしております。
 同計画における重点的に推進すべき公共施設の整備に関する事項のうち、中城湾港については、中城湾港新港地区やマリン・タウン・プロジェクトの早期整備、中城湾港(泡瀬地区)開発の早期実現が明記されており、中部市町村の目指す都市づくりの一環として中城湾港の埋立開発が位置づけられております。
 また、平成9年3月に沖縄振興開発審議会により作成された第3次沖縄振興開発計画後期展望においても、「交通通信体系の整備」の一環として「泡瀬地区の整備を検討する。」と位置づけられております。 
 今後、新たに策定される沖縄振興開発計画において泡瀬地区の整備が位置づけられるよう努力してまいります。
 同じく泡瀬地区についてであります。中城湾港の泡瀬地区については西原・与那原地区の計画と似ており、規模を初め事業内容も見直すべきだと思うが見解を伺いたいについてお答えいたします。
 中城湾港の新港地区については、生産機能と流通機能をあわせ持つ流通加工港湾としての整備、西原・与那原地区については、中城湾港南部の拠点都市としてマリーナ、人工海浜を中心とする海辺のアメニティー豊かな活力と潤いのある港町の形成が基本コンセプトであり、それぞれの方針に基づいた整備を行っているところであります。
 泡瀬地区については、国際交流リゾート拠点、海洋性レクリエーション活動拠点、情報・教育・文化拠点の形成をコンセプトとし、その方針に基づき事業者である沖縄総合事務局及び沖縄県が平成12年5月10日付で公有水面埋立承認願書及び公有水面埋立免許願書を港湾管理者へ出願しているところであり、現計画に基づき泡瀬地区の整備を推進していく考えであります。
 同じく泡瀬地区についてであります。泡瀬地区の海浜緑地造成についてお答えします。
 中城湾港(西原・与那原地区)の海浜緑地造成は、国庫補助事業である港湾環境整備事業と県債事業である港湾緑地一体整備促進事業で整備しております。
 泡瀬地区の海浜緑地整備事業は、港湾環境整備事業で整備する計画で国へ要請を行い、極力県の負担が少なくなるような方法で整備促進を図っていきたいと考えております。
 同じく泡瀬地区についてでございます。中城湾港(泡瀬地区)にはどの程度の企業が来るのか、雇用創出ではどのくらいの雇用人数を見込んでいるのかについてお答えいたします。
 中城湾港(泡瀬地区)の埋立事業は、平成7年11月に港湾審議会第156回計画部会において承認された計画であります。
 泡瀬地区へ立地する企業数は、観光業、サービス業、情報産業など約50社程度を見込んでおります。
 雇用者数については、具体的に立地する企業により異なりますので、今後都市基盤施設の整備計画を策定する中で具体的に検討したいと考えております。
 中城湾港(泡瀬地区)についてでございます。地盤改良の工法及び費用はどのくらいかについてお答えします。
 当該地区の埋め立ては、コスト縮減の観点から新港地区の航路・泊地をポンプしゅんせつ船によりしゅんせつを行い、排砂管で直接埋立地に投入する工法を検討しております。埋立土砂は粘性土であるため地盤改良が必要であります。
 御質問の地盤改良については、ペ−パ−ドレ−ン工法により県が施工する予定であり、その施工面積は約128ヘクタールで、工事費用としては約42億円を見込んでおります。
 同じく泡瀬地区について、埋立開発で用地の売れ残りが問題となっているが、沖縄県ではどうなっているのかについてお答えいたします。
 沖縄県が実施している臨海部土地造成事業の処分状況は、平成12年9月現在で次のとおりでございます。
 宜野湾港埋立整備事業については、臨海部土地造成地の竣功面積が約11万平方メートルで、そのうち約9万5000平方メートルが処分済みであり、約85%の処分率となっております。
 中城湾港マリン・タウン・プロジェクト西原・与那原地区については、現在竣功している第1期臨海部土地造成地の竣功面積が約41万平方メートルで、そのうち約32万平方メートルが処分済みであり、約77%の処分率となっております。
 中城湾港新港地区埋立整備事業については、臨海部土地造成地の分譲可能面積が約151万平方メートルで、そのうち約110万平方メートルが処分済みであり、約73%の処分率となっております。今後とも用地の処分促進に努めてまいりたいと考えております。
 中城湾港(泡瀬地区)について、ホテル計画は得策ではないという意見があるが、県の港湾計画に問題はないかについてお答えいたします。
 中城湾港の主要プロジェクトである泡瀬地区の整備の基本コンセプトは、国際交流リゾート拠点、海洋性レクリエーション活動拠点、情報・教育・文化の拠点の形成であり、また地元沖縄市は緑の風と光あふれる国際文化観光都市をメーンコンセプトとして沖縄市新総合計画第3次基本計画を策定しており、その中で「海に開かれたまちづくり」として泡瀬地区も位置づけております。県は、平成7年の港湾計画において地元の要請を踏まえ、埠頭用地を初め宿泊用地を含む都市機能用地等を位置づけております。
 県としましては、沖縄市から土地利用見直しの要望もないことから、沖縄市総合計画と整合のとれた形で本港湾計画を推進していく考えであります。
 同じく泡瀬地区についてであります。土地利用及び海洋文化施設については見直しのための検討をすべきではないかについてお答えいたします。
 西原・与那原地区での土地利用の見直し検討を行った理由は、埋立造成が概成し土地処分の手続を始める必要があったことから、現状での土地処分の見通しの確認及び今後の新たな土地需要の考え方等を踏まえた土地利用の方向性を検討するためであります。
 一方、泡瀬地区につきましては平成7年に港湾計画の位置づけがなされ、平成12年5月から埋立免許取得等所定の手続を進めているところであります。
 当該地区については、本格的な土地利用開始は埋立工事着手後7年目以降であり、現時点において土地利用の見直し等について地元沖縄市からの要望はなく、県としましても現時点での土地利用の見直しは想定しておりません。
 以上でございます。
知事公室長(親川盛一)
 外間久子議員の中城湾港(泡瀬地区)についての質問事項のうち、東部海浜開発では米軍の泡瀬通信基地の制限水域も埋立予定地となっており、埋め立てた土地を新たに米軍に提供することは基地の強化につながらないかという御質問にお答えいたします。
 昨年9月の日米合同委員会で、泡瀬通信施設に係る提供水域内の一部埋立地について、従来制限水域として米軍が排他的に使用していた専用区域を共同使用することが合意されました。この合意によって地元沖縄市が大きな期待を寄せている中城湾港(泡瀬地区)埋立事業がスタートし、地域の産業振興や県民のレクリエーションの場として有効利用できることから、基地の整理縮小において一つの前進だと考えております。