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フランス, レア―ク
1984年1月



注釈
BIRD-YEARNING:(文脈では)ローリー・バード(Poem 2を参照)への思慕・切ない思い;自由に空を飛ぶことへのあこがれ

COPPERFIELDS:(文脈では)イギリスの少年達 (チャールズ・ディケンズの小説「デビット・カッパーフィールド」(原題 David Copperfield )より

ITALIA:イタリア 【訳注:英語名のItalyではなくイタリア語名が使われている】

SORELY:とても痛ましく

WEBB:ジミー・ウェッブ(Jimmy Webb) (1946年オクラホマ州エルクシティ生まれ) シンガー、ソングライタ- / 『アニマルズ・クリスマス』(原題 Animals' Christmas )の作曲者・共同プロデューサー
 
 

解説
この詩は、アートがここフランスで休暇を過ごしている理由をいくらか明らかにしてくれる。 アートは夏に Simon&Garfunkel としてのツアーを終えただけでなく、2週間前にニューヨークで、1週間前にはロンドンで、ジミー・ウェッブのカンタータ The Animals' Christmas のコンサートを終えたばかりだった。この3つの詩(1,2,3)は86年12月26日から83年1月2日の間に書かれた可能性が高い。
この詩はアートが、レア―クからブールサンモリスに(約11 km)歩いているところから始まる。彼は1週間前のロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでの The Animals' Christmas の演奏の録音を聞いている。ウォークマンのテープが終わりに近づいたところで、彼は The Animals' Christmas への拍手が次第に小さくなっていった後にクリスマスの讃美歌が3つ歌われていた事に気づく。アートは自分の演奏の出来に神経を集中していたので、子供達の聖歌隊が"Once In Royal David's City"と"The First Noel"そして"O Come All Ye Faithful"を歌ったのに気がついていなかった。

アートは、また、"beloved Christmas in New York"「ニューヨークで過ごす大好きなクリスマス」を逃してしまったことも述べている。彼は5番街と55丁目の角にある聖トーマス教会を、クリスマス・キャロルを口ずさみながら通りすぎるのが好きだ。

アートは演奏の出来に満足しているので、こんなにうれしそうなんだろうか?彼は景色に感動し("O Earth You are too wonderful for anyone to see"「地球よ、君は素晴らし過ぎて誰にも見えない」(備考を参照のこと) 、『The First Noel』に、クリスマスの季節に心を動かされた。("and swelled apart the chambers of my heart" 「そして僕の心臓はふくらむ」) 彼の喜びは、いつもそうするように、歌うことで表現されたに違いない。彼はこう歌った―

"O Come All Ye Faithful We Live in Astonishing
Splendor for only a Moment Anointed in Oil
and We Toil with Our Burning Glorious
Bird-yearning Hearts!"
 
ああ忠実な者達よ来たれ
我らは 聖油を 塗られ
驚異の 輝きの中で ほんの一瞬 生きているだけ
そして 輝く鳥への 燃えるような
心と 闘うのだ!
[神によって、もしくは大衆によって選ばれたと、彼のよう名声を博した人は感じているに違いない] 
[人生はとても短い] [いつも苦しんでいる] 
[Laurie Birdへの思い、または飛ぶことへの憧れ] 

備考
ソーントン・ワイルダー(Thornton Wilder)作の劇 Our Town Act V に登場するエミリーの台詞 "Oh, earth you're too wonderful for anybody to realize you.."「ああ、地球よ、あなたは素晴らし過ぎて誰も気づかないほどよ。」との関連に注目。 エミリーは次にこう尋ねる。"Do any human beings ever realize life while they live it?―every, every minute?" 「生きている間に、生きているってことを、人間が気づくことがあるのかしら?―その一瞬一瞬を?」その答えは"The saints and poets, maybe..."「聖者と詩人なら、もしかしたら…」である。

Artは後に"O Come All Ye Faithful"をレコーディングした。CBS から出た Acoustic Christmas というアルバムに収録されている。【訳者注 Up 'Til Now の日本盤にボーナストラックとして収録。】

彼は何を準備していたのだろうか?おそらく、忙しくすることでクリスマスの時期にひとりぼっちなのを、すなわち、ローリーがいないことを忘れようと、わざとコンサートと「お仕事」を予定に入れたのだろう。


この分析への質問は作者のMary K Rhinehartさん<MARY-JERRY@prodigy.net>に英語で直接お聞きになるか、日本語で訳者<chie_mc@hotmail.com>まで、お気軽にお問合せ下さい。感想も熱烈歓迎です。
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