ヘリコイドを自作する〜ヘリコイドの動きが重い〜
きっかけ〜設計
 BORG(ボーグ) 77EDUは、レンズ性能が高く、小型軽量なので他社の天体望遠鏡と比べて使用頻度が高いので私のお気に入り。しかしヘリコイドMの出来には不満ありです。この部分が改良されると、魅力が大幅にUPします。具体的な改良したい点は、カメラを装着するとその重さでヘリコイドMの動きが重くなる為、ピント合わせが大変な点です。この点はメーカーのHPにも記載されています。
 メーカーでは対策パーツを用意するなど一応の対応策はとられています。本来は、メーカーからヘリコイドMの改良品を出してもらいたい所ですが、すぐには出てきそうもありません。そこで、自作してしまう事にしました。設計するにあたり、狙いは以下の3点としました。
 @デジタル一眼の中級機を取り付けても、スムーズな動きを実現。(余力を持たせて1kgのカメラもOKとしたい)
 Aヘリコイドの可動長をできるだけ長くして、無限遠から近距離までヘリコイドだけで合焦させたい。
  ※ヘリコイドの可動範囲を超えるとドローチューブを引き出す操作が必要になるが、その頻度を減らしたかったので。BORG製の2倍以上を目標にしました。
 B予算5万円以内

 休日や帰宅後の時間を少しずつ使って設計。会社の設計環境があれば2〜3日で設計できたのでしょうがそうもいかず、随分と時間がかかってしまいました。
 部品加工業者探しはネットが頼り。数社に問い合わせたところ、見積り金額に最大2倍程度の差が出ました。が、私のような個人を相手にして下さった加工業者様に感謝です。

そして完成!
 ⇒組立中の風景はこちら
 青い丸で囲んだ部分が製作したヘリコイドです。取り付けたデジタル一眼はOLYMPUS E-300です。現在は引退しました。
 ヘリコイドの主な仕様は以下の通りです。(カッコ内はBORG純正のヘリコイドMの値)

可動長:50mm (19mm)
質量 :590g  (312g)
1回転当りの伸縮長:約25mm (不明)





上の写真が、ヘリコイドを最も縮めた時    (無限遠側)
下の写真は、ヘリコイドを最も伸ばした時   (近距離撮影時)

いずれの写真も、左側がBORG 製ヘリコイドM、右側が自作品
           上が対物レンズ側、下がカメラ側  です


評価


 狙い@に関しては目標達成です。三脚に77EDUを固定し、カメラの代わりに重りをぶら下げて1kg程度の荷重を加えても、ヘリコイドはスムーズに回転。ちなみにこの状況では、ボーグ製ヘリコイドMは全く使えない状況です。
 柵を利用した「半手持ち」でも、左手で望遠鏡を支えつつ、左手の指だけの軽い力でピント合わせが出来ます。このスタイルならBORG製ヘリコイドMでも撮影は可能ですが、動きが固いので結構大変です。
 BORG製ヘリコイドMは無負荷でも動きの重さを感じますが、粘度が高いグリースを使用しているのかも知れません。(粘度が高いグリースを使用すると、ガタが目立たなくメリットはありますが。。。考えすぎでしょうか。)

 狙いAも満足です。ヘリコイドの可動長さが50mmあると、ヘリコイドの操作だけで無限遠〜6m位(目測)までの間でピントが合います。ヘリコイドMと直接の比較はしておらず、可動長が50mmに伸びた事によるメリットがどの程度あるのかは実感していませんが。
 設計変更により更に延長する事も可能ですが、6mぐらいまで合焦するのであれば満足です。もちろん、ドローチューブを引き出せば更に寄れます。

 狙いBは実現できませんでした。1個分だけ部品加工をお願いした事で、量産効果が全く期待できなかった事と、ネジまで含めると部品が10点以上もある事が理由でしょうか。数十個まとめて作れば達成できるかもしれません。


写真上:マウスを写真の上に持っていくと、ドローチューブの伸縮が見られます。
写真下:77EDU+1.4倍+E-300


長期使用してみて
 BORGからはラック&ピニオン式の接眼部が発売されました。実は、こちらの方が理にかなっているような気がします。人間がヘリコイドを回転操作する行為は手ブレを誘発させやすいように感じられる為です。
 
※自作ヘリコイドの組立中の風景⇒こちら


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