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サリーのひとり言 その3





学校で使ってくれない・・・・?                         2004.04.18(日)


最近「学校で視覚的なものを使ってもらえない」という話をよく聞きます。
何か勘違いしているお母さんが多いのではないかと思います。

悠くん、地域の普通学級に2年、その後4年を養護学校で過ごしました。
この6年間の間に、悠くんが使うスケジュールやコミュニケーションブックといった視覚的なものを使ってもらえなかっ
たことは一度もありません。

「こういう視覚的なものが自閉症の子供には効果があるそうですので使ってください」とお願いしてきたわけではなく、
「家では悠くんはこういうものをこう使っていますから、学校でも出来る限り同じようにしてください」とお願いしてきまし
た。
それに対して、地域の小学校でも、養護学校でも、「使いません」と言われたことは一度もないです。


家で使えないものを学校で使って欲しいとお願いしても、本人も使えないでしょう・・・
でも、家で使っているのなら、学校でも使えるはずです。
それを使ったときと使わないときの差が出るはずです。
そうなると「こんな便利なものを使わない手はない!!」ということになるはずです。

「○○という方法が良いらしいですから、使ってみてください」とお願いして、使ってくれる学校がないとは言い切れま
せんが、使ってくれない方が多いのではないかと思います。
世の中にはたくさんの「○○という方法」がありますから・・・
それが効果があるかどうかの評価は時代と共に変わります。
それを、今は○○という方法が効果があるみたいですので、使ってくださいというお願いに乗る先生は少ないのでは
ないかと思います。
でも、どんな方法であっても、子供が生活の中にそれを取り入れて落ち着いて過ごしているのなら、きっと取り入れて
くれると思います。




具体を使って示すということについて                 2004.04.18(日)


具体物を使って伝えるという事に関しての誤解があるということを最近感じます。
まず、「具体物とは何が」ということが間違っているのと、それを「どう使うのか」ということを間違えているために、こち
らは具体物提示しているつもりでも、本人にはぜんぜん具体物提示していることにならないということになっているよう
に感じます。


*****************************


サリーは悠くんが誰かに伝えたいと思った時に伝える事が出来るように具体物を使って伝えました。
例えば、悠くんが喉が渇いたからお茶が欲しいと思ったときには、コップを持ってくることで「お茶が欲しい」と伝えられ
るように、まずはこちらが「お茶、飲もうね」と伝える時にコップを悠くんの目の前に示して伝えてから、そのコップにお
茶を入れて出すというようなことです。
嫌だったら、「触らない」または「押し返す」ということをしてくれれば、嫌がっているということが解ります。


悠くんが要求してくるだろうこと、欲しがるだろう物を悠くんが表現するための具体物をそれぞれ決めて、それを使って
悠くんに伝えながら、「これはこういう意味だよ(コップはお茶のことだよ)」ということを 実際にその具体物を使って示
してからそのものを出すなりこの行動に移るということを続けてきました。

写真や絵はまったく解りませんし、それ以前に視線を止めることもしませんから、その活動をする時に悠くんが使うも
のを具体物として決めて、いつも同じものを示して伝えていました。
例えば、公園に行く時に、悠くんが必ず砂場で使うお気に入りのバケツを「公園」を表す具体物に決めました。
そのバケツを公園に現す具体物に決めたら、他の活動にはそのバケツは使いませんでした。
また、買物というような悠くんが何も使わない活動については、こちらから具体物を設定し、勝つものの時には必ず悠
くんがそれを使う場面を設定しました。
買物の時に悠くんの大好きなお菓子を1つ買って、それを悠くんにリュックに入れさせて、家まで持って帰るというよう
な感じです。

本人が関心を持たないものを、こちらがこれなら解りやすいからと思って使っても、本人には具体物にはなりません。
本人がそれを見てそれだと解る具体的なものが具体物です。
いくら実物であっても、本人が興味を持たないものは見ようとしません。
悠くんが見てくれる物は悠くんが興味を持つものです。
どうやって悠くんの興味をそこに向けるかということが大変でした。
上記に例を挙げましたが、「買物」という活動をそれ専用に決めたリュックで表す場合、悠くんがそのリュックにどうし
たら関心を持ってくれるかを考えて、悠くんの好きなお菓子を必ずそのリュックに悠くんが入れて持って帰ってくるとい
うことで、関心を持ってもらうようにしました。


こちらから伝えたいことを具体物を使って伝えるというより、悠くんが伝えたいと思うであるうことを、まずこちらから具
体物を使って伝えるということをしていました。


もちろんこちらから伝える必要のあることも伝えましたが、それは悠くんに必要な情報・・・これを悠くんに伝えてあげた
ら悠くんは楽になるだろう、これは絶対に伝えておいてあげないとかわいそうだという情報だけです。


サリーが」やって欲しいと思っていること、伝えて欲しいと思っていることを具体物で示すのではなく、「悠くんが」し
たいと思うだろうこと、「悠くんが」知りたいだろうと思うこと、「悠くんが」伝えたいと思うであろうことを、「悠くんが
具体物として認識できるものを使って示しました。

こちらがしてほしいと思っていること、こちらが伝えて欲しいと思っていることを、こちらがこれが具体物として解りやす
いと思ったものを使って伝えても、何の役にもたちません。
本人の興味も関心も向きませんし、まず見ようともしませんから・・・


具体物提示をしなくてはならないぐらいの低機能児の場合、それに関心を持ってもらうためにはまず、「こちらが」では
なく「本人が」という姿勢は絶対に必要です。
この辺りを間違うと、一生懸命具体物提示しているはずなのにいつまで経っても本人は関心を持って見てくれないし、
解るようにもならないということになるのだろうと思います。




入学式に思う・・・・・                                2004.04.11(日)


悠くんは中学部に上がりましたので、入学式がありました。
30分程度の式でしたが、悠くんにはまったく理解できない言葉でのお話しや祝辞などでしたので、途中で退屈し始
めて、確認がたくさん出ました。
中学部だけでなく、小学部〜高等部まで一緒です。
その中で式の内容が解る子供がいったいどれだけいたのでしょうか・・・
少なくとも悠くんにはまったく解りません。
いったい誰のための式なのでしょう・・・・

翌日は始業式、その次は離任式。
言葉だけでの式が毎日続くのでしょう・・・・

言葉が理解できない重度の知的障害を伴っていますので養護学校を選んだのですが、学校内は言葉や文字での説
明ばかりで、地域の学校とあまり変わりません。
参加している子どもたちの何パーセントの子どもたちがそれを理解出来ているのか・・・
その疑問はすでに伝えましたが、悠くんが理解できる展開の式にはなりませんでした。


悠くん、小学部に4年もいました。
同じ学校内で中学部に上がるのですが、言葉を理解できない悠くんとやり取りをするためのグッズを学校が積極的に
用意しようとしません。
親が用意して使って欲しいとお願いすれば使ってもらえます。


盲学校なら視覚に障害がある子どもたちとやり取りをするために必要な点字の教材などが用意されているのではな
いかとおもいます。
視覚障害児の学校なら、その子どもたちに伝える情報は、視覚障害を持っている子どもたちにも解るような形で準備
するでしょう・・・
聴覚障害児の学校でも同じだろうと思います。
手話が大切なコミュニケーション手段になっているのなら、そこに通う子どもたちとやり取りをするためには、手話を使
えないといけません。
子どもたちが使える手段を、先生が使えなければコミュニケーションが取れません。
コミュニケーションが取れなければ、何も伝えられませんし、教えることは出来ません。
教育の前に、少なくとも同じコミュニケーション手段を使える必要があります。


重度の知的障害を持つ悠くんは言葉も文字も理解できません
悠くんの通うのは知的障害児の養護学校です。
悠くんは小学部に4年も在籍しましたが、悠くんが在席している学校の式も授業も悠くんの理解できない言葉で展開
されます。
悠くんたち児童に伝えるべき情報は文字を使ってあります。
知的障害児の教育の場であるはずの養護学校で、在席している悠くんに解る方法で情報交換がされないのです。
コミュニケーション手段すら用意しようとしない・・・ではいったい、悠くんに何を、どうやって教えようとしているのでしょ
うか?
なぜ知的障害児の専門の学校に通っているのに、悠くんとコミュニケーションを取るための手段を、親が使って欲しい
とお願いしないといけないのでしょうか・・・

もしかして、悠くんのような重度の子どもには、どこにも教育の場がないのかもしれません。
知的障害児の専門の学校であるはずの養護学校がこうなのですから・・・

悠くんをそこの児童・生徒として尊重して教育を考えてくれる学校があるのでしようか・・・
悠くんの学ぶ権利知る権利・・・教育を受ける権利はどこにあるのでしょうか・・・・
そして・・・それははいったい何という名称の学校なのでしょう・・・・


新年度になると毎年同じことを考えてしまいます。
何年いても、悠くんはここでは教育を受ける児童生徒ではなく、ただ置いてもらっているだけのお客さまでしかないと
いう思いが消えません・・・・



暗闇から抜けたかな・・・・・                     2004.03.09(火)


昨年の今頃から、突然ひどくなった悠くんの他傷ですが・・・
1年間かなり振り回されました。


問題行動をなくすためにして来た今までの6年間の取り組みは無駄だったのか・・・・
いったい何が原因なのか・・・・
なぜ他傷がなくならないのか・・・
原因が解らない、先の見通しが持てない・・・そんな中で、サリーの方がかなり混乱してしまいました。
悠くんの他傷を無くす為に取り組んできたはずなのに、よけいにひどくなったことになります。

もし今までの取り組みがすべて間違いだったなら・・・・これからどうすればいいのか・・・
これからどの方向に向かえばいいのか解らない・・・

何をすればいいのか解らないのに、日記は書けない・・・・
それに・・・間違えた支援が書いてあるのなら『サリーの樹』を公開していていいのか・・・・


でも・・・1年たって、今しようとしていること。
・どうしても入らないと思っていたご褒美システムの導入。
・今日一日を振り返る取り組み。
といった自分のコントロールする力のステップアップをする時期だったのかもと思えるようになりました。


今まででも、成長の節目節目には必ず問題行動が続出してきました。
その問題行動をなくすために必死で取り組んで、支援が追いつくと、ぐっと落ち着きます。
以前よりぐっとステップアップされているのですが、しばらくするとまた次のステップへの成長のために問
題が続出してきます。
本人の成長に支援が付いてきていない証拠です。
支援が追いつくと落ち着くけれど。また本人が成長するので支援が
足りなくなるので、必死で追いつく、また離されるからまた追いつく・・・・こんなことを繰り返してきました。


悠くん、今ちょうど次へのステップアップの時期で、他傷は「支援が足りない」というサインなのかもしれ
ません。
それと思春期の不安定さとが合わさってすごい状態になっているのかもしれません・・・
そう思うと、気が楽になりました。
悠くんが次のステップに行く時期で支援が足りないから状態がひどいだけなのなら、必ず追いつくことが
出来ます。
追いつけば、必ず落ち着くはずです。
思春期が5年であったとしても、支援が追いつくのには5年もかからないはずです。


ちょっとサリー自身が、原因が解らない、見通しが持てない不安から開放されつつあります。
見通しが持てないって、本当にしんどいですね・・・・

でも、だからといって、支援が正しかったのかということはまだわかりません。
その答えは、悠くんが成人してからしか出ないだろうと思っています。
ただ、今は、これがベストと思って進んでいるだけです。

ホームページをこのまま公開していていいのか・・・この答えはまだ出ていません。
もともと「サリーの樹」はサリーが悠くんの記録として忘れしまわないように作ったものです。
ネット上で公開する必要はないのかもしれません・・・・

なんか・・・答えが出ないことを考えていると疲れますね。




コミュニケーションブック                             2004.01.13(月)

悠くんの持っているコミュニケーションブックは、市販のシステム手帳を首から提げれるようにしたものです。
ポシェット型のシステム手帳を探しましたが、見つかりませんでした。
布タイプのシステム手帳に、不要になったリュックのベルトを縫いつけたものです。
この縫い付けるのが、結構、面倒です。

今の悠くんのコミュニケーションブックは、もう2年ぐらい使っていますので、ファスナーが壊れてしまいました。
そろそろ新しくしないといけません・・・
またシステム手帳を探しに行って、ポシェットタイプに改造すないと・・・
面倒くさいなぁ・・・・
ポシェットタイプのシステム手帳って、売ってないのでしょうか・・・・

見つけた方がおられましたら、教えてくださいませ。
結構、面倒なのです(^^ゞ





メーカーご指定・・・子分(?)編                   2004.01.03(土)


悠くん、最近「テッシュ破り」がお気に入りです。
テッシュって2枚ずつ組んでますよね。
その2枚を細長く裂いて1つの山にして、積んでます。
山の配置も、悠くんなりのこだわりがあるようです。

  
   ↓ こんな感じ。 多い時には8個ぐらいの山が出来てます。
    
                                        ↑ ひとつの山はこんな感じ
                                          2枚枚でひとつの山です。


その山が、いくつか出来るのですが、誰かが踏むと飛んできます。
近くを通ると、踏まないか気にしてチェック。
この状態を我が家では、「悠ボスが子分をあちこちに配置して、悠ボスが目を光らせている」というふうに言って
います(^^ゞ
悠ボスは、どこにいても、子分たちが踏まれないか、さらわれないかと目を光らせています(^^ゞ


この子分の素であるティシュですが、在庫がなくなりそうになると「Kスーパーに買い物に行く」という要求がで
ます。
今日も出ました・・・まだ在庫が3箱ほどあるのに(^^ゞ
ティシュのメーカーはいろいろありますよね。
スコッティを取ろうとすると・・・・悠くんからのクレームがつき、エルモアを要求してきました。

この子分の素、メーカーによって違いがあるようです。
どのティッシュも同じように見えますが・・・・悠くんはスコッティではなくエルモアがお気に入りです。
裂け方が違うのでしょうか・・・・

素材、破り方、配置へのこだわり・・・・
うーーーん、サリーには良く解らない悠くんの不思議な世界です。


・・・・・こんなしょうもないことを写真付きで載せるなんて・・・・・・まあいいか(^^ゞ



大好きなマクドナルドだけど・・・・                    2003.12.30(火)


悠くん、フライドポテトが大好きですので、マクドナルドへ行くのは大好きです。
ところが、あるお店だけ嫌がります。
マクドナルドのお店は、どこでもそんなに変わりはないと思うのですが・・・・なぜか、そこには行きたがりません。
マクドナルド東豊中店、片側3車線の中環沿いにあり駐車場が広く、店内も明るいです。
以前は、店の一番コーナーの2面ガラス窓で外がよく見える位置が大好きでした。
なのに、いつの間にか・・・嫌いになっていました。
国道1号線沿いの中宮店、新御堂沿いの緑地店、などなど他の店は平気です。

お正月を含む1週間はお出かけしませんと予告してありますが、マクドナルドはいいだろうと東豊中店に行くと伝
えました。
その時は悠くん、喜んだのですが・・・実際に東豊中店に着くと、車を降りずに「待ってる(待つのマカトン)」と言い
ましたので、ドライブスルーで買って、家に帰ってから食べました。

店の前まで来たらやっぱりやめたとか、東豊中店と伝えた瞬間に拒否する時とかいろいろですが、東豊中店にだ
けこんな反応をします。
他の店とどこか違うのでしょうか・・・・・・・・(--;)
駐車場が広くて利用しやすい場所にあるのですけど・・・・・・・・・・(;;)



菜ちゃんのページ                                     2003.12.28(日)

菜ちゃんは、悠くんの3歳下の妹です。
悠くんと同じように、大学病院でCT検査などを受け、1歳半から知的障害者通園施設に通い、それから保育所の
障害児枠というルートを通ってきています。
悠くんと同じルートを通ったのは、もちろん発達が遅れていたからです。
「様子をみましょう」・・・そういわれて、家で様子をみていても仕方がありません。
早々に、適切な指導を受けられるところに入れました。
知的障害児通園施設に入ったから、障害児になるわけではありません。
躊躇する方もおられますが、障害児であるかないかは自然と解ってきます。
もし障害児であった場合、早く入れなかったことを後悔するはずです。

その菜ちゃんの成長をつづるホームページを別に作りました(^^ゞ
菜ちゃんは、「悠くんのだけ?」と思っているようですので、菜ちゃんのを作りました。
悠くんのだけあるのに、自分のがないを気にしています・・・(^^ゞ
そのうち、菜ちゃん自身が嫌だからやめて欲しいと言うかもしれません。
そうなったらやめますが、まだしばらくは大丈夫だと思います。

  http://homepage3.nifty.com/rainbowcat22/

サリーの趣味で、思い切りピンク色のホームページにしてしまいました(#^.^#)
フレームつきも作ってみたかったので、フレームつきです。
半分、サリーの樹の趣味で作ったようなページになってます(^^ゞ
それと・・・サリーの樹とは独立させていますので、ハンドルもすべて変えていますので、よろしくお願いいたします。




「やり取りが出来る」ということ                        2003.11.27(木)


この間、「12月のカレンダーがないから早くパソコンでプリントして!!」と要求してきました。
全く言葉がありませんので、すべて身ぶりやその場所を指さしてのやり取りになります。
悠くんはまず、カレンダーを持ってきて、11月のをめくって下の何もない白地を指で示して「あっあっ」とサリーに
声で訴えて、それから「ちょうだい」の身ぶ
りをし、次にパソコンのプリンターを指さして「あっあっ」と訴えました。
全く言葉なしのやり取りですが、その場所を指差してくれるので悠くんが何を訴えているのか良く解ります(^^ゞ
悠くんのカレンダーは、サリーがパソコンで作ってプリントしていますので、プリンターからカレンダーが出てくると思って
いるのかもしれませんし、「早く作ってプリントして」という意味なのかもしれませんが・・・(^^ゞ

以前にも、「明日の遠足のスケジュールを貼って」と翌日の遠足のスケジュールを要求してきたことがありました。
この時は、「明日のスケジュール」の『学校』を指さしてから、第2スケジュールを示す位置をトントンと指差して、「ちょう
だい」の身ぶりをしました。
関係する場所を全部指で示してくれますので、「明日の学校からの遠足のスケジュールを貼ってちょうだい」ということ
だということがよく解ります。

なんだかもう「要求」というより、「情報請求」になってきたのではないかと思います。
知りたい情報を請求するということをし始めているのではないかと思います。



もっと小さいときは、一枚のカードだけを示して伝えてきましたので、何を伝えようとしているのかが全く解らなかったの
ですが、今はサリーが解らないという身ぶりをすると、別の物を出してきます。

例えば、
「明日のスケジュール」を示して、「ちょうだい」の身ぶりをしてきました。
何をちょうだいなのか解らないので、「解りません(身ぶり)」を返すと、カードの入っている引き出しを指さして「あっあっ」
これで、何かのカードを貼ってほしいと訴えていることは解りました。
でも、まだ何のカードなのかが解りませんので、サリーはもう一度「解りません」の身ぶりをしました。
今度は、学校用のコミュニケーションブックを持ってきて、開いて、『セラピー室』を示しました。
学校からの連絡帳に、「セラピー室に行きたがりましたが、『明日ね』と伝えると納得しました。」と書いてありましたの
で、その「明日はセラピー室に行けます」ということをちゃんと貼っておいてほしいということを訴えているということが解
りました。
・・・が、『セラピー室』の写真がありませんので、悠くんの前でカレンダーに「セラピー」とひらがなで書きました。
それで悠くんは納得したようです。

本人が納得するまでコミュニケーションを取ってくれるようになりしたので、こちらが「解らない」ということが解ると別の
手段で伝えてくれるようになりました。
このおかげで、お互いの誤解がかなりなくなりました(^^ゞ

悠くんが1枚のカードにあらゆる意味を込めて使っていた頃には、何を伝えようとしているのかということが解らなくて
かなり困っていました。
あれから2年ぐらいたったでしょうか・・・
やっと今、「コミュニケーションがとれる」「やり取りが出来る」というのはこういうことなのかも・・・と思えるようになりま
した。


悠くんの成長                                            2003.10.03(金)

低機能の悠くんの成長は、本当にゆっくりです。
中機能の子どもたちの成長がすごく早く思えます。
悠くんが越えられない壁をポンポンと越えていくのを見ると、知的障害の重さの壁のぶ厚さを嫌でも実感します。
高機能児となると、もう問題外です・・・・まったく関係ない世界ですね(^^ゞ

それでも、悠くんの1年の成長を考えるとそれはそれですごいなぁ・・・と思ってしまいます。

5年生の時の夏の自閉症児Kキャンプに参加しました。
主催者の方が、PCSと写真と文字とで視覚的にわかりやすいプログラムを用意してくれていました。
その時は、「悠くんには難しすぎてとてもじゃないけど解らない・・・。」と感じて、悠くん用にラミネートしたカードを1枚
ずつめくるスケジュールを用意しました。PCSも難しいですが、それが縦に並んでいるものはもっと難しいかったので、
変更があったら組み替えられる形で、写真サイズでめくり式にしました。
6年生の夏、この間ですね(^^ゞ
また、同じキャンプに参加しました。
キャンプのプログラムも前年同様のPCSと写真と文字とで示したものを主催者の方が用意してくれていました。
去年と同じプログラムを見て、「うん、わざわざスケジュールを作らなくても悠くんにはこれで解るかもしれない・・・」と
思いました。
不思議ですね・・・1年前は難しすぎて解らないと思ったものが、1年で悠くんが理解できるようになっていたということ
です。

5年生の終わりにVOCAを購入しました。
PDAタイプのものは悠くんには絶対に無理だろうと思いましたので、32スイッチのVOCAを買いました。
ところが、今私は、PDAタイプのトークアシストも使えるようになるかもしれない・・・と思っています。

1年前は絶対に無理だったはずのものが、1年後には解るかもしれないと思えるようになっている・・・1年でこんなに
違うなんて不思議です。

こんなことを書くとヒンシュクを買いそうですが・・・低機能児でもどんどん成長するんだ!!と驚いているというのが正
直なところです(^^ゞ

育児書にない育児                                     2003.08.30(土)

悠くんが障害児と宣告されたときの事を今でも思い出します。
1歳4ヶ月の頃、知的障害児通園施設に入れるようにドクターに勧められました。
「育児書にない育児をすることになるでしょう・・・。それにかなり遅れが出ると覚悟してください。」

育児書にない育児・・・すでにそうでした。
泣いている悠くんに、よしよしと近づくと、さらに泣き方が激しくなる・・・。
寝ぐずる悠くんの背中をさすってあげると、火がついたように泣き出す・・・。
離乳食を口に入れてもペーっと舌で押し出してしまう・・・。
離乳食のことでは、栄養相談に行きましたが、解決策は見つかりませんでした・・・。

周囲の子どもたちとは行動が全然違う・・・異常な行動。
フェンスや自転車の鉄さびを舐める・・・
デパートの床を舐める・・・
砂場の砂を食べる・・・
やめさせると泣き喚いて噛み付く・・・
もうどうしたらいいのか解らない・・・

ある日、自分の中で何かが切れました。
「もうこの子のことは諦めた・・・」
悠くんが1歳半を過ぎた頃でしょうか・・・

諦めないととてもやっていけない・・・そんな感じでした。
私のすることはすべて無駄な努力でしかない・・・
もう悠くんは、私の可愛い息子ではなく、憎むべき邪魔な存在でしかありませんでした。
「生んだ責任として20歳までは育てる。でも成人したら絶対に世話はしない」
20歳までは・・・そう自分に言い聞かせてやってきました。


  ************

その悠くんは、11歳です。
こんなに落ち着いて大人しくなるとは・・・とても思いませんでした。

あと9年で20歳です。
うーーん、9年・・・
今度は子離れしたくなくなったらどうしよう・・・・と思ってしまいます。



時間の構造                                            2003.05.20(火)

時間の流れの理解って難しい・・・しみじみ思います。
切れることなく流れている時間に大小の枠があり、24時間で1日という枠、一つ一つの活動にも枠があり、その活動
の枠がいくつも積み重なって1日の枠になり、1日の枠が7つで1週間になり・・・そういった時間の構造の理解は、ス
ケジュールやカレンダーを示しはじめても、全体の時間の構造が理解できるようになるのには、なかなか時間がかか
ります(^^ゞ
スケジュールとカレンダーとがどのような関係にあるのか、今しているやり取りがスケジュールにどう影響するのかと
いうことは、時間の構造を理解しなければ解らないだろうと思います。

悠くん、小さい頃はお出かけ用のスケジュールを持ち歩いていました。
行き先を割り込ませるときには、割り込ませることでその後の予定が動変化するのかというところまで解る様に見せ
ました。
でも、もう持ち歩いていません。家で予定を示してから出かけて、途中で変更があった場合コミュニケーションブックで
やり取りをします。
そのやり取りの結果を、小さい頃は携帯用スケジュールで見てわかるように見せていましたが、最近は悠くんが頭の
中で情報を操作してくれていると思います。
悠くんの頭の中には、家で示している形のスケジュールが入っていて、目の前で実際にカードを操作しなくても、それ
を頭の中で自分で組み替えているという感じだろうと思います。
頭の中で情報操作することはすごく難しいだろうと思いますが、その情報を悠くんに見える形で伝えてきたことによっ
て、悠くんにはそれがどういうシステムになっているのかということが解ったのだろうと思います。
ですから、頭の中だけの操作で理解できるようになった・・・そんな感じがします。

・・・といっても、悠くんが頭の中で情報を操作できるのは、経験してきたこと・・・具体的に見せて伝えてきたことだけで
すが・・・(^^ゞ


現在って・・・(^^ゞ                                      2003.01.03(金)

悠くんが小2の頃から実践報告などで発表する機会が何度かあり、その時にまとめた原稿をどうしようか・・・と思って、
このHPを作りました。作ったのは、悠くんが小3の秋頃です。その時の「現在」のページが、今ではずいぶん前のこと
になりましたので、「9歳頃の悠くん」に変更しました。

作った頃には、こんなに更新していくとは思いませんでした・・・
2年前、2年前と振り返っていくと・・・今(5年生)の悠くんと、3年生の悠くんとは全然違います。その2年前の1年生
の悠くんは・・・写真を使って伝えはじめ、スケジュールを示し始めた頃でした。その2年前は・・・野獣です(^^ゞ

手探りでやり始めたことでも、2年ぐらいで何かの形になるのかな・・・と思います。
これから、2年先の悠くんは・・・中1ですね。
うーーーん、大きな壁を沢山越えていかないといけないような気がしますが・・・(^^ゞ
悠くんは、どんな中学生になっているのでしょうか

悠くんが年長の頃、具体物を使って視覚的に伝えるということを始めました。
その頃、サリーは、絶対に悠くんには写真カードの理解は無理だと信じていました・・・というより、こんなに重度の悠く
んがどう考えても写真や絵が解るようになるとは思えませんでしたし、カードのスケジュールが解るようになるなんて、
思えませんでした・・・(^^ゞ
ですから、ずっと具体物で次の活動などを伝えていかないといけないのか・・・なんて思っていました(^^ゞ
その悠くんが、2年後には、写真のコミュニケーションブックでやり取りが出来るようになりました。

そのことで一番驚いたのは、もちろんサリーです(^^ゞ
絶対に無理と思っていたことが出来るようになったのですから
それから、悠くんの能力を見くびるのはやめようと思って、今まで来ています。
おかげで、奇声を上げてぴょんぴょん跳ねる見かけと内面の差がすごくなりました(^^ゞ

そういえば、4年生の頃、某所の療育の初診で、悠くんが気が狂ったようにげらげら笑いながらぴょんぴょん跳ねたりぐ
るぐる回ったりして楽しんでいる様子を見て、先生に「机に座っての課題は出来ませんよね」と聞かれました(^^ゞ
「そんなことはありません。場面の切り替えは早いですから」と答えましたが、その状態の悠くんから、サリーの言葉を
先生が信じることが出来たかどうかは解りませんが・・・(^^ゞ
帰る時間になって、狂い舞っている悠くんに遠くから「帰るよ」と声をかけると、すっと普通状態(?)に戻ってサリーのと
ころまで来ました(#^.^#)
あははは、見る場面によって、全然別人に見える悠くんです。



                    


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