Skywriter (ジミー・ウェッブ)
空に浮かんでは  消える  幽霊のような文字を
追いかけるのには  もう うんざり
貴重な時間が  過ぎていくのを  ぼんやりと
ただ見ている 白昼夢のような人生
この広い世界を ただ煙を追いかけて
ぐるぐると堂々巡り
地表に触れることもなく

まるで飛行機雲で文字を書くパイロットのように
理由もなく反抗し 目的もなく漂うだけ

でも どうやら この飛行機ゲームは
やめられなくて
僕は 羽をつけて
ふらふらと空を歩いている
防護ネットもない
ずっと ただ ふらふらと

また 地上に降りることなんて あるんだろうかと
ふと 思いつつ

ただ 厳しい現実から逃げているだけじゃないか
と言われることもあるよ
僕と君の恋は もう終わった それを認めろと
「過去に生きるのはやめろ
まるで 戦争は終わらないと信じ込んでいる
年寄りのパイロットみたいだぞ」って

僕の心と羽根を信じれば
曲芸飛行したって 大丈夫
落ちるわけなんかない
空は澄み切って穏やか
僕は 空の高みに

僕は スカイライター
君をまだ忘れられないんだ
たとえ 意味がなくても
時々 もう2度と 戻れないんじゃないかと思うけど

スカイライター、まだ 君を忘れられないよ
たとえ 意味がなくても
時々 もう2度と地上に 戻れないんじゃないかと思うけど
 


訳者より
skywriter: 空に飛行機雲で文字を書くパイロットのことです。ここでは、Artie は羽根をつけて飛び回っているイメージですね。"Angel"のイメージも、ここでは、切なくみえます。

Rebel Without Cause: James Dean 主演の同名の映画があります。(邦題『理由なき反抗』) 多分なにも関係ないと思いますが、一応。

Jimmy Webb が、Artie のために書き下ろした曲です。ライブのMCで、Art はよく、この曲は、Jimmy Webb が書いた80年代の僕の自伝のような作品だ、と言っています。「僕が、本当に空に浮かんでいたときだ」、と。

恋人の Laurie Bird を79年に亡くした Art の80年代は、まさに Skywriter のようだったのでしょう。それを考えると、この曲は、痛いほど切ない曲ですね。また、まるで Art に成り代わったかのように忘れられない恋を描く Jimmy Webb の才能にも、改めて敬服してしまいます。(Artie は、「Jimmy とはいつも一緒にテニスをしてるから、彼は僕のことを良く分かっている」と冗談まじりに語っています。)

Still WaterPoem 17 は同テーマの作品と言えますし、Still Water のI: Earth セクションのインタビューでも、

「ある日、気が付いたんです。これ【ローリーの死】を乗り越えることは出来ない、って。『乗り越える』ということは、思い出をマットの下に敷いてしまうことと同異義語だから。僕は、彼女を思いつづけますよ。称えるべき人を称えているだけだもの。」

(インタビュアー:でも、それでは、あなたの人生が止まってしまう、とは思わなかったんですか?)

「みんなにそう言われましたよ。でも、『人生は何のためにあるんだい?こうやって過ごすことの何が悪いんだ?彼女の日記や本に没頭するのをやめて、ダン・ラザーの6時のニュース【訳注: Dan Rather は、CBS のベテラン・ニュース・キャスター。CBS Evening News のアンカーを務めている。】を見てればいいのか?それが僕のすべきことなのか?今生きている社会に適応することが?』って言い返しました。」

また、Poem 78 に
High above the heath,
beneath a cloudy day,
two lines askew converge for you
in skiwriting.
という一節が出てきます。1988年3月ロンドンでの作品ですので、ちょうど"Skywriter"を歌い始めた頃だったのでしょう。(up 'til now  の録音は、1988年4月ロンドンでのコンサート音源です。)

この試訳は、www.artgarfunkel.comLyrics of Songs の英語の歌詞から起こしたものです。up 'til now  の日本盤の歌詞とは多少違うところがありますが、曲を聞き返した結果、www.artgarfunkel.com の方が忠実だと思われます。

1ヶ所、どうしてもわからないところがあります。"safe with my heart and wings"のところが、歌詞カードでは "safe with my virgin wings"となっています。どちらも違うような気がするのですが、わたしの聞き取り能力では、どう歌っているのかわかりません^^;。試訳は、"heart and wings" で訳しています。ただ、90年代のライブでは、ここの部分は歌っていないようです。

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