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お約束シート 
         
何回言っても効果がない・・・言うことを聞かない・・・・
そんなときは、視覚的に伝えましょう(#^.^#)

  

粘土を口に入れません」


悠くんは、粘土遊びが大好きです。
・・・といっても、粘土をこねたり、形を作ったりではなく、粘土の感触を楽しみます。
手で感触を楽しんでいるだけだといいんですが、一番すきなのは、口(^^ゞ
なめて楽しむのが大好きなので困ります。

最初は、「お口はダメ!」とその都度叱っていました。
すると・・・サリーの背を向けて、口に入れているのが見えないようにしたり、サリーを遠くの方へ連れて行って「バイバイ」をしてから、粘土を口に入れるようになりました。
いくら叱っても、粘土を口に入れる行為はなくならず、返ってそのことに執着させてしまいました。

1年ぐらい、「粘土は禁止」にしてみたのですが、遊びが少ない悠くんの楽しみの一つである粘土を取り上げたままにするのは・・・と思い、再開しましたが、やっぱり口に入れます。
それで、動機付けをすることにして、それを視覚的に伝えました。


             

            「粘土お口×」→「ご褒美皿にのったコンペイトウ」という絵です。 
            「粘土を口に入れなかったら、ご褒美にこんぺいとうを食べれます。」ということです。
            その下は、「粘土を口に入れたら、ご褒美がなしになるし、粘土もできないよ」と描いてあります。



粘土を口に入れそうになったら、「粘土を口に入れなかったらご褒美だよ」と伝えました。
さて、その効果は・・・・

悠くん、粘土を口に入れたくなると・・・わざわざサリーに向かって、粘土を示しながら「あっあっ」・・・「ちゃんと遊んでるよ」とアピールしました。そして、口に入れるのを我慢できなくなりそうになると・・・自分から粘土をお終いにして「ご褒美」を要求しました。

叱るという罰を与えることは、ちっとも効果がなかったのに、動機付けをして視覚的にに伝えるだけでこんなにも効果があるとは思いませんでした。(^^ゞ









「人をひっかいたり噛んだりしません


悠くんのどうしてもとめられない問題行動、「ひっかく」ことへの対応をどうしようか・・・と悩みました。
頻度はそれほどではなく、数ヶ月間ないこともあるし、月に数回のこともあります。
それでもあることに変わりはないので、悩んでいます。
その時の悠くんは、「解っているけど感情が抑えられない」というような状態です。
その感情を自分で抑えられるように、「動機付け」をしました。


               
                        ↑
           「怒ったときに、人をひっかいたり噛み付いたりせず、
           ちゃんとタオルを噛み噛みしたら、夕食に、塩こぶと
           目玉焼きがつきます。」と描いてあります。



ある日、久々に悠くんのひっかき攻撃がパパに向かって出ました。
・・・といっても、どう考えても、パパの対応が悪い(^^ゞ
「具体的・肯定的・視覚的」とは正反対の、「抽象的・聴覚的・否定的な対応」をしていました。


で、例の「お約束シート」の所へ悠くんを連れて行き、「怒ったときに、人をひっかいたり噛み付いたりせず、ちゃんとタオルを噛み噛みしたら、夕食に、塩こぶと目玉焼きがつきます。」と書いてあるシートを「これこれ」示してみました。

悠くんは・・・自分の座椅子の所においてあるタオルを取りに行き、そのまま座椅子に座り、タオルを噛み噛みするパフォーマンスを私に見せてくれました。
「うんうん、○」とそれで正しいことを何度か伝えると、笑顔になりながらタオルを噛み噛み・・・(--;)

お約束シートを用意していなかった時には、なかなか納まらず、噛み噛みしながらしばらく怒っているという状態だったんですが・・・
なんか、すごく違う・・・
これほど効果があるとは思いませんでした。(^^ゞ





お約束シートにたどり着くまで・・・【悠くんの噛み付き】


悠くん、小さい頃はいつ噛み付くか解らない、野獣状態でした。
写真でコミュニケーションが取れるようになり、スケジュールなどの理解で見通しも持てるようになってきて、噛み付きがほとんどなくなりました。
でも、今でも、頻度は多くはないですが、パニックを起こしたときには、引っかいたりします。


ある日のプレイセラピーで、STの先生に突然攻撃を始めたようです。
STの先生は、「いつもは原因が推測できるのだけど、今日は突然で、全く原因がわからない」と言うことでした。
部屋の中での様子を順を追って聞いてみたのですが、課題をひとつ終えたら、リラックス時間という組み立てで、悠くんのペースでやってくれています。
リラックスタイムも、跳び箱の上に座って足でリズムを取りながら、ビニールとゴルフボールを触っているらしく、今日もいつものようにそうしていたようです。
最後の課題を終えて、リラックスタイムの最中に、突然ゴルフボールを窓に向かって投げつけて、先生に攻撃を向けたようです。
そのときの声かけのタイミングなど、いろいろパニックの引き金になりそうなことを聞いてみましたが、思い当たらないということでした。
かなり悠くんの様子を的確につかんでいる先生ですので、本当に何もない状態からのパニックだったようです。2年間その先生のところに通っていますが、初めて見せた悠くんの突然攻撃に、先生も驚いておられました。

これは、私の推測ですが・・・
課題も全て終わって、後少しで今日のセラピーも終わりになるということは、スケジュールからも、時計の提示からも、悠くんには情報としてわかっています。
もっと遊びたいけれど、もうすぐ終わらないといけないと言う状態で、悠くんが一番恐れているのは、「今日は終わりね」という終わりの宣告です。
もうすぐ遊びを終わらなくてはいけない・・・でも、もっと遊びたい・・・でも、時間が来たら終わらなくてはいけないことを十分に理解している・・・そういう状態の悠くんに、その宣告の時間が近づいてきた。
終わりの宣告を聞きたくない悠くんは、その宣告が来る前に、パニックになってしまいました。


こんなことが、たまにあります。
環境の側を整えることには限界があります。
悠くんが、パニックを起こさなくていいような環境を、私でも常に提供できません。
では、この引っかき攻撃を今後どうしていくか・・・年に数回しかなくても、ゼロでないかぎり、一人で行動させることは出来ません。
環境を整えられないなら、悠くんが、「自分でその感情を処理する方法」を身に付けさせることを考えないといけません。


ふぅーーーー、私にとっては、大きな課題です。

    ◎いらいらしたするまえに、または、引っかきたくなる前の段階で、気持ちを表出し、解消で
     きるような、コミュニケーションの方法を考える。

      →過去の経験から、もっと遊びたい要求が通らないことは解っているので、無理だろうなあ・・・

    ◎「感情を抑える」ということは無理ですので、自分で人から離れた静かなところに行って、
     そこでポケットからハンカチを出して、ハンカチにイライラをぶつけて解消する。
  
      →とりあえず、この方向に考えようかなぁ・・・
        と思いましたが、落ち着くまでに壁や窓ガラスを叩いたり激突したりします。
        危険な窓がないところだけしか使えません。
        我が家は・・・マンション。
        隣や階下のお宅に、とってもご迷惑ですね(^^ゞ


    ◎動機付けの導入
    
      →やっぱりこれしかないけど・・・
        「○○しなかったら、△△」って、動作や動詞を理解していない悠くんに伝えるのは
        とっても難しいです。
        「→」も理解していないし・・・




ご褒美シールシステムの理解をさせたいのですが、「○○しない→シール→ご褒美」という複雑なシステムの理解はまだ無理です。まず「○○した→△△」を理解するために「→」の意味を理解させたいのですが・・・
・・・とあれこれ悩んでいるときに、チャンス到来(^^)

おやつまで待つのに、「タイマーをかけて」といつものように要求してきました。
タイマーがなるまでおやつが手に入らないことが解っていて、押さえられなくて、ひっかき攻撃を始めました。
今が「○○→(したら)△△」の意味理解してもらえるチャンス!!と思い、「ひっかき→おやつ×」と「ひっかき×→おやつ○」カードを目の前で作りました。
作っている最中にカードの意味を理解したのか、攻撃が収まり、悠くんが「ひっかき×→おやつ○」のカードを何回か示して要求してきました。

うーーーん、それにどう対応しようか。
我慢できたから「おやつ○」にしようか、確実に理解させるために「ひっかいたからおやつはなし」を通すか・・・ここですぐ「おやつ○」にしてしまったら、「ひっかいても、やめたらすぐにおやつ○になる」と思うかも・・・と、悩んでいる間に、悠くんがおやつをあきらめて、ビニールで何もなかったかのように遊び始めました。


この「罰を与える」対応、批判がいっぱい来そうですが・・・(^^ゞ
この1回で「○○する→△△なし」を理解できたようですので、すぐに罰ではなく「○○しない→△△あり」のご褒美に作り変えました。
それが、上記のものです。


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