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家の中での遊び








遊びがない・・・・(幼児〜小3)
絵やキャラクターに関心がなく、絵本もテレビもビデオも無関心です。
子どもが好きそうな「遊び」に全然関心がなく、かじったりなめたりと、口で感触を楽しむことしかしま
せん。
音の出るおもちゃ、走るおもちゃ、キラキラ光るおもちゃなど、子どもが好きそうなおもちゃは一通り買
い与えてみたが、全く関心がなかった。

  悠くんの好きなこと
   ・木やプラスチックのピースをかじる
   ・広告をちぎって部屋中にばら撒く。
   ・ビニール袋を破ったり、振ったりする。

ブロックでも積み木でも、ただのピースとして気に入った形と色の物だけをかじったりなめたりしている
だけで、おもちゃ本来の遊び方には関心がない。
指人形、ブロック、積み木、ままごとなどは、気に入った形のピースだけをかじったりなめたりするだけ
だったので、悠くんが気に入っているピースをごちゃごちゃにおもちゃ箱に入れていた。
悠くんが気に入っているピースにはブームがあり、数日間続く。
その時に気に入っているものを、自分の周囲に散らして、ピックアップしてはかじるということをしてい
るので、片付けると怒る。
悠くんが起きている間は、部屋の中がおもちゃだらけで、足の踏み場がない時もある。






遊びを教える(小3)
小3の夏休みに、「遊びを教える」ということをしました。
「遊び」と言っても、悠くんには関心のないことばかりですので、悠くんにとってはさせられる嫌なこと
でしかありません。
悠くんは嫌なことをさせようとすると、すぐに噛み付くので、しっかり動機付け(頑張ったご褒美)をして
から、スケジュールに「遊び」を入れました。

動機付けになるご褒美ですが、、悠くんの興味が狭いので、なかなか思いつきません。
ポテトチップスなどのお菓子も好きなのですが、そういった悠くんが好きなお菓子は、ほとんど好きな
ものがないので食事をなかなか食べないことのご褒美にしていました。
興味関心が狭いということは、動機付けするのに苦労します。
公園やスーパーなどは大好きな場所ではないので、動機付けにはなりません。
遊びがないので、遊びをご褒美には出来ませんので、悠くんが出かけたがる数少ないお出かけ先で
ある「マクドナルド」か「プール」とかありません。
そのマクドナルドは、結構、嫌なことをさせる時のご褒美に使ってしまっています。
悠くんの嫌なこと・・・買物についてきてもらう、病院に行くなどに対してのご褒美です。
あとは「プール」しかありません。
小3の夏休みに、スイミングに入れましたので、これを利用しようと思いました。
この時期を逃したら、もう動機付けがありませんから・・・

スイミングが夕方ですので、昼食からおやつまでの間、おやつから夕方のスイミングまでの間に「粘
土をする」「ビデオを見る」「音楽を聴く」などなどの遊びを無理やり入れました。
スイミングはすごく行きたがってくれましたので、かなり頑張ってこなしていました。


小3までに、一日のスケジュールの理解が出来るようになって、一日を見通せる力がついていたとい
うことが、悠くんが大嫌いか遊びを頑張ってこなしてくれた大きな要因です。
この「一日のスケジュールの理解が出来ている」ということは絶対に必要でした。
でないと、頑張った先に何があるのか、夕方にスイミングがあるという見通しすら持てませんので、動
機付けにはなりません。


遊びを教えるという取り組みは、この小3の夏休みから数ヶ月続けて辞めました。
悠くんが、数ヶ月経っても、嫌々しているので、「遊び」にはならないと判断しました。
悠くんにとっては、「課題」でしかなかったという事です。

それでも、この数ヶ月の取り組みで、一つ一つの枠組みがはっきり理解できただろうと思います。
活動というのは、始まりと終わりがあり、自分で持ってくるところから始まり、自分で片付けるところで
終わるということ、「ひとつの活動」には枠組があり、それがつながって一日の流れになっているという
あたりのことをぼんやりとだとは思いますが、理解できたのではないかと思います。


                      遊びの具体的な取り組みは→構造化(〜9歳頃)/遊び








時間と場所を区切ることで、ひとつの遊びにする(小4)
サリーが遊びとは思えないこと、ビニールを振る、おもちゃをかじるなども、悠くんにとっては楽しい遊
びです。
考え方を変えて、悠くんが楽しいと思うことが遊びです。
それらをひとつずつのきちんとした遊びにすることを考えました。
遊び方は、かじる・なめる・触ると、ほとんど同じですが、今までごちゃごちゃになっていたおもちゃを、
おもちゃの素材ごとに分けることにしました。
ブロックならブロックだけを出してきて触ったりかじったりして終わったら片付け、次の積み木なら積み
木を出してくるという感じで、一つ一つの枠を明確にしました。
おもちゃも部屋中に散らすのではなく、座卓と座椅子を用意して、座椅子に座って座卓の上で遊ぶと
いう形にしました。


素材ごとのひとつの容器にまとめて、ブロックと積み木とビースとは別々の遊びとして、チョイスボード
に貼りました。
ビーズも、種類ごとに容器を分けました。
そのおかげで、ただ触ったりかじったりしているだけですが、ほとんどなかったチョイスボードの遊びの
種類がぐっと増えました。

ビーズ遊びをするのでも、チョイスボードから選んで、スケジュールに貼り、それから容器を取ってきて
遊び、飽きたらビーズを片付けて、スケジュールからはずすということを続けて、それぞれの別の遊び
であるという枠組みをしっかりと悠くんに理解してもらいました。








フリータイムを自分で組み立てる(小5)
自分で容器を取ってきて、遊び終わると片付けて、次の物を取りにいくということがしっかり定着して
から、スケジュールの貼ったりはがしたりする手間を抜きました。


家で遊べる遊びがどれだけあるかをチョイスボードでしめしていましたが、おもちゃ置きの棚を決めま
したのでそこにあるものを自由に取ってきます。
終わったら片づけて次の遊びをするということを悠くんが自分で勝手にするようになりましたので、サリ
ーが関わる必要もなくなりました。
ですから、スケジュールには「自由に遊ぶ(フリータイム)」と示すだけにしました。

スケジュールには「フリータイム」となっているだけですが、その間、自分でビーズやら積み木やらと
好きなものを出して来て遊び、遊び終わったら片づけて、また次のを出してきて遊び・・・というこを一
人で勝手にしています。
フリータイムを自分で組み立てる力がついたということではないかなと思っています。

悠くんはもともと自分の好きな遊びに、人が関わることを嫌います。
関わろうとして瞬間から、悠くんにとっては「遊び」ではなく、「課題」になってしまいますので、悠くん
の「遊び」には、サリーは一切関わりません。
悠くん、「フリータイム」の間は、結構、一人で自由に遊んでいます。


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悠くんは、世間で言う「遊び」というものはしませんが、悠くんなりの遊びをしています。
ビーズを触ったり、積み木をかじったり、ブロックをかじったり、その時その時やりたいことを自分でし
ています。
悠くんのおもちゃとして容器に入れているビーズや積み木やブロックに関しては、悠くんがなめようと
かじろうと自由ですので、サリーは口も出しません。

サリーが考えた「遊び」とは違いますが、本人が好きなことを自分で楽しんでしているということが本
人にとっては「遊び」なのではないかと思います。

そう思えるようになるまで、時間がかかりました。
OT、STなど、いろいろな療育に「遊びを広げてほしい」と通いました。
いろいろなおもちゃも用意しました。
その結果として、ブロックを組めるようになり、積み木をつめるようになり、絵本の絵が解る様になりましたが、単にそういったスキルが身についただけで、楽しい遊びにはなりませんでした。
結局、悠くんは、普通の子どもがする遊びには興味を持たないようです。
低機能の悠くんには、感覚や感触を楽しむということが一番楽しいことのようです。









        

いろいろとやらせてみましたが、何の遊びも見つけられませんでした。
結局、すでに悠くんが小さい頃から楽しんでいたことを、時間と場所を区切ることで「遊び」にしたという感じです。

重度の知的障害を伴っているので、遊びがないと嘆いている方々の参考になれば幸いです。









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