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フランス、レアーク
1983年 12月


注釈
 
HER:(文脈では)ローリー・バード(Laurie Bird):(1953年ころ生、1979年没)
アメリカ人女優・モデル。1971年に映画『断絶』(原題"Two-Lane Blacktop")でジェームズ・テイラー(James Taylor)、ウォーレン・オーツ(Warren Oates)、デニス・ウィルソン(Dennis Wilson)と共演。ローリーとアートは1975年の夏に出会い、熱い恋に落ちた。二人は 最初カリフォルニア州マリブで、後にニューヨーク・マンハッタンで、一緒に暮らしていた。2人の生活は、1979年6月に彼女がふたりのマンハッタンのペントハウス【訳注:高層部(特に最上階)の特別設計の高級アパート】で自殺するまで続いた。Still Water の大部分は、アートが彼女の死に対処しようとするあがきを形にしたものと言えよう。
【訳者注釈】

APRICOT:アプリコット:あんず;あんず色、赤みがかかった黄色

ASCOT:アスコット・タイ;スカーフ状の幅広のネクタイ

AUBURN:〈毛髪などが〉赤[金]褐色, とび色

BLUSHING CHEEK:(顔を赤らめて)薔薇色の頬

BUTTERSCOTCH:バタースコッチ:バター,赤砂糖,バニラエキスなどで作った固いキャンデー;黄褐色

CARROTTOPPED:にんじんのような赤毛の

GINGERY:しょうが色の,赤[黄]褐色の;赤毛の

OCHER:オーカー:含水酸化鉄を呈色成分とする鉄の酸化物:オークル色;黄土色、淡黄色から橙黄色、または赤黄色までの色

RUSSET:ラセット:秋に熟し、皮がざらざらして、茶色がかっているリンゴの総称;黄褐色,薄茶色,小豆色,赤褐色

ROAN:〈主に馬が〉糟毛(かすげ)の:栗毛や鹿毛に白い差し毛のある:糟毛色

SHOT:〈織物が〉玉虫色[玉虫織り]の(見る角度によって色が変化するように織られたもの);七色に変わる

SIENNA:シェンナ,濃黄土:酸化鉄を含む黄土の一種;シェンナ色,黄褐色,赤褐色

SUEDE:スエード革:裏を毛羽立てた柔らかい革

TERRA‐COTTA:テラコッタ色:堅い耐火レンガ色;濃い茶色;代赭(たいしゃ)色。植木鉢の色

解説
 
アートはローリー・バードをピンク色と結びつけた。なんとかして彼女の思い出を避け、感情を乱さないようにコントロールするため、自分自身を変えようと決心した(彼が自分自身と結びつけた色がすべて赤っぽい、または黄色っぽい茶色であることに注目)。( "And I'll not come too close to red, but stay the orange side,"そして僕は赤に近づき過ぎず、 でもオレンジの側にいよう "then I'll change my look"それから外見を変える) 彼は、ピンクから自分自身を遠ざけるときっぱりと言いきっている。自分自身とは、衣服が象徴する彼の外面と("tie a chequered ascot"チェックのアスコット・タイを結ぶ, "my winter coat…lined with ironrust"ぼくの冬物のコート……鉄さび色の裏打ちがしてある、風采が象徴する内面( "I'll wear a terra-cotta tan; and carrot topped and gingery [his complexion]-A toasted almond man…ocher in my head."ぼくはテラコッタ色に日焼けする。そしてにんじん色で、しょうが色の赤毛の色になる[彼の顔色]―アーモンド色にこんがり焼けた男……ぼくの頭の中はオークル色。」)の両方である。

黄色(赤と混ぜるとオレンジになる色である)はローリーの死の前後の状況に対応する上での、アートの臆病さを示しているのだろうか?
 

【訳者補足 yellowは「臆病・卑怯」と言う意味あいも持つ。
 

備考
 
"Pink Beauty"(「ピンク・ビューティ」)が何を意味するのか、決めかねている。ただ単に、生命のことなのか、それとももっと具体的な何かなのか?

音韻のパターン:

各連の最後の単語に脚韻

thread, head, instead, dead

各連の2行目と3行目の最後の単語に脚韻

apricot, shot; gingery, be; kind, lined; think, Pink

各連の1行目の最後の単語がその連の3行目の最後から2個目の単語と脚韻

butterscotch, ascot; tan, man;; suede, made;;red, read



Written by Mary Rhinehart. Translated with the permission of the author. All Rights Reserved.
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