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今回の歯科治療について

怖がる本人をベルトで拘束しての治療については、反対です。
本人に手順や理由をちゃんと伝えて納得してもらえれば、抑制しなくても、治療は可能だと思います。
抑制することによって、二度と歯科治療が出来ない、病院そのものにいけない、治療を思い出すような場所や物をみるとタイムスリップ現象を起こす・・・などなど、決してよい結果を生まないものと思っています。
それに、身体が大きくなってくると、拘束することも不可能ですよね。



では、なぜ今回、拘束して治療をしたのか・・・というより、なぜ抑制治療が出来たかということですが・・・


悠くん、薬や病院といったものがどういうものか、少しわかってきています。
「傷→薬をつける→治る」「かゆい→薬をつける→かゆくなくなる」ということはわかっています。
その薬が病院でもらうということもわかっていると思います。
(すべての薬についてではなく、普段よく使う薬についてだけですが・・・)

悠くん、アトピーです。
ですから、かゆいから何とかしてほしいという要求がよく出ます。
かゆいところに、薬をつけるとかゆいのがなくなるということを知っています。
傷に傷薬をつけると、良くなるということも、知っています。

このあたりのことを理解することで、病院は自分を傷つけようとしている場所ではなく、自分を助けてくれる場所だということが、なんとなく解ってきているかな・・・と思います。

それに今回は特に、歯にあいている穴に食べ物かすが詰まって気持ち悪いので、毎日、爪楊枝で取ってほしいと要求をしてきます。そこの気持ち悪いのを何とかしてくれる場所ということは、今回はしっかり認識できていると思います。

構造化して、今から何をするのかを本人にわかるように伝えて、不安をなくしてあげることは大切だと思います。
でも、「手順を解るように伝えること」だけでは、我慢する動機付けにはなりませんので、別の動機付けを考える必要性があるかもしれません。
しかし、「歯医者が自分を助けてくれる場所」であるということを認識できれば、それがそのまま、自分で我慢するための動機になります。
歯医者へ行く意味の理解が出来ているのと、出来ていないのとでは、ぜんぜん様子が変わってくると思います。


悠くんが、歯医者に行く意味を理解しているだろうということが前提になりますが・・・

それでも、慣らしながら少しずつということになると、「少しの嫌な経験を何度も積み重ねる」ことになります。
その1回ごとに、我慢した効果が悠くんには見えにくいと思います。
最後まで我慢して初めて、歯の不都合なところが治ったと感じることが出来ると思いますが、それまでの間、悠くんは、何のために行っているのか解らないのに嫌な経験を何回も積むということになります。
この長期的な展望を悠くんが持てないだろうということもあります。

もうひとつは、
今回で、先生が変わるということ、次の先生が障害児の歯科治療に余りなれていないだろうということが理由のひとつにあります。

こういったことで、今回は、長期的に治療するつもりで行ったのですが、急遽その日に2本とも治療してしまうことにしました。


しかし、今回の悠くんの様子を見ていて、嫌がるのを無理やり拘束されたというよりは、治療してほしいけど怖いからついつい身体が動いてしまうというのを、動かないように援助したと捉えてくれているのではないかな・・・と思います。



しかし、これは私の推測でしかありませんので、本当はどうだったのか・・・
良かったのかどうか、また、拘束したことが失敗だったのかは、この次の半年後の検診での悠くんの反応で解るだろうと思います。(^^ゞ



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